話してみたっ!
盗賊たちを捕食し終えた俺はそばで呆然と立ち尽くしている子供へと話しかけることにした。
「え~、おほんっ」
子供は突然声をかけられたことにびくっとする。
「あ~、怖がらなくていいよ。俺は君に危害を与えるつもりはない。」
俺の言葉に怯えているようだが、しばらくするとその子供が訪ねてきた。
「わ、わわ、私のことも食べるんじゃないの?」
どうも先ほどの盗賊と同じように自分も食べられると思っているようなので、ここは否定をしておかないと。
「先ほども言ったように君に危害を与えるつもりはないよ。そのつもりなら既にそうしていると思わないか?」
「た、たしかにそうだね・・・」
どこまで信じてくれているかわからないが一応は納得してくれたようだ。
そこで俺はその子供を《鑑定》してみることとする。
名前:モニカ
種族:ダークエルフ クラス:無しLv3
HP:7/7 MP:14/14
筋力:6 耐久:5 敏捷:8 器用:7
知能:11 精神:9 魅力:10
装備:ぼろぼろの服、首輪
スキル:ダークビジョンLV5、影操作LV1、ダークミストLv3、隠密Lv2
(見た目通りやっぱりエルフだったか、それにしてもダークエルフ?肌が黒っぽいからそうなのか?)
耳が長いことから察した通りやはりエルフのようで、褐色の肌からの由来かダークエルフという種族に当たるようだ。俺は続けてステータスやスキルも確認してみる。
(クラスは無しか、それにしてもLv3にしてはやけにステータスが低くないか?、でも子供ならこの程度なのかもしれない・・、しかしスキルは4つもあるな、これはエルフでは一般敵なのだろうか?)
ステータスは低いがスキルの多さに目を引かれるものがある、もしかしてここで出会えたのは意外と幸運だったのかもしれない。
俺はスキルについても鑑定してみる。
《ダークビジョン》:闇を見通すことができる。(種族特性)
《影操作》:影が操れる。(種族特性)
《ダークミスト》:闇の霧を生み出すことができる。(種族特性)
《隠密》:気配が消せる。(種族特性)
(スキルについては種族特性とあるな、ダークエルフという種族は生まれつきこのスキルを持っているのかもしれない。)
スキルが多いのはどうもダークエルフという種族の固有のものらしい、ダークエルフならだれでもこのスキルを持っているのであれば結構優秀な種族ではないだろうか。
俺はざっとだが一通り《鑑定》を終えると再びその子供に話しかける。
「まあ、君もただ安全だといわれても納得できないだろう、というわけで今から君を助けた理由を話すので聞いてほしい、そして出来れば協力をしてほしい。」
その子は言葉の意味を理解したのかコクリとうなずいた。話しても大丈夫そうなので俺は話を続けることにする。
「俺は見た目の通りミミックという箱に変装した魔物だ、しかし普通の魔物と違って人としての意思を持っている。ここまではわかるか?」
「中身は人間ってこと?」
「正確には精神だけだな、体は見ての通りの箱にみえる魔物だ。」
「魔物なのに人間なの?」
「そこについてはいろいろと事情があってだなあ、そこはまたあとで説明していこうと思う。」
その子は納得しているのかコクコクとうなずいた。俺は説明を続ける。
「でだ、ここはダンジョンだ、モンスターが徘徊している場所だ、そして中身が人間の俺としては体は魔物であってもやっぱり死にたくないわけだ。」
「でもさっきはあんなに強かった・・・あの男の人たちをあっという間にやっつけたし。そんなに強いなら大丈夫なんじゃ?」
「君から見たらあの男たちはそれなりに強かったのかもしれない、しかし俺から見たらあの男たちは大した強さではなかった、勝算があったから君を助けたんだ。でもね上には上がいるんだ、俺は運よく今のところ自分より強い敵に当たっていないがその運がいつまでも続くとは限らない。」
その子は、話した内容を理解できたのかまたコクコクとうなずいた。
「で、ここからが問題なんだが君から見て俺はどういう風に見える?」
「箱?」
「そうだね俺は箱だ、そして箱ということは当然手足が無い・・・」
「さっき箱の中からべろーんって出てきたのは?」
「あれは舌だよ。」
「長い舌だね。」
「そうだな長い舌だ、ってそこは今は置いておこう、話を戻すと俺には手足が無い、そうすると何が困ると思う?君に手足が無かったとしてなにか感じることはないか?」
その子は少し悩んで首をかしげながらこう答える
「ごはんが食べられない?」
「腹ペコかっ!、いやまあ手が無ければ確かに飯は食いずらいよな、だけど口があれば何とか食事はすることができる、それ以外に重要なことってないかい?」
そうするとその子はもう一度考えこんだ。
(そんな難しい質問をしたつもりは無いんだけどな・・・。)
俺はヒントを伝えることにした。
「君はどうやってここまで来たの?」
俺の質問にその子は内容が変わったせいなのか不思議そうに目をぱちくりしながら俺を見つめてきた、そして答えをくれる。
「歩いてきたよ?」
「そうだね君はここまで歩いてきた。ではその時何を使ってあるいてきたんだい?」
そうするとその子はようやく思い至ったようでハッとした顔をしてこう答える。
「そうか、足だね、箱さんは足がないから歩けなくてこまってるんだ。」
「正解、そう箱の俺はここから移動することができないんだ、そこで君の登場だ。」
その子はまた首をひねる、あまりよくわかっていないようだ。俺はつづけて自分の提案を伝える。
「俺はさっきもいったように移動することが出来ない、でも何とか移動する手段が欲しと思っていた。そこにあの男たちと君が来たわけだ。」
「なるほど、それで私を助けてくれたの?」
「そうだ」
そこでその子が質問をしてくる。
「でも私、あんまり力持ちじゃないよ?さっきの男の人たちの方がよかったんじゃ?」
その子はそんなことを言ってくる。俺はなぜ君にしたのかを伝えることにした。
「力うんぬんよりも人間性を重視したんだよ。あの男たちは君を奴隷か生贄のように使っていただろ?」
「うん、実際私は奴隷だし・・」
「そこだよ!」
「どこどこ?」
その子はあたりを見渡してきょろきょろし始める、天然なんだろうか・・・・。
「べつに何かいるわけじゃない、そこというのはあの男たちの性格のことだよ。」
「なんだそうなんだね、そう言ってくれればいいのに・・」
(俺が悪いのか!?)
あの話の流れでむしろなぜ違う方向に飛ぶのかの方が不思議だ。
「ま、まあいい話を戻そう、あの男たちは同じ人種である君の命をなんとも思っていなかった。」
「でも奴隷はどこに行ってもそういう扱いをされるよ?」
(なんつう世界だ・・・)
この世界の世間はなかなかに厳しいようだ。俺は気合を入れなおしてその子に答える。
「奴隷というものがそういうものだとしてもだ、子供の命を使って罠を発見したり、魔物の餌にするような奴らは信用できない。同族ですらその扱いなら魔物である俺はさらに低い扱いになるだろう。だからあの男たちよりも君の方が信用できるのではないかと踏んで君を助けたんだ。」
俺はそこまで一気に言い切って、その子を見つめ反応を待つ。
その子はしばらくすると俺が言ったことが理解できたのか、なぜか目に涙を溜めてにこにこしながらこちらを見つめてくる。
「私のこと信用してくれるの?」
「今はまだすべてとはいかないが、あの男たちよりは信用できる。」
その言葉に納得いったのか、その子はこう答えてくる。
「わかったよ、箱さんの足になればいいんだね?」
今の俺の説明でどうやら納得してもらえたようだ、なぜ泣きながら笑っているのかは不明だがそれは後でいいだろう。
そして、お互いが納得いったところでまだしていないことがあるのに気付いた、説明が先行していてまだ名前すら交わしていない。なので俺はその子に向かい答えを返しつつ挨拶をすることにした。
「納得してくれたようでよかった。そういえばまだ挨拶をしていなかったな。俺は箱の魔物、ミミックで名前はまだ無い。これからよろしくなっ!」
そう答えるとその子も、
「私の名前はモニカ、種族はダークエルフです。さっきは助けてくれてありがとう、これからよろしくね箱さん。」
そう挨拶してきたモニカはさっきまで泣いていたせいか少し目を腫らしながら、でもニコリと微笑みながらそう答えてくるのであった。
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