「ヒューマンストーリー」 十五話:脱出
-----海上自衛隊・護衛艦「いずも」・【内閣府・緊急対策委員会】-----
内閣総理大臣「おい!私を通さずに発砲許可とはどういうことだ!」
防衛大臣「分かってるでしょう!?こうでもしないと本当に日本が崩壊してしまうんですよ!」
内閣総理大臣「武井!お前に言ったはずだ。勝手な行動をとった場合はどうなるかということを!」
防衛大臣「何か問題があった場合は、責任は全て私が取ります。」
内閣総理大臣「お前1人に取れる責任じゃないだろ!?それに赤城!」
国家公安委員長「はい。」
内閣総理大臣「長官が各県警を召集して独断で開いていた会議は一体なんだ?お前が指示したことか!?」
国家公安委員長「もはや・・・警職法にのっとた行動は・・・無理かと。」
内閣総理大臣「そういうことを聞いてるわけじゃない!勝手に特殊部隊を出動させて、分かってるのか!?」
国家公安委員長「お言葉ですが・・・現在の状況を分かってらっしゃらないのは、総理の方かと。」
内閣総理大臣「なんだと・・・!?おい・・・今井。」
法務大臣「はい。」
内閣総理大臣「これまでに赤城がやってきた行動は・・・お前が黙認してきたことか?」
法務大臣「はい。」
内閣総理大臣「お前たち・・・騒ぎが収束したら・・・覚悟しておけ。もう・・・容赦しないからな。」
そう言い残すと金賀は廊下の奥へと歩いていった。
国家公安委員長「今井・・・お前・・・」
法務大臣「気にするな。どうせもう終わるんだ。」
防衛大臣「そうだな・・・何もかも・・・。滅亡かもな。」
-----東京都・某所・地下-----
李開「・・・・・・」
無線「ザー・・・・ザー・・・おい李開!」
李開「何だ?」
無線「何か進展あったか?」
李開「いや・・・全く。」
無線「外の様子はどうよ?」
李開「分からんよ。もう一週間くらい出てないからな。」
無線「ほー。学生時代に逆戻りだな。ずっと研究室に篭りきりだったろ。」
無線の相手はおどけたように笑っていた。
李開「みたいだな。そっちの様子はどうよ?」
無線「あぁ。お前に送ってもらった血液のサンプルを三人がかりで交代でにらめっこしてるんだが・・・ウィルスらしきものがまるっきり見つからないんだ。」
李開「こっちと同じか・・・」
無線「粘り強くやってみないとダメだな・・・」
李開「あぁ。東京にも・・・悲感染者は居るのかな・・・」
無線「お前以外でか?」
李開「あぁ。」
無線「どうだろうな・・・殺しちまったら犯罪なんだろ?」
李開「生きてるのか・・・死んでるのかも・・・分からないけどな。」
無線「生きてるに決まってるだろ!ウィルスだよウィルス。」
李開「そうだよな・・・でも、こんなウィルス・・・俺らウィルス学者も聞いたことないんだぜ?」
無線「そんなこと言ったって・・・探すしかねぇだろ!この事態を打開する手立ては俺ら含める世界中のウィルス学者しか居ないんだよ!俺らが希望を持たなくてどうするんだ!」
李開「あぁ。でも、もしこれがそうじゃなかったとしたら・・・」
無線「余計なことは考えるな。今はウィルスを見つけることだけに集中しよう。」
李開「そうだな。」
無線「しかし・・・おかしな話だよな。前まで感染研の出世街道まっしぐらだったお前と・・・しがない田舎の研究所の俺が同じ課題に取り組んでるんだもんな・・・」
李開「そう言われてみればそうだね・・・。そういえばまだ聞いてなかったけどなんでこっちに来なかったんだ?」
無線「俺は型にはめられるのは性に合わないんだよ!」
李開「はっはっは・・・お前らしい理由だよ。」
無線「なんだよ!悪いか?」
李開「いや、久し振りに昔を思い出すことができたよ。」
無線「じゃ、そろそろ切るぞ。」
李開「あぁ。またな。」
無線「あぁ。新たな進展を願ってな。」
-----静岡県・沼津市-----
「はぁ・・・はぁ・・・」
俺たちは目標の消防車の数メートル手前まで迫っていた。
谷口「感染者が周りに居ますね・・・」
上条「どうします?強引に突破しますか?」
「エンジンを掛けたとしたらどちらにせよ、こちらの存在に気付かれますね。」
谷口「はい。」
「時間もあまりないので効率的とはいえませんが、強行突破でいきましょう。」
谷口「大丈夫ですか?武器もあまりありませんが・・・」
「分かりません・・・」
上条「と、とにかく今は考えるより行動しましょう・・・恐らく今の私たちに残された選択肢は・・・それしかないでしょうし・・・」
谷口「分かりました。全力でサポートします。僕が左の二体を片付けるので浅井さんと上条さんは車両右横の一体をお願いします。」
「一人で大丈夫ですか?」
谷口「大丈夫です。任せてください!」
「健闘を祈ります。」
谷口「・・・・・・」
谷口は無言でこちらに笑みを浮かべながら親指を突きたてた。
「僕が車体を3回叩くのでそれと同時に飛び掛りましょう。」
谷口「分かりました。」
「・・・・・・」コンッコンッコンッ
俺が合図すると同時に谷口は手前の一体に飛び掛った。谷口は後ろから感染者の首を締め上げ、そのまま首の骨を折った。
感染者A「くぅああぁぁぁ・・・」
感染者B「しゃああああああぁぁぁ・・・」
倒した感染者の声に気付いたもう一体の感染者が谷口の方へと向かってきた。谷口は感染者に思いっきりタックルをかますと同時に床に押し倒すと警棒で頭を強打し無力化した。
感染者C「しゃあああああ・・・」
それに続き俺と上条も谷口と同じ要領で首をひねり骨を折った。
谷口「時間がありません。早く行きましょう!」
「はい!」
案の定消防車にはエンジンが掛かったままだった。俺は計画通り、谷口と上条を乗せそのままスーパーへと向かった。
-----スーパー・二階-----
水野「あの三人・・・消防車に今乗り込みました。こっちに向かってきてます!」
水谷「本当に!?」
中田「じゃあ、これで脱出できる!」
水野「でも・・・」
水谷「どうしたの?」
水野「はい・・・車の音に連れられて感染者がこちらに押し寄せてきてて・・・」
水谷「・・・・・・」
-----スーパー・駐車場-----
谷口「浅井さんは残ってこの車を守ってください!俺が皆さんを呼んできます!上条さん、手伝ってください!」
上条「分かりました!」
そう言うと二人は店内へと足早に駆けていった。
-----スーパー・店内-----
谷口「やばい、来てる!上条さん走って!」
上条「はぁ、はぁ・・・」
谷口「ちくしょう!」
そう言うと谷口は走って上条の元へ行くと、上条の肩を担ぎ店内へと走っていった。
谷口「はぁ・・・はぁ・・・」
上条「はぁ、はぁ・・・」
谷口「上条さん!これ閉めるの手伝って!」
谷口さんはスーパーに設置されている二つあるドアを閉めようとしていた。
上条「はい!」
二人で右側のドアを施錠すると左のドアも閉じようとした。しかし走ってきた感染者の腕がドアに引っかかり閉まらなかった。二人は慌てて全体重を掛けてドアを押さえ込む。
谷口「はぁ・・・はぁ・・・くっそ!」
上条「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
谷口「上条さんここも安全じゃない!上へ行って皆と窓から脱出するんだ!」
上条「え!?」
谷口「降りる時は消火栓のホースをロープ代わりに使え!」
上条「え、でも谷口さんは!?」
谷口「大丈夫・・・俺は後から追いつくから!」
しかし、上条さんは躊躇い中々その場から動こうとはしなかった。
谷口「時間が無い!早く!」
上条「分かりました。これを置いていくの身の危険を感じたら使ってください!」
そう言い残すと上条は谷口に拳銃を手渡しその場を後にした。
-----スーパー・二階-----
上条「・・・・・・」ドンッドンッドンッ
上条さんは当初の予定通りドアを3回叩いた。
ドア「ガチャッ」
水野「お疲れ様です・・・あれ浅井さんと谷口さんは?」
上条「時間が無いので説明は後です。これを巻きつけるのを手伝ってください!」
上条は谷口に指示されたとおり消火栓のホースを水野に手渡した。
上条「このパイプなら持つでしょう。」
そう言うと上条は屋根から続く排水用のパイプを指差した。水野と上条はホースをパイプに巻きつける。
上条「さ!一人づつ降りてください!中田さんは皆さんの先導をお願いします!」
中田「分かりました!」
-----5分後-----
水野「次は上条さん!」
上条「私は最後に降ります。水野さんが先に行ってください!」
水野「え!?」
上条「早く!」
水野「は、はい!」
するとドアの方から一体の感染者が上条に飛び掛った。
上条「はっ・・・」
上条が地面に倒れると感染者が上条に覆いかぶさるように襲い掛かってきた!
水野「ちくしょう!離れろこの野郎!」
水野は慌てて上条から感染者を引き離した。すると感染者は標的を水野に変え、襲い掛かった次の瞬間水野の首下に噛み付いた。
水野「あぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
水野が慌てて感染者を突き放すと傷口から血が噴きだした。出血のショックか水野はその場へ倒れこむ。すると感染者は上条の元へと再び歩み寄ってきた。
感染者「しゃああぁぁぁぁぁ!」
その時だった。一発の銃弾が感染者の頭部を撃ち抜いた。上条が慌てて銃弾が飛ぶほうへと目をやると谷口が銃を構えた姿勢で立っていた。
谷口「はぁ・・・はぁ・・・」
上条「谷口さん!」
谷口「大丈夫ですか!?彼は?」
谷口は倒れている水野へと目をやる。
上条「く、首を噛まれて・・・倒れました。」
谷口「噛まれたって・・・感染者に!?」
上条「・・・・・・」コクンッ
谷口「と、とにかく・・・君は下へ早く降りて!」
上条は動揺を隠しきれていなかった。
谷口「・・・・・・」
谷口は上条の体を掴み下へ降りるよう促す。上条はホースを伝って下へと降りた。
谷口「水野・・・さん・・・」
水野「・・・・・・」
その時だった水野が目を見開いて谷口に飛びかかろうとした。その瞬間。谷口は水野にあてがった拳銃の引き金を引き無力化した。
谷口「はぁ・・・はぁ・・・ちくしょう!」
谷口は脱力した体を無理やり起こしホースを伝って下へと降りていった。




