124.HP減少の原因を特定してみました。
第十、十一階層は難なく突破した俺達は、ついに第十二階層へと突入した。
問題の第十二階層。
ダンジョンの見た目は今までの階層と大差なさそうだが……
『いつもの階層と特に変わった所はなさそうだな』
『匂いも特別変な所はなさそうだぞ?』
『拙者もいつも通りだと感じるな』
ブルールやグリザーも特別変化は感じていないようだ。
ケロマはどうだろう?
『ケロマは何か感じるか?』
「そうね……私も特には……って、カンガ、あなたのHPだいぶ減っているわよ!?」
えっ?
HPが減っているっていっても俺、ダメージ受けている実感ないんだが。
ここまでほぼ敵から被弾せずに来れたと思うし。
自分でも【観察】で確認してみることにした。
すると……
カンガ【ゴブリンキング】lv26
HP 119/242
MP 158/158
攻撃力 232(+530)
防御力 217(+720)
魔法攻撃力 162
魔法防御力 191(+720)
素早さ 228(+530)
スキル
観察、考察、隠密、猛毒耐性、暗視、耐震、恐怖耐性、採掘、器用、根性、調合、加工、高速加工、細工、束縛耐性、合成、料理、念力、水操作、浄化魔法、念話、水魔法、水流操作、連携、援護
特殊スキル
王の覇気、採掘の極地、調合の極地、加工の極地、細工の極地、料理の境地、合成の極意、職人の神、超能力者、神速職人、命名者、水を統べる者
確かにHPが減っている。
というか、半分以下まで削れるって相当だよな。
全くHPが減っている実感がないのにこんなに削れていると言う事がいかに恐ろしい事か。
状態異常にかかっているようでもなさそうだし……
とりあえず俺の身に何か起きていることは間違いないようだ。
ちなみに俺以外のみんなには特別HPが減っている形跡がなかったので、俺だけに起きている現象のようだ。
「ちょっと待っててね。ここ最近HPが減った原因を突き止める機械を用意してみるから」
そんな機械を作り出せるってすごいな、おい!
ケロマがガサゴソ荷物をあさったり、何かを組み立てている様子を見ながら俺達は待つことにした。
俺はもちろん大回復薬などを使って時々体力を回復させながらな。
「できたわ! じゃあカンガ、ちょっとここに横になって」
俺はケロマに指定された場所で横になる。
すると俺の頭に何かの装置が取り付けられた。
「では早速計測開始!」
ピコッという音がする機械。
そしてウィィィンと稼働音がダンジョン内に響き渡る。
しばらくするとその音が鳴りやんだ。
「結果が出たわ。えっと原因は……カクレトカゲによる攻撃!?」
『カクレトカゲってどんな奴なんだ?』
「カクレトカゲはその名の通り、姿を隠しているから肉眼ではもちろん、【観察】とかで居場所の特定もしにくい魔物なのよ」
『それは厄介だな。レベルとか強さも全く分からないんだよな』
「そうね。でもカクレトカゲが原因と分かれば後の対処は簡単よ。ブルール、お願い」
『ああ、任せておけ』
ケロマとグリザーはブルールから距離をおいた。
そしてブルールは俺の近くによってきて、そして俺の方に向く。
一体何が始まろうとしているんだ?
よく分からないままその場で立ち尽くし、しばらくダンジョン内は静寂に包まれる。
そして……
「ウォォォォォン!!!」
ブルールが突然雄たけびをあげ始めた!?
う、うるせぇ……
耳がおかしくなるだろ、これ……
俺は耳を塞いで耐えていると、俺に近くにゴロンと横になって気絶した紫のトカゲの姿があらわになった。
「カクレトカゲ、そこにいたのね! ありがとう、ブルール!」
ケロマは紫のトカゲを炎魔法で焼き払った。
どうやらカクレトカゲはビックリすると姿をあらわにするらしく、そのためにブルールに大声をあげてもらったのだとか。
なら一言言ってくれれば良かったのにな……
まあこれで謎のHP減少の原因がなくなったのなら別にいいか。
カクレトカゲの攻略法が分かってからは特に問題なく第十二階層を突破する事ができた。
他にもカクレトカゲはいたのだが、HPの現象を監視するケロマ、驚かせ要員のブルールの活躍により、すぐに撃退されたのだ。
ダンジョンには何回ブルールの大声が響き渡った事だろう?
まあこの階層までくると人間に出会うことがほぼなくなるから、魔物にしか聞かれていないとは思うけどな。
というか、ブルールの大声が聞こえてもなお俺達を襲ってくるカクレトカゲって一体……
まあ終わったことは気にしても仕方ないか。
何だかんだで第十二階層を突破した俺達は、さらに下の階層、第十三階層までたどり着くことができた。
「人間がたどり着いたことがあるのは実は次の第十三階層が最後なの」
『そうなのか? そこが最深部って訳でもないよな?』
「ええ。というのも、第十三階層は構造がよく分からないのよ。多分行ってみれば分かるわ」
構造がよく分からないってどういう事だ?
人間が第十三階層を越えた事がないということはそれだけの理由があるんだろうが……
「もし私達がバラバラになってしまってもあせらないで。【念話】で会話はできるはずだから」
『そうだな……ってケロマは【念話】は使えないんじゃなかったのか?』
「ふふふ、実は旅の途中で【念話】を使うことのできる簡易念話装置を作っておいたのよ。だから万が一という時はそれを使うわ!」
【念話】を使える装置が作れるなら【念話】を取得することくらいたやすいんじゃないかとも思うんだが。
まあ理論的に分かるのと実際に使えるのとは別物ということかもな。
こうして俺達は謎の第十三階層へと足を踏み入れるのだった。




