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ゴブリン、頑張って生きる。  作者: はちみやなつき
Ⅰ この世界で生き残るために
8/222

8.魔物を助けてみました。

 シルクグローブすげえな。

 猛毒綿花をものともしねぇ。

 おかげであっさりと調合を成功させることができた。



{ 超極上綿花を入手しました。 }

{ 【調合 lv21】を獲得しました。 }



 おお、成功だ。

 しかもスキルレベルも上がったぞ。

 さすがに猛毒綿花を調合しようとするヤツなんていないよな。

 その分経験になったということかもしれないな。


 さあさあ、この超極上綿花を使ってクッションを作ろうか。



 チギチギ、チョキチョキ……



{ 綿くずを入手しました。 }



 うわっ、やっちまった!?

 せっかく苦労して手に入れた超極上綿花が台無しに……

 がくっ。



{ 【細工 lv1】を獲得しました。 }



 ああ、うん、なぐさめありがとう。

 そうか、クッションを作るにはまた別のスキルを使う必要があるのか。

 盲点だった。


 仕方がない。

 また超極上綿花を作って、クッション作りに挑戦するか。



 まぜまぜ……

 チギチギ、チョキチョキ……



{ 超極上クッションを入手しました。 }



 きた!

 これで夢のフワフワ生活が送れる!


 いや、まだだ。

 これで満足してはいけない。


 クッションだけじゃなくて、ベッド、いや布団も必要だし、ソファーも必要だろ。

 くつろぐための手間は惜しんじゃ駄目だ。


 よし、頑張って作るぞ。



 まぜまぜ……

 チギチギ、チョキチョキ……





 こうしてフワフワグッズを作り続けた結果。


 

 { 【細工 lv10】を獲得しました。 }

 { 特殊スキル【細工の極意】を獲得しました。 }

 { 【調合 lv26】を獲得しました。 }



 結構スキルレベル上がったな。

 これで何か小物が欲しくなったときに作れるしいいな。

 多分細工って、装飾品関係の物作りに関係しているスキルだろ。

 あって損はないな。


 そして何より、夢のフワフワグッズが部屋中にあふれているのが嬉しい。

 モフモフした弾力性バツグンの布団。

 思わず飛び跳ねたくなるソファー。

 そして抱きしめているだけで幸せになれるクッション。

 ああ、もう幸せ。

 ずっとここにいたい。


 というか、もう外に出なくてよくね?

 食料がなくなりそうなときだけ食糧調達のために外出する位でさ。

 そうすれば安心だろ。


 今回は念の為、さらに備蓄をするために食料調達に向かう訳だが。

 でもそれもすぐに終わるだろ。

 待っててね、夢のマイホーム!



 俺は夢の引きこもり生活を謳歌するための外出をすることに決めた。




 夢の引きこもり生活への第一歩。

 それはそれは慎重に行わないとな。

 せっかくここまで来たのにちょっとの不注意で台無しとか勘弁だからな。


 という訳で、今回も足音チェック。


 ……大丈夫そうだな。


 続いて入口の蓋をちょっと持ち上げて外の様子を見る。


 ……大丈夫だ。


 よし、いくぞ!



 そう決意した俺は蓋をずらして開けようとする。

 だが、ゴンッという音がして開かない。

 一体何が……?


 嫌な予感がする。

 とりあえず蓋をしめて【観察】で様子見するか。



 ベビーウルフ LV2

 HP  2/13

 MP  3/ 3

 状態異常  出血、麻痺、昏睡

 攻撃力    8

 防御力    4

 魔法攻撃力  2

 魔法防御力  3

 素早さ   12 

 スキル

 俊敏 



 なんだ!?

 今にも死にそうじゃないか!?

 出血ってことは血が出ているからHPがなくなるのは時間の問題。

 それに麻痺だから体も動けない。

 まさに絶体絶命ってことか。


 それにこいつ俺と同じベビー、赤ん坊だぞ?

 俺と同じ!

 いや、俺は体が赤ん坊なだけだけどさ。

 なんか親近感湧くじゃん?

 同じベビー○○でさ。


 ってそんなこと考えている場合じゃない。

 助けるか、助けないかどうするか?


 幸い近くにこのベビーウルフ以外の魔物はいなさそうだ。

 足音も聞こえないし、【観察】をかけても反応がないからな。

 助けるなら今がチャンスか。


 助けるなら今すぐ助けないと手遅れになる。

 だが正直、助けた所で俺に見返りはないだろう。

 むしろコイツが大きくなったら敵対してくる可能性すらある。

 でもだからといって見捨てるのも良心がとがめるよな。




 ……仕方ない。

 ここは助けるか。

 後でどうなっても、もう知らね。


 俺は入口の蓋をさっきと逆側に押して開け、地上に出る。

 するとそこには予想通り、ひどく傷ついた小さなウルフの姿があった。


 まだ息はしているが、もう長くはないだろう。


 助けると決めた俺は土でできたある容器を取り出す。 

 そしてその容器から出てきた液体を直接ウルフへとかける。


 するとみるみるウルフに傷が塞がっていき、傷跡が一切なくなった!


   

 生気の薬。

 説明文からしてすごそうなものだと思ってはいた。

 だがまさかこれほど効果があるとは。

 さすが幻の薬だけある。

 俺にとっては量産できるからどこが幻なのか分からないけど。


 それにしても治るのが早すぎるだろ。

 このままじゃ目覚めて、俺、危ないんじゃね?

 一応【観察】で様子を見てみるか。



 ベビーウルフ LV2

 HP 13/13

 MP  3/ 3

 状態異常  微睡眠

 攻撃力    8

 防御力    4

 魔法攻撃力  2

 魔法防御力  3

 素早さ   12 

 スキル

 俊敏



 あ、本当にもう目覚めそうだ。

 起きる前にさっさと住処に戻るか。

 まあ、無事で何よりだ。


 そして俺は入口の蓋をしめ、この場から退散する。

 地上から出る瞬間、誰かに見られているような気がしたんだが、気のせいだろうか?

 まあ【観察】に引っかからなかったし、多分気のせいだろうけど。


 

 俺は入口の近くでしばらく待機する。

 すると地上から、慌ててその場から立ち去る軽そうな足音が聞こえた。


 きっと俺が助けたウルフがこの場から逃げていったんだろう。


 さよならウルフ。

 もう戻ってくんなよ。

 しっかりと生きろよ。




 さて、それからしばらくじっと待っていても足音はもう聞こえない。

 よし、今度こそチャンスだ!

 俺は地上に出て、急いでありったけのフワンタクサ草をかき集める。


 ウルフ救助というトラブルがあったにも関わらず、今日はなんかいつもより調子が良い。

 これも理想の生活が近づいているからかな?

 いつもより早く移動し、いつもより多くの草を一度に集めた。

 そしていつもより遠くへ―――ん? ちょっとストップ。


 俺は近くの茂みに隠れた。

 近くに魔物がいるのだ。

 調子が良かった俺は、勘で何となくそのことに気付くことができた。


 ウルフだ。

 茂みからそっとのぞいてみると、どうやらウルフが四匹いる。

 三匹の黒いウルフが一匹の青いウルフを相手に戦っているようだ。

 青いウルフなんて初めて見たな。

 新種か?

 調べてみるか。



 ウルフ lv20

 HP 172

 MP  51

 ステータス 不明

 スキル   不明



 強っ!?

 なんだこの強さ?

 ちなみに他の三匹の黒いウルフはというと。



 ウルフ lv13

 HP  93

 MP  16

 ステータス 不明

 スキル   不明


 ウルフ lv15

 HP 103

 MP  20

 ステータス 不明

 スキル   不明


 ウルフ lv14

 HP  98

 MP  18

 ステータス 不明

 スキル   不明



 こいつらも強えーな。

 昼の時間帯でもこんな奴らいるのか。

 夜に【観察】したときに出てくる奴らと同じくらいの強さじゃねえか。

 おっかねえ。


 でもこいつらの戦いに興味があるのでちょっと観戦させてもらおっと。




 一匹の黒ウルフが青ウルフに襲い掛かる。

 しかし青ウルフはそれを難なくかわし、逆にカウンターの一撃で相手に致命傷を与える。

 他の二匹は慌てた様子で一斉に青ウルフに襲い掛かる。


 青ウルフは一瞬で黒ウルフの一匹の背後に回り、とどめをさす。

 それを見たもう一匹はその様子を見て恐れたのか、逃走を試みる。

 だが、青ウルフはそれを許さず、黒ウルフとの距離を一瞬でつめ、とどめをさした。


 黒ウルフを倒し終わった青ウルフは辺りを見渡すと、どこかへ走り去っていった。



 強い。

 いや、シャレにならない強さだろ、あれ。

 あんなのに襲われたら俺、一瞬で死ぬぞ。


 あのやられた黒ウルフ、lv15位あったからな。 

 そいつが瞬殺された。

 つまりはそういうことだ。

 俺があいつと遭遇なんてしたら、それはもう、いつの間にか死んでいたという状態になるだろう。

 怖すぎる。


 青ウルフは立ち去った。

 だが、万が一にでも見つからないよう、俺はしばらく茂みに隠れることにした。




 しばらく茂みに隠れて気づいたんだが、今日やけにウルフ多くねえか?

 それにまだ昼間だっていうのにレベルが高いやつ、15前後のやつもいる。

 いつも通りのレベル8とかそれ位のやつもいるけど。


 そしてウルフ同士でしばしば戦いが起きている。

 そういうときは大体レベルが低いウルフとレベルが高いウルフが戦っていることが多い。


 同じウルフでも種族が違うとかそんな所だろうか?

 さっきの青ウルフは明らかに黒ウルフとは別次元の強さだったし。

 【観察】のレベルが低いから種族の見分けがつかないだけかもしれないな。


 種族同士で争うのはいい。

 でもせめて俺の帰り道で戦うのは勘弁してくれないかな?

 早く帰りたいんだけど。


 というか、ウルフの数が多すぎて、帰るに帰れなくなってしまった。

 でも隙を見て帰るしかないよな……

 タイミングを見計らって、一気に、な。


 俺はその時がくるまで茂みにじっと隠れて待つことにした。


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