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私の推しはモブ文官  作者: 橘可憐


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古文書解読1


研究所も宿舎もゲームでは所属した程度の説明しかなく、あとは背景画だけの世界だったが実際に入ってみるととても面白そうな所だった。


王城の敷地内に建てられているが王城からはだいぶ離れていて、しかも石造りで三階建ての日本のオフィスビルを連想させる設計。


そしてそこでどんな研究をしているのかと思えば、いい大人達が与えられた部屋で好き勝手にあれこれと何かに没頭しているといった感じで殆ど全員引き籠もり状態。みんな私に興味を示す素振りもなかった。


「研究のテーマは提出させているのですがなかなか成果は上がりませんね」


私が興味深そうにジロジロとあちこちに視線を送るのでアデス様が説明してくれる。


リオンは思った通り教会へ通わされることになった。帰ってきたら何をさせられたかよく聞き出すつもり。


そして私は古代文字が読めるというので古文書の類いを研究している人に紹介されるらしく、アデス様が自ら付き添ってくれての研究所探索だ。しかしどこもかしこも似たような部屋ばかりで良く分からない。


「いずれはオランジュにも研究室が与えられるかもしれませんよ。是非頑張ってください」


スッゴく自然に名前を呼ばれちゃった…。なんという幸せ。うん、今なら何でも頑張れる。


「ジャッジ、入るぞ」


研究所内を説明されながら歩き回りたどり着いた部屋の前でアデス様が声を掛ける。

しばらく待つが返事がないのでアデス様は構わずにドアを開け中へと入っていくので私も慌てて後を追った。


入ってみると驚いたことに部屋の中は本で埋め尽くされていてなんだか薄暗い。

アデス様はズカズカと部屋の中を移動し、少ししか開かれていないカーテンを次々と開け放っていく。

ま、眩しい…。


「ジャッジ、古代文字を読める者を連れてきたが他に回した方が良いか?」


「なに!? 待て。早まるな」


本の山の陰から姿を現したジャッジという人は想像通りの研究者といった感じで、頭はボサボサで白衣のような物を羽織っているがそれもヨレヨレ。

しかし私はそんなことよりもそのジャッジという人が手にしている本を見て心から驚いた。


(漫画本じゃん)


どこからどう見ても週刊○○とか月刊○○と言った雑誌ではない単行本コミック誌に私は目を丸くする。


そして辺りに山積みにされた本を改めて確認すると、ラノベや文庫本や文学作品に辞書に参考書に専門書などといった日本の書店に並んでそうな本の数々だ。超有名タイトルもある。


「こ、これいったいどうしたんですか?」


私は思わず食い入るように聞いていた。


「全部遺跡から発掘された物だ。どれもこれもとても興味深いだろう」


そう言えばこの世界には遺跡と言われるダンジョンみたいな物が存在していて、中には魔物やオートマターが徘徊し遺跡を守っているとされている。


しかし遺跡には国の許可を得た者しか入ることができず、ゲーム内ではサラッと説明程度にしか話は出てこなかった。


でも遺跡からこんな書物が発掘されるってどういう事だろう? この世界では日本が古代文明となっているのだろうか? 日本は滅びてなんかいないのになんだか不思議というか変な気分だ。もう戻れないけど。


それに他にどんな物が発掘されているのかとっても興味深いしスゴく知りたい。


「他にはどんな物が発掘されているんですか?」


「おやっ、オランジュは遺跡の発掘品に興味があるのかな?」


「ええ、是非知りたいです。できることなら遺跡にも行ってみたいです」


「ふむふむ、これはまた将来有望な研究者の卵だな。気に入ったアデス、この子は俺が責任を持って預かる」


「そのやる気が私としては少し心配だ」


うん、私も心配。なんだか下心満々って感じがダダ漏れだよ。


「大丈夫だ、任せておけ。それよりも先に確認しておきたいが、君は本当に古代文字が読めるんだよな?」


「オランジュです。ジャッジさん。これからどうぞよろしくお願いします」


「あぁ、オランジュな。分かった。それでどうなんだオランジュ?」


「はい、なんなら文字の読み方を教えられますし、ここにある書物をすべて分類します。というか是非させてください」


もう読めないと思っていたあれやこれやがもしかしたら読めるかもしれないし、それに完結していなかったあの作品やこの作品の続きが読めるかもしれないのよ。見つかりさえすればって話だが、それでもこれはもう絶対やるしかないよね。


「おおぉ、それは大変心強い。是非頼んだぞ」


「任せてください!」


私はさっそく気合いを入れて、お気に入りタイトルを探す気満々で書籍の山の前に座り込むのだった。



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