起動
「12時00分、共和国への宣戦布告を確認! 現在より、指令書499に従い、作戦を実行せよ!亅
我が強き王国が、悪に染まりし共和国へ正義の鉄槌を下すべく、堂々たる聖戦を宣言した。
伝令兵からの通達を聞いた、周りの整備師や操縦兵も雄叫びを上げ、己を鼓舞する。俺はそんな周りを無視し、眼前の鉄塊の最終調整に明け暮れていた。
「隊長! 20騎の内、18騎が起動完了! 残り2騎も20分以内に起動します!」
「了解。起動したヤツから搭乗開始。ここは最後尾が出たら、予定通り、爆破するから忘れ物が無いように伝えてくれ」
「了解」
急がなければ。既に別働隊は行動を開始してるだろうし、遅刻はアホどもに煽られる。
はっきり言うと、戦争なんてこれっぽっちも興味が無い。ただ、友人が王様してて、助力を頼まれたことと、研究成果の稼働データが欲しいからこの戦争に参加しただけ。
共和国に属してるギルドにも後輩が居るし、正直、早く殴りに行きたい。
隊長権限で騎体を好き勝手に弄ったら、クソピーキーかつ燃費も悪く稼働率が最悪な騎体が出来上がってしまった。
しっかし、これはこれでいい。相棒の騎体も特化型になってるから、ちょうどいい感じ。趣味と実益を兼ね備えてるはず。
「馬鹿たれ、何時まで自分の騎体を見とるんじゃ。はよ、乗らんかい」
「うるせぃ。お前こそ安定してるのか?」
「当たり前よ。じゃないと、テメェに通信なんぞ入れんわ」
「チッ。起動するかぁ」
「起動言葉起きろ、ルシフェル」
「声紋認証…クリア。おはようございます、マスター
炉を起動致します。
…第一炉、点火完了
……第二炉、点火完了
………第三炉、点火完了
補助炉72個への魔石装填確認
リンクを開始します
…第一、第二、第三の同調に失敗
原因 魔法陣の干渉あり
提案 魔法陣の再設計
現在、作戦中の為、提案を却下
サブルートから同調開始
第一第二第三を個別にマスターへ同調中………成功。
出力、臨界点を確認
騎体制御システム……起動
武装システム……起動
マップに同調…成功
部隊チャットに接続…成功
システムオールグリーンです、マスター」
「了解。では、ルシフ・フォン・ミュラー、ルシフェル、出るぞ!」
秘密基地から出撃して、共和国首都の方向を見ると、既に首都を囲う壁の前で砂煙が上がっている。
「隊員諸君、パーティに遅れないように急行するぞ!」
「「「了解」」」