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光と風の境界  作者: 770
25/39

黒蛇討伐と剣聖の壁

(^^)/

 黒蛇との激戦が続く山小屋の裏。

 巨大な魔物の咆哮が、まるで山鳴りのように響き渡っていた。


セリナ「ところでセレナさん、シルフィナさんとはどういう関係なんですか?」

セレナ「私が子供のころ魔法をならった師匠だよ」

シルフィナ「師匠でーす、イエーイ」

セリナ「そうだったんですね、え?セレナさんが子供のころの師匠?え?」

シルフィナ「そこ、あまり深く考えないの」

セレナ「まぁとにかく、私がシルフィナに教えることは特にないのさ」

セリナ「英雄とまで呼ばれる人にそこまで言わせるとは、シルフィナさんも底がしれませんねぇ」


ルミナ「ちょっと! おしゃべりならよそでやってくれます!?

 見ての通り私はいま戦闘中なんだけど!?」


 黒い瘴気をまとった大蛇――黒蛇が、尾で地面を叩きつける。

 雪と土が爆発し、空気が震えた。


黒蛇「ギャアアアアアアアッ!!」


セリナ「ルミナさんっ! そのまま押してください、弱ってます!」

セレナ「だいぶダメージ通ってるよ~! あと2、3発“黒の閃光”撃てば倒せるねぇ!」

ルミナ「それ大規模災害級魔法なんですけど!? 一日でそんな魔力ないわよ!」

シルフィナ「でもルミナ……瘴気で魔力、だいぶ回復してる」

セレナ「あらあら、さすが“あの二人”の子供だねぇ……」

セリナ「魔力量だけなら……私より高いですからね。瘴気を扱えるなら、余裕で私以上かも……」



 黒蛇が口を大きく開き、瘴気の弾を吐き出す。

 だが――


ルミナ「悪いけど……そんなのもう、怖くないわよ」


 ルミナの指先に氷の光が灯る。

 氷結の刃が宙に花開き、瘴気弾を切り裂く。


ルミナ「“氷華連閃”!」


 黒蛇の頭部へ氷の華が咲き、その巨体が横倒しに崩れた。


黒蛇「……ギ、ギャ……」


 黒蛇は痙攣し、その場に沈む。


ルミナ「ふぅ……これが瘴気、ね。悪くないじゃない……」


 黒蛇の上にどっかり座り込むルミナ。

 その姿は完全に“勝者”のものだった。


セリナ「すごい……本当に倒した……!」

セレナ「あんな規模の魔物を一日で倒すなんて、天才ってやつかいねぇ~」

シルフィナ「強いのはいいけど……その座り方、悪役みたいだよ?」


ルミナ「うるさいわね……疲れたのよ……!」


 一方その頃――

 遠くからは剣が打ち合う乾いた音、雪を踏み砕く重い衝撃音が響いていた。


アルガス「ほれほれ、どうした? 当たったら真っ二つだぞ?」

ヴェント「当たったら死ぬんだよッ!!」

アリア「くっ……本当に見えない……!」

アルガス「ヴェント! お前の“親”も同じ修行をクリアしたんだぞ!!」


ヴェント「母さんもこれを!? よし……ジャン、合わせろ!!

 ――魔力解放!!!」


アリア「了解! “見盗り”……!」


 ヴェントの目が光る。

 その瞬間、風が爆ぜた。


ヴェント「ウィンドスラッシュ!! 7連!!」


 七つの風刃が連続して放たれる。

 だが、そのさらに奥――


ヴェント『――ダブル』


アリア「……!? え、魔力操作が勝手に……?」

アルガス「おぉ?」


 風刃は14連に増える。


ヴェント『――ダブル』


アルガス「ほうっ!!」


 風刃はさらに倍――28連へ。

 風の嵐が剣聖へ襲い掛かる。


アリア(盗めない……!? 私の見盗りでも、見切れない……!)


 しかし――


アルガス「ぬるい!!」


ドォン!!


 たった一振りで、すべての風刃がかき消され、

 ヴェントとアリアは後方へ吹っ飛んだ。


ヴェント「ぐえっ……!」

アリア「つ、強すぎ……!」


アルガス「今日はここまでじゃ。

 初日にしては上出来だ。……よし、帰るぞ」


 雪の中、少しだけ優しい声が響く。


ヴェント「……いてて。けど……楽しいな……」

アリア「ねぇヴェント……さっきの連打のやつ……なに?」

ヴェント「ん? なんか自然に出たけど?」

アリア「見ても盗めなかったんだけど……」

ヴェント「俺の連打に見とれてたんじゃねぇか?」

アリア「そ、そんなことない!!」


 ルミナが黒蛇の死体の上で伸びをする。


ルミナ「……これで今日の修行おしまい?」

セレナ「そうだねぇ。明日からは“レベル2”だよ!」

ルミナ「レベル2……?」

セレナ「文字通り”今日の”2倍、死ぬんじゃないよ~~~!!」

ルミナ「もっと段階踏んでぇぇぇ!!」


シルフィナ「……明日からも、地獄だね」

セリナ「……ルミナさん、本当に大丈夫ですかね?」

シルフィナ「大丈夫。死なない程度には私が見てるから」


 そして――修行の一日目は静かに幕を閉じた。

(^^)/

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