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光と風の境界  作者: 770
13/39

約束の炎

(^^)/

闘技場の中央に立つ二つの影。

片や――レッドファング。

炎と氷の魔導戦士セリナ=ヴァルガ、雷槍のガレド、精霊使いメルア。

そして――ルミナとその他チーム。

風の剣士ヴェント、光魔法を操るルミナ、精霊魔導士シルフィナ。


空は白く焼け、観客席は一言も発さず試合開始を待っていた。

これが王都ガルディナ、十年に一度の最終戦。


セリナ「さ、腕を見せてくれる?」

ヴェント「やれるだけやってみるよ!」

メルア「セリナ様……本当によいのですか?」

ルミナ「まぁ、やれるだけやってみましょ」

ガレド「セリナ様ぁ、こいつらほんとに強ぇのか?」

シルフィナ(悪魔相手に……どこまでやれるかな)


審判「はじめッ!」


金属の音が弾ける。

同時に、風と雷が交錯した。


ヴェント「行くぜ! ストームシフト!」

ガレド「遅ぇ!」

稲妻が唸り、ヴェントの体をかすめる。だがヴェントは即座に後ろへ跳び、地を蹴って逆襲。

剣と槍がぶつかり、風が爆ぜる。


ルミナ「《ライトニング・ドロップ》!」

メルア「《アクア・プリズム》!」

放たれた雷撃が、メルアの水球に吸収されていく。

次の瞬間、球体の内側で電流が炸裂し、ルミナの頬を焼いた。


ルミナ「くっ……反射魔法!?」

メルア「学園の二席なら、そのくらい耐えられるでしょ?」


観客席がどよめく。

実況「なんと、序盤から魔力戦が拮抗している! 速すぎて肉眼では追えません!」


ヴェントは剣を回転させ、ガレドの槍を弾いた。

ヴェント「おらっ!」

ガレド「まだまだぁッ!」

空気が弾け、稲妻の竜巻が二人を包む。

砂が巻き上がり、二人の姿が消える。


シルフィナ(雷同士が干渉して風圧を生んでる……)

セリナ「ふふ、やるわね。じゃあ少し、こちらも見せてあげる」


セリナの目が紅く光った瞬間、会場全体の温度が上がった。

風が燃え、空気が震える。

ガレド「セリナ様、やっちゃってください!」

メルア「了解――《マナリリース》!」

二人の魔力が解放される。

空気が圧縮されるほどの魔力のうねりが発生し、砂嵐が会場全体を覆った。


ヴェント「うわっ、すげぇ圧力!」

ルミナ「こんな魔力密度、人間界じゃありえない!」


数分が経ち、戦況は五分に戻った。

ヴェントとガレドは互いに傷だらけ、ルミナの頬にも焦げ跡がある。

それでも笑みを崩さない。


ヴェント「まだまだいけるぜ!」

ルミナ「調子乗らないで!」


セリナ「ふふ……そう、それでいいの。じゃあ、ここからは――私が相手」


セリナが前に出ると同時に、ガレドとメルアが後退した。

会場の熱が変わる。

彼女の剣が構えられた瞬間、空気が静まり返った。


ヴェント「 ルミナ、援護頼む!」

ルミナ「了解!」


ヴェントが突撃。セリナの刃が紙一重で受け流す。

剣が弾き、火花が走る。ルミナの雷弾が飛ぶ。


セリナ「《アイス・ウォール》!」

氷の盾が生成され、雷を吸収する。

すぐに炎が燃え上がり、氷が蒸発する。

その一瞬の隙をついてヴェントが滑り込む。


ヴェント「はぁぁっ!」

セリナ「……悪くない!」


二人の剣が交錯した瞬間、地面が爆ぜた。

砂と光の嵐が広がり、観客が悲鳴を上げる。

シルフィナが結界を張りながら呟く。

シルフィナ「……これが、レッドファングの真の力」


ルミナ「ヴェント、今!」

ヴェント「わかってる!」

風が剣に集まり、空気を裂く。

セリナは炎の軌跡を描きながら受け止めた。

衝突――風と炎の奔流。


セリナ「楽しいわね……でも、そろそろ」

セリナの魔力が一気に膨張する。

セリナ「ー焔魔顕現ー」

紅い光が彼女の体を包み、皮膚に黒い文様が浮かび上がった。

観客がざわつく。


観客「な、なんだ……あの姿は……」

ルミナ「まさか……」

シルフィナ「魔人化……!」


ヴェント「っ、これが……悪魔の力か!」

セリナ「さて、どこまで私を楽しませてくれるかしら」


一瞬で間合いを詰め、セリナの剣がヴェントの頬を掠める。

ヴェントは後ろに飛び退き、息を整える。

ルミナが雷を放ち、シルフィナが水の壁で援護する。

しかし、セリナはそのすべてを片手で弾いた。


セリナ「《スカーレット・カリス》!」

紅炎がヴェントを呑み込む。


ヴェント「うわぁぁぁっ!」

ルミナ「ヴェント!」


炎の中、ヴェントが立っていた。

剣を握る手が震えている。

ヴェント「ヒヒヒ」

空気が変わる。風が逆流し、彼の瞳が光を帯びた。


シルフィナ(……あれ、ヴェントの魔力……暴走してる!?)


ヴェントの周囲に風が渦を巻き、光の筋が走る。

一歩踏み出した瞬間、空間そのものが歪んだ。


ヴェント「ヒッヒー!!!」

風の剣が閃光のように走り、セリナを貫いた。


セリナ「くっ……!」

爆音。炎が四散し、彼女の肩口が裂ける。

観客席から悲鳴が上がる。


メルア「セリナ様っ!!」

次の瞬間、メルアが詠唱する。

メルア「衝撃よ、暴れ狂え!《バーストウェイブ》!」

衝撃波がヴェントを直撃し、彼の体が場外まで吹き飛ぶ。


シルフィナ「ヴェントっ!!」

駆け出そうとした彼女は、すぐに審判に手を上げた。

シルフィナ「棄権します……これ以上は無理!」


審判「勝負あり!」

司会「優勝は――レッドファングゥゥゥゥゥ!!!」


観客「おぉぉぉぉぉぉっ!! 」「いい試合だったぞぉぉ!!」「 レッドファングー!! 」「ルミナたん結婚してえぇぇ!!」


歓声が渦を巻く中、砂塵の中からヴェントがよろよろと戻ってくる。

ヴェント「うぐぐ……」

シルフィナ「大丈夫……? どこか折れてない?」

ルミナ「アンタ何よ、さっきの……すごい魔力だったじゃない」

ヴェント「ん....?あぁ.....どうだっけ?」


セリナが近づき、肩を押さえながら微笑む。

セリナ「やはり、私の目に狂いはなかったわ……」

ヴェント「……?」

セリナ「一緒に来て……くれるわね?」


ヴェントはしばらく彼女を見つめ、それから小さく頷いた。

ヴェント「……あぁ」


夕陽が差し込む。観客の歓声が遠のく中、二人の間に吹く風だけが残った。

それは、これから始まる新たな旅の前触れだった。

(^^)/

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