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【コミック3巻6/14発売】前世魔術師団長だった私、「貴女を愛することはない」と言った夫が、かつての部下(WEB版)  作者: 三日月さんかく
第4章

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81:ペイジ・モデシット

ペイジの姓をモーガンからモデシットに変更しております。

恥ずかしながら、モーガンペイジというお方を知らなかったんです……。



 ボブ先輩の話を聞き、ギルにその内容を教えていると。

 ペイジさんとメルさんが再びリビングに登場した。


「さぁ~て、みんなぁ! これが本来のアタシよ! いままでのムサ苦しいアタシのことは忘れてよね~!」

「お美しいですわ、ペイジ様。本来のペイジ様にお戻りになられたことをメルはとても喜ばしく思いますわ」

「ありがとう、メル。貴女も最高に可愛いわよ。さすがはアタシの弟子ね」


 背の高い絶世の美女と、可憐なメイドさんが、そこに立っていた。


 ペイジさんのあのボサボサな一本結びはどこに消えたのだろう。

 そう首を傾げたくなるほど彼(彼女?)の水色の髪はツゥルツゥル艶やかで、王城のパーティーでもここまで派手な髪型を見たことがないぞというレベルに纏め上げられていた。そして赤や緑や青に染色された大きな羽が、髪飾りとして頭に刺さっている。

 切れ長の瞳にはゴージャスなアイシャドーに強めのアイライン、まつ毛はばっちり上向きで、頬は薔薇色、唇は林檎のように赤くちゅるんとしている。


 顔だけ見てもすごかったが、さらに視線を下げてもすごい。

 ペイジさんは深くスリットの入ったキラキラドレスを着込み、その上に魔術師団のローブを颯爽と羽織っていた。全身から醸し出されてるオーラがすごい。もはや舞台女優かな?


 そして、メルさんもメルさんですごかった。

 さすがに化粧はナチュラルメイクで、ピンク色のボブヘアーからの大幅なヘアチェンジは無かったが。

 魔術師団のローブの下が、まさかのメイド服である。それも黒ではなく、ピンク色だ。スカート丈が異常に短く、太ももまで晒されていた。

 師弟というより主従じゃないか、この人たち?


「うそー!? ペイジさんったらすっごくきれいじゃない!」

「ペイジさんって女の人だったんだ!? おれ、知らなかったよ!」

「ふふふ、子供は素直で可愛いわね。いい、ウィル。アタシくらい綺麗だと性別なんて超越するのよ」

「そうなんだ! すごい!」


 リーナとウィルはあっさりとペイジさんに馴染み、メルさんにも「メルさんはペイジさんの侍女だったのね!」「だからお料理とお掃除が上手だったんだね!」と声を掛けていた。

 私の弟妹たちも順応が早いもんなぁ。子供というのはそういうものなのかもしれない。


 ペイジさんとメルさんはそれぞれリーナとウィルの頭を撫でた後、こちらにやって来た。


「ギル団長ぉぉ……」

「ロストロイ団長様」


 二人は一斉に頭を下げた。


「助けに来てくれてほんとにありがとぉぉぉ!! アタシ、メルが行方不明になっちゃったって聞いて、気が動転したままこの森に来ちゃってぇぇ!! ミイラ取りがミイラになっちゃったわぁぁぁ!!」

「お忙しい中、ペイジ様とメルを迎えに来てくださって本当にありがとうございました。メルもまさか記憶喪失になってしまうとは思ってもみませんでしたわ」

「顔を上げてください、二人とも。しおらしい態度を取らずとも結構です」

「アタシたちのこと、許してくれるのぉ、ギル団長……?」

「ロストロイ団長様はペイジ様ほどではありませんけれど、素晴らしい御方ですから。メルたちの失態を許してくださると信じていますわ」

「きみたちに怪我一つなくて本当に良かったです。記憶喪失も治りましたしね。もはや憂うことはありません。森から無事脱出出来たあかつきには、僕は新婚休暇を延長します。魔術師団を頼みましたよ、ペイジさん」

「いやぁぁぁぁぁ!!!! それだけは許してちょうだいぃぃぃ!!!! アタシの美しさにすべてを免じてよぉぉぉぉ!!!!」

「ペイジ様の睡眠時間が減ってしまうわ!!!! メルのお美しいペイジ様のお顔にまたクマが出来てしまったらどうしましょう!!!?」


 ペイジさんとメルさんは絶望の表情で床にくずおれ、泣き出した。

 ギルはにっこりと腹黒い笑顔を浮かべていた。


 へぇ~。ギルが率いる魔術師団はこういう感じなのかぁ。

 私はなんだかとても新鮮な気持ちでギルの横顔を観察する。


 記憶喪失になっていた時、私はギルのことを知りたいと強く思った。

 けれど記憶を取り戻しても、私はまだ、いまのギルのことをよく知らないのかもしれない。

 もっとギルのことが知りたいな。バーベナが死んだ後のギルのことや、いまのギルのことを、もっとちゃんと。

 そんなふうに私は思った。


 しばらく泣き喚いていたペイジさんとメルさんだったが、リーナとウィルに慰められて回復した。

 そしてようやく私と挨拶をしてくれた。


「ペイジさん、メルさん、改めまして。ギルの妻のオーレリア・バーベナ・ロストロイです。よろしくお願いします!」

「あらヤダ。記憶を取り戻してからギル団長の嫁ちゃんを見たら、若過ぎてびっくりだわ。おいくつなの?」

「肉体はぴちぴちの十六歳です」

「え? この歳の差ってもはや犯罪じゃない? なんでギル団長なんかと結婚したの? 嫁ちゃんとっても美人だし、チルトン侯爵閣下のご息女でしょ。もっと歳が近い令息と結婚出来たでしょ!?」

「余計なことを言わないで頂けますか、ペイジさん」


 すぐに横からギルが突っ込みを入れた。


「だってギル団長、三十二でしょ!? 嫁ちゃんとかなり歳が離れてるじゃない! どんな理由で結婚したのか普通に気になるわよっ」

「いやぁ、私、顔も家柄も性格もピカイチなんですけれど、爆破魔術に難がありまして。結界魔術がかけられてないような柔な家には嫁げなかったんですよぉ」

「すごい理由なのね!?」

「ペイジ様、メルは愛があれば歳の差も性別も関係ないと思いますわ」


 メルさんはそう言ってペイジさんの手を取り、「そう、たとえ女の子同士であってもです!」と言った。

 女の子同士とはいったい……? ペイジさんの性別はどっちなんだ?


 ペイジさんとメルさんの関係は、私ごときでは想像もつかなかった。


「まぁ、とにかく改めてよろしくね、オーレリアちゃん」

「ペイジ様共々よろしくお願いいたしますわ、オーレリア様」

「こちらこそよろしくお願いしま~す」


 挨拶が終わったところを見計らって、ボブ先輩が再びテーブルの上に下りてきた。


『じゃあそろそろ作戦会議と行こうぜ! バーベナ、俺様の有難いお言葉を愚民どもに伝えろ!』

「はーい」


 それでは、フェンリル封印大作戦の幕がここに開ける!


52話クリュスタルムの返還11で、『ギル団長は絶対童貞だから嫁ちゃんの扱いが悪くて、そのうち逃げられちゃいそうでアタシィ心配よぉ』という台詞を言っていたのはペイジです。

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