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光と風の境界  作者: 770
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紅蓮と聖光、王と悪魔の剣

(^^)/

昼下がりの陽が闘技場を赤く染めていた。準決勝第二試合――王家チーム対レッドファング。観客席はすでに立錐の余地もなく、人々は歓声よりも息を飲むような静けさで、その瞬間を待っていた。


王家チーム。中央には白金の鎧を纏った老王、レオンハルト=ガルディナ。背後には二人の王子、第一王子ディルクと第三王子ニコル。

王の顔には戦士の光が宿っていた。


レオンハルト「二十年ぶりか……やっとまた剣を握れる。腰の調子も万全だ」

ディルク「父上、あまり張り切りすぎると、また侍医が嘆きますよ」

レオンハルト「はっはっは! 王が戦わずして、国の栄光など語れるか!」


対するは赤と青の髪を揺らす女、セリナ=ヴァルガ。静かな熱を纏い、両脇には雷槍のガレドと精霊書を掲げるメルア。悪魔の血を引くことを、この場の誰もまだ知らない。


ヴェント「あれが七十歳の体かよ」

シルフィナ「本物の戦士......重力の気配が違う」

ルミナ(構えが正しい。……無駄がない)


号砲が鳴り、稲妻が爆ぜた。

開幕と同時に、ディルクが双剣を構えて飛び出す。

ディルク「疾風迅雷――《ヴァルテクス・ドライブ》!」

雷鳴が地を走り、砂が焼ける。だが対峙するガレドもすぐさま咆哮を上げた。

ガレド「雷よ、我が槍に宿れ――《ライトニング・チャージ》!」


槍が輝き、二つの稲妻が激突した。轟音、閃光、砂煙。瞬きの間に十度の突きが交わり、空気が裂ける。


ヴェント「速すぎて見えねぇ……!」

ルミナ(あの槍……魔力を導線にしてる。焦げないのが異常……)


最後の一閃。ガレドの雷槍が空を裂いた。

ガレド「らあぁぁっ!」

閃光が走り、ディルクが両膝をつく。鎧が焦げ、双剣が砕ける。

ディルク「見事だ……父上、あとは頼みます」

レオンハルト「強くなったな。次は、ワシが行こう」


老王がゆっくりと進み出る。その動きに無駄がなく、踏み出すごとに砂粒が震えた。対峙するセリナの剣は紅と蒼。炎と氷、相反する力が一本の剣に宿る。


レオンハルト「ふむ、見事な立ち姿だ。剣士の血を感じる」

セリナ「あなたこそ戦闘の王。光の剣……確かめさせてもらうわ」


二人が同時に地を蹴る。剣と剣が交わるたび、火花ではなく光の柱が立ち、地面に焦土が刻まれていく。


ルミナ(炎と光が共存してる……制御が異常)

シルフィナ「重力の剣筋……剣圧で風が巻いてる」

ヴェント「……人間って、あんな動きできるのかよ……」


レオンハルト「聖なる刃よ、我が手に集え――《セイクリッド・ブレード》!」

セリナ「燃えろ――《フレイム・エッジ》!」

光と炎がぶつかり合い、闘技場の空が裂けた。


レオンハルトの瞳が僅かに光を帯びる。

レオンハルト「少し、歳の功を見せよう。《聖王斬》!」


空気が止まる。音が消えた。世界の全てが静止する。

止まった世界で、王の剣がゆっくりと振り下ろされた。


セリナ(時を止める……剣?)

彼女の体から魔力が逆流し始めた。炎と氷が反転する。

セリナ「双魔、反転――《ディア・ミラージュ》!」


静止した世界に紅と蒼の逆流が走り、時間が再び動き出す。

光と魔がぶつかり、世界が再び爆ぜた。


光が晴れ、二人が残る。

レオンハルト「ほう……止めても避けるか。若いとは恐ろしい」

セリナ「止まるのは、あなたの時間だけよ」


観客席が静まり返る中、後方では別の戦い。メルアとニコルが杖を掲げ合っていた。

メルア「風よ、土よ、螺旋を成せ!《ツイン・サイクロンフィールド》!」

ニコル「光よ、祈りを守護に変えたまえ。《サンクチュアリ・エリア》!」


精霊陣と聖域がぶつかり、地面が波打つ。


シルフィナ「領域干渉……精霊と聖光を重ねて中和させてる……」

ヴェント「つまり……どっちが勝ってるんだ?」


メルア「均衡なんて退屈ね――地よ、裂けろ、《アースブレイク》!」

地面が破裂し、聖域が揺らぐ。

ニコル「穏やかなる光よ、傷を癒せ。《アークリペア》」

光が走り、地割れが消える。二人の魔法がぶつかるたび、世界の形が歪んでいく。


再び中央。セリナと王。二人とも息を荒げながらもまだ立っていた。

レオンハルト「見事だ……だが、王は最後まで立たねばならぬ!」

レオンハルト「《ディヴァイン・エクスプロード》!」

天から光柱が降り注ぎ、全てを焼く。観客席まで眩しさが届く。


セリナ(――炎と氷、対極の力……いまこそ)

セリナ「《スカーレットアークティカ》!」

赤と青が混ざり、白が生まれる。

凍る炎、燃える氷。矛盾する現象が一つに融け、王の聖光を飲み込んだ。


風が止み、静寂。光が収まり、王の剣が地に落ちる。

レオンハルト「見事だ、若き使者よ。……二十年ぶりの戦い、これほど心が躍ったのは初めてだ」

セリナ「あなたのような王がいるなら、この国はまだ光の側ね」

レオンハルト「ははは、腰もまだ壊れておらん。続きは――十年後にしようか」


観客が総立ちになり、歓声が雷鳴のように響く。

実況「勝者――レッドファング!!!!」


ヴェント「……すげぇ……なんなんだよ、あれ」

ルミナ「温度と属性の矛盾を同時に成立させてる……世界の理をねじ曲げてる」


夕陽が差し、闘技場の砂を紅く染めた。

その中心に立つセリナ=ヴァルガ。燃えるような紅の髪を揺らし、静かに空を見上げる。

その姿はまるで――伝説を塗り替える、新しい“王”のようだった。

(^^)/

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