「ヒューマンストーリー」 六話:首都陥落
-----愛知県・豊橋市-----
TV「(リポーター「えー、我々は恐らく都内に取り残されたようです。現在でも活動中の報道は我々だけのようです。現在我々は第一感染者が発見された王子区に居ります。現在我々の後ろを歩いているのは治安出動により派遣された栃木県・陸上自衛隊・中央即応連帯の方々です。王子区では現時点で人は確認されておりません。」
自衛官「おい誰か居るぞ!やばいやばいやばい!逃げろ!」
リポーター「え?何?やめて!こっち来ないで!助けて!キャー!」)えー、現在映像に乱れが入りました。今ご覧いただいた通り都内は大変緊迫した状況になっております。新しい情報が入り次第お伝えします。」
篤志「まじかよ。王子区っていうと確か悠馬が住んでるところじゃねえか。あいつ大丈夫か。」
健二「あー、今回の感染症はやばいらしいね。新型狂犬病かな。症状がそれに似てるらしいけど。」
篤志「病院のほうはどういう対策とってんだ。」
健二「俺が勤めてるところは民間の総合病院だから国立・公立病院のほうはわからないけど。一応厚生労働省のほうから担当官が着てるよ。一人一人患者を保健所の職員と検査して回ってるみたい。」
篤志「ほう、なるほど。なんか、政府が洋上移転したらしいんだが、それってじきに広がるってことか?」
健二「でしょね。今は警察の出動でなんとか都内にとどまってるけどそれでもパンデミック発生当初は一気に都内中に広がったからね。国立感染症研究所のほうも苦闘してるみたいだけど。正直今回のパンデミックは世界規模みたいだし。WHOも正直どうしたらいいか分からないんじゃないかな。」
篤志「なるほどな。なんか脳に損傷を与えると活動を停止するらしいけど。日本の法律上それは不可能に近く、通常自衛隊の治安出動も警察官職務執行法が適用されるから、相手と同等の戦力ということで発砲はできないみたいだし。しかも今回はウィルス災害で外部からの攻撃じゃないから、国民保護法も適用されない。更に噛み付かれたら全員即感染だよ。意図的に感染させたら内乱罪が適用されるけど警察にそこまで対応できる余裕があるとは到底思えないし。」
健二「へー、じゃあ、俺らどうしたら良いわけ?もう無理じゃない。」
篤志「悠馬が生きてることを今は願うしかないな。」
-----山梨県・甲府駅-----
武「悠馬のやつ、遅いな。」
「おーい、武。」
武「悠馬!?どうしたんだよ、その車・・・」
「まぁ、話は後で、とにかく乗って。」
武「あ、あぁ。ありがとう。」
「一緒に避難してきた練馬駐屯地と王子警察署の人たちだよ。」
武「よろしくお願いします。」
一同「よろしくお願いします。」
「さて、本題に入るけどこれから僕のお父さんが県警本部長をやってる、愛知県警にいこうと思うんだけど一緒に来ない?」
武「確かに今ある状況を把握するためにもある程度安全なそこにいくことが先決かもな。分かった、一緒に行こう。」
「ありがとう。」
武「いや、礼を言うのはこっちのほうだよ。ありがとう。」
剛「とにかくだ、今はそこに行くことを考えよう!」
悠馬・武「はい!」
佐々木「先に進むしかないかぁ・・・」