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光と風の境界  作者: 770
23/39

英雄の家に招かれて

(^^)/

 雪深い山道を登り、森を抜けると突然視界が開けた。

 ぽつんと建つ一軒家――煙突から薄い白煙が昇り、窓から温かな光が漏れている。


ヴェント「おー……なんか、いい匂いしねぇ?」

ルミナ「わかる……スパイスとハーブの香り。家庭の味って感じね」

アリア「料理人の家かな……?」

シルフィナ「違うよ。」

セリナ「ここで間違いありません。」


 セリナがノックするより早く、ドアがギィっと開いた。


セレナ「おかえり~……って、あら? この魔力……懐かしいわねぇ?」

セリナ「お久しぶりです、セレナさん。セリナ=ヴァルガです」

セレナ「セリナー! まぁ大きくなって……背も伸びて、お姉さんになったねぇ!」

セリナ「はい、こちらは――」

セレナ「いいのいいの! どうせみんなお腹空いてるんだろ? スープ食べるかい?」

ヴェント「食べたい!!」「めっちゃいいにおい!!」

アリア「グゥ……は、はい……いただきます……」

ルミナ「お世話になります……」

シルフィナ「セレナ……生きてたんだ……」

セレナ「当たり前じゃないか、シルフィナ。私はもう目は見えないけどね、見えてた頃よりよっぽど“よく見える”よ」

ヴェント「シルフィナ、知り合いなのか?」

シルフィナ「昔ちょっとね……ほら、まず食べよ?」


 大鍋からよそわれた温かいスープが食卓を満たす。

 香りだけで身体がほぐれてしまいそうな、深い味わい。


セリナ「おいしい……!」

ヴェント「んまっ! これなんのスープだ?」

セレナ「魔力草の根っこだよ。少し煮るだけで、心も体もあったまるんだ」

アリア「隠し味に森の蜂蜜……すごい、まろやか」

ルミナ「いい家ね……居心地が良すぎるわ」

シルフィナ「落ち着く……昔を思い出す……」


7人が食卓を囲む光景は、まるで家族の団欒のようだった。



シルフィナ「それにしてもセレナ……老けたね。もうおばあちゃんじゃない」

セレナ「ふふ、当たり前だろ。私ももう“80”超えてるんだよ」

シルフィナ「まだ80か……」

セレナ「“まだ”じゃない、“もう”80だよ」


 奥から、重い足音が聞こえた。

 現れたのは白髪の老人。背中には年齢を感じさせるが、眼光は鋭く冴え渡る。


アルガス「ところでセリナ。その子どもたちは?」

ヴェント「子ども!? じいさん、俺もう18だぜ!」

アリア「ヴェントはたしかに子どもっぽいところがあるからね」

ルミナ「…………」(なぜか目を逸らす)

ヴェント「ルミナまで黙るんじゃねぇ!」

セレナ「叫ばない! ご飯がまずくなるよ!」


 そこでルミナが気づいたように顔を上げる。


ルミナ「……もしかしてだけど……おじいちゃんたちって……

剣聖アルガスと、賢者セレナ……?」

セリナ「そうですよ?」

ルミナ「“50年前の英雄”じゃない! どうしてみんなそんな普通に……!?」

セレナ「そんな大げさな。ねぇ、エリシアは元気かい?」

ルミナ「……え、母さん……知ってるの?」

セレナ「知ってるとも。私はエリシアの“最後の弟子”だからねぇ」

ヴェント「賢者の弟子!? そりゃ母さんが強ぇわけだ!」

セレナ「最後に会ったのが……15年ほど前かしらねぇ」

アルガス「うむ。そのとき赤ん坊を抱いていたが……あれはお前たちか」


 ヴェントとルミナは顔を見合わせた。


ヴェント「……マジかよ」

ルミナ「覚えてないわよそんなの……」

アリア「ご縁って、不思議ですね」


 夕食のあと、薪ストーブの前で落ち着いた頃。


アルガス「さて、本題に入るか」

ヴェント「本題?」

セレナ「今の魔界は瘴気が濃い。普通の冒険者なら“数時間”で命に関わるレベルだよ」

シルフィナ「……やっぱり、そうなんだ」

ルミナ「私たち、瘴気対策の魔法も装備もまだ準備してない……」

セリナ「本気で魔界に入るなら、今のままでは厳しいです」

アルガス「だから提案だ。――ここで、“修行”していけ」

ヴェント「修行……?」

アルガス「うむ。わしとセレナで鍛えてやる。魔界に耐えられる身体、技、魔力……全部叩き込む」

セレナ「魔界の瘴気はね、ただ強ければいいってもんじゃない。耐性を作るには“生きた魔力の循環”が必要なのさ」

シルフィナ「それ……やれるの、ここで?」

セレナ「できるとも。だって、ここは20年前――”魔王討伐した一行”が修行した場所だよ」


 ヴェントの胸が、わくわくと高鳴った。


ヴェント「やる! やりたい!!」

ルミナ「……まぁ、悪い話じゃないわね」

アリア「私も強くなりたい。同行します」

シルフィナ「ふふ、また賑やかになりそう」

セリナ「よろしくお願いします、アルガスさん、セレナさん」


アルガス「よし。明日の朝から地獄を見せてやる」

ヴェント「地獄!?」

セレナ「大丈夫、死ぬほど辛いけど死にはしないよ~」

シルフィナ「その言い方、信用できない……」


 こうして――

 彼らの“魔界突入”のための、本格的な修行が幕を開ける。

(^^)/

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