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ゴブリン、頑張って生きる。  作者: はちみやなつき
Ⅰ この世界で生き残るために
12/222

12.魔物と話してみました。

 俺は自分のステータスを確認する。



 ベビーゴブリン LVMAX

 HP  1/50

 MP 15/15

 攻撃力    10(+530)

 防御力    10(+720)

 魔法攻撃力  10

 魔法防御力  10(+720)

 素早さ    10(+530)

 スキル

 観察、考察、隠密、猛毒耐性、暗視、耐震、恐怖耐性、採掘、器用、根性、調合、加工、細工

 特殊スキル

 調合の極意、調合の極意Ⅱ、加工の極意、加工の極意Ⅱ、細工の極意、職人の神



 生きてる。

 本当に俺、生きてるみたいだ。

 一体どうして?


 こちらを見てる青いウルフが関係しているんだろうか?

 もしかして青いウルフが俺を助けてくれたのか?

 ハハ、まさかな。



『白き者、無事か?』



 へ?

 誰かに話しかけられたぞ?

 でも周りに人間なんていないよな。

 いるのは青いウルフだけだし。



『無事なら返事をしてくれ』



 どう考えても青いウルフの方から声が聞こえる。

 まさか本当にこのウルフが話しているのか?

 だとしてもどう返事をすればいいんだ?

 そもそも日本語で話せばいいのか?

 俺、日本語しか分からねえぞ。



「お前が助けてくれたのか?」



 俺はそう日本語で問いかける。

 しかし、青いウルフは首をかしげている。

 やっぱり通じないようだ。



『白き者。まさか、あれだけの力を持っていながら【念話】も使えないのか?』



 念話?

 青いウルフがやっているであろうこの会話方法のことか?

 そんなの俺が知る訳ないだろう。

 だってこの世界に来て初めて念話を使う奴に出会ったんだぜ?



『そうか。ならば方法を教えよう。話す相手を意識しながら意思を伝える。これだけだ』



 話す相手を意識しながら意思を伝える?

 よく分からないが、やってみるか。


 青いウルフを意識して、今、一番聞きたいことを念じてみる。



『お前は何者だ?』



{ 【念話 lv1】を獲得しました }



 今のやり方で良かったのか。

 コツをつかめば案外簡単だな。



『もう、話せるのか。さすがは白き者』

『いや、質問に答えてくれよ』

『はは、すまない。オレは青きウルフ。さすらいの一匹狼よ』



 一匹狼?

 そういえばコイツの周りには他のウルフはいないよな。

 前に見かけたときもコイツ一匹で複数のウルフと戦っていたし。


 というか、そんな状態で生き残ってるのかよ?

 だったらコイツ、相当強いんじゃないか?

 確かレベルも高かった気がするけど、本当に強いんだな。


 それにしてもどうしてコイツが俺を助けてくれたんだ?

 全く関わったこともないのに。



『何故俺を助けた?』

『そうだな……オレもよく分からない』

『分からないってどういうことだよ?』

『実際そうなんだから仕方ないだろう。気付いたらお前を助けていた。それだけだ』



 よく分からねえな、このウルフ。

 もしかしてコイツけっこう変わった奴なんじゃないか?

 一匹狼になっている理由がそういう性格にあったりするかもな。

 前世でも変わったやつは孤立しやすかったし。

 前世の俺がそうだったからよく分かる。



 それはそうと、怪我を治さないとな。

 俺の今のHPは1しかない。

 さっさと回復薬で回復しよう。


 俺はウルフの死骸に挟まったバッグを取り出す。

 そしてその中から無事だった上回復薬の入った土瓶を取り出し、液体を飲み干す。

 すると、みるみるうちに傷が塞がっていき、ついには完治した。



『その回復薬も作ったのか?』



 俺がその場で休んでいると青いウルフが聞いてくる。


 うーん、ここは正直に答えるべきか?

 別に回復薬を作れること自体は隠す必要もないしな。

 ただその話から武器の話に流れるのは勘弁なんだよな。

 

 薬を作れるなら武器も作れると思われてもおかしくないだろう。

 俺、かなり変わったゴブリンだし。

 自分で言うのもなんだけど。


 そうなると命を助けたから見返りに武器を作れってことになりかねないぞ?

 そんなのは絶対嫌だからな。

 いくら命の恩人とはいえ、俺の脅威になるものを他の奴に渡したくない。

 

 よし、決めた。

 ここは適当に誤魔化すか。

 命には代えられないからな。



『いやいや、ゴブリンがそんなことできる訳ないだろ? あっちの方で落ちていた物を拾っただけだ』

『あっちの方? あっちは崖だが?』



 えっ、そうだったのか!?

 行ったことない方を適当に指差しただけなんだが、全然知らなかった。

 というか、言い訳どうするんだよ? 

 かなり苦しくなったぞ。



『あはは、そうだったのか? 俺、仲間とはぐれちまって、実は道に迷っちまってるんだよ』

『仲間とはぐれたのか。なら、オレがゴブリンの村まで連れて行ってやろうか?』

『い、いや、いい。そこは自力で探すから』

『赤ん坊のお前が? 何言っているんだ。さっさと背中に乗れ』



 そう言ったウルフは俺に近づいてきて、無理矢理背中を押し付けてくる。

 いや、だからそんな事、俺望んでないから。



『バインド』



 青いウルフがそう言うと、俺の体は固まって動かなくなってしまった。

 なんだ、これ?

 魔法か?

 魔法ってやつなのか?


 っていうかなんだよ、この状況。

 どうして全く体が動かないんだよ。

 おかしいだろ。

 俺、魔法防御力あったよな?

 なんで魔法効いているんだよ?


 ってうわっ、やめろ!?

 動けない俺をそのまま連れて行くなんて反則だぞ!?

 誰か、この狼を止めてくださーい。

 嫌なところに連れて行かれようとしているんですー。



 いや、冗談じゃなくてマジでやめろ。

 このままゴブリンの村に連れて行かれたら、俺が作ったあの武器や防具はどうなる?

 それを誰かが身につけるに決まっているだろう。

 そしてそいつらが俺を倒しにくるに違いない。

 そしたら俺の望む平和な生活が実現できないじゃないか。

 そんなのは断じて認められない。


 そもそもゴブリンの村で暮らせる気がしない。

 俺の精神は人間だ。

 多分。

 だからゴブリン基準の生活に馴染める自信がない。

 故にゴブリンの村に行くのは絶対に避けたい。



 だがこの魔法、どんなに頑張っても解けない。

 一体どうなっているんだ、俺?

 とりあえず【観察】で自分の状態を見てみるか。



 ベビーゴブリン LVMAX

 HP 50/50

 MP 15/15

 状態異常   束縛

 攻撃力    10(+530)

 防御力    10(+720)

 魔法攻撃力  10

 魔法防御力  10(+720)

 素早さ    10(+530)

 スキル

 観察、考察、隠密、猛毒耐性、暗視、耐震、恐怖耐性、採掘、器用、根性、調合、加工、細工

 特殊スキル

 調合の極意、調合の極意Ⅱ、加工の極意、加工の極意Ⅱ、細工の極意、職人の神 



{ 【観察 lv4】を獲得しました。 }



 【観察】のレベルが上がったようだ。

 結構使っているけど、相変わらず上がりが遅いな。

 それにレベル上がってもあまり効果実感しないし。

 いや、今はそんなことはどうでもいい。


 状態異常。

 もしかして、状態異常は防御力の高さで防げないのか?

 迂闊だった。


 かつてシルクグローブで猛毒綿花を触っても大丈夫になったことがある。

 だが、あれは猛毒綿花を体に通さなくなっただけで、毒耐性ができた訳じゃない。

 俺は装備がしっかりしていれば何となく全て大丈夫だと思い込んでいたようだ。


 そういえば前世でやっていたゲームにもあったな。

 どんなに能力の高いボスでも即死耐性がなければ即死魔法で簡単に倒せるとか。

 それが分かれば実に簡単に攻略できたっけ。


 まさか、この世界にも即死魔法とかないよね?

 あったら多分何もできずに俺のゴブリン生終わるよ?

 大丈夫?

 本当にないよな?

 

 とにかく、どんな防御力をあげた所で、状態異常対策をしない限りはダメだということか。

 なんでこんな単純なことにも気づけなかったんだよ、俺。

 今更後悔しても遅いけどさ。



 いや、今はこの状況をなんとかしないと。

 既に俺の分からない所まで来ているぞ。

 一体どうすれば?



 どうすることもできない。


 それならもう懇願するしかないじゃないか。

 今回の相手は別に敵対している訳じゃない。

 味方でもないけどな。

 少なくとも話は聞いてくれるだろう。 



 観念した俺はウルフに背中から降ろしてもらうよう懇願した。

 今まで嘘をついていたこと、それの謝罪、そして俺のありのままを話すことにした。

 するとようやくウルフは動きを止め、俺を背中から降ろしてくれた。



{ 【束縛耐性 lv1】を獲得しました。 }



 うん。

 耐性ができたのは良かったな。


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