気がついたら箱でしたっ!
...んっ、ここはどこだ!
気が付くと俺は薄暗い石畳の部屋の中にいた。
ここは一体どこだ、俺はなぜこんなところに...
気がついたら突然見知らぬ状況に置かれた俺はパニックになりそうになるが、なんとか直前の状況を思い出した。
そうだ、確か俺は居眠り運転のトラックから女の子を助けようとして轢かれたはずだ...だがしかし、どう見てもここは道路でもなければ病院でも無いように見える。
とりあえず俺は辺りを確認するために視線を動かし周囲を見渡そうとするが何故か体が動かない。おかしいと感じた俺は、体に意識を向けてみると今更ながらに手足の感覚が無いことに気が付いた。
な、なんだこれは手足の感覚が全くないぞ、車に轢かれたせいか?しかし痛みは全く無い、一体どうなってるんだ。
俺は現状、視線しか動かすことが出来ずそれ以外は何が起こっているのか全くわからない、しかし焦っても身体が動かないことには変わりなく、状況も好転するわけでは無いので一旦落ち着いて考えて見ることにする。そしてしばらく悩んでいるとふと体の中に不思議な感覚があることに気がついた。俺はその感覚に意識を集中してみる、すると突然頭の中にとある情報が流れ込んできた。
名前:名無し
種族:ミミック
クラス:コモンミミックLv1
HP:12/12 MP:15/15
筋力:3 耐久:8 敏捷:0 器用:2
知能:3 精神:2 魅力:0
スキル:噛みつきLv1、捕食Lv1、舌Lv1、鑑定Lv1、収納Lv1、アイテム作成Lv1
その情報はまるでゲームのような内容だった、もしかして体が動かない原因はこれに関係しているのかもしれないと思い俺はその内容を確認してみることとした。
さてさて、なになに種族がミミック?、ミミックというとよくある宝箱に擬態するモンスターのことか?、もしかして俺はそのモンスターになったのか?
もしかして俺は小説や漫画でよくある転生というやつをしたのだろうか、しかし普通転生といったら人とかになるものではないのか、それがなぜゆえにモンスターなのか。それに転生といったら何やらすごい特技を身に付けていたり、すごい武器を持っていたりするものだとおもっていたが、現実は甘く無いようで内容を見る限りそういったものは一切見当たらない。むしろめちゃくちゃ弱くないかこれ...
そしてその情報を見てすぐわかることは、元の世界ではこんな情報は頭に浮かぶはずもなく冗談抜きで異世界に転生してしまったかのようだ。少なくても元の世界では無いだろう。
俺はあの事故のせいで元の世界では死んでしまったのか....、なにせトラックに直撃コースだったしな、それで別の世界に飛ばされたのかもしれん。
トラックに轢かれたことは確かに業腹だ、居眠り運転していたクソ野郎には恨み言の一つも二つも言ってやりたいところだ。しかし、助けようとした女の子は俺と入れ替わりに歩道へ引き寄せた、勢いよく引き寄せたので多少のケガはあるかもしれないがおそらく無事だろう....無事であってほしい....でなきゃ報われんだろ...。
まあ俺自身としては元の世界に心残りがまったくないとは言えないが、両親は既に他界しており独り身で生活していた、そしてそれ以外には身近な親族を持つ身でなかったことが唯一の救いだろうか。むしろそのまま死ななかったことは幸運?だったのかもしれない。
それに、それを悩んだところでこの状況が変わるわけも無いので前の状況は一旦脇に置きやり、今の状況とこれからのことを考えることにした。
さてまずは状況を確認しようか、えっとミミックっていうモンスターに転生したんだっけ?
俺はそう考えつつ、もう一度ステータスを詳しく確認してみることにした。
HPはあれだろ体力的なやつで、MPは魔力か?魔法がつかえるのか!?、ステータスはまあなんとなくわかるが、そのあとのスキルは何だろうか...
《噛みつき》《捕食》はおそらく名前から想像するに獲物を襲って食べるスキルだとおもう、そして《舌》はその獲物を掴むために使えそうだ。
《鑑定》は今ステータスを見ているこの効果のことかもしれない。
《収納》はそのままの意味だとおもうミミックである事から今の見た目はおそらく箱だからね。
だが、よくわからないのは『アイテム生成』だ、ミミックというのは確か人食いモンスターだったはずだ、わざわざアイテムを作る意味は何なのだろうか。あれこれ悩んでみたがよくわからないため、とりあえずスキルを使ってみることにした。
...しかしどうやって使うんだ?
スキルの使い方がわからない俺は取り合えず《鑑定》の時と同じように心の中で念じてみた。
『《噛みつき!》』
俺は《噛みつき》と念じると上蓋が開いた、いやミミックだから口になるのか..が開いた、カチカチと噛み合わせてみると歯の感覚もしてくる。
噛みつきを使うと歯が生えてくるのか...
続けてそれ以外のスキルも使ってみる。
『《舌》』
そう念じると口の中から何やら触手のような長い舌が出てきた、そしてその舌は俺の思った通りに動くようだ。手足の無い状況でどうやって獲物と取るのかと考えていたが、これで物を掴むことはなんとかなりそうだ。《鑑定》はステータスを見るのに既に使っていそうだが念のためそのあたりの石を鑑定してみる。
『《鑑定》』
名前:石
耐久:10
予想通り石のステータスを見ることができた。鑑定は自分が意識したものの情報を見ることが出来るスキルで間違いない様だ。そして次は考えてもよくわからなかった《アイテム生成》だ。
『《アイテム生成!》』
スキルを念じてみると口の中に何やら棒状のものが現れたのが分かった、それを舌で掴んで目の前にぶら下げてみるとどうやらナイフの様だった。
せっかくなので鑑定をしてみる。
名前:錆びたナイフ(粗悪)
攻撃:1 耐久2
うわぁ、しょぼい...
《アイテム生成》とあるから、何か良いものが出てくるのかとちょっと期待していたが大した物は生成できないみたいだ。もしかしてLvが低いせいでゴミアイテムなのかもしれない。
そして、それ以外にも気がついたことがある。表示していたステータスの中で《アイテム生成》を使用した直後にMPが10も減っていた。
ゴミアイテムでMP10も使用するのか、これは多いのか少ないのか...
もっと検証してみないとわからないが、《アイテム生成》でMPを10も消費してゴミアイテムしか出ないのであればかなり効率が悪いような気がする。いや魔力消費だけでアイテムが出せるだけ良いとも言えるのかもしれない?まだまだ情報不足でなんとも判断し難いところだ。
それに今のところ《アイテム生成》以外ではMPを消費していないが、いざというときにMPが無いのはまずいことにならないだろうか。これについてはとりあえずこれからも検証が必要なようだ。
そして、最後のスキルの《収納》を使用してみることにする。
丁度先ほど作ったナイフがあるのでそれを口の中に放り込み《収納》と念じてみる、するとナイフの感覚が突然口の中から消えうせたのだった。
箱の中に入る物だと思っていた俺は少し焦ったが、とりあえずステータスを確認してみる、するとステータスの中にあるものが増えていた。
名前:名無し
種族:ミミック
クラス:コモンミミックLv1
HP:12/12 MP:15/15
筋力:3 耐久:8 敏捷:0 器用:2
知能:3 精神:2 魅力:0
スキル:噛みつきLv1、捕食Lv1、舌Lv1、鑑定Lv1、収納Lv1、アイテム作成Lv1
収納品:錆びたナイフx1
ステータスの中に収納品の項目が現れその中に先ほど取り込んだナイフが表示されていた。どうやら《収納》スキルは箱の中に収納されるのではなくスキルとしてどこかに収納されているようだ。箱の体積に関係なく物を取り込めるみたいなので便利そうなスキルである。
まだまだ分からないことづくしだが一通りのスキルの確認を終えた俺は、もう一度辺りを確認してみることにした。薄暗い部屋を見える範囲で見渡してみると石畳の床に石の壁が見える、そして右奥の方に薄っすらと木の扉の様なものがあることに気がついた。
そのままあたりを見渡してはみたものの確認出来たのはあの扉だけだった、俺がいる場所はどうやら石造りの部屋の中のようである。あの扉から外へ出ることも出来そうだが、動けない俺としては如何ともし難い状況だ。
などと考えていると扉の向こう側から何やら話し声だかうめき声だかわからない声が聞こえてきた。そしてその声はどんどんこちらに近づいて来ているようだ。
な...なにか近づいてくる、でも逃げようにも動けないしなあ、ただの箱をよそおって様子をうかがってみるか。
そして暫く待っているとその足音はちょうど俺がいる部屋の扉の前あたりで止まり何やらごそごそとしているようだ。
そのまましばらく扉の方を観察しているとギギッと音を立てながら扉が開いていくのが見えた。そしてその扉の向こうからは小柄な子供ほどの姿をした何かが二つほど見えてきた。
こんなところになぜ子供がと思っていると、その小柄な姿をした者たちは部屋の中を見渡すとこちらの存在に気が付いたようでひたひたと俺の方に近づいてくる。そして遠目には子供のように見えたその容姿だが近づいて来たことによって姿をはっきり見ることが出来た。
それは決して人間ではありえない緑色の肌をしており頭には小さい角のような物が生えている、格好はぼろぼろの皮の鎧の様なものを纏っていて全体的に薄汚い。俺は近づいてきた内の一匹を鑑定をしてみる。
名前:名無し
種族:ゴブリン
クラス:ゴブリンファイターLv1
HP:8/8 MP:3/3
装備:破けた皮の鎧、錆びた短剣
どうやらその二匹はファンタジーではおなじみの雑魚モンスター、ゴブリンのようだ、鑑定してもHPも少なくまさに雑魚という感じ。
「グエッグエッ」という鳴き声の様なものを互いに発しつつこちらにやってくる、どうも目的は俺の様だ。
さて、どうしたものだろうか。
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