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光と風の境界  作者: 770
16/39

ネメシスシティの勇者たち

(^^)/

 赤茶けた石畳が陽光を照り返し、風の街ネメシスシティが姿を現した。

 塔の上を魔導機が飛び交い、賑やかな声と蒸気の音が混ざる。

 王都よりも活気があり、冒険者と商人がごった返す巨大都市――その空気に、ヴェントは胸を膨らませた。


ヴェント「やっと着いたーっ!」

セリナ「……なんでそんなに元気なのよ」

ルミナ「体力バカ……てか、なんでこんなにレアモンスターばっか出たのよ……」

シルフィナ「北部はもっと混沌としてるかもね……」

ヴェント「だらしないぞお前ら! さ、ギルド行こうぜ!」

セリナ「……体力バカ、確定ね」


???「おい! お前!」

ヴェント「ん?」


 街の入口に立つ金髪の少年が、まっすぐ指を突きつけていた。

 年は十七、十八ほど。白銀のマントが風をはらみ、胸には聖印の剣が光る。


???「お前だよお前! 隠してもバレバレだ! お前、悪魔だろっ!」

セリナ「やばっ……勇者ですか?」

シルフィナ「うん……でも、なんか様子が変……」

ヴェント「俺に言ってるのか?」

???「そうだよ! 僅かだが瘴気が漏れてるぞ!」


 ぐいっと近づいてくるが、彼の背丈はヴェントの胸あたりしかない。


???「俺はライゼル=アルテイン! 勇者アルディスの加護を受けし、正当なる勇者だっ!」

ルミナ「アルディス関係者って、みんなこんな感じなの?」

シルフィナ「めんどくさい……」

ヴェント「とにかく! 俺は人間だから! 変な言いがかりはやめてくれ!」

ライゼル「……え? 人間なのか? この魔力で?」

ルミナ「そうなの。ちょーっと魔力多めな人間なのよ~」

ライゼル「……わ、わかった……い、行っていいぞ」


 ルミナを見た瞬間、ライゼルの顔が真っ赤になる。


ヴェント「なんだこいつ……まぁいい、行こうぜ」

セリナ「勇者って、いろんな意味で忙しそうね……」


 その背後では、ライゼルの仲間らしき三人が呆れ顔で見守っていた。


 ギルドの扉を押すと、熱気が一気に押し寄せた。

 武具の音、歓声、酒の香り。冒険者たちが肩をぶつけ合い、戦果を語り合っている。


ヴェント「すみませーん! クエスト受注したいんですけど!」

受付「見ない顔だね? 何級だい?」

ヴェント「プラチ……」

シルフィナ「ダイヤモンドも同行です。特殊クエスト、ありますか?」

受付「おぉ、ダイヤモンドに昇格希望ってことね? まぁ、ここまで来たならわかってると思うけど、今は特殊クエストだらけでねぇ」


ルミナ「ん? “アーマードラゴン討伐”?」

セリナ「“鋼鉄ゴーレムから素材回収”?」

ヴェント「ああ、途中で倒してきたやつらか! ほら」


 ヴェントが鞄から取り出したのは、銀に輝く竜鱗と金属の腕。

 受付の目がまん丸になる。


受付「……!? こ、これは! アーマードラゴンの鱗!? すばらしい! マスターに報告してきます!」


 裏手に駆け込む受付を見送り、四人は肩を落とす。


ルミナ「ラッキーだったねぇ」

セリナ「残る課題はブラックランクだけね」

シルフィナ「ブラックランクの条件は……災害級魔物討伐、ダンジョン踏破、王都資格試験、または25年以上のダイヤモンド活動……」

ヴェント「うへぇ、どれも難しそう……」

セリナ「北部に行けば災害級もいるけど、行くためにブラックランクが必要っていうね……」

ルミナ「シルフィナはどうなの? ダイヤモンド歴って25年く――ムグッ」


 パンがルミナの口に突っ込まれる。


シルフィナ「……ダイヤモンド申請したの、二年前……年数昇格できるの、忘れてた……」

セリナ(さすがエルフ……時間の感覚が違うわね)


受付「お待たせしました!」

ヴェント「どうでした?」

受付「ええ! 三名ともダイヤモンドランクに昇格決定です!」

ヴェント「やったぜぇぇぇ!」

セリナ「よかったわね」

シルフィナ「……災害級クエスト、ある?」

受付「ありますよ。ただ……これは勇者様レベルの方でないと厳しいかも」


 受付が一枚の依頼書を差し出す。

 黒いインクで、こう書かれていた。


 ――東の墓地ダンジョンにて、悪魔出現。


受付「詳細は不明ですが、複数の冒険者が消息を絶っています」

ヴェント・ルミナ「やります!」

受付「……お、おぉっふ! わかりました! お気をつけて!」

ヴェント「よっしゃー! 行くぜぇ!」


 笑顔で出ていく四人。

 その背を、先ほどのライゼルたちが遠くから見ていた。


ライゼル「……悪魔討伐、だと? 俺たちより先に?」

バルド「また突っ走る気か?」

ノル「好敵手ができたと思えばいい」

ガレオス「勇者様、焦るな」

ライゼル「む……うるさい! でも……あいつの背中、なぜか目が離せねぇ……」


 夕陽が沈み、街の鐘が鳴る。

 喧騒のネメシスの風が、二つの運命をすれ違わせる。

 新たな試練が、もうそこまで迫っていた。

(^^)/

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