「ヒューマンストーリー」 十一話:迫り来る恐怖
-----静岡県・沼津市-----
「じゃ、行ってくるよ。」
明美「えぇ、行ってらっしゃい。気をつけてね。」
俺は妻に出かける挨拶をすると、職場へ向かった。
-----職場-----
水野「浅井さん。おはようございます。」
俺がロッカーで着替えをしていると、部下の水野が話し掛けてきた。
「あぁ、おはよう。」
俺は気のない返事で返しておいた。
その時だった。
スピーカー「ピーポーピーポーピーポー 救助指令 救助指令 交通事故、沼津市内⚪︎⚪︎交差点付近」
俺と水野はそれを聞いて駆け出し、すぐに防火服とヘルメットを着装し車に乗り込んだ。
-----5分後・現場-----
現場に到着し司令補の指示を仰ぎ救助の指示に当たった。
「酒井は工具類を。水野は俺と一緒に来い!」
水野「了解!」
先着してた警察官に話を聞くとどうやら車同士の衝突事故だ。トラックに押し潰された乗用車から人が出られないでいるらしい。
「消防です!どいて下さい。」
俺は事故車のもとへと駆け寄った。
水野「沼津消防です。分かりますか?」
水野は要救助者に意識の確認を行っている。
水野「意識レベル10です。」
「分かった。」
すると酒井が道具を持ってやって来た。俺はスプレッダーを動かすと、車のドアに押し当てた。しばらくするとドアが外れ、中にいた人を助け出した。すると歩道にいる野次馬から悲鳴が聞こえて来た。
市民A「な、何すんだよ!痛い、痛い、噛むなって。」
市民B「きゃあああああ!やめて!こっち来んな!」
水野「何かあったんですかね?」
「分からん。」
野次馬のただならぬ悲鳴に俺は少し恐怖を覚えた。すると群衆がどんどんこちらへ近づいて来る。いや、近付いてくるというよりまるで何かから逃げるようであった。
市民C「やばい!通り魔だ。」
酒井「やばいっすよこれ。俺たちも逃げた方が良いんじゃ?」
某然と立ち尽くしていると10mほど先で、人が襲われているのが見えた。先程まで交通整理に当たって警察官が制止に入る。しかし、その暴漢は標的を警察官に変え、警察官の腕に向かって噛み付いた。
警察官「痛たた、公務執行・・・痛い痛い!」
しかし暴漢は何人もいるようで一瞬にしてその警察官に向かって噛み付き始めた。
警察官「い、痛い!な、なんなんだお前ら!や、やめろおおおおお!助け・・・」
女性警察官「あ、あ・・・・・・」
後ろに立っている女性警察官は気が動転しているのか、その場に足がすくんでいて動けないでいた。
水野「こ、これまずいっすよ!に、逃げましょう。」
「・・・・・・」
水野「浅井さん!」
「あ、あぁ。」
水野「ほら酒井さんも・・・・・・」
水野が酒井に一緒に逃げるよう促すと。酒井がある一点の方向へ走って行った。
「酒井!」
酒井が向かう方向を見ると、家族らしき人物がその場に倒れ込み、そこで高校生位の女の子が立ち尽くしていた。暴漢が標的をその女の子に向けて変更し襲いかかろうとした瞬間、酒井がその暴漢めがけて、頭から突っ込んで行った。
酒井「暴れんなこの野郎!」
酒井が暴漢を壁に押さえ込んでいた。
酒井「水野!早く彼女を!」
水野「は、はい!先輩は!?」
酒井「俺は後から追いつく!さっさと浅井さんを連れて逃げろ!」
水野「りょ、了解!」
俺は先程立ち尽くしていた女性警察官の元によると彼女の手を引き、走り出した。
女性警察官「さ、斎藤さんが・・・」
先程襲われた警察官の名前だろうか。彼女は何度も呟いていた。
「諦めろ!彼はもう助からん!」
先程の警察官はもう意識を失っているのか、ピクリとも動かなかった。俺は女性警察官と先程助けた要救助者を担ぎ、先程の女の子を連れた水野と共にその場から走り去った。俺たちは無我夢中で近くのスーパーに駆け込んだ。
店員「あんたら一体なんなんだ?」
逃げ惑う人々が店の中に入り込んできたせいか、店員が困惑した表情で言う。
「このスーパーで鍵の掛けられる部屋は!?」
店員「に、2階の事務所だけど。」
「ありがと。」
店員「お、おい!」
「死にたくなかったら来い!」
俺は店員にそう言うと2階へと階段を上って行った。それと同時に先程の暴徒がスーパーへと流れ込んできた。俺が事務所に入り鍵を掛けようとすると、2人の男女が走って来た。
男女「ま、待って!閉めないで。」
彼らが部屋に入ると同時に暴徒が2階へと上がって来た。慌ててドアを閉め鍵をかける。それと同時に近くに置いてあった棚をドアの前に置く。
「ふぅ・・・これで大丈夫だろう。」
店員「あいつら一体なんなんだ!」
「分からん!恐らく今関東で流行ってる病気だろ。」
女性「とりあえずは助かったけど、これからどうするの?」
女性警察官「・・・・・・」ガタガタガタッ
男性「・・・・・・」
水野「皆さん落ち着いて下さい!何が起こってるのか整理しましょう。」
女性「何が起こってるって、分からないの!?暴動よ!」
「皆さん落ち着いて下さい!冷静になって!良いですね?」
俺は場を静かにして女性警察官に話し掛けた。
「大丈夫ですか?喋れます?」
女性警察官「だ、大丈夫です、少し動揺してしまって。」
「そうか、水野、彼女の方は?」
水野「大丈夫です。」
「そうか。」
女性「これからどうするのよ!?」
店員「どういうことだ電話が通じないぞ?」
「皆さん冷静に!落ち着いて下さい!」
女性「電話が使えないってどうゆうこと?」
店員「分からん。110番に掛けても、回線が混み合ってると出て繋がらないんだ!」
「皆さん静かに!沼津消防の浅井です。ここから出るには皆さんの協力が必要です!とりあえずお互いの情報を交換しましょう!まず貴女からお願いします。」
そう言って、俺は女性警察官に目線をやった。
女性警察官「分かりました。沼津警察署の上条です。」
「じゃあ、次、水野。」
水野「はい!同じく沼津消防の水野です。」
「貴女お願いします。」
女性「わ、私は・・・・・・水谷よ!」
「貴方、お願いします。」
男性「谷口です。」
「あなたは?」
店員「先程は取り乱してしまいすみません。ここの従業員の中田です。」
「いえいえ、大丈夫ですよ。協力ありがとうございます。じゃあ、次、君。大丈夫?喋れますか?」
女子「橋川未来です。」
「分かりました。皆さんありがとうございます。」




