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ゴブリン、頑張って生きる。  作者: はちみやなつき
Ⅱ 快適な生活を求めて
44/222

44.ブルールの話を聞いてみました。

 俺は【水操作】を使い、あっという間に防具の水分を抜き取った。

 ちなみに搾り取った水はアクアペンダントに収納しておいた。

 そうしないと床が水浸しになってしまうからな。

 いくら浴室とはいっても、水浸しにするのはカビが生えそうだし、良くない。

 俺の住処は地下でジメジメしやすいから一層気を付けないと。


 それから俺は水分を抜き取った服を着た。

 だが、服が思ったよりも着心地は良くなかった。

 まあ、そりゃ当然だよな。

 太陽に当てて干した訳でもないしな。

 着てすぐにポカポカするものでもないだろう。

 半乾きよりもまだ若干マシな位だが、濡れてないだけ全然上出来だ。


 さて、これで体も防具もキレイになってスッキリした。

 今日はもう色々とやったし、もう寝ることにしよう。

 疲れもしっかりと取らないとな。


 こうして俺は浴室を出て、寝室へと向かった。




 寝室に到着した俺。

 だが、すぐにいつもの布団に寝転ぶことはできなかった。

 何故か?


 それは布団がびしょ濡れになっていているからだ。


 そっか。

 そういえばこの部屋も水浸しになっていたんだよな。

 一応雨漏りは防いだし、部屋にある水たまりをなくしはしたけどさ。

 それでもこの部屋が湿っぽい事、ここにあったものが濡れているのは変わらない。

 本当、水没って面倒だな。


 とりあえず俺は寝室や作業部屋にあった布団やクッションなどの水分を全部抜き取った。

 そして浴室に置いてあったアクアペンダントを持ってきてその水分を吸収させておいた。

 ふう、これでいいだろう。

 

 俺は水分を抜き取ったベッドの中に潜り込む。

 うん、なかなかの感覚。

 ちょっと冷たくて万全ではないが、それもいつか体温で温まるだろう。

 それじゃおやすみー。






 


『おーい、カンガ、起きろ! 朝だぞー!』

  


 頭の中に響く声。

 うるさい。

 まだ俺は眠いんだ。

 寝かせてくれ。


 俺はブルールの声を無視して寝ようとする。



『カンガ、朝だぞー! 聞こえてるだろ? 朝ご飯作ってくれよー』



 メシ?

 それくらい自分でなんとかしろよ。

 外にいっぱい草が生えているだろ。

 それでなんとか空腹をしのげばいいさ。

 俺はもう少し寝たいんだ。



『カンガ、もしかして病気か!? 今すぐ助けにいくから待ってろ!』



 そうブルールの声が聞こえた後、何やらガリッガリッという音が聞こえてきた。

 え?

 まさかブルールのヤツ、作業部屋までの通路の所を掘ってるんじゃ……

 それはまずい。

 このまま掘られて通路が開通するとまずい。

 俺のプライベートスペースが台無しになっちまうじゃないか。

 仕方ないから返事をするしかないな。

 はあ。

  


『ブルール、俺は起きてる。だから来なくてもいい』

『お、カンガか? 生きていたのか、良かった。心配したんだぞ』



 心配なんかしてないくせに、よく言うよ。

 うーん、ブルールのせいですっかり目が覚めちまったじゃないか。

 もうちょっと寝ていたかったのにな。



『朝食だろ? 今作るから待ってろ』

『おお! ありがとな、カンガ!』



 そうやって素直に感謝されると困るんだけど。

 ブルールに対する不満を何かしらの形でぶつけようと思ったのにさ。

 まあ、もうそれもどうでもいいか。

 さっさと朝食を作っちまおう。



 俺はブルールの部屋へと移動する。

 そしてその場でフワンタクサ草を使ってグリーンサラダを作った。

 グリーンサラダを使い、それから野菜サンドを作成した。

 ここまでおよそ一分。

 すっかり慣れたもんだよな。



『ほい、お待たせ』

『おお、早いな! 今回の料理はなんだ?』 

『野菜サンドだ。手に持って食べる、持ち運びも簡単な食べ物だ』

『手に持つのか? そんなの面倒だし、直接食ってもいいか?』

『別に好きにすればいい』



 ブルールは四足歩行型の魔物だから手に持って食えないもんな。

 サンドイッチも直接食うしかないだろう。

 

 さて、それじゃいただきますか。


 こうして俺とブルールは野菜サンドを食べ始める。 

 まあブルールは例のごとく三秒で食い終わってしまったが。

 そして俺の食事の間、ブルールはじっと俺の方を見てくるんだよな。

 本当、やめてほしい。


 いつも通り、ブルールの視線に耐えながら俺は食事を終えた。



『足らないのなら、荒野地帯に出かけて魔物を狩ってきたらどうだ?』

『お、それいいな。持ってくるから料理してくれないか?』

『別に料理しなくても食えるだろ。俺と出会う前は直接食っていたんだろ?』

『それじゃ美味しくない。カンガの料理が食べたい』



 ブルールのヤツ、完全に舌が肥えちまってるな。

 俺がいなかったらどうするつもりなんだ、コイツ?

 まあそうなったらしぶしぶ元の生活に戻すだけなのかもしれないけど。


 別に今の生活をしてもいいけど、ブルールには足りない分は自分で食べてきてほしいんだよな。

 食事の度に食っている俺を羨まし気に見てくるのは正直しんどい。

 まあ、俺がブルールと一緒に食べるのが悪いんだけど。

 今度から食事は別々にしようかな?

 二回作らないといけないから面倒だけどさ。


 

 さて、食事を終えたことだし、今日はどうしようかな?

 一応水没関連でしなければいけないことは大体したとは思うんだが。

 まあ湿度の問題は解決していないけど。

 でも空気中の水分を何とかするのは厳しいんだよな。

 一応【水操作】でなんとかならないかやってみたけど、ダメだった。

 空気を把握するなんて難しすぎてできないんだよな。

 やっぱり除湿機的な何かがないとダメか。



『そういえばカンガはさっきまで何やっていたんだ? やけにニオイがしなくなったんだが』

『風呂だよ、風呂。あまりにニオイがひどかったから体を洗い流したんだよ』

『体を洗うのか。雨にでもあたってきたのか?』



 そっか。

 ブルールには風呂に入るという概念がないのかもしれないな。

 こりゃ言っても無駄か。

 雨にでも当たったらキレイになった。

 そういうことにでもしておこう。



『ああ、雨に当たってきた。でもさ、そうすると濡れるから乾かすのは大変だったな』

『そういえばカンガの体すごい乾いているな。一体どうやったんだ?』

『フワンポイズ草から作った綿で体をふき取ったんだ。吸水力がいいから結構いいぞ』

『フワンポイズ草の綿か。よくそんなものに触れて毒にならないよな』



 あれ?

 もしかしてブルールのヤツ、俺がフワンポイズ草の綿をそのまま使ったと誤解してる?

 いやいや、さすがにそんなことしないから。

 だってあの猛毒だよ?

 ちょっと触れただけで俺のHPごっそり持っていかれたからな。

 あんな思いするなんて二度とごめんだ。



『フワンポイズ草をそのまま使う訳ないだろ。毒を抜いた綿を使ってるから大丈夫なんだ』

『毒を抜けるのか?』

『まあな。そうしないと貧弱な俺はあっという間に死んじまうよ』



 毒を抜いたというよりも全く別の綿を新たに作ったと言った方が正しいけど。

 でも毒を抜いたという表現も間違ってはないからそれでいいだろう。

 しっかりと説明するの面倒だしな。 



『濡れてもすぐに乾かせるって便利だな。これならこの雨季を過ごすのもだいぶ楽なんじゃないか?』

『そうだな。これがあるとないとでだいぶ変わるだろうな』



 濡れた状態のままでいたら風邪ひいちまうからな。

 今は魔物の体だから人間の頃よりは若干体が丈夫だったりするかもしれないけどさ。

 まあ、魔物といってもまだ赤ん坊だし、過信はしない方がいいな。

 人間の頃と同じ感覚でいた方がいいだろう。



『雨季を過ごすのはだいぶ楽になったが、不快なことには変わりないな』

『ん、そうなのか? 結構カンガは色々やっていて快適に過ごせていそうだが』



 まあ確かに何もしないときよりは相当快適に過ごせているよ?

 水たまりのなくなった部屋。

 汚れを洗い流せる浴室。

 その辺に生えている植物から作り出される豊富な料理。


 それはもう衣食住ともに充実しているさ。

 でもな……



『ジメジメしているのが嫌なんだ』

『湿気か? でもそれは雨季なんだから仕方ないだろ』



 ですよねー。

 雨季なのにジメジメしていない快適な空間を作るなんて無理ですよね。

 本当、乾燥機って偉大だったんだな。

 というか電化製品が素晴らしすぎた。

 普通できないあらゆることを可能にしちまっているからな。

 あーあ、前世と比べるとそこだけが不便な所なんだよなあ。



『そうだよな。湿気はもう我慢するしかないよな』

『まあ、そうだろうな……ん、待てよ? もしかしたら何とかする方法があるかもしれない』



 え?

 湿気を何とかする方法なんてあるの?

 早く教えて、ブルールさん。



『湿気を何とかする方法なんてあるのか?』

『ああ。どこかで聞いた話なんだが、南西の湖畔付近に生息するリザードマンが持っている蒼水球が湿度をコントロールするらしい』



 蒼水球?

 そんな便利なものがなんでリザードマンが持っているんだ?

 人間が持っているなら分かるが。



『人間が持っているんじゃないのか?』

『一部の人間は持っているだろうな。だが非常に高価な物だから一部の貴族しか持っていないというのを聞いたこともある』



 ふーん。

 まあ高い物だったらそうなるだろうな。

 というか何でブルールがそんなことを知っているんだ?

 人間の町に住んでいる訳でもないのにさ。



『ブルールはそういう情報をどこで拾ってくるんだ? 人間の町に行ったことがあるのか?』

『あるぞ。だが、情報は主に盗み聞きしたり、落ちている本を読んだりして手に入れているな』



 え?

 今さらっと人間の町に行ったことあるって言ったよな。

 こんな大きな体でどうやって町に入るっていうんだ?



『ちょっと待て。ブルールって人間の町に行ったことあるのか? そんな大きな体でどう侵入したんだ?』

『まあ色々あってな。それに町に行ったことがあるとはいったが、ほとんどは廃墟とかそんな所だぞ』



 ああ、そういうことか。

 確かに廃墟もかつては人間の町だったもんな。

 廃墟に行ったことがあれば人間の町に行ったことがあると言えなくもないか。



『で、どうする? リザードマンの所まで行ってみるか?』



 リザードマンの所ねぇ。

 正直外に出るのは危険だし、あんまり行きたくはない。

 でもこのまま住処にいてもずっとこのジメジメした感じを我慢しないといけなくて嫌なんだよな。

 どうしようかな?



『うーん、しばらく考えてからでもいいか?』

『ああ、構わないぞ。別に急ぎじゃないからな』



 俺はひとまず作業部屋に移動することにした。




 ゴブリン生活八日目終了時のステータス


 カンガ【ベビーゴブリン】 LVMAX

 HP 50/50

 MP 15/15

 攻撃力    10(+530)

 防御力    10(+720)

 魔法攻撃力  10

 魔法防御力  10(+720)

 素早さ    10(+530)

 スキル

 観察lv8、考察lv?、隠密lv9、猛毒耐性lv1、暗視lv8、耐震lv1、恐怖耐性lv1、採掘lv27、器用lvMAX、根性lv5、調合lv26、加工lvMAX、高速加工lvMAX、細工lv18、束縛耐性lv1、合成lv1、料理lv28、念力lv23、水操作lv7、浄化魔法lv1、念話lv5

 特殊スキル

 採掘の極意、採掘の極意Ⅱ、調合の極意、調合の極意Ⅱ、加工の極地、細工の極意、料理の極意、料理の極意Ⅱ、念力の極意、念力の極意Ⅱ、職人の神、神速職人、命名者


 七日目(三十二話)からの変更点

 念力lv7→22にアップ。

 念力の極意の獲得。

 念力の極意Ⅱの獲得。

 観察lv7→8にアップ。

 隠密lv6→9にアップ。

 採掘lv20→27にアップ。

 細工lv10→18にアップ。

 念力lv22→23にアップ。

 水操作lv7の獲得。

 浄化魔法lv1の獲得。


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