表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゴブリン、頑張って生きる。  作者: はちみやなつき
Ⅰ この世界で生き残るために
9/222

9.できるだけ強化してみました。

 通り道に魔物はいない。

 よし、今なら行ける!


 通り道にと言った理由は、それだけ周囲にウルフがうろついているからだ。

 正直周りから全てのウルフがいなくなるのを待っていたら日が暮れるだろう。

 それだけ数が多い。


 というかなんで今日に限ってこんなにいっぱいいるんだよ、ウルフ。

 昨日まではそんなことなかっただろ?

 訳分からねえよ。


 文句言っていても仕方がない。

 一気に駆け抜けるぞ。



 俺は意を決して茂みから飛び出す。

 そして全速力で俺の住処がある茂みを目指す。


 途中で何匹かのウルフに気付かれたような気がしたが、気にしない。

 そんなことになるのはもう分かっていた。

 というか避けようがなかった。

 だから追いつかれる前に一気に住処に戻る!



 俺はなんとか住処の入口まで来た。

 そして入口を開け、さっと穴に入る。

 その瞬間、頭を何かがかすったような感覚がした。

 多分あと一歩遅れていたら危なかったな。

 だが間に合って良かった。

 穴に入った後はすぐに細い横道へと入り込む。


 横道からのぞくと、穴の上から黒いウルフがのぞいているのが見えた。

 そして穴を掘り始めていて、いかにも獲物狙ってますという状態だ。


 本当に危ない状況。

 でも、幸い、俺がいる横道は俺がやっと通れる位の狭さ。

 ウルフには通ることができない。

 だからすぐには追いついてこれないだろう。


 しかし、それも時間の問題。

 ウルフも穴を掘ってきたリして追いかけようとする可能性がある。

 早く迎撃の準備をしなければ。



 余裕がなかったので、入口の蓋をしめることができていない。

 例えそんなことをしようとしても、蓋をしようとした手を食いちぎられるだけだろう。

 そんなのはごめんだ。


 だからいつかは住処の中にまで入られてしまうのは仕方ないとも言える。

 場所がバレてしまったからな。


 ただ、通路が狭い関係上、俺の生活スペースにウルフがたどり着くまでには時間がかかるだろう。

 それならまだ打つ手はある。


 奥の部屋で準備を整え、準備ができ次第、手前の部屋にて迎撃する。

 それがベストだろう。


 それに奥の部屋はカモフラージュしているから気づかれにくくなっている。

 だから気づかれないまま時間を稼ぐことができるかもしれない。

 もし気づかれたとしても間を隔てる壁を壊すのに時間がかかるし、十分だ。


 手前の部屋にたどり着いた俺は、この部屋にある素材を奥の部屋に移動させた。

 手前の部屋は戦場と思った方がいい。

 故にこの場はだいぶ荒れるだろうし、ここに素材を残しておいても仕方ないしな。

 奥の部屋での迎撃準備に使った方がいいだろう。



 ふう。

 少し時間はかかったが、一通り素材を奥の部屋へと運び終えることができた。

 それから俺は手前の部屋と奥の部屋の間にある蓋を閉めた。

 よし、これでひとまず安心だろう。


 さて、早速迎撃準備といきますか。

 戦うことを決めた以上、できることを徹底的にやらないとな。


 俺のステータスは貧弱だ。

 レベルが6に上がったとはいえ、ステータスはたったオール6。

 何の準備もしなければ速攻で殺される。



 だが、今の俺には【加工】という素晴らしいスキルを持っている。

 先ほどそれを使いまくってそこら中に武器や防具が散乱してしまったが。

 そのせいで誰かがそれを使って俺を殺さないかビクビクすることになっているが……

 まあ、使わせなければいい問題だろ、うん。


 とにかく、【加工】は使いどころを間違えなければ、確実に有用なスキルだ。

 特に極上シルクシリーズは素晴らしい。

 防御力に優れている上に軽く、しかも小さな俺の体にフィットする。

 魔法防御力も上がるというオマケ付き。


 唯一の難点は、全身真っ白になるので、見た目がミイラみたいになることか。

 でもそんなことは今の俺には関係ない。

 だってゴブリンだぞ、俺?

 ゴブリンのファッションなんて誰が気にするんだよ?


 別に変な格好をしていようが、生き抜くことさえできればいいんだ。

 だからもう躊躇しない。

 徹底的にやってやろう。



 俺は奥の部屋をさらに掘り進めて、鉄鉱石を補充する。

 そしてその補充した鉄鉱石を【加工】してグローブ以外のシルク防具を作成していく。

 もうこういう物作りはお手の物で、あっさりと作成は成功した。


 ちなみにそれぞれの防具の特徴は次の通りだ。



 極上シルクハット+30

 防御力   100+30

 魔法防御力 100+30

 シルクの中でも最高級なものをふんだんに使った帽子。 

 この量の最高級なシルクを生産するには一万匹の蚕を用意しても十年はかかる。

 故に貴族の中でも最高権力者やその側近しか身につけることはない。

 この防具は職人補正により、能力値がより上昇する。


 極上シルククロース+30

 防御力   300+30

 魔法防御力 300+30

 シルクの中でも最高級なものをふんだんに使った服。 

 この量の最高級なシルクを生産するには一万匹の蚕を用意しても十年はかかる。

 故に貴族の中でも最高権力者やその側近しか身につけることはない。

 この防具は職人補正により、能力値がより上昇する。


 極上シルクシューズ+30

 防御力   100+30

 魔法防御力 100+30

 シルクの中でも最高級なものをふんだんに使った靴。 

 この量の最高級なシルクを生産するには一万匹の蚕を用意しても十年はかかる。

 故に貴族の中でも最高権力者やその側近しか身につけることはない。

 この防具は職人補正により、能力値がより上昇する。


 

 これで守りは完璧。

 だが今回はこれだけじゃ駄目だ。

 確かに死なないだけならこれで十分かもしれない。

 でも今回は住処に侵入したウルフを撃退しないといけない。

 故に攻撃力も必要だ。



 俺が高い攻撃力を持つ方法。

 それは強い武器を装備する他にない。

 そして強いだけでなく、俺が扱えるような武器でないといけない。


 俺の体はゴブリンの赤ん坊だ。

 それはどうあがいても変わらない。

 つまり、そこまでの力がないから、重すぎる武器は扱えない。


 だが、それでも良さそうな武器に目星はつけてある。

 その武器は奥の部屋のさらに奥にある、俺の黒歴史部屋こと、武器防具部屋に保管されている。

 それを取りに行くか。



 俺は武器防具部屋の蓋を開け、中へと入る。

 中は相変わらず無造作に高く積まれた武器や防具でごったがえしていた。

 俺は転がっている武器で怪我をしないよう注意しながらある物を手に入れる。


 うん、軽い。

 これなら俺でも扱いやすそうだ。


 ちなみに俺が手に持っている武器を【観察】した結果は以下の通りだ。



 アダマンダガー+30

 攻撃力 500+30

 伝説の金属、アダマンタイトをふんだんに使った短剣。

 誰も見たことすらないアダマンタイトをどこから調達してきたのか?

 製作者のみぞ知る。

 この武器は職人補正により、能力値がより上昇する。



 目的の物を手に入れた俺はさっさと部屋に蓋をして、奥の部屋へと戻った。

 あんな部屋、おっかなすぎて、いるだけでヒヤヒヤするわ。

 そんな所にはさっさと蓋をして封印しないとな。

 本当、どこのバカがあんな物騒な物作ったんだか。

 もっと後先考えてから作れっての。



 え、俺?

 あ、ああ、そんなこともあったような、なかったような……


 はい、やったのは私です。

 すんませんでした。

 俺、本当にバカでした。

 自業自得ですね。



 一人漫才は置いておいて、これで攻撃防御共に完璧。

 後は素早さだな。

 これを上げられそうな方法も目星をつけてある。


 俺は部屋にある布団の綿を一部引きちぎる。

 それからその超極上綿花に上回復薬をふりかける。

 そして細工。



 チギチギ、チョキチョキ……



{ 神速のペンダントを獲得しました。 }

 


 よし、成功。

 早速観察で内容を見てみるか。



 神速のペンダント+30

 素早さ 500+30

 誰にも負けない速さを持ち主に宿すと言われている伝説のペンダント。

 ペンダントに装着された煌めく碧色の宝石は息を飲む美しさだという。



 予想通りの性能だな。

 さすが極上素材を掛け合わせて作ったものだ。

 性能は申し分ない。


 さて、後は念のため、道具をいくつか作ってと。

 これで準備万端だな。

 後は迎え撃つのみ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ