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ゴブリン、頑張って生きる。  作者: はちみやなつき
Ⅳ ただ一つのダンジョンを目指して
130/222

130.最後の進化をしたみたいです。

 俺に残された唯一の進化先、ゴブリンエンペラー。

 その説明文を見てみるか。



 ゴブリンエンペラー

 ゴブリンの究極体。

 かつて存在したゴブリンの巨大な帝国を束ねた種族と言われている。

 全てにおいてゴブリン最高能力を持っており、知性、身体能力共に申し分ない。

 なお、この形態はゴブリン最終形態である。

 取得スキル:帝王の覇気

 損失スキル:王の覇気



 ゴブリンの究極体、か。

 ゴブリン最高能力を持つらしいし、【考察】も失う事もないんだから進化するの一択だろうな。


 ……でもなんだか寂しいな。

 これが最後の進化ということが。


 自分がなり得る最強の形態になれるというのはとても喜ばしいことには間違いないんだが。

 でもこれが限界だと突きつけられているようでちょっと寂しかったり。

 ……文句言っていても仕方ないな。

 さっさと進化しちまおう。



{進化を開始します。}



 その声が聞こえると同時に、俺の周囲に光の粒みたいなものが発生する。


 そのままじっと待っていると視界が晴れ、ケロマの姿が映った。



「無事に進化できたのね、カンガ」

『ああ、そうみたいだな』

「ブルールとグリザーは今進化中だからもうちょっと待っててね」



 確かにケロマの言う通り、ブルールとグリザーは進化中のようだった。

 ブルールとグリザーの周囲には光の粒が舞っており、その姿を確認することはできない。

 こうやって他の人が進化する所を見るのはこれが初めてだよなぁ……


 まだ二人が進化し終わるまでに時間がかかりそうだし、その間に自分のステータスを確認しておくか。



 カンガ【ゴブリンエンペラー】lv1

 HP 652/652

 MP 388/388

 攻撃力   437(+530)

 防御力   428(+720)

 魔法攻撃力 405

 魔法防御力 416(+720)

 素早さ   429(+530)

 スキル

 観察、考察、隠密、猛毒耐性、暗視、耐震、恐怖耐性、採掘、器用、根性、調合、加工、高速加工、細工、束縛耐性、合成、料理、念力、水操作、浄化魔法、念話、水魔法、水流操作、連携、援護

 特殊スキル

 帝王の覇気、採掘の極地、調合の極地、加工の極地、細工の極地、料理の境地、合成の極意、職人の神、超能力者、神速職人、命名者、水を統べる者



 うわっ、レベル1なのにこの能力かよ。

 強すぎるだろ、これ……

 レベルが上がったらどれほど高い能力になるのやら。

 さすがは最終形態といった所か。



 それから少し待っていると、ブルールとグリザーの周囲を取り巻いていた光の粒は消え去る。

 そして新たな二人の姿があらわになった。


 ブルールは体がさらに一回り大きくなったようだ。

 爪は鋭く、全身を覆う毛はさらにモサモサになっている。


 グリザーも体が一回り大きくなったようである。

 グリザーの場合、爪が鋭くなるというようなことはなかったが、それでもたくましく見えるな。

 ちなみにブルールの新しい種族名はハイグレーウルフ特異種、グリザーの種族名はグレートリザードマン特異種になっていた。



『二人ともたくましくなったな』

『そうみたいだな。何というか、全身に力がみなぎるんだ』

『拙者も同じく。カンガ殿はこの感覚を何度も味わっていたのだな。不思議な感覚だ』



 二人ともしばらく自分の体をしげしげと眺めていた。

 進化すると体の構造が変わるから、しばらく慣れないんだよな。

 俺もベビーゴブリンから進化した時は体の大きさの変化にしばらく慣れなかったもんだ。



『なあカンガ、進化したら腹が減ってきたんだが……食事にしてくれないか?』

『ブルールのそういう所は相変わらずだな……分かった。今から作るからちょっと待ってろ』

『やった! さすがはカンガだぜ!』



 食いしん坊オオカミは健在、か。

 でも確かに俺も多少腹が減ったんだよな。

 もしかすると進化するためにエネルギーを使うのかもしれない。



 こうして俺は軽く食べられる食事として今回はブリトーを作ることにした。

 ブリトーとは前の世界のコンビニに売っていた、薄いパンに何か具材を挟み込んだ食べ物である。

 今回俺が【料理】で出したものはトマトとチーズが中に入ったシンプルなものだ。

 これもサンドイッチと同じく手に持って食べられるから気楽に食べられるんだよな。



「うわぁ、これ、懐かしいわね! 前の世界では時々食べていたわ」

『ケロマ殿はこの食べ物を食べた事があるのか?』

「ええ、そうよ。軽く食事を済ませたい時に買って食べていたっけ」

『なるほど。拙者も一つ、その食べ物を味わってみるとするか』



 俺はみんなにブリトーを渡して、みんなと食べる事に。


 いただきます。

 ぱくり。


 ……うん、懐かしい味だ。

 そういえばこの世界に来てから結構経つもんな。

 こういうものを食べていた時期が遠く昔に感じてしまうほどに。

 まあこの世界に来てからの生活は刺激が強すぎるから、余計に長く感じるんだろうけど。



 しばらくして食事を終えた俺達は、気を取り直して先へ進むことにした。

 このフロアはほとんど水没しているから、また【水操作】と【水流操作】で水中に空気を作り出す。

 もうこういうことも慣れたもんだ。


 サメはもういないみたいで、それからは順調に進むことができた。

 他に魔物がいたみたいだが、サメ程の強さではないので特に問題にはならなかったしな。

 襲ってくる魔物は返り討ちにして、怯えて襲ってこない魔物は相手にせずに先に進んでいく。

 そしてついに―――



「カンガ、階段があったわよ!」



 先へと進む階段を見つけることができた。

 水の中に階段があったから、この下の階層は完全に水没していることになる。

 これ、普通の人だったらどうすればいいんだろうな?

 酸素ボンベ必須じゃないか、これ?

 まあ俺達にそういうものは必要ないからいいんだけど。


 さて、気を取り直して先へ進みますか。

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