生涯の友と恋の宣戦布告
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ヴェント「昼間なのに暗くね??」
ルミナ「そりゃそうでしょ、ダンジョンなんだから」
シルフィナ「出てくる魔獣も普通のダンジョンと同じだね?」
セリナ「悪魔の気配もありませんね。誰かが先に攻略したのかもしれません」
苔むした石壁の奥、彼らはダンジョン最深部にたどり着いた。
そこで、呻くような声が響いた。
悪魔「グ……グゲゲ……」
シルフィナ「あらら、やっぱり先客が……」
ヴェント「!?」
刹那、ヴェントが駆け出す。
ルミナ「ヴェント!? だめっ!」
刃が交差し、火花が散る。
その相手は悪魔ではなく――一人の人影だった。
ヴェント「久しぶりだな! ジャン!」
ジャン「なんだ、急に襲いかかってくるから魔物かと思ったよ、ヴェント」
銀髪をかき上げるその人物に、ヴェントは満面の笑みを向ける。
どこか懐かしい、学園時代の空気が漂った。
ルミナ「あぁ、もう……」
ギルドにて。
宿のロビーで、4人とジャン――いや、アリア=ジャンバードが向かい合っていた。
ヴェント「ジャン、卒業授与式以来だな!」
アリア「ヴェントも相変わらずで安心したよ」
シルフィナ「誰なの?」
ルミナ「ヴェントの魔法学校時代の同級生よ。学生時代は毎日喧嘩してたの。……正確にはヴェントが一方的に襲いかかってたけどね」
セリナ「仲……悪いんですか?」
ヴェント「いや? 悪くねぇよ?」
アリア「ヴェントは私が席次一位なのをやっかんでいたんですよ」
ヴェント「やっかんではねぇよ!」
セリナ「……アリアさん、失礼ですが、あまり強そうには見えませんけど……」
セリナの視線が自然とアリアの胸元に落ちる。
セリナ「女性ですよね?」
アリア「ええ、女ですが、それが戦闘と何か関係あります?」
ルミナ「ジャンって呼んでるのもヴェントだけよ。本名はアリア=ジャンバード。貴族の令嬢」
アリア「ヴェントだけは特別にあだ名呼びを許してるんです。……生涯の友、ですから」
セリナ「私もアリアさんって呼ばせてもらいますね」
ルミナ「で、アリアは何でダンジョンに?」
アリア「ブラックランクの特殊クエストを受けてたんです。無事昇格しました」
ヴェント「すげぇなジャン! 俺なんかやっとダイヤモンドになったとこだぞ!」
アリア「ヴェントもダイヤモンド? ふふ、短期間でそこまで……やるじゃない」
シルフィナは黙って二人を見つめ、軽く息を吐いた。
セリナ「しかし困りましたね。近場の昇格クエスト、もう全部埋まってるみたい」
ルミナ「まぁ、ちょっと遠回りになるけど……遠方の依頼を受けるしかないわね」
アリア「先生、どうしてそんなに急ぐんです?」
ルミナ「ちょっとアリア、もう“先生”じゃないでしょ。ルミナって呼んで」
アリア「あっ、ごめんなさい」
ルミナ「私たち、北部に用があるの。そこに入るためにブラックランクが必要なのよ」
アリア「そういうことですか」
ヴェント「じゃ、明日朝から出発だな!」
アリア「ヴェント、私もついていこうか?」
セリナ「それ名案ですね! 全員ダイヤモンドですし、それなら申請も通ります!」
その瞬間、シルフィナがカップを置いた。
シルフィナ「……名案だけど、聞きたいことが二つある」
アリア「え?」
シルフィナ「まず一つ。なんでそこまでしてくれるの? 目的は?」
アリア「私はもう目的を果たしましたから。ただ――」
アリアは微笑み、紅茶を口に含む。
アリア「“生涯の友”が北へ行くっていうのに、放っておけるわけないでしょ?」
ヴェント「ジャン……お前、なんていいやつなんだ!」
シルフィナ「……そこなのよ」
ヴェント「え?」
シルフィナ「二つ目の質問。――ヴェントは黙っててね」
彼女が小声で呪文を唱えた。
シルフィナ「音の精霊よ、すべての音を奪え――“サイレント”」
ヴェント『!?!?!?』
ヴェント『何も聞こえねぇ!何もしゃべれねぇ!!』
シルフィナ「アリア……あなた、ヴェントのこと好きでしょ?」
アリア「ドッキーン!? そ、そんなことはない! 私たちは生涯の友!」
シルフィナ「友達でいいの?」
アリア「!?」
シルフィナ「私はヴェントが好きだから、野営中はヴェントの隣で寝てるの」
アリア「ヴェントの……隣!?」
シルフィナ「寒い日は同じ布団に入ることもあるの」
アリア「お、おなじ……ふ、布団……!?」
セリナ「あの、ちょっと」
ルミナ「あぁ、いいの、放っといて」
アリアの目がうるうるしてくる。
アリア「わ”だじも”! ヴェンドど! ね”だい”!!」
シルフィナ「正体現したわね。……いいわ、一番は譲らないけど、あなたには背中側で寝る権利をあげる」
アリア「シルフィナ……ねぇさん! って、なんで私が背中側なんですか!?」
シルフィナ「チッ、流れでいけると思ったのに……」
アリア「と、とにかく! 私も北部まで同行します! よろしくお願いします!」
ルミナ「よろしく、アリア」
セリナ「よろしくお願いします、アリアさん」
シルフィナ「……よろしく」
ヴェント『なんかまとまったみたいだけど、何も聞こえねぇぇ! はよ解いてくれぇ!』
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