「ヒューマンストーリー」 五.五話:首脳会議
-----駿河湾沖合-----
漁師A「いやぁ、ありゃひでぇなぁー」
漁師B「本当だ。うわぁー煙出てるよ。」
スピーカー「こちらは海上保安庁です。現在東京は暴動の影響で全て通行止めとなっております。直ちにこの海域から退去してください。」
-----東名高速道路・第一チェックポイント-----
民間人A「ちょっと、何で入れないのよ。」
警察官A「すみません、幹線道路は全て通行止めで通り抜けお断りしてるんですよ。」
民間人B「頼みますよお巡りさん。一人暮らしの母親がまだ居るんですよ。」
警察官A「ごめんなさいね、私にはどうしようもないんですよ。申し訳ない。」
-----東海道新幹線・小田原駅-----
民間人A「おいおい、まじかよー。新幹線止まってんじゃん。」
民間人B「嘘だろ、日本の首都だぞ。」
スピーカー「ただいま東海道新幹線は運転を見合わせております。現在政府の指示によるものの為、運転再開の目処がたっておりません。お客様には申し訳ございませんがご理解とご協力をお願いいたします。」
-----海上自衛隊・護衛艦「いずも」・【内閣府・緊急対策委員会】-----
内閣総理大臣「現在の東京の状況は?」
秘書官「現在警察庁・警視庁ともに連絡が取れておりません。また各所轄警察署及び駐屯地も同様です。東京都知事は現在ヘリで離脱したようです。現在は陸上自衛隊の中央即応連隊が対応にあたっています。」
内閣総理大臣「なるほど、長官!」
警察庁長官「はい!」
内閣総理大臣「現在警視庁以外の県警は?」
警察庁長官「現在の県警は機能しています。また東京以外の治安は安定しています。」
内閣総理大臣「分かりました。防衛大臣!現在の自衛隊の様子は?」
防衛大臣「はい!現在の自衛隊は各方面隊及び東部方面隊の都内駐屯地以外は機能しています。現時点では東部方面隊及び中央即応集団の治安出動への準備が完了しておりいつでも出動できる状態です。」
内閣総理大臣「分かりました。厚生労働大臣!これは一体なんなんですか?」
厚生労働大臣「えー。これに関してはまだ確かな情報は分かっておりません。詳しい話は国立感染症研究所所長とビデオ通話がつながっております。所長!」
所長「はい!現在こちらはウィルスという線で調査が続いております。こちらのウィルスは噛み付くもしくは引っ掻くなど人体に対し直接的な損傷が及ばない限り空気感染や飛沫感染はしません。こちらは感染すると脳機能が停止し専門的に申しますと死亡した状態になります。また死亡後は通常と同様の影響を人体に及ぼし死後硬直が始まります。にわかに信じがたい話ですが人体の意識が完全になくなると、攻撃的になり他者を襲い始めます。現在分かっている情報はここまでです。」
内閣総理大臣「病名はあるんですか?」
所長「はい。アキュート・メンタル・インスタビリティ症候群です。日本語で急性精神不安定という意味です。」
内閣総理大臣「分かりました。総務大臣!地方の様子と消防の対応は?」
総務大臣「はい、地方は既に自治体や関係機関が相談センターを開設するなど対応に当たっており現時点では感染者は確認されておりません。消防に関しては東京都のみ119緊急通報に救急車の台数が足りないなどの影響により対応し切れておりません。また各救急隊員などの感染症対策などの環境も充実しておらず搬送に当たった隊員が感染するなどと言った二次感染が報告されております。」
内閣総理大臣「なるほど、分かりました。では今後の対応としては国連を通じ各国首脳やWHOなどと連携をはかっていくなどの対応をしていきます。長官は国土交通省と連携し引き続き東京への道の封鎖に当たってください。また、防衛省は航空自衛隊から偵察機を出し逐一状況を報告してください!何か質問がある者は?」
一同「・・・・・」
内閣総理大臣「では、これにて会議を終了します!」