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私の推しはモブ文官  作者: 橘可憐


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新年祭です4


炊き出しを手伝っていたヘザー様達貴族様ご一行が特別席へと移動した。そろそろリオンのお披露目イベントが始まるのだろう。


無駄に師匠と騒いでいたお陰か(?)舞台からそう遠くもなく近すぎない、見学するにはかなりいい感じの場所を確保できていたので私達は動く予定は無い。ここからしっかりリオンの活躍を見学させて貰おう。


程なくして仰々しい一行が教会内部から現れた。天蓋付きベッドから天蓋だけ外して来たのかといった感じの囲いを大人数で支えながらゆっくりと移動している。きっとあの天蓋の中にリオンが居るのだろう。


確かにリオンの姿はしっかり隠されているが、それにしても仰々し過ぎないか? 姉の立場からすると大袈裟すぎてドン引きだよ。だけどリオンの安全を考えれば仕方のない事なのかも知れない。


でもなんだかリオンがスゴく偉い人にでもなってしまったようで、あそこにリオンが居るのを感じられない。と言うか、とても遠い人になってしまったようにも思えてちょっと寂しいよ。


「今より聖者様がこの広場にいる皆様に癒やしの能力を披露します。どうぞその身をもって聖者様の偉大さを実感してください」


司会者なのか舞台上で教会関係者が声を張り上げた。

聞いていた話では重傷屋や重病者を癒やすってことになっていたのに、ここに居る全員に癒やしの能力を使うってことになったらしい。


考えてみたら重傷者や重病者がこの教会前広場までそう簡単に来られる訳がないよね。それにきっと教会が迎えに行くこともしないだろうし。本当に企画倒れというかなんというか、教会のやる事って全然ダメダメだな。


だけどそれって返って大変なんじゃないの? 全員を癒やすってここにはかなりの人数が居るよ。除夜の鐘の行列じゃないけれど、一人一人癒やしてたら夜が明けちゃうよ。魔力も体力も持つの? 本当に大丈夫なの?


そんなことを考えていると、教会前広場の中心で緑色に光る癒やしの能力独特の光が立ち上がり、そしてゆっくりと広場全体に広がっていく。


これってもしかしなくてもエリアヒールみたいな広範囲に能力を展開させてるよね。リオンってばいつの間にそんなことできるようになってたの…。


オランジュは驚くような呆れるようなまたは尊敬するような複雑な心境でその癒やしの光を呆然と眺めた。


「なんだか体が軽くなりましたね」


「ああ、俺もだ」


教会内広場では同じようにリオンの癒やしの能力を実感した人々が口々に驚きの言葉を上げる中、ミックさんと師匠も驚きの表情を見せている。ジェーン兄さんは若い分実感がないのか反応が薄い。


それにしても周りに居る人々は古傷が消えているとか膝や腰の痛みが消えたとか、明らかにみんなどこかしら悪いところを抱えていたようだし、それが癒やされたのならリオンのお披露目も成功ってことなのかも知れない。でも…。


「みんな分かってないわ。癒やしの能力も勿論凄いと思うけど、この広場に居る全員に一度にその能力を使えるなんてそうそうできないことなのよ。攻撃魔法だってそうでしょう。広範囲になればなるほど難しく大変なのよ」


多分一人の重傷者を治すよりも大変なんだって事にきっと誰一人気付いていない。リオンの本当の凄さを分かってる人が居ないってこんなにももどかしいとは思わなかった。


もっとも魔法を使える人もあまり居ないから理解しろというのも難しいのかも知れないがそれにしてもだ。


キーーーン!!


突然何かの音が響いたと思ったらリオンの居る天蓋が黒ずくめの装束を身に纏った怪しげな人々に襲撃を受けていた。しかしその攻撃は多分リオンの張った結界に阻まれたのだろう。


しかしその様子を見た広場に居た全員が一斉に驚き逃げ惑い始める。護衛騎士はリオンよりも王女様や貴族様方を守るべく移動するし、天蓋を囲っていた教会関係者も一斉に逃げ出すし蜂の子を突いたような騒動が起こっている。


気付くとミックさんが私を庇うように私の目の前に立ち塞がり、ジェーン兄さんは私の隣で辺りを警戒し、師匠も私の隣で一応逃げ惑う平民がぶつかってこないように守ってくれる様子を見せている。


このままじゃ折角のリオンのお披露目イベントが台無しじゃない。こんな日を狙ってくるなんて許せない。リオンに刃を向けたことを絶対に後悔させてやる!!


でもその前にこの騒ぎをどうにかしなくちゃ。いったいどうしたら……。

そうだ! リオンにできるなら私にだってできる筈。


私ならできる。私ならできる。絶対にできる! 私なら絶対にできる!!


オランジュは闇属性魔法の能力の一つを応用し教会前広場に居る全員に睡眠の魔法を掛けていく。そして逃げ惑い騒然としていた人々も特別席に居た王女に貴族に護衛騎士、そして教会関係者にリオンを襲った賊ども全員も次々と眠らせることに成功する。


「取り敢えず騒ぎは収まったわね」


すると全員眠らせることに成功したはずなのに、広場中央辺りに佇む人影がある。そしてその人影はなんとオランジュに向かい走って来る。咄嗟に身構えるが、その人物を確認しフッと気が抜けた。


「やっぱり姉さんは凄いね。僕驚いちゃったよ」


「リオンの方が凄いわよ。もうびっくりだよ。リオンにできるなら私にもできるってちょっと頑張ってみたけど、最近は全然魔法の練習もしてなかったしやっぱりリオン程じゃないと思う」


多分ちゃんと練習していたなら、賊だけを狙って眠らせることもできたと思う。だからどう考えても毎日練習しているリオンに敵うとは到底思えない。それにリオンがエリアヒールを使って見せてくれなかったらきっと思いつきもしなかった。


「取り敢えず賊をどうにかして貰わなくちゃならないから何人か先に目覚めさせなくちゃね。姉さんできる?」


「どうだろう、できると思うけど、でもそれよりリオンが何で広場に居たのよ。それに何でリオンは眠らなかったの。そっちの方が気になって仕方ないじゃない」


「ああ、あの囲は結界を張ってあるだけで中は誰も居ないよ。襲われるのが分かってたからね。それに広場の中央に居た方が効果範囲をあまり広げなくて済むでしょう。それより詳しいことはあとで話すから先にここをどうにかしないとさらに騒ぎが酷くなりそうだよ」


見ると騒ぎを聞きつけたのか新たに広場に足を踏み入れる人が現れ別の騒ぎが広まり出し始めている。

急ぎ護衛騎士を目覚めさせ賊を退場させると新たに広場全体に目覚めの魔法を発動させる。

ぶっつけ本番ではあったがどうにか成功したので一安心だ。


できることならさっきの騒ぎを忘れてくれていると良いのだが、そこまでの効果を願ってはみたけれど実際にどうなるかは自信がないのが残念だ。


こんな事なら色んなシチュエーションを想定してちゃんと魔法の練習をしておけば良かったと後悔するのだった。



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