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ゴブリン、頑張って生きる。  作者: はちみやなつき
Ⅰ この世界で生き残るために
10/222

10.俺tueeeをやってみました。

 俺は壁に耳を当て、物音がしないか調べた。

 すると複数の動く音が聞こえる。

 つまり、相手は複数。

 やってやろうじゃないか。



 俺は意を決して蓋を開け、手前の部屋へと入る。

 俺の突然の登場にウルフ達は驚いたのか、動かない。


 そりゃ驚くよな。

 予想だにしない所から現れたのだから。

 俺がどこかに潜んでいることは分かっていたかもしれないが。



 元の世界にいたオオカミは鼻が利いた。

 多分この世界のウルフもそうなんだと思う。

 でも俺の存在にウルフは気づくことができなかった。

 俺がこの住処を作る前、茂みに隠れていたときもそうだったな。

 あのときは本当に助かって良かった。


 ではなぜウルフは俺に気付けなかったのか?

 その理由は俺の予想だと【隠密】が関係していると思う。

 【隠密】は相手から自分の存在を気づきにくくさせるスキルだと考えられる。

 それは視覚だけでなく、あらゆる感覚にも作用する。

 ウルフが敏感であろう嗅覚も例外ではない。

 だから【隠密】のスキルを持っている俺が近くにいても、においを感じ取れないんだろうな。

 そう考えると【隠密】って思ったよりも優秀なスキルだ。

 持っていて良かった【隠密】。



 それはそうと、ウルフは何匹いるんだ?

 えっと、一、二、三、四、五。

 五匹か。

 だいぶ増えたな。


 というか、増えたってことは仲間を呼んだってことだよな?

 なんで貧弱なゴブリンの赤ん坊一匹相手にそんなことするかなあ。

 そんな警戒しなくていいのに。


 俺、ただの何もできない赤ん坊だよ?



 まあ、そんな風に思ってくれるはずないか。

 俺はフワンジョウシリーズの衣服を着ていたし、他のゴブリンと見た感じ違うもんな。

 この世界の普通のゴブリンがどんなだかよく分からないけど。

 死んじまった親のゴブリンくらいしか見てないしな。


 それに手に着けてるシルクグローブなんて、それだけで130も防御上がるし。

 そりゃこんな良さそうな物を身につけているという時点で何かおかしいと思うよな。

 自分で作った物を良さそうなんて言うのもアレだけどさ。

 もう少し地味な防具にするべきだったか。


 でもシルク装備結構便利なんだよなー。

 軽いし、体にフィットするし、防御力優秀だし。

 そんな良い装備が他にあるとは思えない。

 まあ、ないとも言い切れないし、暇なときでも加工リストから探してみるとするか。




 俺が色々と考えているうちにウルフは正気を取り戻してきたようだ。

 俺に向かってグルルと威嚇して、距離を詰めてきている。

 そしてそのうちの二匹が同時に俺に襲い掛かってきた!


 だが俺はその攻撃を軽くかわす。

 フフ、素早さ500をなめんじゃねーぞ。

 残念だったな、ウルフ。

 お前の攻撃は俺には当たらない。




 装備のおかげで現在の俺の素早さは500を超えている。

 装備をつける前だった俺の素早さが6しかなかったことを考えると凄さが分かるだろう。

 その数値、つまりは八十倍以上。

 圧倒的だ。


 え?

 俺のステータスが貧弱なだけ?

 いやいや装備が凄いんだ。

 まあ俺自身が弱い事は認めるけどさ。

 この装備の凄さは変わらないだろ?


 とにかく、目の前のウルフを俺は圧倒している。

 つまりはそういうことだ。

 この戦いにおいて俺は負ける要素がない。

 命がかかっているから慢心するつもりはないけどな。

 



 二匹のウルフは俺を見失ってキョロキョロしている。

 そんな隙だらけのウルフを俺は見逃さなかった。

 死角から一気に近寄り、短剣で次々と切断。

 俺の短剣で切断されたウルフは一瞬にして絶命した。


 他の三匹のウルフはその様子を見て、怒り狂っているようだ。

 そして一斉に俺に襲い掛かってきた。


 さっきの様子を見てどうして敵わないって分からないんだろうな?

 せっかく逃げれば見逃してあげたのに。

 俺はこの住処を守りたいだけなんだからさ。



 俺は襲い掛かってくるウルフを適当にかわす。

 そして次の瞬間には体が真っ二つに切り裂かれた三匹の屍が横たわっていた。



 本当、あっけないな。


 あれだけ勝てない相手だったウルフをこうもあっさり倒せるとは。

 やっぱりチートだな、この能力。

 この力があれば誰にも負けないんじゃないか?

 まさに、俺tueeeってやつだな!



 え、俺のステータスはいくつかって?

 ほとんど500超えてるけど?

 え、俺自身のステータス?

 オール6です……


 はい、調子乗ってました。

 あくまで強いのは俺自身ではなく、道具だ。

 もし道具が使えなくなったら、途端に俺は最弱のゴブリンに戻ってしまう。

 決して最強とは程遠い存在なのだ。


 実際、俺よりも強い奴が俺と同じ装備を付けたら、俺に打つ手はない訳だからな。

 何と悲しい事実。 



 という訳で調子乗っている場合じゃない。

 俺はか弱いゴブリンの赤ん坊だ。

 だから何としても生き抜くことを第一優先にしよう。

 そんな無闇に殺戮をするのは一部の最強と言われる奴らに任せておけばいい。

 とりあえず身の安全を考えないと―――



{ レベルが10に上がりました。 }

{ ベビーゴブリンのレベルが最大になりました。 }



 なんだよ、天の声。

 せっかく良いところだったのに邪魔するなよ。

 慎ましく生きようって決めたばかりなのに強くなったと言われても困るんだけど。



{ 進化条件を満たしていないため進化はできません。 }



 あ、そうなの?

 強くなったと知らせておいて、もうこれ以上強くなれませんってか?

 上げて落としてくるな、この天の声。

 ハンパねえわ。

 まあ、進化条件を満たせば進化はできるんだろうがな。



{ 進化条件を表示しますか? }



 お、珍しく気が利くじゃねえか。

 もちろんYesで。

 進化できるものなら進化したいよな。

 強くなれるだろうし。

 それになんかワクワクするよな、進化って。



 ベビーゴブリン進化条件

・lv10に達すること 

・1年以上生きること



 なんだ二つだけか。

 って、ん?

 1年以上生きる……って、まさかの年齢制限かよ!?

 これ、努力してもどうにもならねぇパターンじゃねえか!?



 終わった。

 すぐに進化し続けて強くなると一瞬でも期待した俺がバカだった。

 俺、あと一年も生きられるかな?

 こんな過酷な世界でさ。


 いや、だからこその引きこもり生活だ。

 進化の為に動かずゴロゴロぐーたらして過ごす。

 それって最高じゃないか?


 ―――決して怠けたいわけじゃないからな。

 進化して強くなるためだ。

 安全にな。

 何の文句もないだろう?




 さて、そうと決まったら早速住処の修復を始めるとするか。

 ウルフに色々と荒らされちまったからな。

 特に入口。

 ウルフが入れるほどの大きな穴が空いてしまっている。

 さっさと塞がないと危ないよな。

 一番優先して修復しないと。


 そう思った俺は入口跡地へと向かった。

 そして地上へと出たとき、誰かの視線を感じる。

 しかし、辺りを見回しても誰もいない。

 一体何なんだ?



 しばらくすると、その視線は感じなくなった。

 さっきの視線……

 まさか俺が倒したウルフの仲間か?

 だとしたら厄介だな。


 とにかく、一刻も早く修復しなくては。


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