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ゴブリン、頑張って生きる。  作者: はちみやなつき
Ⅰ この世界で生き残るために
24/222

24.怪物キノコを食べてみました。

 俺はブルールが持ってきたジャイアントマッシュの破片を眺める。


 うーん、コイツを使うのか。

 大丈夫かな?

 見た目は傘部分が赤く、所々に黄緑色の斑点模様がある。

 そして芯は薄い黄色になっている。

 傘部分が若干カラフルすぎる気もするが、まあ別に毒々しくはなさそうだ。


 とりあえず料理リストを見てみるか。

 俺の【料理】のレベルは20になっている。

 だからレベル10で取得するリストの閲覧が料理に関してもできるようになったのだ。


 えっとなになに?



 料理リスト

 怪物キノコの炒め物

 怪物キノコのパスタ

 怪物キノコの――



 えっと……

 全部に怪物キノコという表記があるんだが。

 本当に大丈夫か?

 とりあえず作ってみるしかないんだがな。

 いくぞ。



 ジュウジュウ……



{ 怪物キノコの炒め物を入手しました。 }



 できたぞ。

 さて、早速【観察】だ。

 毒がなければいいんだが。



 怪物キノコの炒め物

 ジャイアントマッシュを使って炒めた料理。

 ジャイアントマッシュ自体倒すことが困難なのでこの料理が食卓に出回ることは少ない。

 シンプルな味と食感をしており、調味料との相性がバツグンで、知る人ぞ知る料理になっている。



 おお、いい感じの説明文だな。

 これは期待できそうだ。


 そういえば料理から香ばしくて良い香りがするもんな。

 早く食いたい。

 ご飯があったら一緒に食いたい。


 ああ、どこかに白米落ちてないかなあ?

 穀物系のものがあれば、【調合】とか【料理】あたりで白米作れそうだよな。

 まだ見かけてないから試しようがないけどな。

 見かけ次第試してみたい所だ。

 


 さて、早速皿に料理を分けるか。

 俺用の皿とブルール用の皿にっと。

 ちなみにブルール用の皿は俺の2倍以上の大きさになっている。

 2倍以上の量の料理を盛り付ける必要があるからそれ位は必要だよな。

 これだけの量を一瞬で食べきるブルールの胃袋って本当、不思議だ。


 俺は自分用とブルール用の二つの皿に料理を盛り付ける。

 今回は前回と違って野菜の炒め物だから若干ヘルシーだよな。

 まあ前回がガッツリしていたし、丁度良いか。


 

『待たせたな。料理ができたぞ』

『おお、待ってたぞ! なかなかこれも美味そうだな。野菜なんて食うの久しぶりだが、これは美味そうだ』



 ブルールはよだれを垂らしながら料理を見ている。

 だから汚いって!

 少しは自重してくれよ。


 というかブルールって野菜全然食わないんだな。

 それもそうか。

 野生の肉食動物は肉を食うし、野菜なんて食わないよな。

 でもそんなブルールが俺のキノコ料理を美味そうと言ってくれるのは嬉しいな。

 最もキノコって野菜じゃないから、厳密にはこの料理は野菜料理ではないらしいが。

 まあそんなことはどうでもいいか。



 では腹も空いたことだし、早速いただくとしよう。


 俺とブルールは怪物キノコの炒め物を食べ始める。

 ブルールは前回の反省をしたのか、比較的ゆっくりめに味わって食べているようだ。

 それでも3秒で平らげてしまったが。

 早えよ。


 そして前回と同様、まだ食べている俺の事をじっと見つめてくるブルール。

 だからその目、やめろって。

 食べにくいだろ。

 今回は絶対あげないからな。

 あげたらまた前回の二の舞になるし、もうこりごりだ。



 俺はブルールから羨ましげな目で見られながらもなんとか自分の分の料理を完食した。

 ふう、疲れた。

 なんで料理を食うだけでこんなに疲れなきゃいけないんだよ。

 本当、勘弁してほしい。


 俺が食べ終わったのを見届けたブルールはシュンとした表情になった。

 コイツ、また俺が料理をあげると期待していたのか?

 懲りないやつだな。

 まあ、森で俺の目を盗んでプチマッシュを食うような奴だもんな。

 不思議でもないか。



『まだ料理が残ってたりしないのか?』



 絞り出すような声で聞いてくるブルール。

 いや、もうないから。

 今ので全部だからな。

 もう作らないぞ。

 また移動できないとかこりごりだもんな。



『ミスリルを採掘し終わった頃にまた作ってやる。だからそれまで我慢してくれ』

『……分かった、我慢する。その代わり、また最高の料理を作ってくれよな?』

『ああ、もちろんそのつもりだ』



 俺の返事を聞いてほっとするブルール。


 別にブルールに料理を食わせたくない訳ではないからな。

 ただ移動に支障がでるからおあずけしているだけな訳で。

 支障ない範囲であれば作っても別に構わない。

 俺だって腹は空くんだし。

 そのときに一緒に作る分なら全く俺に負担がないからな。




 腹ごしらえをしてから少し休憩を挟む。

 何かを食ってすぐ移動するなんて辛すぎるからな。



 やることもないし、寝ることもできなさそうだから、もう出発するか。

 ブルールが起きているからスキルの実験もしにくいしな。



『ブルール、もう鉱山に出発しないか? ここで待っていても仕方ないしな』

『そうだな、そうするか』



 別に急ぎではないが、早く目的を終わらせるにこしたことはないだろう。

 一応早く自分の住処に戻った方がいいしな。

 例の武器や防具は地中深くに埋めたから大丈夫だとは思うが、万が一ということもある。

 

 俺は道具をしっかりと持っていることを確認してからブルールの背中に乗る。

 短剣よし、防具よし、回復薬よし。

 回復薬は時々【調合】して足してやらないと減ってしまうのが難点だが、今の所大丈夫そうだ。

 ステンレス魔法瓶的なものが欲しいな。

 というか、作れるんじゃないか、【加工】で。

 加工リストから暇な時にでも探してみるか。


 ちなみに俺は回復薬を常備しているが、ショルダーバッグ的なものに入れてある。

 そのバッグも例のフワンジョウシリーズの中にあった。

 そのバッグの情報が次の通りだ。



 フワンジョウバッグ

 フワンジョウ草で作られたカバン。

 100%天然素材で作られているので肌に優しい。

 丈夫なため、長い間使い続けることができる。  



 フワンジョウ草って、色んな工具にもなるが、こういう収納品にもなるからいいよな。

 丈夫で壊れにくいし。

 本当、重宝する。



 こういうちょっとしたグッズを自力で作れるってよく考えると便利だよな。

 もっと改善する余地はあるからどんどん便利になるようにしていこうか。

 ちょっとずつな。



 準備を終えた俺はブルールの背中に乗る。

 すっかりここが俺の定位置になりつつあるな。

 下手すると一日中その場所にいるんだからそれも当たり前か。

 ブルールのモフモフな毛が当たって、たまにくすぐったいけど、それにももう慣れた。

 ブルールが程よい速度で走ってくれれば揺れも心地よいし。

 ほのかに暖かいのもポイントが高いな。


 まるで赤ん坊のゆりかごのようだよな。

 俺、赤ん坊だし、こういう所の方が落ち着くのか?

 精神は大人のままのはずなんだけどな。

 まあ、別に構わないが。



 俺が色々と考えているうちに、ブルールは鉱山地帯へと出発した。


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