表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私の推しはモブ文官  作者: 橘可憐


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

47/53

新年祭です2


「私新年祭で街を出歩くの初めてなの。今日はあちこち色々と見て回ろうと思っているのできっと大変ですよ」


孤児院にいた頃は孤児院でも大晦日にバザーを開催し、年長さん達はその手伝いにかり出されるが年中年少組は孤児院に缶詰状態でいつも通り掃除をしていた。


だから話に聞いてからずっと楽しみにしてたんだよね。屋台とか屋台とか屋台を。どんな美味しいものに出会えるのかホントウキウキワクワク。


これでアデス様を陰謀から守る悪者ホイホイ作戦がなく、リオンが一緒だったならどんなに良かったことか。まぁ、今さら言っても仕方ないんだけどね。


「ヘザー様からオランジュさんが欲しがった物は躊躇なく購入するようにと現金を預かっています。それにアンドリュー様からはしっかりと荷物持ちをするようにと仰せつかってますので覚悟はしています」


「なにそれ初耳。ヘザー様も師匠も過保護が過ぎるわ。それじゃ本当にどこかの貴族か富豪のご令嬢がお忍びで出歩いているみたいじゃない。それに護衛が荷物持ちしてたら護衛にならないんじゃないの? 本当に誰かに襲われた時に両手が塞がってるってことだよ。大丈夫なの?」


もっともヘザー様も師匠もきっとそんな心配をしてるんじゃないんだろうな。まぁヘザー様は純粋に新年祭で浮き足立った人混みを歩かせるのを不安に思っているんだろうけど、師匠は絶対に私が何かやらかすとでも思ってるに違いない。ホント信用ないよね。


「護衛と言いますか、オランジュさんが新年祭を楽しめるようにと年の近い私を選ばれたようでして、それに私一人に護衛などまだまだ務まるとも思えません」


「だって師匠はジェーンさんのことを護衛って紹介してたじゃない。それにとっても強そうに見えるわよ。実際相当鍛えているんでしょう?」


「はい、一応剣の才能を買われ学園に入学させていただきました」


「じゃあ、学園の在学生ってこと?」


「そうです」


才能を認められて学園に入学した平民組の学生ってことか。それじゃぁどこかの貴族の三男坊という私の読みは全然外れてたってことだね。


「でも姿勢や仕草を見る限りじゃまるで貴族みたいだよ。凄く綺麗だなって言うかカッコいいって思っちゃた」


「そう思っていただけたということは、ヘザー様に取り立てていただいたご恩に報いる努力をした成果があったと言うことでしょうか」


「きっとそうよ」


それも多分血の滲むような努力を積み重ねているんだろうな。才能に溺れることなく努力できるってホント凄いと思う。私には到底真似できない。心から尊敬するよ。


「それじゃ、折角のヘザー様のお気遣いなんだからせいぜい一緒に新年祭を楽しみましょう」


「一緒にですか?」


「きっとヘザー様はジェーンさんにも楽しんで欲しいと思ってるわよ。いつも頑張っているご褒美に気を遣ってくれたのよ。それもあって私のお守り役に任命したんだろうから楽しんで帰らないと逆にガッカリされるわよ」


なんとなく新年祭も関係なく鍛錬に打ち込むジェーンさんの姿が目に浮かぶよ。きっと放っておいたらその通りに過ごすんだろうと想像が付く。だからこそヘザー様はジェーンさんが街に出る口実を作ったんだと思う。


「そうでしょうか」


「そうに決まってるわ。なにせあのヘザー様が考えることよ。それ以外ないって。絶対よ」


「なんだかオランジュさんが言うとそう思えてくるから不思議です」


「やだ、まだまだ堅いわね。オランジュでいいわよ。私の方が年下なんだし。じゃぁ行きましょう。ジェーン兄さん」


「そ、そうだね」


そうして私達は目に付く屋台や露店を覗いて歩いては、あっちの方が美味しそうだとかあっちの方が安かったと言いながらいくつかの料理を買い食いして楽しみ、お昼を抜いてきたお腹もかなり満たされた。


惜しむらくは屋台に並ぶ料理に目新しいものが無かったくらいだ。どこもかしこも似たような串焼きかスープばかり。ただちょっと具材が違うか味付けが違うだけ。日本の縁日の屋台ほどには楽しめなかった。残念。


「だいぶ人が増えてきたわね」


「中央広場での場所取りが済んだ人達も動き始めたのでしょう」


「場所取りなんてするんだ」


日本でのお花見みたいなものなのかな。やっぱり交代で場所の確保とかするのかしら。なんだか大変そう。


「場所取りをする場合は一人あたりのスペースが決まっているので取り敢えず全員揃って管理組合に申請しないとダメなんですよ。だから自分の場所が決まるまで動けないのは実際不便ですね」


「へぇ~、そんな仕組みなんだ」


一人が代表して何人分なんてスペースの取り方はできないってことだね。それに映画館の座席チケット購入みたいなに自分の好きな場所を選べるのかな。それだったら来年はリオンと場所取りして花火を楽しんでもいいかもね。


って、こんな事をしている場合じゃなかった。ジェーン兄さんと屋台を楽しんでてすっかり悪者ホイホイ計画を進め損ねてたよ。ヤバいヤバい。


「今からじゃ場所取りは難しいかも知れませんが一応行ってみますか?」


「そうね、どうせなら良く見える場所からの方が楽しめるだろうしそうしましょう。それじゃ急ぐわよジェーン兄さん!」


ごめんなさいジェーン兄さん。ここで撒かせて貰います。私の方が小さいし小回りが利くから、人混みを抜けるのは簡単で早い筈。これもアデス様のためなんです。許してください。


オランジュは必死になって人混みをすり抜けおもいっきり走るのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ