32.観察さんが成長していました。
俺達は森林地帯と山岳地帯の中間地点で少し睡眠をとった。
そして森林地帯へと突入する。
今回は俺がずっと起きていたので特にトラブルはなかった。
しっかりとブルールがプチマッシュを食わないか見張っていたからな。
ブルールがプチマッシュの所に近づこうものなら頭をベシッと叩いて止めさせたし。
本当油断も隙もないよな。
ちなみに森の所々にプチマッシュが生えていた。
そして例外なくジャイアントマッシュがその周辺をうろついていた。
そういえば確かジャイアントマッシュって普通のキノコからの突然変異で怪物になったんだよな?
もしかしてジャイアントマッシュって元はプチマッシュだったのか?
そうなると、ジャイアントマッシュは子供を守る本能があるみたいなことになるしな。
まあ、どうでもいいけど。
この森林地帯って、俺の住処がある森林地帯とは少し生態が違うよな。
俺の住処がある所って、もっと乾燥していて、草原地帯って感じだ。
一方ここってキノコ生えてるし、湿度がかなり高くてジメジメしているんだよな。
木がかなり生い茂っていて全体的に暗いし。
あんまり好きじゃないな、こういう所。
さっさと抜けちまおう。
ジャイアントマッシュと戦わないだけでこんなにスムーズなんだな。
結局夜明け前までに荒野地帯側の境目までたどり着くことができた。
だが、森林地帯を抜けようとする直前、ブルールが急に立ち止まる。
一体どうしたんだろうか?
『どうしたブルール?』
『しっ、あれを見ろ』
ブルールが示す先にはいくつかの黒い姿が見えた。
えっと、どういう奴だろう?
【観察】を使うか。
グレーウルフ lv18
HP 122/122
MP 33/ 33
攻撃力 97
防御力 83
魔法攻撃力 36
魔法防御力 55
素早さ 111
スキル
俊敏lv5、暗視lv9
おっ、グレーウルフか。
というか、ステータス見れてるじゃん。
さすがに【観察】もレベル7まで上がるとだいぶ変わるよな。
だいぶ便利になったもんだ。
というか、なんでこんな所にグレーウルフがいるんだ?
俺達がここに来たときにはいなかったよな。
それにここ飛龍の通り道だからか、魔物の気配自体なかったし。
『なんでグレーウルフがこんな所にいるんだ?』
『おかしいな。まだ雨季までには時間があるはずなのに』
ブルールもおかしいと感じているようだ。
何かグレーウルフ達がここに来る理由があったんだろうか?
もしあるなら、何かロクなことじゃない気がするんだけど。
うん、気にしない、気にしない。
きっと気のせいだ。
『戦う理由もないし、避けてここを突破するか?』
『ああ、そうした方が賢明だろうな』
戦いを避けることを決めた俺達は、グレーウルフの隙を見計らって荒野地帯を静かに走り抜けた。
俺達が【隠密】のスキルを持っているからか、全く気付かれることなく走り去ることができた。
本当、【隠密】って結構強力なスキルだよな。
地味だけどさ。
これがなかったら俺、ウルフに殺されていたからな。
ある意味命の恩人みたいなものだ。
人じゃなくてスキルだけど。
『あそこにグレーウルフがなんでいたんだろうな? 俺の住処付近で異変が起こっているのか?』
『どうなんだろうな? そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない』
『ブルールにも思い当たる節はないのか? 同じウルフとして』
『そうだな。それにアイツ等はオレと同種族ではあるけれど、全く別の群れ出身だからな。あまり関わりはない』
そっか。
そういえばブルール達はにおいで敵か味方か判断するみたいなこと言ってたっけ。
群れというくらいだから仲間といっても複数いるだろうし、よく見分けられるよな。
『別の群れのことはあまり詳しく知らないのか?』
『ああ。それにオレは既に群れから外れた身だ。かつての群れの現状すらはっきりとは分からない』
そういえばブルールはその体色から仲間外れにされたんだっけ。
見た目が違うからといって群れにいられないというのもひどい話だよな。
まあ、ブルールの場合、性格にも問題はありそうだが。
『そっか。すまないな、変なこと聞いて』
『別に構わない。普通気になるだろうしな。ただあまり答えられなくて申し訳ないが』
ブルールの口調からすると、本当に気にしていなさそうだ。
何かどうでもいいことみたいな感じか。
ブルールにとって群れで過ごすというのは遠い昔のことになっているのかもしれないな。
荒野地帯を駆け抜ける俺達。
だが、あのウルフを見てから他にウルフらしき魔物の気配はなかった。
アイツらはもしかしてはぐれただけなのかもしれないな。
それかブルールみたいに別行動している奴らなのかもしれない。
心配し過ぎだったかもしれないな、俺。
ここまでウルフと遭遇しないことに安堵していた。
だが、それはたまたまだったことを思い知らされることになる。
『おい、カンガ。あれを見ろ』
ブルールが示した方向を見ると、そこには何匹かの魔物の姿があった。
どんな魔物なのか目を凝らしてみてみるか。
すると、どうやら二匹のサソリと五匹のウルフが戦っているようだった。
その周辺には既に何匹かのウルフやサソリの死骸が転がっていた。
群れ同士の戦いといった所なんだろうか。
そしてそういう戦いは他でもちらほらと見受けられた。
ある所ではムカデと、またある所ではゴツいカメとウルフが戦っていた。
ここまでウルフとあまり遭遇してこなかった。
だからてっきりはぐれウルフがあそこまで来ただけかと思った。
だがこの様子を見るに、その予想が外れているのが嫌でも分かる。
ここで魔物と交戦しているウルフは大人だけではない。
小さな子供ウルフも中には混じっていた。
つまり、そこまでして移動しなければいけない理由がウルフ達にはあるという訳だ。
ここで交戦しているウルフのレベルは結構まちまちだ。
低いとレベル5程度、高いと15位の奴もいる。
でも高くても15か。
森林地帯付近まで来ていたウルフはレベル18だった。
多分そいつらはウルフの中では相当強い奴だったんだろうな。
だからいち早くあそこまで到達していたのか。
そんな強いウルフのステータスを最初に見たとき、全然強そうに見えなかったんだよな。
どうしてかと言えば、恐らくブルールよりもそいつが全然弱かったからだろう。
ブルールがウルフとしてはおかしいほど強いだけなんだろうけどな。
感覚が麻痺してるな、俺。
『あいつらの中にブルールと同じ群れの奴はいるのか?』
『いや、いない。もしいたとしても、俺が助ける理由はないからな。村を追放されてもう無関係な訳だしさ』
まあ、確かにブルールが助ける理由はないわな。
自分を拒絶した集団な訳だし、正直関わり合いたくもないのかもしれない。
実際ブルールがどう思っているのかは分からないけどさ。
『さあ、さっさと先に進むぞ。もたもたしていたらオレ達も巻き添えを食らっちまうからな』
『ああ、頼んだぞ。ブルール』
俺達は交戦しているウルフ達を尻目に先へと急いだ。
ゴブリン生活七日目終了時のステータス
(荒野地帯を駆け抜ける間に夜明けを迎えています。現在朝です)
カンガ【ベビーゴブリン】 LVMAX
HP 50/50
MP 15/15
攻撃力 10(+530)
防御力 10(+720)
魔法攻撃力 10
魔法防御力 10(+720)
素早さ 10(+530)
スキル
観察lv7、考察lv?、隠密lv6、猛毒耐性lv1、暗視lv8、耐震lv1、恐怖耐性lv1、採掘lv20、器用lvMAX、根性lv5、調合lv26、加工lvMAX、高速加工lvMAX、細工lv10、束縛耐性lv1、合成lv1、料理lv28、念力lv7、念話lv5
特殊スキル
採掘の極意、採掘の極意Ⅱ、調合の極意、調合の極意Ⅱ、加工の極地、細工の極意、料理の極意、料理の極意Ⅱ、職人の神、神速職人、命名者
六日目(二十三話)からの変更点
観察lv5→7にアップ。
加工lv20→MAXにアップ。
高速加工lvMAXの獲得。
加工の極意と加工の極意Ⅱ→加工の極地に変化。
神速職人の獲得。
名付ける者→命名者への変化。
料理lv20→28にアップ。
念力lv7の獲得。




