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My sweet bunny 番外編 可愛い花菜先輩 

作者: 依千流

※番外編と銘打っていますが、本編はいつになるかはわかりません。

花菜先輩は可愛い。

抱きつくとふわふわしてて、気持ちがいい。

胸がおっきいからぽちゃぽちゃに見えるけど、実はぜんぜんぽちゃぽちゃじゃなくて、すごくスタイルがいいのを私は知ってる。

丸顔だから損してるんだ、きっと。


雰囲気が天然系だからって、仕事出来ないみたいに言うバカもいるけど、花菜先輩は地味な仕事でも手を抜かないでキッチリ仕上げるから、男性社員に人気だということをちっとも理解しようとしない他部署の女共にはいつか天罰が下ればいいと思う。

そして、可愛い可愛い花菜先輩を裏切って、そんな頭の軽い派手バカ女に走ったゲス男なんかシネバイイトオモウノ。




花菜先輩が、私の教育係としてついてくれたのが三年前。

最初は「大丈夫かな、このひと。」と思った。ふんわりした笑顔と話し方が少し頼りない感じに見えたのだけれど、前言撤回。優しい口調で結構スパルタ。やんわりはっきりこてんぱんにやられましたよ。

でも、おかげで試用期間が終わる頃には、同期の中では「一番使える」と評価されるようになった。


そんな花菜先輩に彼氏がいるということを知ったのは、試用期間が終わって本当の意味の歓迎会が開かれた時。同じ営業部の花菜先輩の同期だった。

社内恋愛禁止ではないけれど、あまりおおっぴらにするのは好まれない社風もあって、二人はこっそり付き合っていたらしい。それでも私にバレたのは、二人してお互いをチラチラ見てたから。

怪しいなぁと花菜先輩をつついてみたら、顔を真っ赤にして恥ずかしそうに頷いた。可愛い。


花菜先輩、フリーならこっちの道に誘い込もうと思っていたのに。

色白でぷにぷにしててすべすべで、絶対触り心地は素晴らしくいいと思うのに。

仕方ないから二の腕もみもみで我慢した。想像以上に花菜先輩の二の腕はしっとりすべすべひんやりふにふにの最高級品で、私は家に帰ってから妄想全開で悶えた。

くそぉ、花菜先輩を独り占めしている奴が憎い。

その気持ちが表れていたのだろう。私と奴はお互い目が合った時にはバチバチと火花を散らしていた。


花菜先輩は私の本当の性癖も気持ちも全然気付いてなかったから、銭湯に誘ってもプールに誘っても旅行に誘っても何の疑いもなく素肌を晒してくれて、マッサージと称して体中を撫でてもうっとりとゆだねてくれた。何度襲おうと思ったことか。誰か私の理性を褒めてくれ。


季節が巡って今年。

花菜先輩と奴の間に事件が起こった。

浮気したのだ。奴が。


相手は常日頃花菜先輩を貶していた派手バカ女の一人。社長の娘というのはこのとき初めて知った。

通りで我が物顔で闊歩しているはずだ。社長の跡取りは現場でいろんな部署を回りながら修行中というのは聞いていたけど、女の子には甘いんだね、社長。


バカ娘は毎日終業時間きっちりに営業部にやってきては奴をお持ち帰りするようになった。

いやぁ、あり得ないよね。きっちり、てさ、自分のとこはそれより早く終わらせているってことだし。

一応彼女受付だったと思うんだけど?


奴もバカ女も顔面偏差値は良い方だと思う。それになんと言っても、片や社長令嬢、片や営業部のエース。社長の命令で付き合わされているんじゃないか?なんていう推測も飛び交っていたりもする。

けど、そんな思惑なんて関係ない。

花菜先輩にしてみれば奴のやってることは酷い裏切りなわけで。

表面は何でもないように装っているけど、明らかに笑顔が減った。

営業用スマイルはなんとか維持しているけど、たまに俯いて泣きそうなのを堪えているのを見ると、奴にどういうつもりか問い詰めたくなった。

けれど、それは絶対花菜先輩は望まないからじっと見守るしか出来なかった。

そんな状態が一週間過ぎ、二週間を過ぎた頃、花菜先輩は奴と話し合ったらしい。

「心配かけてごめんね。私たち別れたから」と、私にぽつりと告げた。


それから三ヶ月が過ぎ、奴とバカ娘が結婚するという話を聞いた。

その話をトイレの鏡の前でバカ娘本人から告げられた時に、花菜先輩は一瞬体を強張らせたけれど、すぐに「おめでとうございます」と微笑んだ。大人だ。

私はといえば、到底微笑むなんてことは出来ずに低い声で「オメデトウゴザイマス」と棒読み状態だった。


奴が花菜先輩と別れたのは私にとって非常に喜ばしいことだけれども、花菜先輩が落ち込んでいるのを見ていられなくて。なんとか気持ちを紛らわせて欲しくて、飲みに誘ったりご飯誘ったりした。一人になるとどうしても考えちゃうって別れた後に言ってたから。

同じフロアで、からかわれたり、話を振られたりする奴の浮かれた声を聞くのもうんざりで、奴がとっととどこかへ異動すればいいのに、なんて思いつつ、月日は過ぎていく。


そして、クリスマスイブという本当に傍迷惑な日に、社長令嬢と営業部のエースの華々しい結婚披露宴は行われた。


同じ営業部で同期ということもあって、花菜先輩も招待されていた。

ナントイウイヤガラセ。

花菜先輩も欠席すればいいのに、律儀に出席する。御祝儀もいるのにと私がぶーぶー文句をいうと、おめでたいことなんだからそんなことは言っちゃダメなんて、花菜先輩はやっぱり優しい。


そんな私には当然招待状なんて送られてこなくって、披露宴会場で花菜先輩を守るという役目を果たせなかった。せっかく花菜先輩の華やかな姿を見ることが出来ると思っていたのに。

仕方ないので、披露宴に着ていくドレスを一緒に選んであげた。

普段の花菜先輩の優しい雰囲気はペールピンクで表して、デコルテは広く開いたデザインで鎖骨と豊かな胸を強調し、柔らかなジョーゼットのスカートにさりげなく入ったスリットは歩くたびに花菜先輩の綺麗な脚が見え隠れするように。

試着して、派手じゃない?と怖じ気づく花菜先輩が鼻血出そうなほど可愛くて、スリットから手を入れてイケナイことをしちゃいそうになった。


あのバカ女と奴を見返してやれー!の勢いのまま選んだドレスは、男どもには思いの外エロかったらしくて、ほぼほぼ社内の人間という気楽な立食パーティー形式が徒になったのか、新郎新婦そっちのけで花菜先輩に話しかけようとする野郎どもが一杯だったらしい。らしいらしいと伝聞なのは、それを私に聞かせてくれたのは花菜先輩本人からじゃなくて、私の飲み友達であるレオンだからだ。


レオンとは卒業旅行でいったスペインのバルで知り合ったのだけれど、いい男なのに気取ることなく話題も豊富で、私のようなマイノリティにも理解がある面白い人間で、日本で偶々再会してからはちょくちょくレオンの友達も誘って飲みに行く関係になった。


そのつながりで、花菜先輩も誘って食事やら飲みにやら行くことが増えてはいたのだけど、レオンたちの職場も仕事内容も全然興味なかったし、レオンたちも私たちの勤務先を聞くこともなかった。それが、なんと彼はうちの会社の取引先のちょっとした役職付きだという事実が判明。普段はそういう席には別の人が行くけど、その日はレオンしかあいていなくて、仕方なく出席したのだそうだ。


最初に引き合わせた時から、花菜先輩のことを気に入っていて、飲みにいった先でさりげなく腰に手を回してたり、髪にキスしてたりしてたレオンのことだから、「花菜がいてラッキーだった」と、ほくほくした顔で言った時、絶対おまえなんかやったろう?と聞いたら、「プロポーズした」とふざけたことを言った。

「は?寝ぼけてんの?」と聞いたら本気だという。しかも披露宴会場で、会場のテーブルにあった薔薇を一輪抜いてからひざまずいて「Will you marry me?」と。

ちょ、マジ?マジでやっちゃったの?と慌てて、その場で花菜先輩に電話をかけて聞いたら、本当だった。しかも、思わず「Yes」って答えちゃったらしい。今度こそ、こっちの道に誘い込む予定だったのに何してくれてんだレオン!って詰めたら、ちょっとくらいなら花菜にキスしてもいいよ?と花菜先輩の意思は無視の甘い提案。

あのチェリーピンクの艶やかな唇に...と心動いたのは花菜先輩には内緒。


でもさ、なんでひとの披露宴でそんなことしたのさ、と聞くと。

「花菜に群がる男が多すぎて腹立ったから」なんて単純な嫉妬から勢いでのプロポーズらしい。

それでも、元々いつ手に入れようかと虎視眈々と狙っていたんだと。OK貰ったらすぐ婚姻届を出せるように大使館で宣誓供述書も用意して記入済の婚姻届も準備してあって、もう出してきたというから、オネエサン、キミガコワイヨ。


だってねぇ、私が花菜先輩とレオンたちを会わせたのはつい一年前だよ?

しかも、会ったの何回ある?10回もないでしょ?

はああああああ?この半年ほぼ毎日電話してた?私抜きでデートしてた?

聞いてないよ?ねぇ?花菜先輩にもあんたにも!

花菜は恥ずかしがり屋だからね。ってドヤ顔すんな!

あああああああもおおおおおお!やさぐれてやる!!!

絶対、レオン、あんたが花菜先輩に口止めしてたんでしょっ!

この腹黒がっ!!!!!



でもまぁ、休み明けの日、花菜先輩がすごく幸せそうに笑っていたから、腹黒レオンのことは赦してやろうと思う。




レオン。

あの約束、果たしてもらうからね!





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