召使の魔物と挨拶してみたっ!
ニコラスとの挨拶も終わり、ニコラスからその部屋にいる者たちの紹介をしてもらうことになった。
「では、手前にいる者たちから紹介していきましょう、この五体のスケルトンはそれぞれ、骨一郎、骨二郎、骨三郎、骨四郎、骨五郎です。外見は同じなので見分けは付きにくいですが、慣れればわかるものです。」
そういうとニコラスは一番手前にいたスケルトンに手で合図を送り呼び止めた。
「骨一郎、お客人だよこちらへ来て挨拶なさい」
そうすると、合図を送られたスケルトンはこちらに近づいてきた、俺からみたら見た目は全く同じに見えるがニコラスにはわかっているようだった。さすが執事っぽいことをしているだけある。
そしてそのスケルトンは俺たちの側まで来た、しかし若干様子がおかしい、俺たちの方ではなくニコラスの方に向かいその指を三本立てて、その後自分の方を指差した。スケルトンは肉が無いのでジェスチャーで会話をするしかないみたいだ、そしてそのジェスチャーからするとどう見ても「自分は骨三郎です。」と主張しているように見える。
...執事っぽい格好だけだったな...
骨三郎?の無言の主張でしばしの沈黙が流れ、皆の視線がニコラスに集中する、そして注目されたニコラスは「こほんっ」と咳払いをしてから、
「はっはっは、君が骨三郎であることは最初からわかっていたさっ...、そっ、そう、これは君たちが正しく名前を認識しているか確認させてもらっただけさ、もちろん僕はわかっていたとも、さあ骨三郎、皆様に挨拶をするんだっ」
と苦しい言い訳をするニコラス、何でいまそのテストをする必要があったんだか。
明らかに間違っただけなんだろうが、しれっとうやむやにして話を進めていくニコラス。
まあドヤ顔で紹介していた手前恥ずかしいのだろう、どもってるしな、それに本人も言っていたな「執事の真似事」と、真似事では仕方無いなぁと思い大人な俺はスルーすることにしたが意外なところからツッコミが。
「...わからなかったんだね...みんな似てるもんね...」
「モニカ、し〜!」
俺は頭上で呟くモニカの口を慌てて塞ぐ。
ああ、幼いモニカには空気を読むのはちょっと難しかったか...
そしてニコラスの方を見ると小声で呟きだったのにも関わらずバッチリ聞こえていたようで体がピクリと反応していた。
気まずい空気が流れるが、そのタイミングで骨三郎が俺たちの前に進み出て腕を折り曲げつつ腰を屈めて恭しく挨拶をしてきた。その姿はなかなか堂に入っており、仕草だけならニコラスよりも執事っぽい。
俺たちもその姿に釣られて頭を下げる、その丁寧な挨拶によりニコラスが名前を間違えた事はどうでもよくなってしまった。
もしかしてこのスケルトンは空気を読んでニコラスの為に率先して動いたのだろうか、だとしたら中々骨があるスケルトンだ、骨だけに...、それにさっきの挨拶もとても丁寧で綺麗だった、そういう意味ではやはり骨三郎の方が執事っぽく見えるがそこは黙っておこう。
そんな骨三郎の挨拶が終わり、再びニコラスが話しかけてくる。
「ご苦労だったね骨三郎、仕事に戻ってくれていいよ」
ニコラスがそう告げ告げると、骨三郎は軽く会釈をして仕事に戻っていった。
最後まで丁寧なスケルトンだ、さっきの件といいただの魔物には見えないな。
その背中を見送っているとニコラスが再びこちらに向き直った。
「では、紹介の続きをしようか」
そして、先ほどのことは無かったかのように話を進めていくニコラス、彼も中々にいい性格をしているようだ。
ニコラスからの紹介は続く...、次は大丈夫かこれ?
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