母様の死の先には
「母様、母様!」
「ごめんね。もう…。ハァ…ハァ、あなたは…貴方の思うままに…生き…な…さい。」
綺麗な涙がこぼれ落ち、朝日が部屋の中を照らす
最後まで病気と戦い苦しみながら亡くなった。
暖かい光は、優しく包むように母を照らし日が昇っていく。
最後まで、来なかった。
病気だと、後少しの命だと分かっていて、
父上も、兄上も、仕事仕事と結局看取りに来なかった。そんなことよりも仕事のほうが大事だと
ルリは、鬼と人が暮らす国の姫。
しかし、付き人もいない。
姫としての勉強も他国の関わりも人との関わりもすべてを生まれたときから遠ざけられていた。
そして、母が死に一人になった。
誰も来てくれない、
ほったらかしの鳥かごの中のよう。
母様の髪をお守り代わりに切り、袋に入れた。
身軽に動けるように巫女服に着替え旅の支度をする。
そして、眠る母様の元に行き唱える。
「精霊よ、このモノの魂を捧げる精霊にせよ、我が命ずる」
光り母様を包み、龍のように天に登っていくそれから少しすると青い光の玉が天から私の元に降りてきた。
青い玉を両手で受け取ると鳥の卵ほどの小さなとても可愛らしい青い水玉の卵になった。
中からは鼓動が聞こえてきた。
「母様、ここから出ましょう。」
もうここにいる意味はない。
一緒に自由を手に入れるんだ。
この卵からどんな精霊がでてくるのかしら。
そういえば、母様がなくなる前に私に本をくれていたことを思い出した。
中に手紙が2つ入っていた。1つは空いてある。
手に取ると、2つともルリへとかいていた。
開いてる方から見てみた。
可愛いルリへ
ワシはあやつの育て方を間違えたのかもしれん。
お前の母と結婚させたが、愛や誰かを思いやることをしない。
そして、お前の兄もあやつに似てしまった。
お前たちには迷惑をかけてしまった。
親として申し訳ないと思っている。
お前に教えた魔法は、人の王が使うものだそうだ。
その卵の中は精霊じゃ。
魔力があるものしか見えん、人は魔力を持っておる、差はあるがの、鬼はあまり魔力がない。しかし、力が強いものは見えるものもいるかもしれん。
気をつけるのじゃ。
ワシもお前を見守ることはもうできんじゃろ。
天から見守ることにする。
好きに生きろ!お前は強い。
大丈夫、お前はババの孫じゃからの。
ババより
ババ様の手紙をなぜ母様が?
なぜすぐに渡してくださらなかったのか分からなかった。
ババ様は精霊のこと魔法のことも母様に教えていた?
悩んだところで、ババ様も母様も亡くなっていて聞けないので、もう1つの封筒を手にとった。