6.調合の極意を活用してみました。
さて入口、入口っと。
周りに音は聞こえない。
よし、外に出よう。
外の安全を確認してから俺はいつも通り外に出る。
朝いたウルフは立ち去っていて、周りから魔物の気配はしない。
今がチャンスだな。
俺はそこら中にあるフワンタクサ草をかき集めた。
ついでにフワンポイズ草も集めておいた。
先ほどの調合のおかげで俺の中にあるフワンタクサ草の株が急上昇中だ。
だってたくさんある上に回復薬とか万能薬的なものとか作れるんだもの。
そりゃ便利だわな。
だから今後を考えてもフワンタクサ草はとっておいて損じゃないと思うのだ。
まあ、調合をやったのがフワンタクサ草だけっていう話だけどな。
他の草も調合したら価値あるかもしれない。
本当、調合って便利だし、楽しみだ。
一通り材料集めを終えたらまた自分の寝床へと戻った。
とりあえず使った分のフワンタクサ草と、その他もろもろ採取した。
フワンタクサ草はそこら中に生えているから採取するのも簡単で助かる。
手前の部屋に戻ってきたので、早速調合開始!
今回もフワンタクサ草を調合してみる。
さて、今回は何を作ろうか……
調合リスト
薬草
緑団子
ポイズボール
調合がレベル10になったからか、調合できるものの一覧が頭の中に表示されるようになった。
つまりフワンタクサ草から作れるのはこの三種類ということだ。
今回は薬草を作ってみようかな。
{ 【調合の極意】を使用しますか? }
お、何か天の声が聞こえる。
なになに、【調合の極意】を使用するかだって?
よく分からないが、とりあえず使ってみるか。
答えはYESで。
{ 【調合の極意】を使用しました。 }
{ 調合リストが更新されました。 }
調合リスト
大回復薬
生気の薬
黄金の葉
グリーンサラダ
猛毒球
フワンミズミズシ草
なんかすごいラインナップになったな………
というか、これ、ただのフワンタクサ草から作れていいの?
かなり希少な物を作れてしまう気がするんだけど。
作っていいなら量産しちゃうよ?
ところでラインナップは、かつて生成した薬三種の他はサラダと猛毒と水の草か。
緑団子の発展系としてグリーンサラダ。
ポイズボールの発展系として猛毒球なんだろうな。
でもなんかフワンミズミズシ草だけ浮いてね?
なんでコイツがいきなり出てくるんだよ?
確かにフワンタクサ草にも結構水分はあるみたいだけどさ。
まあ水分が手に入るからとても便利な草だし、作れるに越したことはないんだけどな。
それにしても
なぜサラダ?
植物だからか?
いや、そこにつっこんではいけないんだろうけど。
人間のときに食べてたサラダと同じなのかな?
早速試してみるか。
その後で黄金の葉を作ればいいしな。
では調合開始!
まぜまぜ……
{ グリーンサラダを獲得しました。 }
できた。
それにしてもサラダを獲得っておかしいよな。
サラダって作るものだよな、うん。
それにしても久しぶりにまともなものを食えそうだ。
できたサラダを見ると、レタスっぽい葉やトマトっぽい赤い粒がある。
それにドレッシングがかかっていて、いかにもサラダという感じだ。
どれどれ、味はどうかな?
ぱくり。
うーん、美味い!
これだよ、これ!
俺が食いたかったのは!
いや、人間の頃はサラダなんて好きじゃなかったけど。
肉の方が好きだったけど。
でも、人間の頃食べていたものが食べれるって幸せだ。
本当に俺、恵まれた生活してたんだな……
腹が減って仕方なく食っていたけど、やっぱり葉っぱを食っても美味くない。
腹が減ることはそれ以上に辛かったから食っていただけで。
よし、これからはこのグリーンサラダを主食にするか!
幸いたくさんあるフワンタクサ草から作れるしな。
ちょっと手間かかるとはいえ、どこでも食材が入手できるようになったのは大きい。
しかもフワンミズミズシ草で水も簡単に手に入るからな。
食糧難や水不足で悩むことはなさそうで良かった。
ただ、ずっとグリーンサラダじゃ飽きるよな。
なんかもっとバリエーションないかな?
料理のスキルとかあったりするのか?
火があれば色々試せるんだがな。
まあ、気が向いたら試してみるか。
さて、腹ごしらえも済んだ。
黄金の葉の量産に移りますか。
まぜまぜ……
よし、できたぞ。
{ 【調合 lv20】を獲得しました。 }
{ 特殊スキル【調合の極意Ⅱ】を獲得しました。 }
{ 【器用 lv20】を獲得しました。 }
{ 特殊スキル【職人の手先】を獲得しました。 }
お、なんかまたスキルを手に入れたぞ。
というか、スキルのレベル上限って10じゃないのな。
まさかレベル99まであったりしないだろうな?
別にレベルカンストを目指すつもりはないけどよ。
【器用】のスキルレベルが上がったのは大きいな。
俺がやろうとしていることって大体手先使うもんな。
手が繊細な動きをできるようになるんだったら、今後大いに役立ちそうだ。
それにしても黄金の葉、こんな簡単に作れていいのか?
まあ、確かに【考察】のサポートを受けても十回に一回位は失敗するけどよ。
ただのフワンタクサ草から作れるんだぜ?
それに調合スキルのレベルがどんどん上がっていくし。
まあ、良い事なんだから別にいいんだけどな。
取ってきたフワンタクサ草の10%ほどを黄金の葉に変えた。
これでしばらくは状態異常におびえずに済むだろう。
黄金の葉は葉っぱだから、液体の薬と違って保存が効くのが一層いいよな。
取り置きできるし。
さて、今度はフワンタクサ草以外の物を調合してみるか。
手始めに……フワンジョウ草でもいくか。
さて、調合リストっと。
調合リスト
フワンジョウスコップ
フワンジョウ砥石
フワンジョウトンカチ
フワンジョウピッケル
フワンジョウアイスピック
(以下 省略)
うわぁ、工具っぽいものがたくさん。
ざっと頭に思い浮かぶ感じ、多分ラインナップは百を超えるんじゃないか?
そんな全部使いこなせる訳ないけどな。
とりあえず必要なものだけ作ればいいだろう。
例えばまず俺が欲しいのは砥石だな。
せっかく鉄鉱石を手に入れても加工ができないんじゃ宝も持ち腐れだからな。
加工するための道具がほしい。
剣の形にするだとかは別に後でもいい。
砥石さえあれば、元々ある鉱石を削って何かしらの武器として使えそうだからな。
扱う鉱石の小ささから、形は小さいかもしれないが、その問題は後で考えよう。
どうしてただの草が石になるか謎だけど、そこはつっこまないでおこう。
【調合】ってそういうものだからな。
ただの草がサラダや爆弾になる位だから。
それ位変わってもおかしくはない。
それはさておき、早速作ってみる―――
{ 【調合の極意】を使用しますか? }
うーん、またか。
まあ良さそうなものができるなら歓迎だ。
YESで。
じゃあ調合するぞ。
まぜまぜ……
{ 金剛砥石を獲得しました。 }
うん、できた。
というか調合スピードが急に上がった気がするな。
10分かかっていたものが1分位でできるみたいな感覚。
ここに時計なんてものはないから実際はどうか分からないけど。
【調合の極意Ⅱ】のおかげなのかな?
こりゃ便利になったもんだ。
というか、金剛砥石ってなんだ!?
あまりに早く調合できちまったからできたものを認識できなかったぞ!?
とりあえず【観察】。
金剛砥石
エリュミュスに存在する希少な砥石。
ダイヤモンドさえも削って加工ができる幻の逸品と言い伝えられている。
うわぁ、これ、チートだわ。
今更いうのもなんだけど。
それにただの草からこんな砥石ができてしまっていいのか?
緑色の砥石だから、植物由来なのかもしれないけどさ。
植物からどんな鉱石も削れる砥石ができるなんてホント、不思議な世界だよな。
{ 【観察 lv3】を獲得しました。 }
お!?
ついに【観察】もレベルアップか!
そういえば【観察】だけ他のスキルに比べると上がりが遅い気がする。
結構使ってるつもりなんだけどな……
まあ、使えてるんだから文句はないけど。
それにしてもこの調合の豊作さは一体何なんだ?
さっきから希少とか、言い伝えられているとかそんなのばっかりできるんですけど?
それも【調合の極意】を覚えてからできるようになったよな。
ホント、【調合の極意】さん、ハンパねぇっすわ。
ただ【調合の極意】を使ったときに、【考察】が送ってくれる情報量も結構ものすごい。
0、2秒混ぜてすぐに水を5滴入れて2.7秒混ぜて、5.1秒放置。
そんな情報が当たり前のように流れてくる。
普通そんな情報あってもできっこないだろう。
人間の頃の俺だって絶対そんなこと言われてもできない。
ただ今の俺の動きは【考察】がサポートしてくれるみたいだ。
例えば0.2秒はこれ位とか何となく分かるのだ。
だから【調合の極意】を使った調合もほとんど成功させることができている。
これ、【調合の極意】と【考察】の両方があってようやく成せる業なんだろうな。
それにしても【調合の極意】さんが突き付ける課題をクリアする【考察】さん。
一体何者なんだ?
それにこんなに【考察】を使っているのにレベル上がんないけどどうなってんの?
まあ、【考察】が使われているというのは仮説で、実際は使われてないかもしれないがな。
さて、立派な砥石も手に入った。
今度は鉄鉱石を加工でもしてみるか。