黒蛇討伐と剣聖の壁
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黒蛇との激戦が続く山小屋の裏。
巨大な魔物の咆哮が、まるで山鳴りのように響き渡っていた。
セリナ「ところでセレナさん、シルフィナさんとはどういう関係なんですか?」
セレナ「私が子供のころ魔法をならった師匠だよ」
シルフィナ「師匠でーす、イエーイ」
セリナ「そうだったんですね、え?セレナさんが子供のころの師匠?え?」
シルフィナ「そこ、あまり深く考えないの」
セレナ「まぁとにかく、私がシルフィナに教えることは特にないのさ」
セリナ「英雄とまで呼ばれる人にそこまで言わせるとは、シルフィナさんも底がしれませんねぇ」
ルミナ「ちょっと! おしゃべりならよそでやってくれます!?
見ての通り私はいま戦闘中なんだけど!?」
黒い瘴気をまとった大蛇――黒蛇が、尾で地面を叩きつける。
雪と土が爆発し、空気が震えた。
黒蛇「ギャアアアアアアアッ!!」
セリナ「ルミナさんっ! そのまま押してください、弱ってます!」
セレナ「だいぶダメージ通ってるよ~! あと2、3発“黒の閃光”撃てば倒せるねぇ!」
ルミナ「それ大規模災害級魔法なんですけど!? 一日でそんな魔力ないわよ!」
シルフィナ「でもルミナ……瘴気で魔力、だいぶ回復してる」
セレナ「あらあら、さすが“あの二人”の子供だねぇ……」
セリナ「魔力量だけなら……私より高いですからね。瘴気を扱えるなら、余裕で私以上かも……」
黒蛇が口を大きく開き、瘴気の弾を吐き出す。
だが――
ルミナ「悪いけど……そんなのもう、怖くないわよ」
ルミナの指先に氷の光が灯る。
氷結の刃が宙に花開き、瘴気弾を切り裂く。
ルミナ「“氷華連閃”!」
黒蛇の頭部へ氷の華が咲き、その巨体が横倒しに崩れた。
黒蛇「……ギ、ギャ……」
黒蛇は痙攣し、その場に沈む。
ルミナ「ふぅ……これが瘴気、ね。悪くないじゃない……」
黒蛇の上にどっかり座り込むルミナ。
その姿は完全に“勝者”のものだった。
セリナ「すごい……本当に倒した……!」
セレナ「あんな規模の魔物を一日で倒すなんて、天才ってやつかいねぇ~」
シルフィナ「強いのはいいけど……その座り方、悪役みたいだよ?」
ルミナ「うるさいわね……疲れたのよ……!」
一方その頃――
遠くからは剣が打ち合う乾いた音、雪を踏み砕く重い衝撃音が響いていた。
アルガス「ほれほれ、どうした? 当たったら真っ二つだぞ?」
ヴェント「当たったら死ぬんだよッ!!」
アリア「くっ……本当に見えない……!」
アルガス「ヴェント! お前の“親”も同じ修行をクリアしたんだぞ!!」
ヴェント「母さんもこれを!? よし……ジャン、合わせろ!!
――魔力解放!!!」
アリア「了解! “見盗り”……!」
ヴェントの目が光る。
その瞬間、風が爆ぜた。
ヴェント「ウィンドスラッシュ!! 7連!!」
七つの風刃が連続して放たれる。
だが、そのさらに奥――
ヴェント『――ダブル』
アリア「……!? え、魔力操作が勝手に……?」
アルガス「おぉ?」
風刃は14連に増える。
ヴェント『――ダブル』
アルガス「ほうっ!!」
風刃はさらに倍――28連へ。
風の嵐が剣聖へ襲い掛かる。
アリア(盗めない……!? 私の見盗りでも、見切れない……!)
しかし――
アルガス「ぬるい!!」
ドォン!!
たった一振りで、すべての風刃がかき消され、
ヴェントとアリアは後方へ吹っ飛んだ。
ヴェント「ぐえっ……!」
アリア「つ、強すぎ……!」
アルガス「今日はここまでじゃ。
初日にしては上出来だ。……よし、帰るぞ」
雪の中、少しだけ優しい声が響く。
ヴェント「……いてて。けど……楽しいな……」
アリア「ねぇヴェント……さっきの連打のやつ……なに?」
ヴェント「ん? なんか自然に出たけど?」
アリア「見ても盗めなかったんだけど……」
ヴェント「俺の連打に見とれてたんじゃねぇか?」
アリア「そ、そんなことない!!」
ルミナが黒蛇の死体の上で伸びをする。
ルミナ「……これで今日の修行おしまい?」
セレナ「そうだねぇ。明日からは“レベル2”だよ!」
ルミナ「レベル2……?」
セレナ「文字通り”今日の”2倍、死ぬんじゃないよ~~~!!」
ルミナ「もっと段階踏んでぇぇぇ!!」
シルフィナ「……明日からも、地獄だね」
セリナ「……ルミナさん、本当に大丈夫ですかね?」
シルフィナ「大丈夫。死なない程度には私が見てるから」
そして――修行の一日目は静かに幕を閉じた。
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