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21  フラン学園都市での剣王との出会いの行方は?

フラン学園都市の怒涛の学園生活が

始まり、この区界に3人しか存在し無いと

言われている。

剣王とその配下剣聖の四天王との

関係性で、今後の展開が変化する。


フラン学園都市で、果たして

充実した学園生活が待っているのか?

急な展開での剣王との出会いにより?

何故か?

試合をする流れとなり

たった今

アテナVS四天王の女性剣聖

が始まった。

10分間の試合時間

俺がアテナにアドバイスした事は?


微妙な勝敗を望んだ。

時間切れの勝負を遂行して

欲しいと…………


この要求は?

非常に困難だとは予想するが

剣王や剣聖が………

ゼウ神と深い繋がりが

ある場合には?

俺達の情報がゼウ神へと

伝わる可能性がある為に


敢えてアテナに引き分けろょ

と語った。


だが?


四天王と呼ばれる剣聖の実力を把握している理由でも

無い状況での試合開始に………

不安が無いとは言い切れない


剣聖の手に持つ剣のレベルを

俺は仰視して見つめた。


アテナに与えた元聖獣

ケリュネイアのインゴット

から鍛冶職で創り出した剣

では無く。


大怪獣のインゴットから

鍛冶職で創り出した剣での

試合に変更させたのは?


本当の実力を隠す為でもある


試合開始直後に2人の剣撃が

交わる。

四天王の剣聖が振り放つ剣を

アテナは、見事に受け切り

返す刃で剣聖を牽制する。


「へえー………中々の腕前だわねぇ。 あなた!


私の剣を受けて尚且つ

仕掛けてくるなんて………」


と挑発されるアテナだが


「それはどうも有難う。

でも剣聖さんは?


まだまだ本気の攻撃とは

とても思えませんが?


ひょっとして、見くびられていませんか?」


と本気の実力を出してみろょ

と剣聖を逆に挑発するの

だから、アテナの根性も座っておりますね。

とトールからの意見に

俺も同意し頷いた。


俺達サイドの人間は?

四天王の剣聖達の未知数の

実力に対して引き分け狙い

なのだから不安気に戦況を

見つめているのに対し………


四天王の剣聖達は?

にこやかに談笑を始めて

早く本気で倒しに行けよ!

と大柄な四天王の剣聖が

大音響で一喝する。


「チッ! 少しだけ

楽しみたいだけよ!」


と呟いた剣聖が

連撃を放ちアテナを

追い込もうと狙うが?


アテナはその連撃を

軽やかにその手にした剣で

捌き斬る。

その様子を剣王だけが

冷静に見極めて…………


「お前達!

まだ判らないのか?


彼女の方には?

余裕を感じ取れないのか?


普通の人間に剣聖の連撃を

無傷で対処出来無いはずだろ!


四天王としての傲りを

捨て去り、その濁った眼で

確かめてみよ!」


と剣王が溜息を吐きながら

四天王に注意勧告をすれば……


浮かれていた四天王の顔色が

一瞬で真剣に試合を観察しだして……………


「剣聖のしかも四天王の剣は?

この世界の宝剣や名刀よりも格上の剣なのに…………


あのアテナと名乗った女の

剣も同等の剣なのか?


それとも?

我ら以上の剣かも…知れない」


と剣王の一言で四天王の剣聖

達が眼の色を変えて

その試合に集中し観察し

攻略法を模索し始めた。


だが?

試合時間は刻々と過ぎて行く

本気を出した四天王の剣聖だが…………全ての剣撃や連撃を

アテナに物の見事に

素早い剣閃にて

希望的な戦略も完膚なきまでに、無効化されて……………


結局試合時間終了の銅鑼の音が響き渡った。


余裕を持って対峙した四天王

が、途中から本気で倒しに

いった挙句の果てが?

試合時間終了の両者引き分け

に陥ったが?


四天王の剣聖の女は?

ぜぇぜぇと息を弾ませ

アテナは?平然と一礼し

俺達の前に走り寄り


「こんな感じでの

引き分けで、 

良かったのでしょうか?」


と俺を気にするアテナだが

情報の無い相手に対して

注文通りに引き分けに

持ち込んだのだから………


「最高のトップバッター


だったよ。  アテナ。


だが、これで四天王の剣聖

も最初から本気で向かって

来るだろうなぁ。


2戦目は?

誰が試合に?」


と問えば


「四天王の剣聖の誰が出て来るかで…………結論を出す方が


こちらの利に成るでしょう。」


とトールに言われて

四天王の剣聖達を見る。


残り3人の剣聖

1人は女性だから

彼女が試合に向えば

ネメシスに頼み。


大柄な如何にもパワー系の

剣聖の場合は?

こっちのパワー系の

ドラニちゃんを送り出し


如何にも頭脳派らしき

眼鏡をかけた剣聖には

トールに対処して貰う。


全ての試合で引き分け狙いは

変更しない

作戦を続行する。


ドラニちゃんだけが

引き分け狙いに反論し


「我も引き分けにせよと

トモルシードは?

言うのか? 

一気にヤル気が………

無くなるぞ!」


と言い張るドラニちゃんに

トールが何とか宥めようと

努力するが………………

気の抜けた返事しか返さなかったドラニちゃんに

不安の影が忍び寄る。


ドラニちゃんの逆鱗に触れた

場合には?

作戦の内容が頭から消去され

四天王の剣聖に負傷を与え

何食わぬ顔で、笑って済ませ

そうでも有るのが

この作戦の悩みの種でもある


次の試合には、予定を変更し

クールな眼鏡君が

颯爽と試合開始位置に立った


トールにも、大怪獣のインゴットから鍛冶職で創り出した

ダンジョン用とは別の

佐々木小次郎並みの

長剣の日本刀を与えてある。


「では予定通りに私が、

あの者の相手をして来ます。


この長剣にも身体が馴れて

来ましたので御安心を

トモさん。」


と言い残して試合開始位置に

トールがお待たせしましたと

相手に伝えて

試合開始の銅鑼の音のが

響き渡った。


両者がゆっくりと互いの剣を抜き構えを取った。

四天王の剣聖は

トールの佐々木小次郎並みの

長剣の日本刀を観て

間合いを詰めて来た。


俺が彼の立場でも同じ条件で

敵の懐に入るという選択を……

するだろう。


長い刃渡りの剣は

接近戦にどうしても

機動力が減退しがちと思いがちだから…………


四天王の剣聖もそう判断して

トールとの間合いをジリジリと詰め一騎加勢にトールへ

襲いかかる。


が!


トールは

始動し始めたに相手の剣先を

見事に佐々木小次郎並みの

長剣で弾き

二の矢三の矢へと繋ぐ攻撃を未然に防ぎ相手の出足を挫く


成る程なぁ…………

四天王の剣聖の初手を自分の攻撃可能な範囲で捌き

近接戦の足掛かりを 

見事に躱して

佐々木小次郎並みの日本刀の間合いで攻撃を未然に防いでいる。


トールは

ダンジョン攻略で

佐々木小次郎並みの日本刀を

確実に自分のスキルに

適合させて想像できる弱点を

回避するべく策を練り上げていた。


末恐ろしいとは?

正にこの状況だろう。


然し


相手も頭脳派だと推測される

人物像であるので………

試合時間中に改良点を

見出す事も、頭の隅に入れておく。


開始から5分以上その剣聖の攻撃方法に矛盾は無かったが


後半戦に成って四天王の剣聖の作戦が、一変する!


間合いに入ろうと苦戦した

初太刀をカウンターで

跳ね上げて

トールへと距離を詰めて

二の矢三の矢を繰り出した!


トールも焦りが表に出ても

可怪しくなかったが………


見事に佐々木小次郎並みの

日本刀を持ち替えて

素早く近接戦の攻撃にも

剣先が何処から来るのか?

と考える暇さえ与えずに

巧みに佐々木小次郎並みの

日本刀で四天王の剣聖の連撃を抑え込んで見せた。


初手をカウンターされた勢いをそのまま長剣の日本刀に乗せて、遠心力で接近戦に持ち込んだ剣聖に相手のカウンターを利用した合気道の様な

佐々木小次郎並みの日本刀の

使用方法に度肝を抜かれた。


詳しく説明すれば

四天王の剣聖の初手のカウンターを利用して

ぐるりと回して下から

剣聖を真っ二つにする剣閃を

放つ。

気付いた時には剣聖は

下方からの一撃に全ての力で

その剣閃を抑え込まなければ


その身体を真っ二つにされかねなかったし

受け止めたとしても

トールの佐々木小次郎並みの日本刀が剣聖の首の前で

ギラリと睨みを利かせるので

それ以上に接近戦を有利に

展開出来ずに後退を余儀無くされていた。


そうして2戦目も試合終了時間に銅鑼の音が響き渡り 

敢え無く頭脳派の剣聖も

時間切れの引き分けにトールが導いた。


3戦目は、女性の剣聖が颯爽と試合開始位置に登場し

 

「可能ならば?

1番のスピード力の相手を

望むわ!」


と言い切った。  


が、最初の予定通りに

ネメシスを舞台に上げた。

彼女なりの特訓の成果を

発揮するのに一番適している


「神器に頼らずに

ダンジョンの攻略に貢献したのが、ネメシスなのだから…」 


自ずと信頼関係が

生まれていた。


ネメシスは俺達に一つ頷き

返して試合開始位置に向う。


試合開始位置にネメシスが着くと同時に銅鑼の音の

試合開始された。


相手の剣聖が

直ぐ様攻撃を仕掛けて来る。


フェイントをまるで

サッカー選手か?

ボクシング選手か?

と感じ取れる俊敏な動きで

ネメシスを翻弄仕様と…………


だが?


ネメシスはその剣聖の間合いに合わせてバックステップを

しながら大怪獣のインゴットで鍛冶職から作り出された

死神の様なの大鎌を


バトントワリングの様に

回転させて

剣聖の剣撃を簡単に

弾いて見せた。


トールと同様にネメシスも

死神の様なの大鎌を

完全に使いこなし

剣聖のスピードにも

対応しつつ笑みを浮べて


「この程度のスピードで?

自慢するのは?

先程までの試合で………


何も理解していないの?」


と女性の剣聖を煽る!


「不躾な物言いにも………

程があるわ!


私のスピードは!

ここからが貴方の想像以上に上昇するのよ!」


と女性の剣聖がステップを

踏み出した。


本人の言う通りそのステップ

の速度が徐々に目を疑う程に

速さを増して

ネメシスへと迫る。


死神の様なの大鎌で

何とか全身の防御を

大鎌を回転させて

防ぐ。


だが女性の剣聖のスピードが

増すにつれて……………

フェイントに手こずり

隙を与えてしまうネメシスに


ここが勝負の決め時だと

女性の剣聖がその剣に

力を込めた一撃を放つ。


少し体制を崩したネメシス

に剣聖の一閃が届くかに

見えたが?


「これが本当のフェイント。」


とネメシスが一言言いながら

ネメシスの体制を崩した

僅かな隙に届くかに見えた

剣聖の一閃を

死神の様なの大鎌を上段から

振り放ち ガ・キーンと


鳴り響き剣聖の一閃を

流して今度は女性の剣聖が

その体制を崩す。


本来の勝負ならば追撃の  

激熱なチャンスだが…………


ネメシスは?

敢えてバックステップで

女性の剣聖との距離を取る。


アテナとトールが

引き分けに持ち込んだ試合に

ネメシス自身もこだわったのだから………………


既に試合時間も残り少ない  事もネメシスに有利に働く。


女性の剣聖の焦りが

手に取る様に伝わって来る。


だが?


女性の剣聖は?

黙したままにステップを刻む


恐らく最後の攻防に成るの

だろう……………


女性の剣聖のスピードがまた

加速する。

フェイントも有効的に

ネメシスに危機感をもたらすが…………今度は先程とは逆に

ネメシスの体制を崩し

その隙に女性の剣聖の

最高レベルの一撃をネメシスに、届かせようと試みる。


だが?


ネメシスの判断材料と視野の広さが上回る。

その一撃の一閃がネメシスを

捉え掛けた時に…………


今度は下段から

死神の様なの大鎌で

剣聖の渾身の一撃を

跳ね上げながら手首を返して

女性の剣聖の剣を

絡め取って剣聖の剣が地上に突き刺さった。


ここでノーサイドの銅鑼の音が響き渡った。


信じられない表情で立ち尽くす女性の剣聖に対して………


「あなたのフェイントは……

素晴らしいものでしたが?

本来フェイントとは?

相手の攻撃の手段を限定させてこそ………その威力が

発揮されて致命的な      攻撃に変換されるのですよ。」



その一言に自分のスピードを生かしたフェイントが

ネメシスの誘導によって 

逆転勝利を与えてしまった

のか?

 

と気が付かされた。


ネメシスも直ぐに俺の前に

立つと……………


「多少手こずりましたが……

トモさんの指示通りに

引き分けに何とか

持ち込めました。



合格点を頂けますか?」


と己の気持ちを素直に述べた


「上出来だよ!

 一瞬でネメシスの体制が  不利に見えた時には………


不安視したが! 

それもネメシスの策略

だとは?俺も1杯食わさせたよ……………」


とネメシスを労った。


とうとう問題児のドラニちゃんの出番が始まる。

なにか激情に駆られて

相手の大柄なパワー系の剣聖を試合では無くなり………

決闘へと成りかねない?


と不安しか無かった。


「やっと 我の出番に………

だが?

どうしても引き分けにせねばならんのか?

トモルシード!」


と不満を溢すドラニちゃんに

シッカリと頷いてから………


「ドラニちゃんの実力は

折り紙付きなのは………


皆んな知ってるよ。


だが、


剣聖や剣王達が?

ゼウ神と深い繋がりが

あった場合に備えるならば


ドラニちゃんの実力を

隠しておいた方が………


ゼウ神と対決する時に

最高レベルの隠し球として

闘った方が得策何だよ。」


と説明すれば…………


「隠し球………

何だか?

秘密兵器みたいで………


気に入ったぞ!

まぁ剣聖に対して

我が本気を出す事も無いな。」


とニヤリと笑いながら

何とか引き分け作戦に

同意してくれたみたいで

ホッとしながらも

一抹の不安を拭えなかった。


ドラニちゃんがニヤけながら

試合開始位置に向えば………


深い溜息を吐きながら

四天王の剣聖身長2メートル

オーバーの筋骨隆々とした

大男が!?


「よりにもよって?

こんな10歳にも満たない

幼き幼女が………


俺の試合相手とは?

下手をすれば………

死なしてしまうぞ!


悪い事は言わないから

負けを認めてサッサと

退場せよ!」


とドラニちゃんに呼びかけた


機嫌が良かったドラニちゃんで助かったょ。

その大柄な四天王の剣聖に


「人を見かけで判断するとはなぁ…………


武人としてどうかと思うぞ…」


とドラニちゃんがまだ

先程の俺の言葉に影響され

余裕の笑みで四天王の剣聖に

応えてみせた。


その会話を耳にした時には?

ヤバイと感じて

ドラニちゃんに思念会話で

気を静めてくれ!

と伝えそうに成ったが?


意外にもドラニちゃんの方が

一番冷静だった。


試合開始の銅鑼の音が

鳴り響けば?

四天王の1人の大柄な剣聖が

その身長と同等の剣を背中の鞘から抜き放ち

ドラニちゃんへと敵意を向け


ドラニちゃんもほぼ同時に背中の鞘から白剣を抜いて

瞬時に構えを取った。


引き分けへの道筋を予想している訳でも無いらしいが………


ドラニちゃんの直感力には

定評が実績としてある。


幼女だと思って

四天王の剣聖が手加減して

ドラニちゃんに強襲を

仕掛けた? 


ドラニちゃんはその攻撃を

白剣では無く 

一瞬で片手の指で

大柄な四天王の剣聖の

長剣をその小さな指で掴んで見せて!


「これで少しは?

ヤル気に成っただろう?


遠慮は無用だぞ!」


大柄な剣聖のドラニちゃんへの配慮を杞憂で有ると証明して見せた。


大柄な四天王の気配が段違いに上昇し、ドラニちゃんへと

威圧感をあらわに攻撃を続行する。


「成る程なぁ。

少しは腕に自信がある様だが……………


軽く振るった剣を止めた

位で調子に乗るな!」


と大柄な四天王の剣聖が

連続攻撃をドラニちゃんに

仕掛けたが………


ドラニちゃんは?

余裕で大柄な剣聖の剣を

弾き返し


「少しは期待したのだが?


我の相手をするには…………


未熟過ぎるぞ!」


と剣聖を煽る。

その言葉に剣聖が怒り心頭に成り、攻撃が徐々に精細さに

欠け始める。


試合時間も残り3分を切った

時に

何を考えているのか?

ドラニちゃんが自分の

収納魔法からトールから

貰った銘酒の酒瓶を

取り出して……………

試合中に酒を飲み始めた?


俺は?

呆気にとられて一瞬

茫然と口をパクパクさせ

言葉に成らない感情を吐露したのだが………


トールはそのドラニちゃんの

試合中の行動に猛然と

大声量で抗議した!


「試合中に酒を飲み出すな…

剣聖に対しても失礼だが!


信頼し試合に参加させた

トモさんに対しての

裏切り行為だぞ!


もう二度とドラニちゃんに

酒を与えぬぞ!!」


この一言にドラニちゃんが

振り返って反論するという

考えられない行動に出た。

剣聖に背中を向けたのだ………


「ナッ 何でだよ!

我から酒を奪うつもりか?」


とトールに意識を取られた。

大柄な四天王の剣聖が

この千載一遇のチャンスを

逃がすはずが無い。

背後から


「奥義! 10連流星覇!」


と剣聖の剣閃が輝き出して

10連流星の様な剣閃が

ドラニちゃんに襲い掛かる。


ドラニちゃんの危機回避能力

が直感力にて上昇され

大柄な四天王の剣聖の奥義を

完全に防ぎ切ったのだから

本気で驚きながらも

ホッとしたのも束の間………


バッリンとトールから貰った

酒瓶が割れて…………

銘酒だからとチビチビ

飲んでいた大切な酒が………

一瞬で闘技場に飛び散った!


「我の貴重な大切な大事な

酒を………………………………………」


そう語ったドラニちゃんの

眼が怒りに満ち溢れ

憤怒の感情が

大柄な四天王の剣聖に向けられて、その異常なまでの

酒への執着心に囚われて………


ドラニちゃんの瞳が赤々と

燃え上がり視線を向けられた

四天王の剣聖が思わず


「ヒッ!」 


とドラニちゃんの威圧感に

飲まれて一歩後退した。


俺は一瞬で不安が的中した

事実を理解して

身体強化と思考加速と

先見の明を発動させて

即座に行動を取れる様に

覚悟を決めてドラニちゃんを

見入った。


酒の所為で

我を忘れるドラニちゃんが

大柄な四天王の剣聖に

本気のパワーの一撃を

振るった瞬間に


俺は低位瞬間魔法で大柄な四天王の剣聖の少し後方で

待機すれば…………

ドラニちゃんの一撃で

大柄な四天王の剣聖が

弾丸の様に弾き飛ばされて

来た先見の明に依って

その吹き飛ばされた方向性を

大柄な四天王の剣聖の側面から…………

闘技場の壁に激突しない様に…


方向転換を側面から同様の

パワーで押し切って?


大柄な四天王の剣聖の闘技場の壁に直撃する事を防いだ。

大柄な四天王の剣聖は?

そのドラニちゃんの一撃で

気絶した状態に成り

俺は素早い処置で

ヒールの魔法と

普通のポーションを飲ませ

一応の回復を済ませた。


「まだ四天王として………

闘えると」 溢す剣聖に………


「己の剣を良く見てみろよ。」

  

と伝えれば?

  

大柄な四天王の剣聖の長剣

全体に無数の亀裂が走って

もう一度剣を振るえば……

嫌でも その剣の寿命が

尽きると馬鹿でも理解出来る程の剣聖の剣の摩耗度が

誰にでも確認できた。


ガックリと項垂れる

四天王の剣聖に対して

剣王が言葉を紡ぐ。


「四天王と剣聖や一般人に

担ぎ出されて………


有頂天に成って居たから

相手の風貌に囚われて

真の実力を測り損ねた事が…


君の敗因の1つだよ。

この試合に感謝し

武芸の鍛錬に精進しなよ。」


と剣王が語り


「当然 他の四天王の剣聖

にも同様の結果だったと

僕は思うけどなぁ……………」


と他の四天王に目線を向けて

感想を呟くと………


試合結果は、引き分けだったが…………それぞれが……

敗北同然だったと理解して

剣王に対して

深々と頭を下げて


「申し訳有りません………」


と謝罪を口にした。

その言葉を聞いて

剣王が視線を俺に向けて?


「フラン学園都市の新たな

クラスを誕生させた学生を

興味本位で

観に来たのだけど…………


僕の飛んだ勘違いだったね。


トモルシード君と呼んでも

構わないかい?」


と俺に問う剣王に

頷けば………


「有難う。

僕自身が剣王に就任した

年齢と大差ない

トモルシード君との試合が

楽しみに成ったよ。


他の2名の剣王や

他の剣聖達は?


歳上の方達ばかりで………


余り感情を表に出せない

間柄だったからね。」


と自分の事を語る剣王に

対して少しだけだが

共感出来た。


何故ならドラニちゃん意外の

仲間は全員歳上なのだから

俺にとっても………

歳上の部下を使う羽目に

成ったサラリーマンの様な

気持ちや………やり辛さならば

剣王の気持ちも理解出来る。


「さぁ トモルシード君

剣王としてでは無く1個人

ヴァン イリスとして

試合を望むよ。」


と俺に伝えて

試合開始位置に立つ。


「お手柔らかに。」


と言ってから

俺も試合開始位置に立った。

勿論!

身体強化と思考加速と

先見の明を継続させたままに


試合開始の銅鑼の音が

響き渡れば………

行き成り剣王が俺の間合い

まで瞬速で現れて

剣撃を一閃届かせて来る!


身体強化無しでは

恐らく反応出来ずに

一撃で終了したと感じ取れた


が……………


俺はその剣撃を

受け止めて………


様子見で

このスピードなのか?

四天王と呼ばれる剣聖達との

レベル差に驚かされる!


思考加速でイヤだなぁ………

想像以上に剣聖と剣王との間のレベルの差に………

魔法攻撃が使えない以上は

剣技の攻防にて勝敗が決する

が?


剣王ヴァン イリス!

中々の剣舞にて

俺を追い込もうとして来る


スピードも徐々に上げて

俺をまるで試している様子に


俺も同時にスピードの段階を

上げてゆく。


この次点でフラン学園都市の

英雄の先生達も学生も

そのスピードに眼が

追付かない位まで達していた


四天王の剣聖達でさえ

その視界に捉えきれない

試合の剣撃音だけが

残像と共に何とか理解が及ぶ

対戦にSクラスのジャンヌが


トールに問う?


「私達学生では?

死闘を捉えきれませんが?


トール先生やドラニちゃん

アテナ先生やネメシス先生

達には?

剣王様とトモルシード君の

闘いが視認可能なのですか。」


と剣撃音が響き渡る

闘技場内で質問されて………


「勿論ですよ。

剣王と呼ばれるだけの事はありますね。


剣技だけならば

多分ですが?

私やネメシスやアテナでは、

力量に僅かな差を感じ

取れますねぇ。」


と剣王ヴァン イリスを

認める発言を口にしたが…………


続く言葉は?


「それでもトモさんの方が

1枚も2枚も実力は?

上だと感じますよ。」


その事実を聞いていた

英雄の先生達が

盛り上がりを見せて



「このフラン学園都市から

信じられませんが?


剣王様と同レベルの対戦が

可能な者など…………………

出現するとは?

フラン学園都市創設以来の

快挙です。」


と目を皿のようにして

注目を集める。


そろそろ試合時間の終了が迫って来て?


「これだけは?

学生相手に使いたくは

無かったのですが?


仕方有りませんね!


剣王という立場では?

負けは絶対にあり得ません。


分身魔法!


と魔法を開始すれば

4人の剣王が?

俺の前に立ちふさがった。」


流石に5対1では負け確が

決定するので


「残り時間数分で負ける訳には行きません。」


並行存在魔法でカラー別の

俺を4人召喚する。


レッド ブルー グリーン

イエローの10パーセントの俺を出して、各自が相対する。


試合時間残り2分で

勝敗にこだわって

勝ちに来た剣王ヴァンイリス

だったが………

その目論見は不発に終わった


数敵有利の状況を考えた

らしいが…………

俺の並行存在魔法にて

有利性が無くなり………

最後の判断をミスして

戦いの最中に………

試合終了の銅鑼の音が

虚しく響き渡って呆気無い

最後を迎えた……………


「剣王以外で、このヴァン

イリスをここ迄追い込んだ

人間等これまで、居なかったよ。


年齢も近い事だし

友人に成って貰いたいと

トモルシード君に頼みたい。」


計算外の申し出に

躊躇いもあったのだが…………

もしかして?

ゼウ神の情報を聞き出せる

かもと想い直して……


了承したが?

2つの条件を提示した。

1つは、呼び名に関してだが

剣王様と統一したいと希望を述べたのだが?


あっさりと拒まれた。

 

「僕が見つけた同世代の

実力者に剣王様とは?

呼ばれたくは無いんだよ。


君達5人には、本当の名の

ヴァン イリスと呼んで

くれ。 頼む! 」


と頼まれると断れなかったし

四天王の剣聖たちも頷いて

剣王に友達が出来たと喜んで

居るのだから……………

止められないと観念した。


2つ目は?

剣王と世界に3人しか居ない

特別な人間ならば?

冒険者組合にも、恐らく顔が利くはずなので………

他国のダンジョン攻略にも

最低限のプレートが必須に成るのだから?

剣王ヴァンイリスに

身分の証明と実力の証明を

紹介者として力添えを

頼んだ結果。


何の試験も無く?

剣王ヴァンイリスの推薦状

だけで俺達5人は

ゴールドプレートの

冒険者としてスタートを

開始した。


流石 剣王様の推薦だけ有り

フラン学園都市の

冒険者ギルドの最高責任者

自らがプレートを

学園長を仲介して

俺達5人に授与されたの

だから……………


有り難く

ヴァンイリスと呼んで

友人関係を築く事に

誰もが納得した。


本人を目の前で呼び捨てするのには……………

多少の抵抗感が有るけれども

それが剣王の望みなのだから


それと安心材料もあったのだ

ゼウ神との繋がりを

聴いたのだが………

剣王自信は?

剣王に昇格した時に

一度だけ

遠くからその手に持つ剣の

授与式で謁見の経験はあった物の会話さえ無かったらしい


剣聖達については?

謁見した事さえ無いのだ………

そうだった。


以上の聞き取り調査から

剣聖と剣王に付いての疑惑が

晴れた結果、友人関係に

成る事に結論付けた。


一番厄介だったのは?

剣王ヴァンイリスに紹介して

貰った冒険者ギルドの

長だった。


冒険者のプレートの位に

付いて剣王様の推薦者達なのだから……………


と最上級のプレートを

準備して来たのを

気持ちは有り難く受け取り

ますが…………

他国に自由にダンジョン攻略

さえ可能なプレートで

頼みたいと…………


長い会議を開催された事

だった。

この区分けされた世界に

3人しか存在しない

剣王の一人

ヴァンイリスからの

要望とも成れば………


何処の国の王様であっても

失礼が無い様にと

最善の待遇を果たすだけの

意味が有ると…………

中々俺の意見に同意してくれずに、最終的には


「困りましたね。

剣王に報告する時に…………


冒険者ギルドの御方が

僕の意に反する事を

無理矢理に承諾させられたと………報告しなければ

成りませんけれど?


構いませんか?」


と半分脅迫するのと同じ様な

問いをして…………

諦めて貰った。


だが


冒険者のゴールドプレートを

取得した事で、他国のダンジョンへの挑戦が

スムーズになる事には

非常に大きな利点がある。


今までは

冒険者以外でダンジョン攻略

に赴く時には

書類に名を署名したり

補償金の支払など

面倒な事例が

この先無くなるのだから………


然し剣王ヴァンイリスが

御忍びで遊びに

フラン学園都市に

やって来ては

試合を要求して来るのだから


ヴァンイリスは?

剣王としての仕事を

真面目に遂行しているのかな

とつい考えないでも無いし…


ヴァンイリスは?

ドラニちゃん

トール

ネメシス

アテナ

との試合も望んで

俺としても友人関係になった

ので…………

変に断る事も出来無い。

四天王の剣聖達も俺の事を


トモルシード君と

呼ぶ事に?

違和感も感じるが…………

剣王様の大切な友人と

定義されて…………


殆ど敬語で話しかけて来る。

立場的にはフラン学園都市の

学生に剣聖達が敬語で

話しかける様は…………


ハッキリと言えば

異常な出来事でもあるのだが

四天王の剣聖達が

Sクラスの他の生徒にも

熱心な指導をしてくれている

ので……………

批判する事も出来無い。


英雄の先生達までも

四天王の剣聖達と

にこやかに戦術の話しや

反省会をして居るのだから……


この状況下でレベルアップ

しない方が難しい。

俺がドラニちゃんの一撃で

剣に亀裂が生じた剣を

鍛冶職で大柄な四天王の剣聖の意見を聞き入れて………


鍛冶職でエレベーターの1階層の大怪獣のインゴットから

鍛冶職で創り出した

長剣を与えれば?


要望通りの重量と

インゴット事態の上質さで

以前の大柄な剣聖の剣よりも

使い勝手が上がっらしい。


他の剣聖はおろか?

剣王ヴァンイリスまでが

俺に鍛冶職で剣を作り出して欲しいと言いだす始末だった


そんな忙しい日々が過ぎ去って……………

最終学年の集大成の国別の

予選開始があ始まった。


これは知らなかった事だが

毎年最終学年生の卒業の前に

国別対抗試合が開催される。


とジルルシーク兄上から

説明を受けた。

何でも代表選手6人で

予選のグループ別に

分けられてその予選グループの上位2チームが準決勝に進出

すると聞かされて…………


元の世界のサッカーワールドカップみたいな感想を抱いた


勝敗が仮に3対3に成った場合は?

PK戦では無く

代表選手による決戦で

勝敗を決すると聞かさて………


Sクラスの俺達3人は?

スペイ王国の代表選手だと

ジルルシーク兄上から

告げられた。

ジルルシーク兄上自身も

代表選手に入り

今年こそは優勝すると

意気込んで居るので………


俺には、断れないし………

ジルルシーク兄上にとっては

最後の国別対抗試合に成る。


俺も弟として

ジルルシーク兄上に有終の美を飾って欲しいとは思う。


各国補欠メンバーを込めて

10人を選抜し

登録メンバーとして

学園都市に書類の提出を

行うらしい。


今までのメンバー選抜者の

選考は?

各国のAクラスの上位者

もしくは?

それに準ずる剣技の持ち主を

学年問わず選出するのが

普通だったらしいが?


Sクラスの創設に依って

基準が変更すると

ジルルシーク兄上が力説する


昨年度のスペイ王国の順位は

ベスト4 と割と優秀な結果に

少しだけ興味が湧いた。

優勝国は

チャイ帝国

準優勝は

フラン学園都市国家

3位は

イギリ大帝国

だったそうだが……………


そう話してくれた

ジルルシーク兄上の表情は

悔しさを滲ませていて

深く聞くと?

準決勝で優勝国のチャイ帝国

に敗れて

3位決定戦では?

ジルルシーク兄上のライバル

が居るという

イギリ大帝国に

代表戦で惜敗したのだそうだ


今回はそのリベンジに闘志を燃やすジルルシーク兄上

だったので……………


ジルルシーク兄上の卒業後に

ルシーシアに部屋を与える

と言う条件付きで

ジルルシーク兄上の強化の為

ジルルシーク兄上の専用の

闘技場へ通じるドアを錬成し

個人練習に励んで貰う。


勿論、執事達の出入りを

俺が許可して

ルシーシアへ譲渡すれば………

ジルルシーク兄上の専用の

ドアの使用者も変更可能に

定義付けた。


勿論特訓用の刃を潰した剣を

5本用意して

ジルルシーク兄上の身体強化魔法にて実力の底上げも

視野に入れて

準備を進める。


ジルルシーク兄上の陣営から

3人を選出メンバーに加入させても?

俺とドラニちゃんと

ジルグフリードの7名なので

他のメンバーを検討する。


俺の陣営では?

セシリアしかもう学生は

居ないのだが?

ジルグフリード曰く

セシリアの剣術の腕ならば

今では?


Aクラスのトップと余り

変わりがないだろうと

提案されて……………


一応本人の希望を聞いた後に

セシリアを選抜メンバーに

推挙するのかは?

決断すると結論付けて………

自室へと戻った。


怒涛の流れに………

いつの間にか乗せられて

居た様な気分に成る。


四天王の剣聖達との試合

剣王ヴァンイリスとの激闘

冒険者組合への加入手続

最後に各国対抗試合!


落ち着いてダンジョン攻略も

進まないと言うか? 

進められなかった。


目まぐるしい展開に

俺自身も振り回された気分で


グループの組み合わせが

発表されて

土日が休日だったのが?

金曜日の午後と土曜日が

予選の試合となり

他国は疎か

フラン学園都市の

ダンジョンにも

中々挑戦出来なかった………


スペイ王国の選抜選手は?

ドラニちゃん

ジルグフリード

セシリア


ジルルシーク兄上

兄上の側近達3名と


見覚えはあるが?

会話さえした事が無い

男女2名に決まった。


ジルルシーク兄上の部屋にて

発表されて…………

2名の男女が困惑気味に


「ジルルシーク第3王子様。

私達2人は?


スペイ王国の伯爵家です。


王族の方達との繋がりも

多分無かったと記憶して

居ますが?


どうして?

私達を抜擢して下さったの

ですか…………」


2人の男女が不安気に

ジルルシーク兄上に訪ねた?


ジルルシーク兄上は1つ

大きく頷いてから………


「昨年度の失態を繰り返さない為にも………


学年に関わらずに

Aクラスの実力者だけを

選別し出した答えが

君達2人の新たな加入へと

導き出した答えだよ!」


と俺に視線を向けて

伯爵家の男女2人に答えた。


何故 俺に視線を向けたのか

理解し難いが?

恐らく口添えせよ!

と暗に伝えて来たのかなぁ


「自分の配下の

ジルグフリードは?

元第一王妃の近衛隊長だし


セシリアの父親は?

自分の執事何だから


ジルルシーク兄上が

君達2人を選抜メンバーに

加入させた理由は?


優勝国に成り

卒業式に有終の美を

飾る為の作戦だと

思うよ。」


と2人の男女に俺が

ジルルシーク兄上に変わって

説明すると……………


「スペイ王国の優勝を………」


と2人の男女が囁いた。

この説明で納得するのかは?

甚だ疑問だったが?


2人はどうやら納得したのか?


「解りました。

スペイ王国の為に

精進致します。


私の名は

アンダーソンと申します。

彼女の名は

アリスです。


どうか宜しくお願い

致します。」


と片膝を着いて

最上級の騎士としての

挨拶をする2人に対して


「これからは

チームとして

励んでくれよ。


さぁ立ち上がりなさい。」


ジルルシーク兄上は

2人の騎士としての挨拶に

答えて立ち上がらせ


「お前達もシッカリと

自己紹介をしておけ!」


と自分の側近達に命令する。


何時もジルルシーク兄上の

護衛役として

見かけていた3人が

改めて俺に自己紹介をする。


まぁ俺だけでは無くて

伯爵家の

アンダーソンとアリス

への気配りでもあるのかも?


ジルルシーク兄上の側近達は

男子2名女子1人だ。

男子から


「私はジルルシーク第3

王子の側近で王子の同学年の

名をルイスと言い。


彼が5回生のAクラス筆頭の名をルドイアと申す。」


そしてジルルシーク兄上の側近達で唯一の女子が


「私はジルルシーク第3

王子様の側近の一人で

4回生の名を

グレースと申します。


皆様の足を引っ張らない様

肝に銘じます。」


と述べた。

少々堅苦しい挨拶だったが

これで全員の顔と名前が

一致したが……………


ジルルシーク第3王子は?

木曜日の夕食から

作戦会議を含めて

親交を深める為だと

食事をジルルシーク兄上の

ワンフロア貸切の部屋で

全員で食しながら

作戦やミーティングを

開始すると述べて

一度解散した。


自室に戻り

全員で話し合いを始める


「俺とドラニちゃんは?


ジルルシーク兄上の為なら

スペイ王国でルシーシアや

ソフィーシア様に

世話に成っていたので


国別対抗の試合に

参加するのは、当然だと

考えるけれども


ジルグフリードとセシリア

の2人は?


別に強制的に参加しなくても?


良いんだけど………………」


とトールが入れてくれた

コーヒーを飲みながら

二人に問う。


「我も出場すると

断言したわけでは無いぞ!

トモルシードよ。」


とセシリアとジルグフリード

が答える前に………

ドラニちゃんに苦情を言われ


「ジルルシーク兄上は?

ソフィーシア様の息子で

ありルシーシアの兄上だよ。


ドラニちゃんが

参加しなければ

スペイ王国での美味しい

食事は…………


多分もう

食べられなく成るよ。」


その言葉にドラニちゃんが

反射的に答える。


「モッ 勿論 我は

ジルルシークに協力するぞ。」


と慌てて賛同した。

そして安心して

俺は2人の側近に目を向けた


「セシリアは兎も角

私は昨年の試合のメンバー

に選ばれていましたから……


雪辱戦に選ばれて

誇り高き名誉だと………

思っております。」


と述べた後にセシリアを

気にする様に伺う。


成る程ジルグフリードは?

昨年のこの行事に参加して

実際に対抗試合の経験者

だったのか…………


セシリアは?

主である俺とその兄

ジルルシーク兄上から

選抜メンバーに抜擢されれば

簡単に断れなかったのかも?

とセシリアの立場に立って

思考を巡らせる。


「私の場合は?

昨年Bクラスの下位でした

から………


でも今年は

トモルシード王子の

特訓の成果で2年生Aクラスの上位者にまで辿り着き………ましたのでジルグフリードと同様に大変な名誉だと

感じていますし………


自分の実力の程を試して

見たく思います。」


と俺に強い視線で

ハッキリと答えてくれた。


上位者の発言で

強制参加させたのであれば

前の世界で例えるなら

モラハラのブラック企業で

完全にアウト宣告だった。


2人の前向きな言葉に

感謝しつつ

トール

ネメシス

アテナ

の3人の意見も聞き取り

参考にするべくコーヒーを

飲みながらリラックスした

状態で3人にアドバイスを

貰う事にした。


トールは? 冷静に


「Sクラスの

トモさん

ドラニちゃん

ジルグフリード

には問題点はありませんが。


セシリアさんには?

特別メニーの対策が

必要不可欠ですね。」


と面と向かって

実力差を指摘されて………


「ハイ!

ご指導の程どうか

宜しくお願い致します。

トールさん。」


と笑顔でトールの発言に

答えるセシリアに対して

流石は超一流の執事の娘だな


SクラスとAクラスの

実力差を理解していると

感心させられた。


ネメシスもトールとほぼ

同意見だったらしく

すました顔で………


「私の特訓用のメニーは

恐らく身体に負担を掛ける

でしょうが…………

セシリアさんならば

クリア出来ると期待を

込めて応援致しますよ。」


と好意的にセシリアに

寄り添う。


最後のアテナの意見は?

 

「トモさん

ドラニちゃん

ジルグフリード

の3人のSクラス

が揃っているのですから?


先ず試合に負ける事態は

無いと断言出来ますね。


セシリアさんは

無理をして身体を壊さない

程度にレベルアップに

邁進して下さい。


心に余裕があれば………

多少の気が紛れるでしょう。」


と締め括った。

確かに俺とドラニちゃんと

ジルグフリードのSクラスが

3勝すれば負ける事態は

完全に無くなる。


他の選抜メンバーにも

同様の事実が見込まれる。

だが?

不確定要素のドラニちゃんが

問題を起こす可能性も

頭の中に入れて…………

その訳の判らぬ行動により

大切な一勝を取り溢さないとは、断言出来無いからだ。


それからセシリアの個人教化

に毎日の特訓を日替りに

トールとネメシスとアテナが

各々の指導方法で

セシリアを導いていった。


予選リーグでは?

なるべく俺とドラニちゃんが

出場しない方向性で

ジルルシーク兄上にも

試合メンバーに入ってもらい


勝ち進んでいった……………

予選リーグでは

伯爵家のアンダーソンと

アリスとジルルシーク兄上の

配下達に出場機会を与えて


スペイ王国の勝利に貢献させ

俺とドラニちゃんは?

作戦上的に敢えて

その実力を隠して

予選リーグを終えた。


全勝で予選リーグを突破し

決勝トーナメント進出が

決定すれば………

スペイ王国の為に

頑張った者達にも

笑顔が溢れる。


各国対抗試合ではあるが………

勿論 真剣での試合では無い

刃を潰した剣をフラン学園都市が準備をして

その準備された剣から

出場者が武器を選んで

50メートル四方の試合会場にて勝敗を決する。


試合会場から出た場合には

その選手の負けに成り

試合時間も20分と制限が

あった。


昨年度ベスト・4まで

行った実績も嘘では無かった

ジルルシーク兄上の実力も

流石にAクラスの上位者と

考えさせられたりもした。


その間セシリアには?

一度も試合経験をさせ無かったのは?

トール

ネメシス

アテナ

の策略であり

上位者との対決に備える為に

予選リーグでの出場を

控えさせた。


俺は並行存在魔法で

カラーの9人達に

認識阻害の仮面を付けさせて

他のグループの予選リーグを

偵察させて

どの国の誰が?

強敵に成りうるのかを

探らせれば……………


やはり!


Sクラスの国と

Sクラスのクラスメイトが

群を抜いて

実力差を試合で発揮していた


それと昨年度優勝国の

チャイ帝国

準優勝の

フラン学園都市国家

3位決定戦で惜敗した

イギリ大帝国

が国別対抗戦での

対抗馬に成るので

作戦を用いる事に成る。


個人的には、数人の気になる

対戦相手を見つけたが?

国別対抗戦には

余り関係が無かった。

個の強さよりも総合力で

決するからだ。


必要不可欠な情報を得て

並行存在魔法を解除して

自分の頭の中で答えを導く。


今後は?

予選リーグの結果から

トーナメント方式に切り替わり、ベスト8まで決定すると


学年の最終試験が始まる。

その結果発表が終われば………


国別対抗戦が観客動員した

第一闘技場にて

試合が開催されるらしい。


まぁトーナメント表を

見た感じでは?

順当に勝ち進めると

感じたので、気持ち的には

その後の最終試験に対して


学生時代の期末テストを

懐かしむ思いで

前の世界を思い出す。


ベスト8までに

警戒国との試合も無いので

ゆっくりと試合観戦を

楽しむ事に決断して

ジルルシーク兄上との

予選リーグ突破の慰労会で

夕食を楽しむ。


折角だからと

ジルルシーク兄上の闘技場で

伯爵家のアンダーソンと

アリス

ジルルシーク兄上の側近達

ルイス

ルドイア

グレース

達に指導してやって

くれないか?


と食後の飲み物を楽しんで

いれば?

ジルルシーク兄上に頼まれて

まぁその程度であれば

と安易に答えれば……………


我先に俺の前に並んで

俺に指導を迫るので………

試合観戦で気になった展開を

告げてから

手本を見せて

この時に相手の攻撃を

自分ならばどの様に攻撃すれば

対戦相手を窮地に

追いやれるのか。


を一人一人に詳しく教えた。


 「成る程ですね。

視点からの予測を素早く

判断すれば…………


勝機が自然に舞い込むと……」


と感想を漏らし

皆が俺に敬意を声に出して


「勉強に成りました!

有難うございます。」


と一礼する。


最終的には?

ジルルシーク兄上にまで

相談されて………

困り果てた………


そうして予選リーグの

慰労会が終了して

今後の対策を話し合って

この日の予選リーグ突破記念

夕食会が終わった。


6ヶ月もの期間をかけて

出揃ったAからHグループ

の上位2チームが

トーナメント表に

発表される。


ベスト8までに

並行存在魔法で監視し

脅威と感じさせる国家とは

対戦することは無かったので

例え観覧試合に成った

トーナメント戦であっても

俺とドラニちゃん

セシリアとジルグフリード

の不参加をジルルシーク兄上に

納得させて………


控えメンバーとして

トーナメント戦の観戦を

観ながら、その後のベスト8

からの人選に頭を悩ませた。


ベスト4までが出揃えば

学年別の最終試験が

控えているので…………


俺はトーナメント戦の観戦

と同時進行で

並行存在魔法のカラー

9人に認識阻害の仮面を

身に付けさせて

フラン学園都市の図書館にて

一気に最終学年までに必要な

知識をスペイ王国の図書館の

10倍以上の大図書館にて……


勉学にも勤しんだ。

基礎的知識はスペイ王国の

図書館の全ての本を網羅して

俺の右目の魔眼の力のお陰で

魔法の属性から派生した種類や魔法陣に付いての事象には

フラン学園都市の教員免許を持つ

ベテラン教師達よりも

深い深層心理迄辿り

着いていた。


がフラン学園都市の

巨大図書館には

想像以上に枝葉の分かれた

特殊な分野の細部まで記録として残っており……………


消費魔力との関連性や

属性別の魔力の消費量の変化

等 スペイ王国では?

追求出来ずにいた事までが……

フラン学園都市の巨大図書館

には…………属性持ちの人間の

魔力消費と属性がない場合での

同じ魔法での消費魔力の

変化を克明に記載されており


十二分に堪能出来

その派生から生じる魔法までも、研究可能だった。

嬉しい誤算があり事実を

複合させて論文の制作にも

取り組んだ。


俺も只試合を観戦していた訳では

無い。

のだから………………………………


これから先のダンジョン攻略

で、少しでも有利な条件下で

ダンジョンの最下層の

地下牢獄に閉じ込められている神々を救出出来る様に…………


そんな日々を過ごして

トーナメント戦で

ベスト4まで勝ち上がった

スペイ王国の選抜メンバー

には、正直驚いていた。


俺とドラニちゃん

セシリアとジルグフリード

抜きでトーナメント戦を

勝ち進んだのだから………

昨年度ベスト4

だけの実力の程が

良く理解出来たし

意外にも伯爵家の

アンダーソン

アリス

ジルルシーク兄上の配下

ルイス

ルドイア

グレース

達も試合を重ねる度に

少しずつその実力を開花

し始めて結果を出している。


だが?


ベスト4

までが出揃ったので

最終学年度のテスト期間に

成った。


実技試験と魔法試験

それと筆記試験が

1週間続く…………


俺とドラニちゃんは

一学年生だから

それ程難しい事には

成ら無いテストだと

思っていたのだが?


Sクラスのジルグフリード

やジャンヌ

アテネ

嬴政

妲己

達よりも筆記試験の多さと

問題に対して


「本気で………

このテストが一学年生の

問題なのかよ!


俺は、並行存在魔法で

フラン学園都市の大図書館

にて知識として

この右目の魔眼の力で

解答を導けるが?


ドラニちゃんには?

難しいだろうはずだなよな。」


とつい言葉が漏れた。


ドラニちゃんの場合は?

実技試験や魔法試験

ならば間違いなく

クリアするだろうが?


元から授業中でも

真面目に話を聴いていなかったので、

筆記試験に

不安しか無い状況だった。


その不安視と

学年が上のはずの

他の生徒達の筆記試験の

問題数が?

俺とドラニちゃんよりも

2倍以上少ないのは?

何故なんだよ?

と愚痴をこぼしながら

1週間のテスト期間を終えた…………………


後は、その後のベスト4に

よる各国対抗試合の先ずは?


抽選から始まる。

代表者が学園長の前に

置かれたブラックボックス

から順番にボールを

取り出して?


そのボールに

トーナメントの番号が

記されていて

試合の組み合わせが決定する。


ベスト4に勝ち残った国は?

昨年度と同じ国だった。

チャイ帝国

イギリ大帝国

フラン学園都市国家

スペイ王国


勿論スペイ王国の代表選手

としてジルルシーク兄上が

学園長の前にある

ブラックボックスから

ボールを真っ先に取って

英雄の先生に渡す。


トーナメントは?

AとBに分かれていて

ジルルシーク兄上が引き当てたのは?

Bの1

残った3チームの代表選手が

ブラックボックスから

ボールを掴み取り

英雄の先生にそれぞれが

無言で渡せば……………


Bの2を引き当てた国は?

優勝候補筆頭のチャイ帝国

だった。


盛り上がる観客とは正反対に

スペイ王国の選抜メンバー達

の顔色が一瞬で顔面蒼白へと

なり……………


「俺のくじ運の所為で………

すまなかったな………」


とジルルシーク兄上が

俺達に謝罪の言葉を述べた!

だが!

俺もドラニちゃんも

セシリアもジルグフリードも

この為の隠し球として

予選リーグやこれまでの

トーナメントに出場せずに

待っていたのだ!


「確かにチャイ帝国の

レベルは相当の物だと断言

しますけれども……………


こちらにもSクラスが

3人も控えて

居るんですから………


諦めるには、

まだ早過ぎますよ。

ジルルシーク兄上!」


と俺はジルルシーク兄上を

和ませ様と明るく宣言した。


今まで試合を真剣にこなし

て来た選抜メンバーには

悪いが?

チャイ帝国のSクラスの

嬴政

妲己

への対処法は

俺とドラニちゃんで

先ず負ける事は無いし

こちらには、Sクラスの

ジルグフリードも残っており

元神様の

トール

ネメシス

アテナ

に個人的特訓を希望した

セシリアも隠し球として

残っており、勝機しか感じ

取れなかった事を

ジルルシーク兄上に語れば

選抜メンバー達にも

ホッとした安堵感が

生まれたのだろう。


「それならば?

十分に優勝候補を返り討ちし、この

スペイ王国が………

優勝を勝ち取れる可能性が

御座いますよ。

ジルルシーク王子様!」


と一旦は諦めかけた選抜メンバー達にも

一筋の希望という名の

光が差し込んで

明るさを取り戻し

ジルルシーク兄上に

進言する。 


後はチャイ帝国が

切り札である

嬴政と妲己を誰と

勝負させるのか?

がこの試合の結果を大きく左右するのだろうと考慮した。


時間帯作戦会議の予定は?

3日後の試合開始時間までだが

恐らく俺とドラニちゃんには

チャイ帝国の捨て駒的な相手を用意させて…………

チャイ帝国の勝利の確率を

上げて来る事は?

間違いないだろうが……………


それでも2勝2敗と

縺れる試合展開には持ち込め

ると算段して来るだろうが?

ジルグフリードとセシリア

というこちら側には

切り札が残っており

敗北する気配等微塵も

無かった。


そうして3日後の試合開始予定時間が

迫って……………


先陣をジルグフリードに任せると決断し、その他のメンバーを発表した!


2番手にセシリアを指名し


3番手を伯爵家のアンダーソンに頼り


4番手に俺が初登場し


5番手の副将のドラニちゃんに繋げて


六番手の大将戦をジルルシーク兄上

に任せる。


このメンバーに託すと

ジルルシーク兄上に進言すれば………


ジルルシーク兄上は?


「スペイ王国の総大将には?

トモルシードやドラニちゃんが?

最も相応しいと感じるのだが?」


と俺に問うが?


「チャイ帝国の選抜メンバーにもよりますが………


ほぼこのメンバー順ならば!

スペイ王国の敗北は………


無いと! 予測可能ですよ。

安心して大将戦を楽しんで下さい。」


とジルルシーク兄上に宣言すれば

安堵感を漂わせてジルルシーク兄上が

大きく頷いて見せた。


後はチャイ帝国の試合メンバー順に

よって勝利条件が多少変化するのだが…


ジルグフリードの名が第一闘技場に

響き渡ったその後に?

Sクラスの嬴政の名が発表された!


闘技場のボルテージが一瞬で最高峰に

まで声援がヒートアップし

大声援が第1会場の闘技場を震撼させ


2人が堂々と50メートル四方の

正方形の壇上に立ち上がる。


まるで前の世界のオリンピックの

柔道の決勝戦並に大歓声が…………

緊張感と共に試合会場を埋め尽くす!


試合開始の銅鑼の音が

会場中に響き渡れば?


両者が無言で見つめ合う!


最初から己の最大限の攻撃力を

身体強化にて発揮するのか?


だが?


身体強化すれば 

試合時間の途中で身体強化魔法が

尽きてしまう事実を天秤に掛けて………

両者の様子見が始まっている。


嬴政もジルグフリードも

互いにSクラスで

リスペクトして居る相手なのだから………


不用意に身体強化を出した場合の

アドバンテージとリスクを

想定しながらも剣術の攻撃を

繰り出している。


観客達は?


その剣撃でさえ?

剣閃の残像と斬撃音だけで

二人の戦士のSクラスに

言葉が出無い程に……………

驚愕が襲ってくるのだから

観戦者の熱も上昇する。


「やはり!

侮れないな!


学年差を考慮すれば………

君よりも剣術の技量は上だと

確信していたのだけれど…………」


嬴政がジルグフリードに語る。


その言葉に対して


「チャイ帝国の剣技には………

正直に言えば


対処するだけでも大変ですよ。


ですが!


トモルシード王子の側近として

またスペイ王国の先鋒を任された

立場として………


絶対に負ける訳にはいきません!」


と刃を潰した試合用の剣先を

嬴政に向けて

ジルグフリードが宣言する。


微かにフッと笑みを溢した嬴政が

試合会場の大時計を確認して


試合開始から丁度5分を経過して居る

事を確認して…………


「何とかギリギリ身体強化魔法を

使って君を追い込んでみせるよ!」


と言った直後に嬴政は身体強化魔法で

自分の実力を解放した!


ジルグフリードもその気配に一瞬で

変化を見透かして

ジルグフリードもすかさず身体強化

魔法を自分自身に施して

嬴政と対峙して…………


慎重に嬴政の攻撃範囲を

見極めて防御姿勢に突入する。


俺やドラにちゃんにトリッキーな

攻撃を受けてかなりの剣技を

冷静に受け止めていたジルグフリード

ならば?


嬴政の怒涛の攻撃にも対処可能だと

判断したが……………




刃を潰した長剣をチャイ帝国御自慢の

剣術の型を変幻自在に振り回す


そのスピードは?


普通の学生には………

とても見極め不可能な程だ!


英雄の先生達と

Sクラスの生徒達位と数名の実力者

にはその眼に捉えている事だろう。


勿論俺やドラニちゃんには

ハッキリ クッキリ バッチリ

見えて居る。



だが!


闘技場の観客席には?

その剣速の残像しか見えずに

嬴政のそのスピードに

大きな歓声が響き渡った………


その剣速から放たれる攻撃を

ジルグフリードは?


スペイ王国の剣豪の名家

ガルゴフリード直伝の

技で完璧に対処して見せた!


互いが身体強化して

レベルアップした実力の程は?


闘技場中の観戦者の熱気をさらに

ヒートアップさせる。


その間も嬴政の連続攻撃は続く!


ジルグフリードは冷静に攻撃をしのぐ

が…………


自分自身から攻撃を出す暇を

与えて貰えずに防戦一方の勝負に

若干の焦りが視えた。



然し!

試合時間だけは………

刻々と過ぎて行き

残り時間は3分を切れば

嬴政の方にも焦りが視えた。

そして一度距離を取った両者だった。



「君が?

こんなにも闘えるとは?


想像以上だよ!」


と嬴政がジルグフリードに告げる。

その返答をジルグフリードは?



「この1年間!

トモルシード王子とドラニちゃん

それに加えて

トールさん

ネメシスさん

アテナさん

達の指導をスペイ王国の寮でも



たっぷりと特訓して頂いた成果です。」



と嬴政に答えて

剣を構え直し

始めて自分から攻撃を嬴政に仕掛けた



瞬時に間合いを詰めて

嬴政に慌てさせた攻撃は?


後一歩僅かに届かなかったが………

ジルグフリードの攻撃ターンが

連撃により続く!


剣閃が輝きを放ち

両者の対決が白熱する。


この場合嬴政の受けの剣技の技量を

褒めた方が良いのだろう。


ジルグフリードのラッシュを仕掛けた

猛攻を嬴政は?

躱し、いなし、受け止めた。


そして攻防が逆転仕様とした瞬間に

試合終了の銅鑼の音が

闘技場に響き渡れば


嬴政はガックリと肩を落し

ジルグフリードは?


笑みを浮べて


「勝ちに等しい引き分けを

何とか掴み取った事は

大きな意味を持つ試合でした。」


と笑顔で嬴政に握手を求めた。


悔しさを滲ませた苦笑で

嬴政がその手を握り締め


「トモルシード君とドラニちゃん

以外には勝てると予想していたけど


チャイ帝国に取っては

この引き分けが手痛いな!」


と言って一礼して戻って行った。


ジルグフリードも

スペイ王国チームに戻って来て


「後はトモルシード王子に任せます。


セシリアはチャイ帝国チームを観察

出来たかい?」


と次戦に向うセシリアを励ます様に

声をかければ


「ジルグフリードのお陰で

私にも気合が入りましたわ。」


と返答したセシリアは

闘志を剥き出して緊張感溢れていたので



「気負い過ぎだよセシリア!


チャイ帝国に

トール

ネメシス

アテナ

以上の剣士が存在すると思うかい?


セシリアは

トール

ネメシス

アテナ

と特訓したのだから


もっと心に余裕を持って試合に

望みなょ。

それと条件を1つ追加するよ!


Sクラスの妲己が身体強化魔法が解除

された場合は?

セシリアにまだ身体強化可能であっても………

同じ条件で試合する為に

セシリアも同時に身体強化魔法を

解除して自分自身の実力で対戦する事を念頭に入れておいてくれよ!


試合を楽しむ事を優先して欲しい。」


と笑顔で助言すれば


「そうですよねえ。

始めての大舞台での試合に…………


緊張感に飲み込まれて居ました。


トモルシード王子のお言葉と

トールさん

ネメシスさん

アテナさん

に特訓して頂いた成果を

お見せ致します!」


と笑顔で語ったセシリアには?

もう緊張感と焦りの表情は

無くなって居たので


「気持ちを楽に持って試合に望みな。


この後には俺とドラニちゃんが

控えて居るのだからさぁ。」


と安心させて送り出せば


セシリアの相手は?

Sクラスのもう1人の妲己が

待ち構えていた。


初戦の相手がSクラスだとは?

とも考えたが…………


セシリアの実力の程を測るには

最適な相手でもあると思考を変化

させて見守る事にした。


両者が闘技場の舞台に立ち上がると

試合開始の銅鑼の音が闘技場に

響き渡れば?


妲己がセシリアに対して語りかける?


「昨年度まではBクラスだったらしいが………

今年度には?

Aクラスへと進級したらしいが?


それもトモルシード君の影響が

大きいと睨んで居るわ!」


と余裕を見せながらセシリアに問う。


「貴方の予想通りです。

トモルシード王子の側近として………


全てにおいてレベルアップしている事に、感謝しています。


Sクラスだからと余裕を見せれば

足元をすくわれる事にも成りかねませんよ……………」


試合を楽しむ事に決意を決めた

セシリアには、奢りも緊張感も無く

堂々と妲己に宣戦布告していた。

この言葉に妲己は?


「ならば!

最初から全力で

格の違いを身を持って知るが良い!」


と戦闘モードに入り

身体強化魔法で刃を潰した剣を

セシリアに向けた。


が!


その瞬間セシリアも身体強化魔法で

刃を潰した双剣を構える。


先に動いたのは?

妲己だったが?

瞬時に間合いを詰めた攻撃を

セシリアが双剣にて受け止め剣撃音が

響けば!?


信じられないとばかりに妲己が

連撃数をセシリアへと繰り出すが………

激しい剣閃を鳴り響かせて

闘技場中の観客がどよめき

固唾を飲んで見守り歓声が

後から熱を増して湧き上がる!


妲己自身信じられずに

加速して攻撃を加熱させるのだが………

セシリアは決定打を許さずに

双剣で妲己の素早い剣閃を

耐えしのぐ………


あっという間に試合時間が10分が

経過し一度2人の距離が離れた!?


「まさか!

トモルシード君の側近に?

これ程苦しめられるとは……………


貴方の実力を侮って居た事を

謝りますが!


ここから身体強化魔法が

切れるまでは………


チャイ帝国の武の奥義にて

必ず貴方を敗北させます!」


と一瞬の宣戦布告後に!


舞う様に型を放ちつつ間合いを詰める

妲己に対してセシリアは?

双剣の右腕を前に出し

左腕を逆手に持ち替えて

自分の身体に隠して妲己を待ち構えて

微笑を浮べて居る。


俺とドラニちゃん

トール

ネメシス

アテナ

以外の者達が

このSクラスの妲己との拮抗した

試合展開を想像していた者は?

恐らく誰も居なかったに違いない。


ジルグフリードだけは?

もしかしてならば

薄々特訓して居た事に気付いて

いたかも知れないが?


闘技場中の観客が

その事実に気付くはずも無く

大歓声だけが二人の試合展開に

拍車をかける……………


普通の学生達には?

その激しい攻防を目で追える者達と

見えなかった者達に完全に分かれていた。



Aクラスの学生には………

2人の戦闘シーンがその瞼に焼き付けられて

Sクラスの妲己の猛攻への対処方法を

考え込ませる程の剣撃を目にする。


殆どの学生達には、剣閃の衝撃音に

目を奪われて残像だけにとらわれる。


闘技場の熱戦に浮かれる観客達には

妲己の攻撃を何気なく…………

無効化するセシリアの剣技の繊細な

体重移動や予測可能にまで到達して

居る驚くべきセンスにまで…………


頭が回っていなかったが?


試合時間が17分を経過した処で

妲己が一度距離を取り


「貴方の実力の程をこの妲己が………

見誤って居た事には、謝って置きますが!?


身体強化魔法も既に限界値に

近い為に………最高難度の技で勝負に

出ますわ!」


妲己はそう宣告して

自分の刃を潰した剣に魔力を

全て込め出した!


一瞬でそれに気が付いたセシリアも

二本の双剣を前方に構えて

常人には判断出来ない様に

双剣に振動を与えて

妲己の一撃を霧散させようと

魔力を双剣に流して蓄え始めた!


俺はチラリとトールを見据えれば

目が合ったトールが無言で頷いた。

セシリアの振動波は?

恐らくトールの入れ知恵だと確信した


妲己もその状況を把握し

完全に魔力を剣に蓄えないままに

勝負に出た!


「降龍一刀派!」


と叫びセシリアに襲い掛かった! 

恐らく俺やドラニちゃんへの

秘密兵器だったのだろう。

威力的には、セシリアの双剣の振動波

に焦りを覚えて放った一撃だったが!


その剣先には、紛れもなく降龍が君臨してセシリアを強襲する。


妲己の90パーセントの降龍一刀派が

セシリアに直撃するが…………

セシリアの振動波がその一撃の80

パーセントを振動波にて迎え撃った。


完全に無効化出来なかったセシリア舞踏会場の中心地から吹き飛ばされたのだが………………………


右手の双剣を闘技場に突き刺して………

後10センチメートルの場所で踏み止まった!


「あの必殺技を………まさか?

貴様に返されるとはなぁ………


身体強化魔法も既に事切れている。

この妲己が?勝ちきれぬとは………」



「今の一撃で私の身体強化も

切れました!後の試合時間は

自力勝負と受け取りますょ!」


セシリアは笑顔で妲己を挑発さしてのけた! あまりの成長具合に

感激さえ覚えた俺だった!


身体強化の切れた2人の戦いは、とても泥臭い戦いだったが!

見る者達に希望を与えた。

結果として両者引き分けになったのだが、記録よりよ記憶に残る名勝負だった


「最後に貴殿と戦えた事は………

非常に参考になった。

来年度には、必ずSクラスへと上り詰めるであろう。 名をもう一度聞かせてくれ…………」



妲己の思いも寄らない言葉に唖然としながらも


「スペイ王国トモルシード王子の側近

セシリアと申します。」



その返答に


「来年度はSクラスにて

セシリアを待っそれだけの価値のある試合結果だったぞ!礼を言うぞ!」

 

そしてチャイ帝国との試合結果は

2引き分けになった。


清々しいまでの笑顔で

俺の前まで戻って来たセシリアが?


「合格点を頂けましたでしょうか?」


と俺の前で跪きながら顔を上げる。

俺に?感想!を求めているのかなぁ?

と判断して………


「想像以上の試合結果だったよ!

あのチャイ帝国の妲己と余力を残して

の引き分けには………

正直言って驚いているが………


ソレもトール!

ネメシス

アテナ

達3人の特訓のお陰である事実を

感謝する様にな!」


とセシリアに告げれば


「トールさん

ネメシスさん

アテナさん

本当に有難う御座いましたぁ。」


深々と頭を下げながらセシリアが

3人に礼を伝えれば、代表してトールが


「セシリアさんが努力を怠らなかった事が、結果として芽吹いただけですよ」


その一言に対して?


「いつの間にそんな特訓を

していたんですか?」


ジルグフリードジト目で

俺を見て来たので………


「まぁまぁ………」


と一呼吸置いてから


「国別対抗試合が、毎年恒例の行事だと知った時からセシリアには

極秘任務として

トール

ネメシス

アテナ

の3人に指導してくれと頼んでいたよ。」


ジルグフリードが一言


「自分も特訓に参加したかったです。」


と小さく呟いた。


そんなやり取りの最中に

3回戦の試合開始の銅鑼の音が

響き渡った。


チャイ帝国サイドからは

妖艶に微笑みながらスタイル抜群な

女性剣士が出場して来た。


スペイ王国サイドからは

伯爵家出身の4回生アンダーソンが

相対していた。


どちらの人物もAクラスのトップ5に

名を連ねる猛者であると情報は知っていたが………


嬴政VSジルグフリード

妲己VSセシリア

Sクラスの試合後には………どうしても

見劣りしてしまう。


だが試合展開としては?

どちらも白熱した展開を続けていた。

攻防もあと一手届かない決め手に欠けるが………試合後半まで優劣に差は無かった。


試合時間残り1分を切った所で

伯爵家のアンダーソンの動きに精彩を

欠き出したのだった!


その機会を逃さずに

チャイ帝国の妖艶な美女が

アンダーソンを追い詰めて…………

結果アンダーソンは?


場外負けを味わった!


ほんの僅かな体力差で惜敗したので

あった。

息を切らせながらも

ジルルシーク兄上に対して


「期待に応えられずに申し訳ありませんでした…………」


と反省を述べたが、昨年度準優勝国の

年上の相手に対してほぼ互角に闘った

のだから俺はついジルルシーク兄上

より先に………


「一方的に負けた訳では無かったのだから、自信を持ちなさい!

そして自分に何が足りなかったのか

冷静に分析すれば、来年度は必ず

現状よりも数倍強くなれますよ。」


とアンダーソンを励ましていた。

ジルルシーク兄上もその言葉に

頷きながら


「来年度は、私の妹のルシーシアが

入学するのだからアンダーソンよ!


この惜敗を糧として

ルシーシアの事を頼んだぞ!」


とアンダーソンに命じた。


「ハッ! 必ず御期待に応えられる

ように精進致します。」


これで俺の試合に成った。

チャイ帝国の1勝に嬴政と妲己以外の選手と控え選手が湧き上がって居たが

Sクラスの2人は俺に視線を向けて

推し黙って居た。


俺の試合相手は?

学生とは思え無い程の身体をした

190オーバーの如何にもパワー系の漢

が手にした武器は?

大槍だったので………


俺は敢えて普通の棍棒を手にして会場へと上がった。


チャイ帝国の代表選手と相対して

改めてコイツ本当に学生なのか!?

と自分自身との体格差に唖然と成った

そんな俺に対して


「フン!

嬴政様と妲己様が不安視される程の

人物とは?

とても思え無いが………


まぁそんな事は、どうでも良いが!

君が痛い思いをしたくなければ

敗北を宣言すれば、寛大な心で

受け入れてやろうぞ!!」


と俺に対して対話して来た。


「それは御親切にどうも有難う。

だが余り人を見た目で判断するのは…

あなたの底が見え見えでしょう!」


俺の言葉にチャイ帝国の代表選手が

顔を上気させながら………


「どうせ魔法が得意なだけでSクラスに入れただけだろう!

剣武の才とパワーの格の差を

その身で思い知れ!」


鬼の様な形相で、彼が吠えると

同時に試合開始の銅鑼の音が鳴った。


案の定彼は、大槍を振り回しながら

一直線に俺に襲いかかってくる。


俺は、自分の魔力を棍棒に注ぎ込み

一歩前に踏み出して彼の自慢の一撃を

弾き返す。


繰り出され続ける連撃を全て弾き返せば、彼は連撃を繰り出す度に一歩また

一歩後退させられる。


彼には理解し難い出来事だった。


大槍で一騎加勢に叩き込んでいるはずの

自分が後退を余儀無くされている事実に?


そしてただの棍棒に押されているなんて

想像の範疇を超えている。


「俺の攻撃力よりも此奴の受けの力が上だと!」


気付けばあと数歩で場外に落とされ

かねない状況に焦りが募る。

一度構え直した大槍でフェイントを

駆使して右側に逃れようとして

俺の動きを確認して………


引っ掛かったと確信して逆サイドに

飛んで危機を回避したつもりだった。

大柄な体型を感じさせぬ

俊敏さだった。


が!


「甘いですよ! フェイントが!」


逃げ切れたはずの攻防だけに

眼の前で棍棒を突き付ける俺に

彼に戦慄が走る!


嬴政様と妲己様の警戒心を信じて

策略を講じて臨むべきであったと………


一瞬の判断で彼は奥義を放った!


「旋回両断牙突!」


だがその一撃さえも棍棒で

大きく弾かれて


大槍を手放す寸前まで弾き上げられた挙句に、片足が既に場外に押されている

片足で踏ん張ったが!!


大き過ぎる隙を相手に渡してしまっていた。


俺は、棍棒でガラ空きの胸をチョンと

押すだけでチャイ帝国の巨漢の選手が

場外に落ちていった。


「勝負アリ!

スペイ王国の勝利!」


と審判員の教師が言い放った。


その言葉に観客席から大歓声が湧き上がった。

その歓声を背に俺は、試合会場から

降りながらドラ二ちゃんに一声かける


「絶対に本気を出して試合しちゃ……

駄目だからなぁ!


相手を死なせない為にも絶対に!」


と言ってバトンをドラ二ちゃんに

託した。


ドラ二ちゃんは?

不機嫌そうに


「詰まらぬな!

それでは試合では無く指導では………」


と愚痴を言いながら

武器も持たずに素手で階段を

登って行った。


これで

1勝 1敗 2引き分け

ドラ二ちゃんの勝ち確定で

ジルルシーク兄上の勝負で

例え敗北したとしても

代表選手による決定戦が残るので


ジルルシーク兄上には、不安無く

試合にだけ集中出来ると判断した。


「トモルシード。勝利を感謝するぞ。」


とジルルシーク兄上に声をかけられて


「有難うございます。

ドラ二ちゃんが必ず御期待に応えると計算してますから………


ジルルシーク兄上におかれまさしては

特訓の成果を緊張すること無く……

安心して試合に臨んで下さい。


チャイ帝国の大将は?

負けを許されない状態で、心理的にも

ジルルシーク兄上の方が余裕が

有るのです。」


とジルルシーク兄上に助言すれば


「確かにな!

仮に私が負けても決定戦が

有るのだから………

試合を楽しめそうだよ。」


笑顔で答えたジルルシーク兄上には

準決勝戦への不安感はもう無かった。


チャイ帝国の大将は、ジルルシーク兄上の同学年のライバルらしいが

特訓のお陰で自信に満ち溢れている。


そんな時に、ドラ二ちゃんから俺に

念話が入る。


「ヤバイ事態になったぞ!

幻影の世界にハメられて

トモルシード

ジルグフリード

セシリア

嬴政

妲己

英雄の先生達

ナポリオン

アレクサンダー

マリーナ アントワネット

クレサ パトラ

との闘いになったぞ!」


念話で捲し立てて来たドラ二ちゃんへ


「俺達は、普通に観戦してしているよ

幻術で相対している者たちは

決して本物ではないから………


全員倒しても何の障害も無いよ!」


とドラ二ちゃんを諭せば


「安心したぞ!

よくも我に動揺を………」


それで念話が終わると

試合会場で独りで素手で視えない敵と

戦い始めたドラ二ちゃんだが?


観客もその他の俺を含めた全員が

ドラ二ちゃんの舞う様な素手での

攻防戦に!?


「試合相手を目の前にしながら………

何をイキナリしているんだろうか?」


と観戦して居る者達も

不思議そうに見守っていた。


嬴政と妲己

チャイ帝国の者達は冷静に局面を

見据えて居る。


俺は冷静に分析して

思考加速で幻影の原理を追究し

一つの仮説に辿り着いた。


対戦相手のチャイ帝国の彼女の能力は

自分の幻影世界では

己が直接目にした人物をコピーして

その人間の目にした能力で勝負する


という結果だが………

俺の試合では実力の一割にも満たない

力で勝利している為に、ドラ二ちゃんを

煩わせる心配は無いが………


嬴政や妲己

は例外的に実力を彼女に見せていたし

その二人と闘ったジルグフリード

セシリアのコピーは成されて居ると

考えたが!


次第にチャイ帝国の彼女の表情が

曇って最後には、蒼白くなってしまった


どうやらドラ二ちゃんが

幻術の相手全てを素手で

滅ぼしたのだろう…………


「味方を滅するのがどんなに我を

不快にさせたのか!


思い知れ!」


チャイ帝国の選手の彼女の襟首を

掴み上げて、場外に!吹き飛ばした!


俺は瞬時に低位瞬間移動魔法で

投げ飛ばされたチャイ帝国の彼女を

第一闘技場の壁に激突する寸前に

受け止めてドラ二ちゃんのパワーを

回転して何とか逃したのだが………


チャイ帝国の選手は、既に気を失って

いたので、チャイ帝国サイドまで彼女を

お姫様抱っこして届けた。


そして嬴政に


「ドラ二ちゃんを不用意に

怒らせるなよ。

俺が間に合わなかったら、彼女は今頃死んでたぞ!!」


嬴政も妲己も顔色を変えながら


「すまなかった。

トモルシード君。」


と言いながらもドラ二ちゃんへの

恐怖心に葛藤していた。

それは、彼女の能力を理解しているので自分達の強化した幻影でも

ドラ二ちゃんには余裕で倒された事実に…………


これで

2勝1敗2引き分け

ジルルシーク兄上が

仮に敗北しても!?

代表決定戦へと持ち込める。


チャイ帝国サイドは、必ず勝たなければスペイ王国に敗北になるだけに

大将戦の人物には

大きなプレッシャーがのしかかる。

過度な緊迫感は何らかのミスに

連結しやすい状態なのだから………


ジルルシーク兄上に笑顔で


「対抗試合だと考えずに

練習試合と考えて、相手を挑発すれば

相手のミスを誘い出せると思います。


その瞬間に勝利が見えますよ。」


とジルルシーク兄上に提言すれば


「確かにトモルシード達の奮闘に

よって、心に多少のゆとりが出来たよ


フラン学園都市に入学しずっとAクラスでトップの座を争った1人だが………


切羽詰まって居るのは、

チャイ帝国だからなぁ。


見ていてくれ!

トモルシードょ。

特訓の成果をな!」


そう言って笑顔で試合会場に踏み出した

ジルルシーク兄上に

俺達全員から


「頑張ってください!」


とエールを贈る。

一つ頷きながら試合用の刃を潰した

騎士剣を手に取り舞台に登る。


試合開始の銅鑼の音が鳴り響いて


「何を笑っておるのだ!!

ジルルシークよ!」


とチャイ帝国の代表選手の大将が

怪訝そうに問う。


「立場の差を考えていただけさ!

貴様の勝利条件は、必ず私に

勝たなければ成らない。


立場が逆ならば、私自身焦ったはずだがね………


私は引き分けでもスペイ王国の勝利 

を手繰り寄せられるのだから

貴様には無い心の余裕があるのだ!」


その言葉に対して顔に青筋を立てながら、怒り心頭に顔色を変えたチャイ帝国の大将をみれば?


自ずと勝敗が察知された。


案の定突っ込んで来るチャイ帝国の大将を躱し捌きながら見事に距離を取り

牽制するジルルシーク兄上に

痺れを切らした総大将が追い回し

剣技が荒くなる。


そうしてミスが重なり

ジルルシーク兄上が

特訓の成果を見せて

下段から相手の剣を薙ぎ払い。

見事にチャイ帝国の大将の首に

騎士剣を当てたのは?

試合開始後10分後の事だった。


勝者スペイ王国!


と審判に告げられて

スペイ王国の決勝進出が

3勝1敗2引き分けで

決まった。


相手はどうやらもう決して居るらしい

昨年度の優勝国のイギリ大帝国だ。

一日開けて明後日この第一闘技場で

決勝戦が開催されると学園長が

拡散される放送魔法で、観客達に

宣言したのを聞いた後に

スペイ王国の寮へと戻って来た。


ジルルシーク兄上の部屋に控え選手も含めたスペイ王国代表選手が招待され

宴会と優勝戦への論議が始まった。


「スペイ王国建国以来!

初のフラン学園都市国別対抗試合

の優勝国への道が………


初めて我等の視界のすぐ目の前まで

来たのだから、今日は遠慮せずに

宴会を楽しんでくれ!!」


とジルルシーク第3王子の兄上からの

言葉に対してドラ二ちゃんが


「我の活躍さえあれば

チャイ帝国に勝利など不可能だった。


トモルシードの兄上の好意に甘える

としよう!」


そう呟いた後、物凄いスピードで

食事に手を伸ばした。


俺やトール

ネメシスとアテナ

それと今回の秘密兵器として

頑張ってくれたセシリアと

ジルグフリード以外のスペイ王国の

関係者達全員がドラ二ちゃんの食欲に

冷笑を浮かべて居たが………


「皆遠慮せずに

ドラ二ちゃんの様に楽しんでくれ!」


と笑顔を浮かべて語る

ジルルシーク兄上に対して


「ありがたき幸せです。」


とジルルシーク兄上に一礼し

食事会が始まった。


俺もジルルシーク兄上の隣の席で

食事をゆっくりと楽しんでいれば?

小声でジルルシーク兄上から問われた?


「トモルシード!

相手国は去年の優勝国イギリ大帝国

だけに………少々不安だな。


準決勝戦の相手国イタリ王国戦では

1人のSクラスのアテネと言う女生徒

以外の選手を倒しての決勝進出だと…」


表情を強張らせながら囁いた

ジルルシーク兄上に対し


「心配は無用ですよ。

ジルルシーク兄上!

 

自分とドラ二ちゃんと

ジルグフリードで必ず3勝します。


兄上には、来年度から入学する

ルシーシアの為に決勝戦を

経験させる者達を2人選んで下さい。」


と笑顔で不安気なジルルシーク兄上に

小声で語れば………


「そうかぁ………

ルシーシアの為まで先を読んで…

おったのか!?


トモルシードには………敵わぬなぁ。

だが私自身の不安は、無くなったぞ。

改めて礼を言う。


今夜は、楽しんでくれ!」


その言葉に頷き返して

ドラ二ちゃんに対して小言を言う。


「チャイ帝国の選手を殺していたら

反則負けだったんだぞ!


ドラ二ちゃんは、もう少し手加減を

覚える必要性が有るんだからな!」


料理を次々に食しているドラ二ちゃんにお説教を述べれば


「トモルシードが必ず何とかするだろうから………

それに我の立場に成ってみよ!


味方の選手や嬴政や妲己達が、幻影だったとしても襲って来たのだから………


我も念話でトモルシードに確認するまでは、焦っておったのじゃ!!」


と下から睨み返してきた。


俺自身もそんな幻影を魅せられれば

正気を失ってしまっても、可笑しくは

無い。


だがチャイ帝国の女性選手を助けて

抱き抱えた時に幻影魔法を修得した。


だからもう既に俺に対しての幻影魔法は

通用しないのだが………


珍しい魔法を修得したのだから

まぁ良しとして………

宴会を楽しんだ。


そして翌日の作戦会議が

ジルルシーク兄上の部屋の会議室にて

始まった。


円卓の会議室には

お茶の準備と軽い軽食とお菓子類が

用意されていた。


俺達が最後の関係者席に座り終えれば


「先ずは、皆昨日の準決勝戦では

各々が頑張ってくれて

礼を言う!


明日の決勝戦についての

会議と作戦を始める!!」


そうジルルシーク兄上が

腕を組みながら語り出した。


全員が真剣にジルルシーク兄上の言葉

に頷く中で、1人だけ

ムシャ ムシャ とお菓子を頬張りながら…………


「トモルシードの兄上よ!

心配せずとも我がスペイ王国に

居る限り絶対に負けやせぬぞ!」


とドラ二ちゃんが宣言すれば


「そうだな。

ドラ二ちゃんへの期待は

100パーセントあるのだが?


昨夜の宴会でトモルシードから

提案された決勝戦の大舞台を

経験させるメンバーの選出を話し合いたいのだよ。」


とドラ二ちゃんに笑顔で応える

ジルルシーク兄上に対して

見た目の可愛らしさからなのか?

スペイ王国の人間は………

ドラ二ちゃんに対して非常に甘いのだから………………不思議で成らない?


俺は何で何だろうか………と思いながらも


「選抜メンバーの伯爵家から

2名選べば、そのまま来年度から

ルシーシアの側近として期待出来ると

思いますけど……………


ジルルシーク兄上の配下の者達の

不満がなければの話ですけどね。」


とジルルシーク兄上に提案すれば


「う~む。

私は、弟のトモルシードの意見に

賛成だが……お前達はどの様に考える。」


視線で理解したのか。

ジルルシーク兄上の同学年の側近が

返答を返す。


「ジルルシーク王子が

来年度からフラン学園都市に

入学されるルシーシア王女様の事を

御心配される御気持ちは

勿論理解しています。


私達は、昨年度のベスト4を超えて

目標達成して居ます。


後はジルルシーク王子に

賛同致します。」


と周りのジルルシーク兄上側近達を

見ながら応えた。

他のジルルシーク兄上の配下達も

頷きあって賛同している。

それを笑顔で受け止めて


「それでは、トモルシードの提案に

賛成で良いな!


伯爵家の3名から決勝戦のメンバー

2名を選出するぞ!


伯爵家の3名は、その場に立ちなさい。」


急にジルルシーク王子に呼ばれて

伯爵家の3名が ハッ とその場に

立ち上がった。


男女3名の伯爵家のメンバー達の

顔色が緊張感で青ざめて行っている。


無理も無い元々昨年度までは

選抜メンバーでさえ無かった者達が

助っ人として、急遽今年スペイ王国

選抜メンバーに抜擢された者達なのだから……………何とか緊張感だけでも

消し去って遣りたくて


「ルシーシアの側近として

大舞台に立たせて上げたいだけだよ。


勝負は時の運だが、負けても良い。

俺とドラ二ちゃんとジルグフリードで最低限3勝は確実なのだから


今現在の自分達の実力を

大舞台で確かめる為の

絶好のチャンスだと気楽に

考えて欲しいんだよ。」


俺の言葉に少しだけ緊張がほぐれたのか?

ぎこちない笑顔で、俺の言葉を

受け止めていた。


円卓で立ち尽くしていた3人の伯爵家の者達を一度座る様に促してから


「準決勝でチャイ帝国の選手と

闘ったアンダーソンに1つ問うよ。


君はあの準決勝戦で、何を感じたのかなぁ?」


ゆっくりとアンダーソンに視線を向け

問えば……………

少し考えながら………


「あの試合で、自分自身の持久力の無さを痛感致しました。

折角の特訓の機会を頂きながら………

色々な指導を

活かせられませんでした。」


と答えたアンダーソンに対して

俺はアドバイスを贈る。


「初めての大舞台での大観衆の前での試合だったはずだ。


緊張感や緊迫感それに

プレッシャーが上乗せされれば


日頃の特訓の成果の5割程度しか

発揮出来なかったはずだが………


それでもアンダーソンが感じた

持久力不足を感じた事実がまさに

これからの課題になるよ。


人は誰しも真剣勝負の場合

身体に余計な力が入り、無意識に

体力と精神力を消耗して

普段通りの力を出せなかったりする。


その事実に向き合って

己自身を鍛え上げれば

アンダーソンは必ず強くなれるよ。


準決勝で良い経験をしたな!」 


アンダーソンに告げれば

ホッとした表情で 

有難うございます。

と答えたので


「アンダーソンは、準決勝で貴重な

経験をし自分自身を冷静に判断し

今後に備えられるだろう。


では、伯爵家のアリス

ジルルシーク兄上の配下の伯爵家

グレースの2人に決勝戦を経験させる


と云うのは、どうでしょうか?

ジルルシーク兄上?」


と俺は提案した。


一拍置いてジルルシーク兄上が

言葉を紡ぎ出した。


「本音を言えば、私と同学年であり

今年度で卒業する者達を

優勝戦に出場機会を与えたかったのだが……………


妹であるルシーシアの今後を案ずれば、トモルシードの意見が正しい。


ソナタはどう思った!

ルイス!」


と同学年でもあり、頼れる友人でも

有るらしい知略に優れた参謀に問う。


「トモルシード王子のお陰で

優勝戦に初進出出来たのですし

ジルルシーク王子がルシーシア王女を大切に思われている事実も理解して

いますので


トモルシード王子に賛同致します。


但しグレースとアリスには

ジルルシーク王子の筆頭側近として

命じて起きます。


必ず、決勝戦の経験を活かして

ルシーシア王女の事を御守りせよ!」


その言葉に

グレースとアリスが

起立して ハッ と返答する。


「と言うことだよ

トモルシード。」


ジルルシーク兄上のゴウサインが出て

明日の選抜メンバーが決定した。


自室へと戻れば、ジルグフリードから


「セシリアを出場させれば

スペイ王国の優勝は、決定的………

なのでは?」


と問われ


「それでは、ジルルシーク兄上の

功績が目減りするだろう。


あくまでも、スペイ王国の総大将は

ジルルシーク兄上な理由だから………


それにジルルシーク兄上と

イギリ大帝国の総大将は?

ライバルらしいからな!


優勝戦は、弟としてジルルシーク兄上を応援するべきだろ?」


笑顔で応える俺に対しての

ジルグフリードの尊敬の眼差しが………

少しだけ恥ずかしいが


セシリアだけが

生暖かい眼差しを俺に向けて

クスクスと小さく微笑みを浮かべる。


そうして決定した選抜メンバー

先鋒 グレース

次鋒 アリス

中堅 ジルグフリード

同じく中堅 トモルシード

大将閣 ドラ二ちゃん

総大将 ジルルシーク


と なり明日に備えた。


翌日の10時に第一闘技場集合であった為に各自ゆっくりと睡眠を取り

俺達はスペイ王国の寮でメンバーと合流

して試合会場に向かった。


国別対抗試合決勝戦の第一闘技場には

各国の王族達やその側近達で

観客席が埋め尽くされて、大声援が

湧き上がる。


「国別対抗試合決勝戦!

両国入場、イギリ大帝国と

スペイ王国。」


東西の出入り口から

代表選手達が現れれば

第一闘技場のボルテージが加熱する。


スペイ王国はジルルシーク兄上が先陣を斬って試合会場へと、ゆっくりと歩みを進めた。

会場の声援に応えて微笑みを浮かべながら片手を振りながら、堂々とした入場であった。


50メートル四方の試合会場を挟んで

両国の控え選手を含んだチームが相対すれば、フラン学園都市学園長よりの

宣言が始まった。


「今年度の各国対抗試合決勝進出国は、昨年度優勝国のイギリ大帝国の

ジョン王子を総大将に勝ち上がった。


対してその相手国は、昨年度ベスト4

入りを果たした

ジルルシーク王子が総大将の

スペイ王国!


この第一闘技場で観戦出来ない者達には、格闘技場に映写技師の魔法の

スクリーンにて、中継される為

学生諸君は、決勝戦を刮目せよ!


それでは、両国先鋒の選手達よ

試合会場へと上がりなさい。」


先鋒のグレースが


「ジルルシーク王子様。

行って参ります!」


ジルルシーク兄上と

俺達にも一礼してグレースが

緊迫感と闘志を胸にステージに向かった。


イギリ大帝国の先鋒も女子選手が選ばれていたので、女性同士の熱い火花が

両者の間に見えた様に感じ取れた。


グレースには、先日俺とドラ二ちゃん

とジルグフリードでの3勝は、確実だと告げてあるので、多少の緊張感はあるが、今現在の自分の実力を把握するだけで良いと肝に銘じさせたお陰で

グレースの表情には、いくばくかの

余裕すら伺える。


刃を潰してある騎士剣を手に取り

2・3度振り回して確認すれば

試合開始の銅鑼の音が鳴って

2人の戦闘開始が告げられた。


20分一本勝負、場外負け有りの

試合開始の幕が上がる。


グレースもジルルシーク兄上の特訓に参加して、身体強化が可能になる一歩手前まで成長していたので、

イギリ大帝国の先鋒の彼女の奇襲にも

対応して見せた。


一学年年下のグレースに

自分の攻撃を難なくしのがれて

少しだけ焦って居る様に感じたが………


グレースは、慌てて追撃をする気配も無く、相手の攻撃に備えながらも

目まぐるしい応酬戦を気に掛けながら

様子を伺う。


試合開始時間から15分が経過した頃からグレースの剣技に不安定さと

呼吸の荒さが感じ取れた。


大舞台での大観衆の前での決戦に

緊張感と緊迫感とプレッシャーに

グレースの身体が悲鳴を上げる。

その隙を逃す様な相手では無かった。


少しずつグレースを試合会場の角に

追い詰めて、3分後には………

場外負けになってしまった。

荒々しい呼吸を整えながら

戻って来たグレースが


「本番と練習試合との差を

身に沁みて感じ取れましたが………

ジルルシーク王子様………

誠に申し訳ありませんでした。」


と悔しみを覗かせながら謝罪する

グレースに対して

ジルルシーク兄上は


「この試合で、何かを感じたのならば

来年度は妹のルシーシアに

協力してくれ。」


ハッ とグレースはその場に跪いて

ジルルシーク兄上の言葉を受け止める


まぁまぁ上出来の試合内容だったと

俺は判断して、


「生死をかけた戦場ならば、もっと

実感するだろうけど………

幾ら特訓してもその半分の実力しか

出せなかっただろうから………

良く頑張ったと褒めておくよ。

これを飲んで、一旦身体と頭を

回復させてから、残りの試合を

観察してくれよ。」


グレースに普通のポーションを渡した。


一度滅相もありませんと拒んだが

ジルルシーク兄上から


「有り難く受け取っておけ。

トモルシードが言うのならば、きっと

グレースにとってその方が良い経験に

繋がるのだろう。」


ジルルシーク兄上の言葉に、グレースが

頷きながらポーションを受け取って

一息に飲み干した。


同時に次鋒戦アリスの試合開始の

銅鑼の音が響き渡った。


アリスの選んだ剣は?

グレースと同様に騎士剣の刃を潰した

剣を手にしていたが………

相手の攻撃を上手くいなしながら

どうやら体力を温存する気らしい

動きであった。


準決勝でチャイ帝国と試合し実感した

アンダーソンからの忠告に従って

いるようだ。

アンダーソンがボソッと呟いていた。


「格上の相手に対して無理に

撃ち合うなよ。」


成る程なぁ

アンダーソンの助言を素直に受け止めて

前半の時間帯は、体力温存で

試合時間内での体力差を埋める算段か


それでも、通用するか?

対戦相手の冷静さ次第ではあるのだが

悪くない判断だと考えて

アリスの試合を観戦する。


試合開始から1分ほど攻撃を

一方的に続けていたイギリ大帝国の

男子選手が………ピタリと動きを止めて


「フン!

体力の温存を優先した戦術だろう。


それならば、こちらも闘う戦法を

変更するのみだ!」


とアリスにわざわざ宣言して


フェイントを入り混ぜた攻撃を

繰り出して、アリスを精神的にも

肉体的にも疲労する様に

攻撃方を変化させてきた。


力任せの技の剣撃を受け流すならば

精神的な疲労感は左程感じないが………

フェイントが織り混ぜられた剣撃には

アリスも精神的ストレスが否めない。


流石は、昨年度優勝国イギリ大帝国の

優勝戦のメンバーだと評価するしか

無かった。


そんな攻撃で、10分間以上耐え抜いた

アリスは、追い詰められた精神的

ストレスに抗う様に勝負に出た。


自分から初めて攻撃を仕掛け始めた。


アリスの判断は確かに正しい物だったが…………………


大舞台慣れしている。他国の上級生にとっては、願ってもないチャンスへと

変化した相手国のアリスに業と隙を

作り出して、アリスの攻撃を誘導する。


そうして、アリスの攻撃の範囲を確定

させて、アリスの剣撃を弾き返す。


知略に優れた戦法を受け続ければ

何度も大きな隙を力技でもぎ取ろうと

するが……………

逆にアリスがカウンターを受け

一瞬でアリスの脳内は、パニックに

落ちかける。


精神的にも肉体的にも徐々に

追い詰められて征くアリスには!?


屈辱の時間がやがて訪れた。


試合時間19分で……………


決定的な隙を眼前に見せられたアリスは、そのチャンスに飛び付いた。

渾身の一撃を相手の選手に浴びせたのだが!?


アリスはその騎士剣をクルクルと

巻き取られて弾かれて?

己の手から騎士剣を吹き飛ばされて

唖然と成ったその瞬間にアリスの肩に

イギリ大帝国の男子選手の騎士剣が

トンと置かれて………

勝敗が決した。


「イギリ大帝国の勝利!」


と宣言されて、アリスが我に返り相手に

戦略で既に勝敗は決していたのだと

ここで気が付いた。

イギリ大帝国の選手に、自分自身

翻弄されていた事実に旋律さえ覚えた


これで、戦績は0勝2敗に追い込まれた

  

だが、此処からがSクラスの見せ所なのだから、ジルグフリードへと後を託す。


悠然と勝負に挑もうとする

ジルグフリードに………


「Sクラスの選手では無いのだから

勿論 身体強化魔法の使用は禁ずる。」


と俺は、ジルグフリードに語れば………


「畏まりました。トモルシード王子。」


と平然と答えて壇上に刃を潰した騎士剣を携えてゆっくりと歩みを進めた。


相手国の上級生に対しても

ジルグフリードには、気負いも焦りも無く剣先を相手国の選手に向けて


「いくら巨漢であっても………

何のプレッシャーにもならないさ!


身体強化魔法を禁止されても

精々5分持てば、誇ってもいいぞ!」


イギリ大帝国の選手を威圧して見せた


相手のイギリ大帝国の巨漢の漢も本気で、逆上を顕にしたのだが5分で勝敗

は決した。


勿論、ジルグフリードのパワーと剣技

にて対戦相手を圧倒する勝利だった。


「良くやったよ。 ジルグフリード!」


と、微笑んで称賛したのだが


「あの程度の相手に5分もの時間を

費やし事に………

トモルシード王子の配下として

恥ずかしいです。」


と返してきた。


ジルグフリードは、愚直に剣技に

対しては非常に自分自身に酷しいのだ

眉目秀麗な顔を少し不満気に

眉をひそめながら答える彼に………


剣豪の家系も色々と大変なんだなぁ

と感じながら準決勝と同じ武器の棍棒

を手にとって壇上へと上がった。


1勝2敗で、俺にバトンが渡った。


俺の対戦相手は、飄々とした上級生で

いきなり話しかけて来た。


「君が、Sクラスを誕生させた

スペイ王国の第4王子の………

トモルシード君だよねぇ?」


そうですよ と返答すれば


「俺のくじ運最悪じゃん。

どう足掻いた所で、君には勝てない。


だけど…………こんな機会でもない限り


君との手合わせなど不可能みたい

だから、全力で挑戦させて貰うよ~。」


実に、軽く軽率な態度に

恐らくAクラスでも上位の実力者だと…

睨んだが、俺は準決勝のチャイ帝国戦

と同じ戦法で対処すると決断した。


「お手柔らかに、お願いしますよ

先輩。」


棍棒に自分の魔力を流しながら

試合開始を待つ。


銅鑼の音が響き渡り

試合開始になれば、宣言道理

飄々した上級生が、フェイントを

混じえながら、剣撃を繰り出して来た


俺の瞳には、フェイント攻撃は

通用しない。

繰り出された一撃を、まともに受け

止めて攻撃力以上の力で弾き返し

相手が一歩ずつ後退させられる。


観客席の大観衆も対戦相手本人でさえ

攻撃している方がなぜ?

攻撃する度に一歩ずつ後退するのか?

違和感を感じる様子に…………


イギリ大帝国の選手の上級生は…………

不意に気が付いた時点で

場外負けまで後1メートルまで追い込まれた状況で、刺突の連撃で俺の左右

どちらかに逃げようとしたのだが………


棍棒を回転させ全てを打ち消せば

左右どちらにも逃げ出すチャンスが

無くなって、右側の端へと逃げると

見せかけて、逆サイドの左側へと素早く

ジャンプしたイギリ大帝国の選手に


完全に裏を取られた様に装い

逃げた先で、安心した相手の前に

突然一瞬で現れて度肝を抜く!


「アハハッハ。

これは、恐れ入ったよ~。


完璧に裏を付いた、筈だったのに〜

逆に選択肢を奪われるとは……………」


50メートル四方の試合会場の角に

追い込まれた、上級生が最後の攻撃とばかりにチャイ帝国の選手と同様に

自分の奥義を繰り出した。


下段からその攻撃を、受け止めて

身体ごと弾き返しバッグさせれば、

自分の武器は天井へと向き、

その間に空いた胴を

チョンと突き出せば……………



イギリ大帝国の大帝国の先輩は?

城外負けを俺に喰らって理解が、

及ぶまで数秒かかり

自分が、どうして負けたのかを

冷静に成ろうと、試合を振り返る。


が………


自分自身が追い詰められて、奥義を

放った事は理解したが、

その後の展開が把握出来なかった。


「まぁ………負けは負けかぁ………」


と、実にあっさりと認めて

イギリ大帝国の陣地へと戻って行った。


試合時間僅か3分だったが

そんな俺を遥かに上回ったのが

ドラ二ちゃんの試合だった。


副将戦と云うのに

ドラ二ちゃんは、武器を取らずに

素手でイギリ大帝国の副将と相対した


「イギリ大帝国の副将を、舐めているのか?


イヤ………違うな!


準決勝戦でも素手で戦ったと?

報告書にあったが………」


と不機嫌そうに呟く。

その言葉に対してドラ二ちゃんが


「生死を賭けた死闘でも無いから

我が自分の愛刀を使うだけの

実力がお前には無い!!」


とビシッと指を指して言い放てば


「舐めるなよ!

例えSクラスの強者だとしても

私は、イギリ大帝国の副将だ!


武器を手にしなかった事を

後悔するがいい。」


完全に相手が闘気を一瞬で燃え上げさせて、騎士剣を構えた。


銅鑼の音が鳴って試合開始に成った瞬間

イギリ大帝国の副将の最上級生の女生徒が、ドラ二ちゃんに斬り掛かった。


そんな彼女の連撃を全て躱して


「こんな程度か!

つまらぬな。

我に挑むには、実力不足だぞ!」


と言葉を呟き

その小さな手の右手の親指と人差指で

刃を潰した騎士剣を摘み上げ

軽くヒネれば、合気道の様に相手国の

副将の女生徒が試合場に

バタッと倒れ込んで騎士剣を離して?


一体全体何が?

一瞬の間で自分が騎士剣を奪われ

試合場に倒れているのが………


理解不可能だった様子に

セシリアが?


「トモルシード王子様。

ドラ二ちゃんは、一体何の技を

出したのですか?」


と俺に問うてきたので


「相手の騎士剣を掴み

その相手の攻撃の威力を利用して、

騎士剣を持つ手首の可動範囲を逆手に取ったので………


イギリ大帝国の副将でも

刃を潰した騎士剣をそのまま

握り締めていれば、手首を完全に

痛めていただろう。


だからこそ、危機察知能力で

自ら騎士剣を離したのだろう。」


と説明すれば


「流石は、ドラ二ちゃんですね。

一瞬の攻防で…………」


と言葉を飲み込んだセシリアが

見たのは


唖然と倒れ込んでいたイギリ大帝国の

副将の背中の服を摘み上げて


「ナッ………」


と苦鳴が漏れた相手を

試合会場の角まで抱えて

場外に軽く放り出した。


その瞬間


「スペイ王国の勝利!」


と宣言された。


試合開始から僅か1分後の出来事に

大歓声が湧き上がる。


しれっと戻って来たドラ二ちゃんが

ジルルシーク兄上に


「トモルシードの兄上よ!

お膳立ては、チャッカリと果たした


後は、託したぞ!!」 


と語気を上げてジルルシーク王子へ

問う?

兄上は、壮観な眼差しで覚悟を決めたかの様に静かに頷きながら


「あぁ、しっかりと託されたよ!」


強い意志を感じさせる。

初めて見せる感情の表れに

俺は、嬉しく感じて


「ジルルシーク兄上には、

自分達が付いて居ますから

どうか、安心して決勝戦事態を

楽しんで下さい。


兄上にとって、フラン学園都市での

最後の試合に全力を出し尽して

下さい。」


と激励をのべて1つ大きく頷けば


「解っておるよ。」


とジルルシーク兄上も俺に頷き返して

刃を潰した騎士剣では無く

刃を潰した双剣を自ら選んで

ゆっくりと試合会場の階段を

登って征く。


実に堂々とした佇まいに

気負いも焦りも感じ取れない兄上の

様子に勝利を願う。


長年同級生でもあり友人の1人でも有る。 イギリ大帝国の王子と総大将同士で、壇上で向き合って……………どちらとも無く一礼を交わした。


銅鑼の音が第一闘技場に響き渡り

観客席のボルテージも最高に達していた


「決勝の舞台での

親友との戦いに成るとは………


嬉しくもあり、


これが、最後の対決だと考えれば

寂しくも成るなぁ。」


とイギリ大帝国の総大将のジョン王子

から言葉を交わしてきた。

ジルルシーク兄上は、毅然とした態度で、1つ頷きながら………


「友でもあり、ライバルでもある。

君に今まで剣での勝負では………


負けか…精々引き分けだったが………


今日だけは、勝利をもぎ取って

スペイ王国を優勝へと導くよ。」


と胸を張って、ライバルに宣言した。

変な緊張感やプレッシャーは、どうやら無い様子に、俺も少しホッとしながらもジルルシーク兄上の勝利を願う。


「「では、いざ勝負!」」


と2人の言葉が重なり


剣閃がぶつかり合った。


どちらも白熱し流石は最終学年の

Aクラスのドップクラスの実力者同士の

戦いに…………観客達も二人の攻防を

魅入って居る。


俺の眼を持ってしても、勝敗は?

予測不可能だった。

ジルルシーク兄上も俺が指定した特訓の成果で、かなりのレベルアップを

した剣技を巧みに取り入れて居るにも

かかわらず、イギリ大帝国の総大将も

剣技の冴えからみれば………

相当な鍛錬を積んで来たのだろう。


試合時間15分を経過しても

互いに勝利への道を譲らない。


だがそんな均衡も試合の残り時間が

無くなってゆく中で…………


両者の立場で明暗が別れていった。


既に3勝を勝ち取っている

ジルルシーク兄上と

絶対に負けを許されない

イギリ大帝国の総大将としての精神的なストレスでは、格段に試合時間を

気にするしか無かったであろう

ジョン王子に焦りが募る。


焦りはミスを誘発しやすい。


そのチャンスを逃しはしないと

ジルルシーク兄上が渾身の一撃を

ジョン王子に放った!


試合時間19分50秒

見事にジョン王子の剣を薙ぎ払い

その騎士剣を弾き飛ばして

勝負が決した。


「総大将戦

スペイ王国ジルルシーク王子の勝利!」


と宣言されて


第一闘技場が地鳴りの様な歓声に

包まれた。


余り気性を表に出さないジルルシーク兄上が、小さくガッツポーズをしながら

一言


「良し!」


と叫んで天を仰ぐ。


そして敗者のイギリ大帝国の

ジョン王子へと歩み寄り


「最高の試合だった。

先に3勝していなければ………

結果は逆だったと思うよ。」


とガックリと項垂れるジョン王子へ

握手を求めた。


その手を掴みながら立ち上がった

ジョン王子もジルルシーク兄上の言葉に対して


「それも時の運だよ。

互いに切磋琢磨して来たのだから……


優勝おめでとう。」


と顔を上げてイギリ大帝国のチームへと

戻って行った。


そして大盛り上がりの中で、表彰式が

学園長から拡声器で会場中に言い渡されて、各チームに第3位から

ブロンズメダルの授与

第2位にシルバーメダルの授与

そして優勝国のスペイ王国選手に

ゴールドメダルが授与された。


結果として

ゴールドメダル スペイ王国

シルバーメダル イギリ大帝国

ブロンズメダル チャイ帝国

と今年度の各国対抗試合が終わった。


俺はジルルシーク兄上の卒業に

スペイ王国の初優勝とゆう

プレゼントが出来た事に

気持ちも緩んでホッとしていた。


そんな最中に

闘技場の入り口から?

真っ白い制服を着た剣聖4人を先頭に

剣王ヴァン イリスが拍手しながら

現れれば!!


フラン学園都市学園長が慌てた様子で


「まさか、剣王様が直々に

フラン学園都市の試合を見学に

おいでになられるとは………」


拡声器が繋がったままだったので

第一闘技場の観客達も騒然と

騒ぎ出した。


「剣聖様が純白の衣装を纏って居ると言う事は、噂で知っていたけれど…………


剣王様が直々に?


あの先頭を歩いていらっしゃる大柄な

御方が? 剣王様なのだろうか?」


と初めて観る剣王に

誰もが注目と歓心を込めた眼差しで

その動向に神経を尖らせて魅入って居る


「久しぶりだね。

トモルシード君。


だが、決勝戦を観察させて貰ったが


君やドラ二ちゃんの実力は

封印でもしていたのかい?」


と見た目が学生と変わらない

ヴァン イリスが話しかけて来た事に

第一闘技場中や他の闘技場で観戦していた生徒達が一斉に驚きを隠せない。


一瞬の間皆の中に、疑問符が浮んで

剣王様らしき人物を、差し置いて喋り出したのだから…………………


あの一番小さな少年が!!

もしかして?剣王様なのか!?

そんな訳があるのか?


自分達と余り変わらぬ銀髪の少年が……

まさかこの区界に3人だけしか存在

しないと聞こえ伝わる

剣王様なのか?


周りがざわつくと


「学園長と英雄の先生達以外の人には、初めましてと言うべきかなぁ?


僕が剣王の1人

ヴァン イリスだよ~。」


とご機嫌に自己紹介をする。

一体全体何を考えて………

お気楽に自己紹介なんかしているんだよ。と言いたい気持ちを飲み込んで

学園長に任せようと決めた。


フラン学園都市の学園長は?


「本日は、どの様な御要件で

いらしたのでしょうか?」


と銀髪の少年 ヴァン イリスに問う。


「そうだね~………

余りにも僕の友人を皆が舐めている事を、正したく成ったからかなぁ。」


一体何を言い出すのか?

俺とドラ二ちゃんは、あえて実力を

隠しているのに……………

完全にヴァン イリスの誤解なのに……


と止めようとするが

ドラ二ちゃんにガシッと腕を掴まれ

行動を阻止された!


「どうして?

ドラ二ちゃんが俺を………」


ドラ二ちゃんに問えば?


「まぁ我には、ヴァン イリスの

気持ちも理解は出来るからだ。」


と言って俺にヴァン イリスの話を

先ずは、一旦聞けと諭されて視線を

向けた。


「優勝国が決定したのだし

この場で1つ模擬戦を行いたい。


Sクラスを代表して、トモルシード君

と剣王の余興的な試合を頼めるか!」


ナッ!

何をいきなり言い出したのか?

と軽くパニックに追い込まれた俺に

対してドラ二ちゃんが


「試合時間20分など、

到底無理な話だ!


結界が1分も持たない。


英雄の先生達と剣聖の四天王が

協力して結界を張ったとしても………


精々5分持てば、上出来だろう。」


その話に剣聖達が憤る。


「それは、剣聖を舐め過ぎでは?」


そのな言葉をヴァン イリスが制して


「観客達に被害が出るのは、本意では無いからドラ二ちゃんの意見に

従うよ。」


俺が、プチパニックに成っている間に

試合時間を5分に設定されて


「待て、待ってくれよ。

俺は試合を快諾して無いし………

勝手に話を進めないでくれよ。」


と咄嗟に文句を伝えれば


「まぁまぁ ただの余興的な試合に

そんなに嫌がらなくても………

なぁ ドラ二ちゃん。」


とヴァン イリスがドラ二ちゃんに

賛同を求めれば………


「そうだぞ。トモルシードよ。

剣王が所望されているのだから

有り難くお受けするべきだろう。」


ニヤニヤしながら

ドラ二ちゃんと剣王ヴァン イリスが

結託して俺の反発を受け流す。

その様子にフラン学園都市学園長までが、


「では、余興として試合時間5分の

特別試合を開催しましょう。」


この学園長の言葉に対して

第一闘技場が割れんばかりに、どよめきと喝采に包まれた。


完全にドラ二ちゃんにしてやられた感が、否めない状況に俺は覚えていろよ

と、ドラ二ちゃんを1睨みして

フラン学園都市学園長に頷いた。


急遽余興的模擬戦

剣王ヴァン イリスVSトモルシード

の準備が始まった。

俺は念には念を入れる為に

ドラ二ちゃん

トール

ネメシス

アテナ

に、もし仮に結界に亀裂が生じた場合

には、補強して観客達を守ってくれ

と頼みそれぞれ東西南北の中央に

配置をして貰う。


そうして準備が整えば


「トモルシード君ならば

真剣勝負でも構わないだろう?」


とヴァン イリスに問われて


「余興的模擬戦なんだから

普通刃をつぶした試合用の剣を使用

するべきだろう。」


そう諭したが?

剣王ヴァン イリスは


「それでは詰まらないだろうし

観客へのサービスとして

互いに真剣での勝負といこうよ~。」


駄目だ!

完全に本気モードで試合する気

満々な剣王ヴァン イリスを観て

俺も決意を決めた。


その試合後に会場全体から引かれる

覚悟を持って収納魔法から

剣王ヴァン イリスの剣と同等の

双剣を取り出してどうなっても

もう知らないからなと完全に

本気モードにスイッチを切り替えた。


両者試合の壇上に上がり

互いの剣を抜いて

初めて学園長が気が付いた。


まさか?

余興的模擬戦と語った剣王が

真剣での勝負をそれは、かなり

不味い。負傷者が出た場合には

全てがフラン学園都市の学園長に

責任転嫁される程重大な案件だが


今さら剣王様に指摘も不可能だと

感じて、この余興的模擬戦で

負傷者が出ない事を切に願っていた。


ドラ二ちゃんは、試合開始の銅鑼の音のかかりをジルグフリードに託して

砂時計を設置して


「必ず5分後ビッタリに

試合終了の合図をせよ!」


と命じ

己は結界のフォローに

神経を尖らせた。


試合開始せよとフラン学園都市の教師に促されて、ジルグフリードが

銅鑼の音を会場全体に響き渡せれば


一瞬で、間合いを詰めたヴァン イリス

の光景は、観客達にはまるで一瞬で

消えた様子に驚愕し…………

静まり返る闘技場に

剣撃の火花と剣撃音だけしか

確認出来ない。


Sクラスと剣聖の四天王

それと英雄の先生達には

残像だけが、かろうじてその眼に

捉えて


「剣撃音とその眼に捉えたズレが

生じていると言う事は………


今目にしているのは?

戦闘の残像と云うのか………」


信じ難いが、それだけの実力不足を

痛感させられる試合状況に………


バリンと30秒も持たずに

一般教師達四方に3人ずつ配置して

張り巡らせていた結界が消滅し

観客達の中には、 ヒッ と

叫ぶ者も多く存在した。


結界を破壊されて、肉体的にも精神的にもその場から動けずにいた教師達を

ドラ二ちゃん

トール

ネメシス

アテナ

が、救出へと素早く動き出し

四天王の剣聖達と

英雄の先生達とで

協力して創り出した多重結界の外に

一瞬で助け出していた。


助け出された一般の教師達は………

自分達が、一瞬で結界を張った場所から移動した事実に?

信じられない思いとは、裏腹に

身体がそのスピードに対応出来ずに

三半規管が悲鳴を上げ


「クッ………目眩が………」


とその場で、吐き気を我慢する始末

だった。


その間も俺と剣王ヴァン イリスの

激しさを増す剣閃がぶつかり合う。


試合開始から3分間怒涛の攻撃を仕掛けていた剣王が、試合開始位置で

ピタリと動きを止めて?


「流石は、トモルシード君だよね~。


最初に剣を交えた頃よりも

僕の技量はかなりレベルアップして

いるのに………


全てを、受け流すなんて

並みの人間には、不可能だよ~。


これならどうだろうか!?」


そう告げた後に

自分自身も含めて7人の

銀髪をなびかせた分身体を創り出した


この光景に第一闘技場の観客達は


剣王様が、いきなり増えたぞ!

7人もいらっしゃる。

何でもありなのか!?

流石にSクラスの頂点の者でも無理だ。

などなど…………観客達も教師達も

言いたい放題だったが……………


俺も剣王ヴァン・イリスに対抗して

並行存在魔法でカラー付きの

10パーセントの存在を6人

出せば!


「これだから

トモルシード君は

とても興味深い存在ですよ~。」


と意味深な言葉と共に

第2ラウンドの再開が始まった。

残り試合時間1分30秒と少し………


瞬時に50メートル四方の闘技場で

7人VS7人

で剣撃音が鳴り止まないし

火花を散らす剣閃に

第一闘技場の観客達は言葉を失った。


それから1分も消化しない間に

剣聖達と英雄の先生達が、協力して創り出した多重結界に!

ビシッ バリッ と亀裂が入り出した


第一闘技場の観客達は!

四天王の剣聖達と英雄の先生達

とが創り出した多重結界にまさか

と阿鼻叫喚がで始めたが


「ギャーギャー騒ぐな!!

心配せずとも、我が多重結界の補強

を完璧にするから

黙って2度と観戦出来ない試合を

観ろ!!」


とドラ二ちゃんが

観客席全員に届く程の

大声量で、喝を入れれば

同時に

トール

ネメシス

アテナ

がドラ二ちゃんと同時に

結界の亀裂に魔力を注ぎ込み


次々に発生する亀裂を

修復して無言で観客達を黙らせた。


そうして試合時間終了の銅鑼の音を

ジルグフリードが響き渡らせた。


その瞬間俺と剣王ヴァン・イリスの間にドラ二ちゃんが介入して

俺の剣と剣王ヴァン・イリスの剣を

なんと!


その小さな左右の手で掴み………


「双方そこまで!」


とドラ二ちゃんが口にすれば


「もう少しだけ…勝負させて

くれないかい。ドラ二ちゃん?」


と剣王ヴァン・イリスが要望したが

ドラ二ちゃんは、それを却下した。


「自分の配下の姿をよく観ろ!

英雄の先生達は、もう限界だし

剣聖達も立っているのがやっとだぞ。」


そう告げられて、改めて四天王の剣聖達

の様子に………………


「少々無理をさせたらしい。

だけど剣王である僕の願いの方を

彼等は、優先させるょ。」


とドラ二ちゃんを窘めれば

無言でドラ二ちゃんが

剣王ヴァン・イリスの聖剣を

握り締めて聖剣を砕いた!


「ナッ チョッとドラ二ちゃん!

剣王の聖剣を砕くとかあり得ないぞ。」


と慌てて俺がドラ二ちゃんを怒れば

ドラ二ちゃんは?

全く気にする素振りも見せずに………


「どうせトモルシードなら

その聖剣も完璧に修復可能だろう。」


と悪気も見せずに小さな子供の様に

プイッと他所を観ながら拗ねた。


一方剣王ヴァン・イリスの方は?

聖剣を素手で砕いたドラ二ちゃんに

開いた口が塞がらず、パクパクと

声にならなずに…………………


唖然とし

四天王の聖剣も信じられない現実に

その場にストンと腰を抜かしていた。


ヤバイ!

この状況は俺の想像の埒外の出来事に

思考加速で深く考え抜いた挙げ句に

この場で俺の錬成で

剣王ヴァン・イリスの聖剣を

元通りにして見せる事が最善策である。

と判断して


素早くドラ二ちゃんが砕いた聖剣の

欠片を拾い上げ


「今すぐに、俺が剣王ヴァン・イリスの聖剣を元の状態にして返すから

その聖剣を少しの間俺に預けてくれ。」


と語ったが

剣王ヴァン・イリスの耳には届かない

ショックの余り現実逃避して居るかの様な感じだったので

呆然としている剣王から聖剣を

奪い取って、その場で剣王の眼の前で

錬成を開始する。


ドラ二ちゃんが握り締めて破壊した

欠片と聖剣に魔力を注いで

錬成すれば

剣王ヴァン・イリスの眼の前で

聖剣が元に戻り出す光景に

剣王ヴァン・イリスも目を見張り

第一闘技場のその他大勢も

その光景に度肝を抜かれて

視線が俺に痛いほどに浴びせられて……


後々後悔するんだろうなぁ。

と思いつつ聖剣を元の状態に戻して


「ウチのドラ二ちゃんが本当に

御迷惑をかけて、すまなかった。」


と詫びを入れて聖剣を剣王に返却する


無造作に聖剣を手に取り

その場で不具合を確かめる剣王に


「どうかなぁ………

違和感など無い様に完璧に修復した。」


とやっと確認し終えた剣王に問えば


「あぁ本当に完全に修復されているが、トモルシード君には、何度と無く

本当に驚かされる。


神からの贈り物である聖剣を

容易く修復させるとは………………」


ヤバイなぁ逆に聖剣を修復させた事が

剣王ヴァン・イリスに不信感を

持たせた可能性はかなり高いし………


「一応、戻って剣聖達と聖剣の確認を

直ぐに取りたいので、今日の所は

これで失礼するよ。

トモルシード君………

それと聖剣を一度は破壊した

ドラ二ちゃん!」


一瞬の間凍える様な冷たい冷気を放った声が剣王ヴァン・イリスから出て


ドラ二ちゃんもやり過ぎたか?

と感じたらしく…………


「それじゃあ、またな!」


と視線を反らせたままに答える

ドラ二ちゃんと共に俺も


「今日は悪かったよ。

だけど急に試合を提案して来たのは

ヴァン・イリスの方だから…………」


と一応ドラ二ちゃんの擁護を入れる。


そして、剣聖と剣王が立ち去って

事態が収集したのは良かったが

周りの目が完全に俺とドラ二ちゃん

への畏怖感や憧れへと変化した。


その後、卒業式まで視線にさらされる

殆どの者達から尊敬の眼差しと憧れの

眼差しを、向けられたが


やはりどんな世界でもアンチファンは

存在しているのだなぁと………

考えさせられた。


表立っては、言わないが

遠くで、ネチッとした

妬みや嫉み的な視線を、稀に感じる。


が、そんな事を一々気にしては居られないので、サラリとスルーして過ごした。


Sクラスのクラスメートには、質問攻めに合ったり………

個人指導を頼まれたりと

面倒事が若干増えたが

基本的には、同じクラスメートとして

接してくれた事は、正直有り難かった。


そうして、ジルルシーク兄上の卒業式を

迎えた。


卒業式の舞台は、第一闘技場であり

観客席には、各国の王族達が招待され

AクラスからHクラスの最終学年全ての

学生が闘技場に、クラス毎に整列し

その様子を各クラスが、使用する闘技場にて、投影機にてその様子を見学する。


らしいのだが、何故か?

Sクラスのメンバーは………

参列するという異例的な扱いを

受けていた。


「何故なんだろうな!

昨年度までは、自分達も卒業式には

呼ばれなかったのに?」


と、嬴政が妲己に語り

アテネとジャンヌも不思議そうに

首を傾げながらも………


「Sクラスだけが、招かれて居ますから………なんだか変な感じですね~。」


とジャンヌが呟けば


「ジルルシーク第3王子の卒業式に

参加出来るのですから、とても光栄な

御招待ですよ。」


と俺に告げた。

ジルグフリードの意見に

まぁジルルシーク兄上の卒業式を

間近でお祝い出来るのは、良い経験

だけど………


それにスペイ王国の関係者席には

第3王妃のソフィーシア様と

妹のルシーシアと

その警護の中には

ジルグフリードの父親の

ガルゴフリードが居るので

息子のジルグフリードが

国別対抗試合で優勝した立役者の1人

なのだから、二重の喜びだろう。


と勝手に想像していた。


フラン学園都市学園長が

Aクラスから順番に生徒の名前を呼び

卒業証書的な物を壇上にて、一人一人に

渡していた。


俺は、前の世界での卒業式を思い浮かべながら……………

異世界でも、同じ様に卒業証書的な

物を貰って、学生生活とお別れするんだ


と、考えると何だか

前の世界が懐かしくもあり

柄にも無く、センチメンタルな

気分にチョットだけ浸った。


無事にというか、順調に卒業生全員が

名を呼ばれ、卒業証書的な物を壇上で受け取り自分の位置に戻れば

フラン学園都市学園長がいきなり

想像外の話を始めだした?


「本日は、急遽異例的な卒業生を

発表する!!


これは、全教員の総意を持って

何度も検討して決定した。


それでは、その学生達を紹介する。


Sクラスの創設を実行させた功労者

でもあり、最終学年のテストの

1位と2位だった……………


トモルシード君

ドラ二ちゃん


この2人を特別に

フラン学園都市在籍卒業生とする。」


エッ?

何が何だか分からない。

フラン学園都市学園長は、冗談を言う

人柄では無いからなぁ………

俺は思考加速で考える。


確かに、入学1年生にしては難しいと

感じた筆記試験と魔法試験だった。


それと国別対抗試合の決勝戦後の

剣王ヴァン・イリスとの真剣での

模擬戦とその試合でドラ二ちゃんが

剣王ヴァン・イリスの聖剣を

素手で受け止め、素手で破壊した。


これだけの事実が

フラン学園都市の教師と生徒の前で

実際に起きた出来事に対して


教師達での会議が毎日行われていた

らしい。

卒業式後に、英雄の先生達に

経緯を聞かされて………理解したのだが


兎に角


フラン学園都市の学園長は

俺とドラ二ちゃんを

フラン学園都市に在籍させたまま

卒業生として送り出すと決定を下した


これには、他国の観客席の参列者も

驚愕して口を挟む。


「Aクラスより上級のクラスを

編成させた事は、承知しているが!


1年生を卒業させるなど、不愉快

極まるぞ!


フラン学園都市の教師の怠慢では?」


と観客席から不満が溢れ出したが

その言葉をフラン学園都市の学園長が

一言で吹き飛ばした!


「では、観客席におられる各国の

王族達に問います!


剣王様と互角に闘った生徒と

その試合を素手で止めた生徒に


この場にいる者の中で、教師として

教える事が可能な方は、申し出て

下さい。


フラン学園都市の全財産を

成功報酬として差し上げます。


この区界で、3人しか居ない

剣王様ヴァン・イリス様と

友人であるトモルシード君と

ドラ二ちゃんを卒業生として

認めない人物は?


サッサと名乗り出なさい!!」


と語気を荒くしてあの温厚な学園長が

各国の王族達へと文句が有るなら

剣王様に言えるのか!?

と脅している様にも感じ取れたが………


先程まで第一闘技場の観客席で

言われていた不平不満がビシッと止んで


「この区界の王族達の皆様が

納得された様なので、特別卒業式を

続行致します。


トモルシード君

ドラ二ちゃん

二人共壇上に来て下さい。」


フラン学園都市学園長に促されて

俺は渋々

ドラ二ちゃんは、意気揚々と

壇上に上がった。


「済まないね。

剣王様と互角に闘った君達に

教えられる教師が居ないのだから……


必然的にフラン学園都市に在籍扱い

には、なるけれど君達2人は

卒業生だよ。


自由にフラン学園都市の施設の利用は、この学園長たる私が許可するよ。」


一応の学園長の配慮に


「御配慮は、有り難くお受けします。」


と学園長から卒業証書的な物を受け取り、Sクラスの席へと戻った。


ビックリしているクラスメートに

愛想笑いを浮かべて


「1年生で卒業生になっちゃったよ。」


と話せば


「トモルシード王子とドラ二ちゃん

ならば、学園長の判断も

理解出来るわよ。」


フラン学園都市国家のジャンヌが

学園長の判断を擁護すれば


「妥当な判断だ!

フラン学園都市最強の英雄の先生達

よりも強いのだからな!」


とチャイ帝国の妲己がジャンヌの意見に

合わせれば

他のクラスメートも頷いてくれた。


が ふと自分に視線を感じて

その視線に目を向ければ


スペイ王国第3王妃ソフィーシア様が

眉を顰めながら俺を見つめているので

直ぐに俺は視線を逸らした。


ヤバイなぁ ヤバイのかなあ?

何かソフィーシア様………

俺をイヤ俺達2人を………

物凄い形相で睨んでいなかったか………


そんな感想しか出てこなかったが

その間に卒業式が終わった。


Sクラスに戻れば

英雄の先生達全員が

事の経緯を説明してくれた。


何でも最初に俺とドラ二ちゃんの卒業を提案したのが、学園長だったらしく

その案に英雄の先生達が賛成したが……

最初の会議では

教師の半数以上が猛反対していた

らしいのだが、


英雄のナポリオン先生が

「ならば、君達がトモルシード君

とドラ二ちゃんに何を

教えられるのだ?」


と教師達を諭せば


自分達では何も教えられない事実に

直面して反対派が消滅したらしく


アレキサンダー先生が


「それでもまだ反対するのならば

先ずは、自分と勝負して勝って見せよ」


と援護射撃し


教師達全会一致で

俺とドラ二ちゃんの特別卒業が

決定したのだそうだ。


まぁフラン学園都市の在籍扱いの卒業

ならば、自由にダンジョン攻略へと

行けるじゃん。

とブラス思考でフラン学園都市の

スペイ王国の寮に戻れば!


先に戻っていたセシリアが

俺を発見して駆け寄って来た。


「大変ですよ。

トモルシード王子。


ジルルシーク第3王子のお部屋で

第3王妃ソフィーシア様が

至急に緊急のお呼びです。」


その話を聞いて直ぐに

俺達は全員でジルルシーク兄上の部屋

に直行した。


「トモルシードです!

お呼びと聞き参上しました。」


とジルルシーク兄上に確認すれば


「入って来なさい。

トモルシードさん

ドラ二ちゃん

トールさん

ネメシスさん

アテナさん


ガルゴフリードの御子息

ジルグフリード

執事長セバースの才女

セシリア。」


と第3王妃ソフィーシア様の御言葉には

チョットだけ不快感が透けて見えた。


やっぱり あの視線は…………

お怒りのサインだったのかよ。

と思いながらもジルルシーク兄上の

応接室へと入って


「ソフィーシア様。

お急ぎの要件がお有りだと聞きましたが、何様でしょうか?」


と、白々しくお尋ねする。


俺の言葉に対して


「ふぅ~」


と溜め息を吐きながら

ソフィーシア様が、頭を抱えながら


「フラン学園都市に入学する前から

ダンジョンに入り浸っていたのだから


トモルシードさんの強さは………


認識していたつもりでしたが!


まさか? この区界に3人だけしか

存在しない絶対的な最強者の剣王様と、互角の試合をする程迄に………


トモルシードさんとドラ二ちゃんが

成長している等とは、思いもしません

でしたわ。」


と冷静に言葉を選びながら

俺とドラ二ちゃんに語り出した。


「正直に申しますと、来年度から

ルシーシアの面倒をトモルシードさんに、見守って欲しかったのですけれど


私くしの想像の域を超えて

息子のジルルシークと同時に

1年生であるトモルシードさんと

ドラ二ちゃんがフラン学園都市を

卒業してしまうだなんて…………」


と、ガックリとしながら結果を

語り出したので………


「自分とドラ二ちゃんが卒業しても

自分の側近のSクラスの

ジルグフリードと恐らく来年度から

Sクラスへと昇級する筈の

セシリアの2人が、自分の代わりに


妹のルシーシアを護ります。」


と太鼓判を押すが


第3王妃のソフィーシア様は?

納得が如何無いのか?


「トモルシードさんと配下達の立場の違いが、フラン学園都市の他国の

王族との関係性を歪めるのですよ。」


と論破された。


だが、俺にどうしろと言うのだろうか

他国の学生の王族達もバカでは無い。

優勝国のメンバーの妹に容易く

手出しなど不可能だと思う。


が、唐突にソフィーシア様が


「アッ!」


と何かを閃いた様子で


「確か………フラン学園都市の学園長が、 トモルシードさんと 

ドラ二ちゃんは?

剣王様と友人関係だと

おっしゃいましたね?


それは、事実でしょうか?」


と 問われれば………


「ソレは………剣王ヴァン・イリスが

勝手に友人だと皆んなの前で

宣言しただけの話ですよ。」


少しだけ考えた後にソフィーシア様は…


「背に腹は代えられません。

本来は、トモルシードさんに授与

する品物を剣王様に献上致します。


3日後の正午ジャストに

トモルシードさんは?

剣王様を御招待して下さいませ。」


「何故我等が、協力しなくては

ならないのだ!」


とドラ二ちゃんが、ソフィーシア様に

苦言を述べれば………


「あら あら……… 良いのですか?

ドラ二ちゃん。

毎月贈って差し上げている………アレは

もう二度と手元に届きませんよ。」


んっ 一体何の話だよ。

とドラ二ちゃんを振り返れば

あたふたとしながら


「それでは仕方がないなぁ。

大切な妹のルシーシアの為に

ここは1つ大人になって、

ソフィーシアに協力するべきだ!」


と、掌を返したので

俺は不審に思い。


「ソフィーシア様の仰ったアレとは?

何の事だよ。 ドラ二ちゃん!」


と追究すると、白々しく

口笛を吹くと…………


「ホンのチョットだけスペイ王国の

酒を贈って貰っていただけだ。」


見事なまでにソフィーシア様に

買収されていた事実に…………


唖然としながら、そういえば月の第2

金曜日だけは、何かと理由を付けて

スペイ王国の寮に素早く帰っていた。

何時もは、何があっても俺の行動に

付いてくるのに…………


1人だけ早くスペイ王国の寮に戻って

証拠を残さない様にしていたのか………

改めてソフィーシア様の手腕に

驚きを隠せないが、ドラ二ちゃんの

異常なまでの酒好きを利用した。

内通者を仕込む策略には、見事なまでに、感心させられる。


一次ドラ二ちゃんへの不満は

置いておく事に決めたが?


今まで剣王ヴァン・イリスを呼び出した事など無いのだが………

ソフィーシア様の頼みとあれば

挑戦するしか無かった。


3日後の正午丁度に

Sクラスの闘技場にて待つと

手紙を添えて書類等を相手に直接

届ける魔法の鷹を準備して

剣王ヴァン・イリスの元へ飛ばした。


その行動を見守ってから


「剣王様が、納得する品物の準備へと

私くしは、一度スペイ王国へと

帰還しますわ。」


と言い残して

転移陣に急いで戻って行った。


どんな手土産を用意するのかは

想像もつかないが?

昔から直感力に優れた人物の為に

油断は禁物だろう。


その前に俺の誘いに剣王が


乗って来るのかも………分からなかった。


あっという間に、約束の3日後の時間が迫る。 


待ち合わせ場所は

Sクラスの闘技場だから

ソフィーシア様と妹のルシーシアには

予め闘技場に出入り可能なバッジを

与えて要件が済めば

返却して貰うと話して


俺とドラ二ちゃん

トール

ネメシス

アテナ

ジルグフリード


それとバッジを付けた

ソフィーシア様とルシーシア


8人でSクラスの闘技場にて

剣王ヴァン・イリス達を待つ。


時間通りにフラン学園都市の学園長

と共に四天王の剣聖達の後から

剣王ヴァン・イリスが登場すると


「嬉しいものだね。

友人からお誘いを受けるとは、しかもトモルシード君からとは…………。」


と笑顔で話す剣王ヴァン・イリスに


「実は、要件が有るのは俺では無くて、妹の母上のソフィーシア様何だよ。」


「えっと、君の妹なのに

ソフィーシア様とは?

君の母君では無いのかい。」


面倒くさいなぁと感じながらも

事実を述べた。


「俺の本当の母君は、記憶に無い時に、ある理由で亡くなったんだよ。


その後本当の母君の様に

可愛いがって育てて頂いたのが

ソフィーシア様だよ。


話だけでも、聞いて欲しいんだ。」


と剣王ヴァン・イリスに頼むと

目の前の自分の息子のジルルシーク

王子よりも若い、銀髪をなびかせる

容姿端麗な少年が…………

本当に剣王様なのだろうか?

と、小さく眉根を寄せたが………


「お話だけでも、トモルシード君の

顔を立てて伺いますよ。

スペイ王国第3王妃ソフィーシア。」


此奴全て知った上で、俺に説明させたのか? 

まぁ俺の事を友人だと宣言した時点で

スペイ王国の内情迄、調べていた

という事か……………


名を呼ばれてソフィーシア様が

一歩前に出て跪きながら


「御初に御目にかかります。

トモルシードさんの母親代わりの

ソフィーシアと申します。


来年度から娘のルシーシアが

フラン学園都市に入学致しますから

トモルシードさんに兄として

後見人に成って欲しかったのですが…


剣王様との模擬戦の結果として

トモルシードさんがフラン学園都市を卒業する事に、突然決まったのですから……………


恐れながらその責任の一端は、剣王様にも少なからずあると存じます。


どうでしょうか?

娘のルシーシアの後見人に成っては

頂けませんか?

勿論、タダで引き受けて下さいとは

申しません。


この12秘宝石の1つ

風の秘宝石をお渡し致します。」


ハッ!

俺も秘宝石の存在は

古い古文書等で、知識にはあるが

そんな都市伝説みたいな物を

どの様にして、ソフィーシア様が?


と面を食らった状況に対して

剣王ヴァン・イリスは………


「12秘宝石とは……………

伝説上の物では無かったのか?


その秘宝石が、本物ならば

喜んでソフィーシアの娘の後見人に

成るが………その石が本物とは

限らない。」


実際俺にも判断が付かない代物だよ。

どうやって確認するのか?

物凄く気になる。


ソフィーシア様が、献上した12秘宝石

の1つ風の秘宝石を剣王に恭しく

献上すれば、剣王ヴァン・イリスが

その眼を鋭くして、秘宝石を鑑定スキル

で分析しだした。


「12秘宝石と云うのは

嘘では無いらしいな。」


一言呟いた剣王ヴァン・イリスは

自分自身の聖剣にその風の秘宝石を

取り込もうとして、なんと秘宝石から

弾かれた。


不思議がる剣王ヴァン・イリスに

真実を語る時が、いきなり来たのだ……


「言い難いのだけど。

剣王ヴァン・イリスの聖剣は

本物の聖剣では無いから、風の秘宝石に弾かれたんだよ。」


一瞬で、四天王の聖剣達はおろか

剣王ヴァン・イリスの顔色が変わった


「幾ら友人と認めたトモルシード君であっても、剣王として聞き捨て

成らないぞ!!」


怒り心頭の厳しい眼差しが、俺を刺す

だが、事実で有るので目を逸らさずに

俺も真剣に問う。


「その聖剣は?

ゼウ神自身から託された剣なのか?」


と、剣王ヴァン・イリスに問えば

四天王の剣聖達は、恐らく知らないのだろう。

剣聖達は、ブワッと

剣王ヴァン・イリスの一挙手一投足を

見逃すまいと振り返れば……………


「直接ゼウ神から頂いた品では無い。

ゼウ神の巫女から賜った剣だが………


他の2人の剣王も同じ武器なのだから………


ゼウ神から直接授かった剣では無い。」


と真実を語っているが

俺に対して殺意の籠もった視線を

向けながら、


「何故だ?

そんな事を敢えてする気が知れない。

反論が有るならば、言って見せよ!」


とその手で催促する様に促した。


「ゼウ神が自ら聖剣を渡したので無いのならば?

恐らくだが、自分達でも対処出来る

程度の剣しか渡さないのだろう。」


と実際行われたに違わない現象を

剣王ヴァン・イリスに問い正した。


可能性が完全に否定できるだけの証拠も無いのだから、その場に限り 

俺に対しての反論が止んだ。


実力行使で、襲いかかってくる覚悟も

した上でハッキリと言い放った。


「では、この風の12秘宝石をどうにか出来るのか…………………………………………」


長い沈黙の中で


「実際に自分の眼で

確かめるしか方法は無いと思うよ。


俺が所有している剣と

その聖剣を交換して、撃ち合えば

結果は? 


一目瞭然だよ。」


その様に促し、収納魔法から

大怪獣から鍛冶職で創り出した

大剣を剣王ヴァン・イリスへと

手渡し代わりに剣王の聖剣を

受け取った。


「実戦の続きを、この場で続ける

という事か!?」


剣王ヴァン・イリスの瞳が輝いたが


「イヤ。恐らく一撃で勝敗が決する。

俺の見解の整合性が立証されるよ。」


その言葉に対して、剣王ヴァン・イリス

が、一瞬で全身全霊の構えをとって

その銀髪が揺れた瞬間

俺が貸し出した大剣で

有無を言わせず

剣王ヴァン・イリスが斬り掛かってきた


その一撃を剣王ヴァン・イリスの聖剣で受け止めた瞬間に、その聖剣が

真っ二つに砕かれたのを

眼前で経験した剣王ヴァン・イリスが


「これ迄に、傷1つも付かなかった

聖剣が……………………」


これ迄に一度たりとも傷さえも付かなかった聖剣が一撃で、真っ二つに

砕かれた事実に、言葉が出ない。


四天王の剣聖達も理解不能な事態に

同様が隠せないでいる。


俺は真っ二つ破壊された聖剣を

錬成で修復して見せて…………


「納得するまで、何度でも証明するが

どうする?」


と選択肢を剣王ヴァン・イリスに

委ねた。


確かに本気の一撃で

剣王ヴァン・イリスは、交換した

剣王の聖剣に最大限の攻撃を浴びせたのだが、剣王の聖剣は撃ち合った瞬間に真っ二つに破壊された。


この事実により、自分自信の聖剣が

聖剣と呼ぶには、相応しくないのだと実感していた。


「この結果を実際に体験すれば、俺の聖剣が12秘宝石に選ばれなかった事には、理解が及ぶのだが…………」


と、俺の意見に耳を傾けた。


「トモルシード君には、何ゆえに

この結果を想定し得たのか?


四天王である剣聖達にも

納得が往く説明を頼みたい。」


剣王ヴァン・イリスが俺に問う。


「俺の仮定の話ならば、言えるが

実際のところは………定かではないが

それでも構わないだろうか?」


と前置きをした後に切り出した。


「恐らくだが、人間が神に対して

逆らった場合でも、その力が及ばない様に………


わざと、中級クラスの剣を

貸し与えて

自分達の脅威には達しない様に

計画された。


と、俺は推理して居るよ。」


と語った後に


「剣王ヴァン・イリスの聖剣よりも

俺が創り出した剣聖達の剣の方が


遥かに、上回って居るが

剣王ヴァン・イリスの魔力に満ちた

聖剣の方が実力差でたまたま………

打ち負かしていたに過ぎないと思う。」


剣王ヴァン・イリスの聖剣よりも

俺が創り出した剣聖の剣の方が

剣だけのレベルでは、上だと聞かされ


四天王の剣聖達が、少しだけ納得の

表情を浮かべていた。


「何だよ。

四天王達も薄っすらと


気が付いていたのか!?」


と、俺が問うと………


「トモルシードさんから頂いた剣で

剣王様と特訓をして頂いた時に


以前では、太刀打ちさえも出来ずに

終わっていた稽古で、多少ですが

剣王ヴァン・イリス様の背中が

見えた様な気がしたり…………


急激に自分達の実力が

レベルアップした様に、感じました。」


と返答されて


「確かに!

俺の本気に多少なりとも

付いてこれるように成長していたな!」


と、剣王ヴァン・イリスが感想を

こぼしたので、話を元に戻す。


「一応、今自分で折った聖剣は

俺が錬成で修復して、返却するけど


折角のソフィーシア様から献上された

12秘宝石の風の秘宝石の力を発揮

可能な剣を、剣王ヴァン・イリスが


所望する場合には……………


来年度からフラン学園都市に

入学する。妹のルシーシアの後見人に成ると確約するのならば………


この折れた聖剣と全く同じ剣だが……

12秘宝石が認めるレベルアップした聖剣を剣王ヴァン・イリスに

献上するけれども、どうする?」


と敢えて剣王ヴァン・イリスに問う。

この条件ならば、ソフィーシア様の

条件を叶えられるし、

剣王ヴァン・イリスに獲っても

ウインウインの関係性が構築出来る。


後は、剣王ヴァン・イリスの

決断次第だが、真剣に悩みながらも


「まぁトモルシード君の妹と言う事で、その条件を飲むとするよ。」


俺は、少しだけ安心した。

何故ならゼウ神一神の世界で

そのゼウ神の方針に対して

難癖を付けたのだから…………


下手をすれば、剣王ヴァン・イリスを

一瞬で敵に回す可能性も十分に考慮し

その可能性に警戒しながら

仮定の話を持ち出したのだから………


一触即発にならずに済んで


「今から、剣王ヴァン・イリスの

剣の修復と新たにレベルアップした

同じ剣を創り出すから

暫くの間、今後の後見人としての

未来の展望をソフィーシア様と

話し合っていてくれよ!」


そう話を振って、俺は収納魔法から

ドアを取り出してそのドアから

中に消えた。


取り敢えず剣王ヴァン・イリスの

折れた聖剣を錬成にて元通りにし


竈門に火入れしながら

インゴットの上質なインゴットから

ダンジョンの最下層の直前の

大怪獣のインゴットを手に取り

竈門の炎に入れて

最高級のハンマーを片手に

様子を伺う。


剣王ヴァン・イリスの剣の特徴も

長さや幅に至るまで

後天的サヴァン症候群の力で

見極めも既に、理解していたし

そのイメージも完璧である。


上質なインゴットが赤々と熱を帯び

取り出して、最高級のハンマーで

イメージ通りの聖剣と瓜二つの剣を創り出して、本人に見分けが付くように


聖剣の柄に色違いの紋様を細工した。


この間約5分

俺は、ドアから出てきて

ソフィーシア様と剣王ヴァン・イリスの

交渉の結果を問う。


「先ずは、トモルシード君が創り出した新たな聖剣を確かめさせて欲しい。」


ソレが一番の剣王ヴァン・イリスの

懸念する事柄なのは、理解していたので、

収納魔法から二本の剣王の聖剣を

取り出してから


「これが、錬成で修復した

元々の聖剣だよ。」


と、手渡して確認させれば………

数回素振りをして


「間違い無い。」


とその聖剣を四天王の剣聖に渡して


「そちらが、トモルシード君が

自ら創り出した新たな聖剣なのか?」


と問われて

俺は軽く頷いて、剣の持ち手だけを

微かに金色と銀色の紋様で区別を

可能にした聖剣を渡せば………


「聖剣の長さも重量も全く同じ様だが………

肌で感じるよ!

全く別物のこれが本当の聖剣だと。」


剣王ヴァン・イリスが

嬉しそうに俺に握手を求めて来た。

その手を握り締めて


「その聖剣に風の秘宝石を取り込められるのかを、喜ぶよりもやって見た方が良くないか?」


と改めて、何の為に聖剣を創ったのだ

と注意勧告をすれば


剣王ヴァン・イリスから笑みが消え

真剣な顔でその手にした聖剣に

風の秘宝石を近付ければ

スーと聖剣の中へと秘宝石が

吸い込まれて往く。


一瞬の間眩い光を聖剣が発光した後に

直ぐに


「これが!

風の秘宝石の力なのか?


修行に邁進せねば

今の僕では使いこなせないよ。」


と本人だけが…………

理解可能な物が確かにあったのだろうな

と感じ取れた。


だが、ソフィーシア様との確約だけは

必ず守って貰わなければ、被害が

俺にも何かしら有るかも?

と感じて……………


「無事に12秘宝石を得たのだから

ソフィーシア様の望みで有る。


俺の妹のルシーシアの後見人としての

責任をはたして貰いたい。」


すると?何故か? ルシーシアが答える


「トモルシード兄上のお陰で

剣王ヴァン・イリス様の後見人の件が、無事にまとまりましたわ。」


笑顔で語り出した妹に対して、忠告を


「俺の教育方法よりも、剣王ヴァン・イリスの教え方の方が、幾分かはげしい

 

と思うけれども、この区界で3人しか存在しない剣王様が、ルシーシアの

後見人に決まったのならば

何があっても、剣王を信頼するのだ。」


とソフィーシア様に業と聴こえる様に

ルシーシアに苦言を述べた。


その動向には、俺の配下の

ジルグフリードが、必ず付いて

稽古を見守ると宣言して

この話がやっと纏まった。


そうして、剣王ヴァン・イリスと

ソフィーシア様が

魔法の盟約を結び終えれば


剣王ヴァン・イリスは?

四天王の剣聖達を従えて


「直ぐに戻って

この聖剣で、特訓を開始する。


トモルシード君への礼は

いずれ必ず果たすよ。

では、失礼するよ。」


と言い残して走り出して

Sクラスの闘技場から出ていった。


俺自信もソフィーシア様の要望を叶える

手伝いが出来た事に満足しつつ


「それじぁ。

スペイ王国の寮へと戻りましょう。」


と告げて皆で一緒に

ジルルシーク兄上の部屋へとゆっくりと

戻ってから…………


「ドラ二ちゃんは、暫くの間は

おやつの禁止だからな!」


と、ソフィーシア様に買収された件に

言及して言い放った。


「なッ 何を言い出すのだ!

我は、何も悪い事はしていない筈だ。


イヤ 多分していないぞ!」


と慌てて抗議するが、

トールからも苦言が、及ぶ………


「ドラ二ちゃんの酒好きな事と

今回のスパイ容疑は、別件ですよ!」


ガックリと項垂れるドラ二ちゃんに

助け舟が出された。


「トモルシードさんに許可無く

ドラ二ちゃんに学園生活の様子を

手紙にて、知らせて下さいと

頼んだのは、私くしですから…………


それに、母親代わりの私くしが

トモルシードさんの心配をしては?

いけない事柄ですか?」


ソフィーシア様に、無用な心配だとは

言えない。

俺は、引きつりながら


「そんな事は、ありませんが………」


ドラ二ちゃんのスパイ容疑は

一応保留にすべきだなぁと結論づけて


話の流れを一端別に逸らす。


「然しながら、ソフィーシア様が

都市伝説的な12秘宝石を所有して

居られたとは……………


意外過ぎましたよ。」


と真剣にソフィーシア様に

どうして?

どんな経緯で?

世界に属性として、12個しか

古文書でしかその存在に言及して居る

秘宝石をソフィーシア様が、所有して

いたのか?


の疑問を投げかければ


「私の家系は、元々女性家系であり

その中で、一番知力や武芸に秀でた

1人の女性に秘宝石を託して…………


その子供が、一流の剣豪に成長した

場合に限り、風の秘宝石を与えるのよ」



とキッパリ宣言して、本来ならば

ルシーシアの兄である

ジルルシーク王子へとゆっくりと

授与されるべき代物だったが………


俺という異端児がSクラスを創設させて

ソフィーシア様の考えが変化した。


ルシーシアを兄として、フラン学園都市の他の国の生徒から守ってくれると

決定したが、

敢え無く一学年でも異例的な卒業が

決定して……………


急激にルシーシアを守る為の後見人

が、必須とも相成り

剣王ヴァン・イリスに

白羽の矢が立ったらしい。


偶然が重なり、俺と剣王ヴァン・イリスに白羽の矢が立った風の魔法石が

その手にできた訳だが、ジルルシーク兄上には、誤算でしか無かったのだろうなぁ。



悔しさが、幾ら平静を装っても

俺には、自己分析の結果として

招いた不運だが………


恐らく気持ち的には、納得しがたい

感情だったはずである。


だが、ジルルシーク兄上は


「恐らくですが、剣王様でさえ

一度拒まれた様な秘宝石ならば

自分では、宝の持ち腐れだった筈

です。」


と冷静に判断をくだすのだから………

ジルルシーク兄上の人間としての

品格は、母親であるソフィーシア様

に似た物を感じ取れた。


「ジルルシークの部屋を

妹のルシーシア部屋へと模様替えする

必要がありますよ。


ジルルシークは、ルシーシアの為に

急ぎスペイ王国に、

私物を持ち帰りなさいね。


これから、入学式迄に

ルシーシアが、やっておくべき事が

沢山ありますから…………


トモルシードさんの協力が合って

無事に剣王様がルシーシアの後見人に決まったのですから


急いで、スペイ王国へと帰還しますよ」


と、ソフィーシア様が

ジルルシーク兄上と

ルシーシアに命じた。


「「畏まりました。

御母様!」」


と返答して、ソフィーシア様と

ルシーシアが直ぐに転移陣に向かい


ジルルシーク兄上は、部屋の私物を

纏め出したので、俺も自室へと戻った。


もうフラン学園都市を在籍ではあるが、

卒業生なのだから…………

ダンジョン攻略に自由に赴けるの

だから……………

手分けして、食料品やその他の物資の

買い出し班を決めて、俺達も動き出した


留守の間は?

ジルグフリードとセシリアに託して

取り敢えず、決勝戦で闘った

イギリ大帝国を目指して

低位瞬間移動魔法にて

ドラ二ちゃん

トール

ネメシス

アテナ

全員で手を取り

イギリ大帝国へと飛んだ。







 

Sクラスを創設したが…………

結果として、想定外な事に

1年生の身で有りながら

フラン学園都市在籍でありながら

6年生であるジルルシーク兄上と

同時に卒業生と成った。


俺とドラ二ちゃん。

今後の展開は?

ダンジョン攻略へと全神経を注げるが


取り敢えず、優勝戦で闘った

イギリ大帝国へと飛んで、冒険者ギルド

にて、ダンジョンの正確な地図を

求めて旅立った。


ダンジョンの最下層の地下牢獄に

閉じ込められた神々を救出出来るのか!?


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