表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
光と風の境界  作者: 770
2/39

勇者アルディス、来訪

(^^)/

ヴェント「ただいま!」

エリシア「!……おかえり!」

ルミナ「ほらね、結局今日も森に行ってたでしょ」

ヴェント「森走ってたら勇者が……ちが、悪魔がいて……やばいと思ったら勇者がアルディスで……!」

エリシア「落ち着いて、息が上がってるわよ」

ヴェント「さっき森を走ってたんだけど、そしたら悪魔に襲われて!」

エリシア「悪魔!?」


その瞬間、エリシアの目の色が淡く光を帯びる。

一瞬だけ、かつての戦場の気配が部屋をよぎった。


ヴェント「いや、でも悪魔は勇者アルディスが倒してくれて……」

エリシア「アルディス? ……懐かしい名前ね」

ルミナ「そういえば、明日来るんでしょ? 学園に。特別講師として」

ヴェント「!? そうなの!?」

ヴェント「いつもは憂鬱な学園も、明日だけは行きたくて仕方ないぜ!」


翌朝。

ノルヴェルの空は高く晴れ、風が軽く家の窓を揺らした。


ヴェント「いってきまーす!」

エリシア「気をつけてねー!」

エリシア「さ、ルミナも行きなさい。初仕事でしょ?」

ルミナ「私はゆっくりでいいのにー……いってきまーす」


学園――中央講堂。

ざわめく生徒たちの前に立つ教師が声を張る。


教師「本日の講師は、歴代最強の勇者様と名高いアルディス様ご一行、そして――先日、わが校を歴代2位の速さで卒業されたルミナ=アーデンです!」

教師「では早速、エキシビションマッチへと参りましょう!」


アルディス「ルミナ=アーデン君と言ったね。まずはエキシビションのパーティを組みたまえ」

アルディス(……こいつ、どこかで見た顔だな。昨日今日と、変な巡り合わせだ)


ルミナ「はい。それでは――生徒会長、ジャズ=レッド。魔術科6年、ゼビ=ロンドン。そして……」

場内が一瞬静まり返る。

ルミナ「魔剣科3年、ヴェント=アーデン」


生徒たちがどよめく。

「兄弟で!?」「いくらなんでも無理っしょ!」「ルミナたん結婚して!」「ジャズ様〜!こっち見て〜!」


教師「ルミナ君、それはさすがに……」

ルミナ「まぁ、見ててください。遊んでるわけじゃありませんので」


学園闘技場。

観覧席には生徒・教師・冒険者志望者たちがぎっしりと詰めかけ、

中央の白い円形フィールドに四人の生徒と勇者一行が立つ。


教師「それではこれより――エキシビション、開始ッ!」


ゼビ「まずは伝説ってやつを体験してもらおうか!――《一雫の水よ、姿を変え、敵を滅ぼせ・大氷塊!!》」


空間が凍りつき、巨大な氷の塊が勇者一行の頭上に生まれる。


アルディス「ほう……これは見事だ。ヴァロフ、任せてもいいか?」

ヴァロフ「お任せあれ。《大地に潜む熱よ、炎よ、顕現せよ――大火災!》」


轟音とともに炎が噴き上がり、氷塊を蒸発させた。


ゼビ「……あらら。僕の得意技だったんだけどな」

ジャズ「なら私が代わろう。《槍の雨よ、敵対するものを破りたまえ! レインアロー!》」


空から無数の光の矢が降り注ぐ。

だが――


アルディス「んー、いい攻撃だ。さすがは生徒会長。だが……」


矢は彼の身体に届く前に霧散して消えた。


ジャズ「やはり効かないか……」

アルディス「そうだね。光属性は僕たちには効かない。なぜなら――」


光が舞い上がり、アルディスたちの背から天使の部位が顕現する。

その光に生徒たちが息をのんだ。


アルディス「僕たちは“天使の部位持ち”。つまり光の存在だからさ」

ジャズ「ふっ、なら降参だ。僕は光魔法以外はてんでダメでね」

ルミナ「なに勝手に降参してんのよ!」

ゼビ「僕も降参かな。大氷塊止められちゃ、もうできることないし」

セリナ「賢明な判断ですよ。アルディス様と対峙できただけでも誇りに思いなさい」


ルミナ「……はぁ」

ヴェント(やばい、ルミナのスイッチ入った)


ルミナ「んなわけあるかぁーーー!!!」

観客「ル、ルミナたん!?」「また暴走モードだ!」


ルミナ「何が伝説の勇者よ! もう私とヴェントだけでやってやるわよ!」


生徒たち「生徒会長も魔術科のエースも降りたのに!?」「お荷物ヴェントを連れて!?」「無理だろ!」「ルミナたん結婚して!」


ルミナ「ヴェント! 合わせなさい! 《エリア――不動の門!》」


重たい空気が辺りを包み、灰色の光が立ちこめる。

観客の息が止まった。


生徒たち「こ、これが歴代2位の魔術……」「オリジナルの領域魔法!?」「よくこの規模を展開できるな……」


アルディス「こ、これは……動けない!? いや、体が重い……!」

ゴラン「アルディスだけでも守らねば――届かない!」


ルミナ「ヴェント!!」

ヴェント「ったく、これ重いから好きじゃねぇんだよな! 《魔力天衣――風の牙!!》」


風がヴェントの体を包み、短剣が鋭く唸る。


ヴェント「二式――ウィンドスラッシュ!!!」


風の軌跡が瞬く間にアルディスへ迫る。

その一撃は確かに届いた――かに見えたが、


アルディス「《天使の権限――封域!》」


瞬間、白光が弾け、ヴェントは衝撃波に弾き飛ばされた。

同時に領域が崩壊する。


アルディス「いやぁ、すまない。つい本気を出してしまったよ」ニコリ。

だがその笑みの裏に、冷たい汗が滲んでいた。

アルディス(なんだあの魔術は……避けるので精一杯だったぞ……!)


アルディス「これ以上はケガしちゃうからね。――みんな、頑張った彼らに賞賛を!」


観客「うおおおおおお!!」「すげぇぇぇぇぇ!!」「ヴェント!見直したぞ!」「ルミナたん結婚してくれぇぇ!」


ルミナ「……まったく、人の気も知らないで」

ヴェント「へへっ……まぁ、悪くねぇや」


風が吹き抜け、

姉弟の笑い声が響く中――

遠く、観客席の片隅でエリシアが静かに微笑んでいた。


その瞳の奥には、かつて共に戦った仲間たちの姿が、一瞬だけ重なって見えた。

(^^)/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ