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ゴブリン、頑張って生きる。  作者: はちみやなつき
Ⅳ ただ一つのダンジョンを目指して
127/222

127.未知の階層に足を踏み入れてみました。

 俺達は細い道を抜ける。

 だがもう俺達に襲いかかってくる魔物はいなかった。

 まあ千体近くも倒せば流石に魔物もいなくなるよな。

 むしろこんなダンジョンのそれもたった一階層だけでそれほどの魔物がいる事が驚きだが。



『ケロマ、魔物の気配は感じるか?』

「……いや、感じないわ。多分さっきので殲滅しきったんでしょう。でもカクレトカゲみたいな例もあるから油断は禁物よ?」

『ああ、それは分かってる』



 ケロマの観察でも気配を感じないという事は、少なくともものすごい数の魔物は周囲に存在しない事は確実だろう。

 まさかカクレトカゲが千体潜んでいる訳でもあるまいし。


 実際、歩いていても特にHPが減少する事なく、先程の三つの道に分かれた分岐点まで戻って来た俺達。

 さて次はどの道を行こうか?



『みんな、どの道を行くのがいいと思う?』

『魔物を殲滅したんだから、魔物がたくさんいて通れなかった道を通った方がオレは良いと思うぞ』

『拙者もブルール殿に賛成だ。魔物が無傷で拙者達を追いかけて来た事からして、その道にはワナがあまりないと推測できるからな』

「確かにそうね。この先から魔物の気配も感じなくなったし、その道を進んだ方が安全そうね」



 まあ、そりゃそうなるよな。

 今俺達から見て右の道に進めば戻ってしまうし、左の道は元々魔物の気配がしない上、何故か血の匂いがするらしいから怪しすぎる。

 直進方向にある道は、かつては大量の魔物がいて進めなかったものの、今は魔物の気配は感じられない。

 故に直進方向に進むのがいいだろう。


 こうして俺達は直進方向にある道を進む事になった。



 特に魔物と遭遇する事なく快適に歩みを進める俺達。

 するとついに、下へと向かう階段を見つける事が出来た!



『階段……あれは階段だよな、ケロマ?』

「ええ……間違いないわ。私達、他の人達がたどり着けない所まで来ているのよ!」



 誰も到達した事のない第十四階層に向かう階段。

 その前に俺達は辿り着いたのだ。


 というか、この場所に階段があるって事は、本来はあの千体もの魔物とこの辺りで戦いながら階段まで駆け抜けなければいけなかったのか!?

 どんだけ鬼畜な構造なんだよ……

 先に進ませる気がない構造をしてやがるな。


 結果的に魔物達をおびき寄せて殲滅した事は功を奏したという事か。

 この辺りは比較的広い空間になっているし、こんな場所で戦っていたら袋叩きにあっていただろうからな。

 さっき俺が使った道を狭くする戦法が使えないだろうし。

 うん、とにかく良かったという事だ。


 さて、気を取り直して未知の第十四階層に挑むとしますか!



「いよいよ第十四階層に突入するわよ。ここから先は完全に未知の世界。みんな、心の準備はいい?」



 ケロマの言葉に黙ってうなづく俺達。

 こうして俺達は、未だ誰も知らぬ未知の領域に俺達は一歩足を踏み出した!






 階段を下りきるとピチャッという音が聞こえた。

 ピチャッ?

 何だろうと思って足元を見ると、地面が水浸しになっている事に気が付く。

 よくよく見れば、このフロア、一面水に覆われているではないか!?



『このフロア、まさか水没しているのか……?』

「そ、そうみたいね。まさか、宝物も水没しているって事じゃ……?」

『……あまり考えたくはないな』



 第十四階層が水浸しという事は、その下にある階層も水浸しということになりそうだ。

 いや、水浸しではなく、水中にある事になる。

 まさかそんな状況になっているなんて全く予想してなかったな……


 水に浸かりながらも奥へ進んでいく俺達。

 すると水がどんどん深くなっていったので、【水操作】と【水流操作】を使ってから水中に潜る事にした。


 その途中、ケロマがぼやき始める。



「ううっ、呼吸が出来るとはいえ、服が濡れるのはやっぱり気持ち悪いわ……カンガはよく平気よね?」

『平気ではないけど、でも仕方ないだろ。防具なしで水に潜る訳にもいかないし』

「そう、よね……。あーあ、この世界に水なんてなければいいのになぁ」



 いや、水がなかったら俺達みんな生きていけないだろ……

 でも確かに水に濡れるのは不快だよな。

 俺はシルクの服を着ているから服に水がもちろん染み込む事になるし、あまりいい気持ちはしない。

 一応、体全体を水操作などで水に触れないようにすれば濡れなくする事は出来るのだが、それだと俺への負担が大きいんだよな。

 顔の周辺だけに空気を確保する時と比べて維持するのが難しく、気を緩めるとすぐに維持が出来なくなってしまうのだ。

 それに俺自身が水に触れない場合、水の感覚が掴みにくくなり、水操作などの正確性が落ちてしまう。

 結果的に空気の維持が難しくなってしまうのだ。

 うーん、なかなか上手くいかないもんだな。



「!? みんな、この先からこちらに魔物が向かってくるわ!かなりの強敵みたい……気を付けて!」



 うわっ!?

 こんな水中で敵襲かよ!?

 いや、ここはダンジョンなんだし、敵がいない方がおかしいか。

 こんな水中じゃ逃げ場もないし、戦うしかないだろう。


 しばらくその場で警戒していると、遠くの方に何者かの姿が見えた。

 あれは―――サメだな。

 ものすごい勢いで俺達の方へ向かってくる。

 

 俺は【加工】を使って地面を隆起させ、目の前に分厚い壁を作る。

 するとその作った壁とサメが衝突する音と衝撃が伝わってきた!

 おいおい、激しすぎるだろ、コイツ……。

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