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私の推しはモブ文官  作者: 橘可憐


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謎です


「オランジュさん、今日もお元気そうでなによりです。それでですね、ちょっとお伺いしたいのですが、何か変わったメーニューを是非私にも教えていただけないですかね」


この間調理場を借りたいと言ったときはかなりの塩対応だった研究所の調理人も、お城の調理人さんにお菓子のレシピを教える私をさすがに認めざるを得なくなったのか、まるで掌を返したように接してくるようになった。ホント気持ち悪い。こういう人って好きじゃないんだよね。


「私のような子供にさん付けも敬語も必要無いですよ料理長さん。それにここの料理はどれも美味しいので何か変わったメニューと言われても私も困ります」


研究員さん達のことを思えばここは素直に何か教えるのが良いのだろうけれど、私はやられたことはやり返さずには居られない質なのでこの人にはしばらく塩対応させて貰うつもり。


少なくとも子供の来る場所じゃないと怒鳴り散らしたことをしっかり後悔して貰うまでは絶対に折れるつもりはない。


「噂に聞くところオランジュさんは古文書が読めるそうですね。それで古文書にある料理のレシピを教えてるそうじゃないですか。是非それを私にも教えて欲しいと言ってるだけなんですよ」


前世の記憶があるというのは極一部の人しか知らない。だから古文書の中からレシピを探して教えてることになってはいるし実際そのようなものなんだけど、この人は今まで私に興味もなくただの子供だと本当に軽く見てたってことだよね。


まぁ、実際に子供なんだしそれは仕方ないとは思うけど、他の人達は内心でそう思っていても態度には出さないよ、みんな大人だし。それに他の人達はただの子供が研究所内をウロウロしてる訳がないと気付いているのだろうからね。


要するにこの人がどれだけ頭が悪くて性格が悪いか良く分かるってものだよ。自分が一番偉いとか勘違いしてたんだろうね。


それに子供だと散々馬鹿にしておいて、自分にとって有益なら態度を変えてへりくだるってところがどうしても我慢できないというか許せない。

せめて調理場を借りたいと言った時にもう少し話を聞いてくれるとか親切にしてくれていたなら私も喜んで協力したのに。


「それって仕事の依頼ってことですか? それならアデス様かヘザー様に要請してください。仕事なら喜んでやらせていただきます」


「なっ…」


フン、私は簡単に言いなりになったり誰にでもいい顔するような安い女じゃないんです。残念でした。


「随分と辛辣だな。物怖じしない子供ってのも案外可愛いじゃねぇか」


「トールさん、それって褒めてるのか貶してるのか分かりづらいです。もっと分かりやすく褒めてくださいよ」


「可愛いオランジュに今日は俺が奢ってやるから何でも好きな物を食え」


「奢るってここの料理ですか?」


「そうに決まってるだろう。俺に何を奢らせる気だ」


「いえ、今までここの料理にお金を出したことがなかったんでちょっと驚いただけです」


「あぁ、ならば何かの経費ってことになってるのかもな。食費免除なんておまえ随分待遇が良いじゃねぇか。ここの研究員にもそんなに待遇の良いやつは居ないぞ」


初めて聞いたよ。ちょっとびっくりだ。そもそも毎月お給料みたいなものはいただいているけれど、何かを請求されたことは今まで一度もない。食事代だけじゃなく宿舎の家賃とか光熱費とか。


だからお給金から小遣いを引いた分を貯金に回し切りの悪い端数をへそくりにしてたんだけど、そもそもその小遣いも使うことは殆どない。


街に出る事が少ないってのもあるけど、必要な物はヘザー様が揃えてくれちゃうし、欲しいものはたいてい師匠が買ってくれちゃうから必然的にお金が貯まる一方だ。


孤児院に居た頃はお金が無くてお金を使う感覚なんてなかったからあまり不思議に思わなかったけど、考えてみたら本当にかなり優遇されてるよね。


研究員さんってみんなそうなのかと思ってたけどトールさんの話からすると違うみたいだし、これって誰にお礼を言えばいいんだろう。やっぱりアデス様? それともヘザー様かな? 取り敢えず師匠に聞いてみようか。


「ついでにちょっと聞いても良いですか?」


「なんだ改まって」


「トールさんってお給料はいくらくらい貰ってるんです? やっぱり基本給だけじゃなく役職手当とか残業代とか色々付くんですか。あっ、でも、金額を聞くのはさすがに失礼か。個人情報ですしね。すみません忘れてください」


この世界のお給料事情を知りたいと思ったけど、考えてみたら実に失礼な話だった。一応ちゃんと考えてから口にすべきだと分かっているんだけどね。ついね。


「家人に任せてあるから俺はよく知らん。なんだ、俺に興味が湧いたのか? 今度家に招待してもいいぞ。なんならその時に家人に聞いてみるか?」


「結構です」


トールさんは間違いなくどこかの貴族のご子息なんだというのはよく分かりました。

もっともお城にも気軽に出入りしているみたいだし、お城の厨房からお菓子を持ち出せるくらいだから薄々そうだろうとは思ってましたけどね。


オリヴィア様は貴族みたいなのに平民だと言うし、トールさんは脳筋みたいなのに貴族の子息で研究員だというし、本当にこの研究所の研究員さん達って謎だわ。

それにこれ以上貴族様との堅苦しいお付き合いは勘弁願いたい。今はヘザー様のお屋敷だけで十分です。


「そうだな、オランジュがもう少し色っぽい女になったらいつでもエスコートしてやる。俺は子供を愛でる趣味はないからな」


「何言ってるんですか、私の方でお断りですよ。近い将来絶世の美女になろうと妖艶な女になろうと絶対トールさんにエスコートなんて頼みませんから」


「ハッハッハッ、言うじゃねえか。妖艶な女を楽しみにしてるよ」


「もう、子供を愛でる趣味は無いと言いながら勝手に頭に触らないでください。髪がグシャグシャになったじゃないですか」


ホントトールさんって良く分からない。苦手だわ。どうしてこういつも絡んでくるんだろうか。本当に謎だよ。



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