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私の推しはモブ文官  作者: 橘可憐


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久しぶりです


「リオンいつもありがとう」


「姉さんってば急にどうしたの?」


「私がこうして毎日平和になんの苦労も心配も無く生活できてるのは全部リオンのお陰なんだって、つい最近気付いたんだ。本当にありがとうね」


思い起こしてみれば孤児院に居た頃もリオンが一緒だと思えば怖いものなんて無く、いつだって思うとおりに行動できた。


前世の記憶が蘇った時だってリオンが居てくれなかったら私はもっと動揺し、よく考えもせずに能力の選択をして、流されるままにゲームの主人公になったと喜び天下を取ったような気になっていたと思う。


そして私利私欲自分の欲望の赴くままにアデス様を追いかけ回し、その結果もしかしたらバッドエンドまっしぐらだったかも知れない。


そう思うと大事な選択を迫られる時はいつもリオンが居て私に考える余裕を与えてくれ、そしていつだって脱線しそうな私をリオンが止めてくれていた。


だからゲームの世界というこの特殊な状況の中で、私が大きく道を踏み外さずにこうして居られるのは間違いなくリオンの存在があるからなんだと思う。


「なんだそういう意味か。それなら僕だって同じだよ。姉さんが居るから僕はいつだって慎重でいようと思えるし考えられるんだ。それに僕は姉さんみたいに表立って何かをするより姉さんの手助けをしている方が性に合っているから大丈夫だよ」


「大丈夫って?」


「そんなに感謝をしてくれなくてもいいよって意味だよ。姉さんは今までどおり元気でいてくれた方が僕も安心してやりたいことができるんだ」


「そっか、そうだよね。じゃあこれからも私が道を踏み外さないようにちゃんと見ててね。お願いよ」


「うん、任せて」


リオンと久しぶりにちゃんと話ができた気がしてなんだか嬉しい。と言うか、お互いの意思を確認できて改めて元気を貰えたよ。やっぱりこんな時間を大切にしないとダメだね。


「ところでさ、姉さんに一つだけ確認したいことがあるんだけどいい?」


「なによ改まって。なんだかいつものリオンらしくない聞き方だよ。大事な話? ちょっと緊張しちゃうわね」


「姉さんはアデス様とどうなりたいって思ってるの?」


「な、なにを急に…」


「そんなに動揺する質問だったかな」


質問に動揺したんじゃないよ。リオンの口から出てきた質問の内容が意外すぎて驚いただけだよ。


「どうなりたいなんて考えたこともないわよ。だって相手は妻帯者だし。十分に幸せそうなのに私に略奪愛なんてムリムリ、絶対に無理。それに略奪できるとも思えないし。第一なんと言ってもアデス様は私の大事な推しなの! 夢を与えてくれている間は全力で応援するわよ。いつだって輝いていて欲しいもの。ただそれだけだよ。ホントだよ」


「じゃぁ例えばさ、アデス様が何か失態を犯し断罪され平民にされるとか、奥様を亡くし独身になったとしても同じことが言える?」


「なによその質問。アデス様がこの先何か不幸に見舞われるみたいじゃない。そんなの絶対に嫌よ。想像もしたくない。だいたい推しとの恋愛は妄想の中だけで十分よ。リアルになって幻滅するのを私は望んでないわ」


私はいつだって夢だけ見ていたいの。だから漫画を読み漁り小説に夢中になり二次元のイケメンに瞳をウルウルさせていたのよ。そうして厳しい現実を受け入れるの。心を潤すの。それが推しの魅力なんだよ。


それが現実になった今アデス様を変わらずに応援しているのは、この世界には私を新たに夢中にさせる漫画も小説もゲームもテレビドラマもないからよ。新たな推しキャラが見つからないからともいえるけど。


でも前世であれだけ本気で夢中になった推しなのよ。リアルになって現れたときはそりゃぁ舞い上がりすぎたけど、今では普通にこのままずっと輝いていて欲しいって本当に願っているんだから、そんな不幸な展開なんて考えたくもないよ。


「ごめん姉さん。姉さんがそんな風に思ってたなんて思いもしなかった。ただね、僕ちょっと心配なんだ」


「なにがよ」


「アデス様を邪魔に思い失脚させようと考える人が居るんじゃないかってさ。だってアデス様って最近姉さんの手助けもあって結構実績を積んでるでしょう。教会でも名前を聞くくらいに注目されているしさ。だからもしかしたらそんな未来もあるんじゃないかって思ったんだ」


考えてもいなかった。そう言えば以前アデス様の領地視察の時に師匠が言ってたよいつもの嫌がらせかって。その嫌がらせが陰謀になったらそういう事も本当にあり得るのかも知れない。


アデス様ならそう簡単に策略や陰謀に嵌る筈無いと思いたいけれど、万が一って事もないとは言えないし…。


「そうね、確かにちょっと心配だわ。でもだからって私達に何ができるか分からないよ」


アデス様に直接アデス様の失脚を狙い何か陰謀を企てる人は居ないかなんて聞いても不振に思われるだけだろうし、たとえ相手が分かったとしても私に何ができるかなんて思いも付かない。嫌だ、このままじゃ肝心な時に何一つアデス様の力になれないって事じゃないか。


「それじゃぁさ、僕に一つだけ考えがあるんだけど、姉さん実行してみる気はある?」


「勿論よ! アデス様をお守りする為なら、私はなんだってやるわよ。やってみせるわよ!」


「相変わらずだね姉さん。僕ちょっと安心したよ」


「いいから早くその考えとやらを聞かせなさいよ」


「まあまあ、ちょっと落ち着いて話そうよ。ねっ。ここから先は冷静になって話し合わないとダメだよ。失敗は許されないんだから」


「そ、そうね」


こうして私達はアデス様をお守りするための作戦を練ることにしたのだった。



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