表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私の推しはモブ文官  作者: 橘可憐


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/53

新年です


「うわぁ~っ」


一際大きな重低音を響かせ上空高く打ち上げられた花火は、大きく大きく何重にも花開いたあときらめく粒子となり星々が降るように次々と流れていく。先程まで打ち上げられていた大小様々な色の花火とは少し異なる花火だ。その光景に感動し、思わず声を上げてしまった。


「こんな大きな花火見るの初めて、凄いねリオン!」


「うん、綺麗だね…」


「そんなに感動されると俺もなんだか嬉しいよ」


「あらあら、昨年は見飽きたと言っていたのに相手が違うと感想も随分と変わるものね」


「……」


結局私の魔法でみんなの記憶を消すというのは無理だったようで、みんなを目覚めさせたあとは当然リオンのお披露目イベントどころではなくなり、炊き出しも中止になり、結局ヘザー様と師匠と一緒にお屋敷に戻った。


ミックさんは用事があるようで、ジェーン兄さんはヘザー様が誘ったが家族の元へ帰ると言い、結局二人とは教会前広場で別れた。


そして年が明けたタイミングで打ち上げられた花火をお屋敷のバルコニーでヘザー様と師匠とリオンと四人で鑑賞し感動している。中央広場から上がる歓声が微かに聞こえてくるのもまた特別な雰囲気をもり立てていた。


「来年はあの広場で見たいね。間近で見る花見はきっともっと大きくてもっともっと凄いんだろうね」


「うん、それも良いね」


「あら、もう来年の話? 気が早いのね。それよりも新年を迎えられたことを感謝し、そして今年も平穏に過ごせるように祈りましょう」


「はい」


来年のことを言うと鬼が笑うと言うけど、来年はちゃんと中央広場で場所取りをして、今度こそリオンと二人でこの花火を楽しみたいと心から思う。だからどうか面倒な騒ぎが絶対に起こりませんように…。


「今年もよろしくお願いします」


「オランジュもリオンも元気で幸せに過ごせますように。ああ、勿論アンドリューもですよ」


「そんなおまけみたいに言われてもな」


師匠は拗ねていると言うより照れていると言った感じで返事をしている。きっと複雑で面倒くさいお年頃なんだろう。まったく素直じゃない。


ところで話は変わるが、帰りの馬車でリオンのお披露目イベントで設けられた特別席の席順に関しての話が上がり、ヘザー様のご身分を初めて聞くことになりちょっと驚いた。まぁ、今までの言動から考えても想像はしてたけどね。


前々王がたいそう沢山の側妃や寵妃を持ち、数え切れないほどの子供をもうけたことで、前王はただ一人の王妃を愛し大事にした。


しかしその結果子供はヘザー様お一人しか授かることができず、女性に王位継承権が無い我が国では結局前王の弟が王位を継ぐことになる。


そして現在はヘザー様はご主人を亡くし公爵家の女主となったが、今でも師匠に正統な王位継承権があると祭り上げようとする一派がいることで、師匠は家を捨て平民気取りで研究員として生活しているそうだ。


ちなみにトールさんはやはり現王の兄弟だと聞いてもうホントびっくりだった。だって師匠とあまり歳が変わらないよ。前々王っていったい幾つまで現役だったんだか…。


そしてトールさんの場合はしっかりとした後ろ盾もないまま殆ど放置で育った王族ってことで、爵位を受けられることなく、その代わり自由気ままに生活しているらしい。前々王がかなり年老いてからの子供だったってこともあるんだろうけど、同じ王族なのにって気もしないでもない。


なんだか頭がこんがらがって半分以上理解できなかったが、ヘザー様のお祖父さんはとにかく女好きで年老いても元気だったってことは良く分かった。


師匠が屋敷に帰りたがらないのはそんな理由もあってのことなのかも知れない。王族って本当に大変そうだって話なんだろうけれど、なんにしても私には関係ないことだ。


それに師匠が王様になる姿なんて想像もできない。師匠はやっぱり研究所で胡座を掻いて猫背で難しい顔していた方が断然似合ってる。間違いない。


「特別なワインを開けようと思うのだけどオランジュとリオンはどうします?」


新年祭と言っても花火の打ち上げが終わるとあとは別に何のイベントもない。新年の祝い方は人それぞれ家庭によっても違うらしく、ヘザー様はこれから特別なワインを開けてお祝いするようだ。孤児院に居た頃は別段何も無くただ眠るだけだったけれどね。


それにこの国はワインなら子供が飲んでも良いらしい。同じアルコールなのにどんな基準なのかちょっと不思議だ。


「えっと、ちょっとだけいただきたいです」


「じゃぁ僕もいただきます」


前世ではアルコールには強かったが好きと言うほどでもなかった。でも特別なワインってどんなものなのかとっても興味がある。


だってワインってお高いのは私じゃ一生手が出ないほど貴重で美味しいものがあると聞いていたし、一度くらい飲んでみたいよね。味の違いが分かるかは微妙だけど。


「賑やかな新年を迎えられて今年は本当にいい年になりそうで嬉しいわ」


「大袈裟すぎるよ」


「誰のせいで今まで静かな新年を迎えていたと思って。今日はとことん私の話に付き合って貰うわよ」


「はいはい。オランジュとリオンはワイン飲んだら大人しく寝ろよ」


「「はーい」」


こうして無事(?)平和に新年を迎えたのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ