光と風、英雄を超えて
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灼熱の太陽が、武闘都市ガルディナの空を焦がしていた。
白砂の闘技場は光を弾き、まるで巨大な鏡のように輝いている。
観客席には人の波。歓声が空を震わせた。
実況「準決勝第一試合――勇者アルディスチーム vs ルミナとその他チーム!」
太鼓が鳴り響く。
金の鎧をまとった男がゆっくりと前に出る。
天使教の象徴、最強の男――勇者アルディス。
その隣には魔導士ヴァロフ、巨漢の戦士ゴラン。
人々はその姿を見るだけで息を呑む。
アルディス「儚いな」
ヴァロフ「今までの皆さんの努力は素晴らしかった。ですが――相手が悪すぎる」
ゴラン「歴代最強とまで言わしめた、平均部位保持数3のパーティが相手なんだからな!」
観客席がどよめく。
ヴェント「部位3つだってよ!やっぱ最強の勇者だけあるよな~」
ルミナ「よく見なさいよ。羽と右腕はわかるけど、耳ってなによ!」
シルフィナ「でも、二部位持ちでも十分化け物……」
砂煙の中、アルディスがこちらへ歩み寄る。
アルディス「おや?君は……どこかで会ったな、少年!」
ヴェント「覚えててくれたか!」
アルディス「スーパースラッシュ!」
高速の一閃。ヴェントは風をまとい、刃を受け流す。
ヴェント「俺、昔あなたと戦ったことがあるんです! 魔法学園で!」
アルディス「!? あの時の――!」
ヴァロフ「援護しますよ、アルディス! 炎よ!熱よ!敵を払いたまえ!《バーニングボール》!」
巨大な火球が二つ、唸りを上げて飛ぶ。
ルミナ「なによ、こんなもの。《ウォーターウォール》!」
蒼い水の壁が立ち上がり、一つ目の火球を消し飛ばす。
もう一つの火球が飛ぶ――
シルフィナ「水の精よ、現出し、形を成せ!《精霊の水泡》!」
火と水が衝突し、蒸気が舞う。
ルミナ「……多重詠唱?」
ヴァロフ「私の唱えた呪文は一つで二つ! これが【二枚舌のヴァロフ】ですよ」
舌を出すヴァロフ。白く、裂けて二つに分かれていた。
ヴァロフ「素晴らしいでしょう。これが“天使の舌”ですよ」
ルミナ「キモッ! なんてもん見せるのよ!」
その隣では、筋肉の巨人が笑っていた。
ゴラン「俺様も行くぜぇぇぇ! 《ムッ!パンプアップ!巨人倒し!》!」
地響きとともに巨拳が振り下ろされ、闘技場の床石が粉々に砕ける。
シルフィナ「風の精よ、災いを吹き飛ばせ!《ウィンドシェル》!」
風が渦を巻き、透明なバリアが生まれる。
拳が衝突し、風が爆ぜる。
ゴラン「やるな!少女よ! この【迫撃のゴラン】と戦って無事で済むと思うなよ!」
アルディス「少年! 昔から腕は立ったが、さらに上げたな! 私の嫌いな“アイツ”にそっくりなのも腹が立つ!」
ヴェント「死ぬほど苦労したんでね! 今なら本気出してもらえますか!?」
風が唸り、二人の剣が交わるたびに砂が舞う。
ヴェントの剣筋は速く、風の軌跡が残光のように空を切る。
アルディス「確かに……使わないのは失礼かもしれないな」
空気が変わる。
彼の背後に光の羽が生え、右腕が淡く光を放った。
アルディス「一段階だけだ……“天使・顕現”」
その瞬間、観客全員が息を呑む。
光の圧が闘技場を包み、地面が軋む。
ヴェント「うおぉぉぉぉぉぉ! すげぇぇぇぇぇ!」
アルディス「死ぬなよ、少年」
ヴェント「頑張りますよ、勇者様!」
二人が同時に踏み込み――
剣と剣が閃光の中でぶつかる。
ヴァロフ「多重詠唱は初めてかい?お嬢ちゃん」
ルミナ「一本取られたわ。でも、キモいけどさすが勇者パーティって感じね」
ヴァロフ「しかも私は“二重口”持ち。2×2の四重詠唱だ」
周囲の魔力がうねり始める。
ヴァロフ「さらに舌の効果を倍にできる。つまり――八重詠唱だ」
ルミナ「へぇ、やるじゃない」
ヴァロフ「じゃあな、お嬢ちゃん! 炎よ、矢となりて敵を貫け!《フレイムアロー》!」
八本の炎の矢が一斉に放たれる。
ルミナ「……面白いわね」
雷光が彼女の体を包む。
ルミナ「無詠唱なら――一秒で十発撃てるわ!」
瞬間、氷の刃が十枚、空間に展開された。
その冷気が炎を飲み込み、次の瞬間――
ヴァロフ「うぎゃあああああああ!」
氷の閃光が駆け抜け、ヴァロフが地面に倒れ伏す。
ルミナ「詠唱の隙もなしよ☆」
ーーー
ゴラン「精霊魔法か!渋いな!だが筋力の前では無力だ!」
突進、拳が地を抉る。
ゴラン「《魔力破壊弾》!」
黒い光が飛ぶ。
シルフィナ「っ……!」
避けるも、彼女の周囲の魔力が吸い取られる。
ゴラン「お前の魔力はいただいたぜ!」
シルフィナ「……相性、悪かったね」
ふっと微笑むシルフィナ。
シルフィナ「土の精よ、大地を操り、砂漠を作れ。《グレートデューン》!」
ゴランの足元が砂に変わり、巨体が沈んでいく。
ゴラン「なっ!? これは……!」
シルフィナ「少し寝てて……終わったら助けてあげる」
砂の中に沈み、ゴランは脱落した。
アルディス「《エンジェルライト・バスター》!!!」
光の奔流。
観客が思わず目を閉じるほどの閃光が走る。
爆風の中、砂が舞い上がる。
アルディス「久しぶりにここまで出したぞ……」
土煙が晴れる。
ヴェント「いてて……すげぇ威力だな」
左腕から血が滲むが、彼は立っていた。
ヴェント「でも、受けれた!」
アルディス「まさか……!」
ヴェント「次は――こっちの番だ!」
一瞬で距離を詰め、風が鳴る。
ヴェント「《テンペストスラッシュ》!」
剣と剣が衝突し、空が割れた。
だが次の瞬間、ヴェントの周囲に渦巻く風が爆発する。
アルディス「なっ――ぐっ!」
風の収束と同時に衝撃波が弾け、アルディスの体が吹き飛んだ。
そのまま――場外。
審判「場外!! 勝者――ルミナとその他チーム!!!」
観客が総立ちになり、歓声が嵐のように巻き起こる。
ヴェント「やったあああああ!」
ルミナ「ふぅ……やっぱ私たちが勝つに決まってるわ」
シルフィナ「でも……次が問題.......」
選手の入場ゲートからはすさまじいオーラが漏れていた
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