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私の推しはモブ文官  作者: 橘可憐


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魔法習得訓練2


この世界で聖属性魔法は大地を浄化し潤す力があるとされていて、痩せて作物の実りが悪くなった大地を正常化させ飢饉を防ぐイベントが用意されている。


また闇属性魔法はラノベで良く聞く能力とは違い、人々の精神を安定させ安らぎを与える能力とされていて、不眠症にかかったとある大富豪商会の奥方様を快眠に導くイベントが用意されていた。


どちらも癒やしの能力同様特定攻略対象者と仲良くなることで発生するイベントだが、実は私は特定の対象者と知り合わなくても事件は発生しているのじゃないかと考えている。


知り合うことでイベントとしてクローズアップされ親密度に関わってくるというだけで、リアルになったこの世界では私が気付かないところで事件として実際に起こるのではないかと思うのだ。


それにこの二つのイベント解決は、多分アデス様の地位を揺るぎないものにできるほど重大なんじゃないかとも考えている。


それからもう一つ私はとても重大な問題を見逃していたことに気付いた。


それは万が一本当に知識の能力を得た人がこの先現れたら私は即詐欺師扱いされるということだ。

そうなったらアデス様の活躍を応援するどころかアデス様の顔に泥を塗ることになりかねず、当然足を引っ張る結果となるだろう。


そんなのは嫌だ。我慢できない。推しの活躍を邪魔するなど絶対にあってはならない。


という事でやはり私が本当はどんな能力を授かったのか確かめることにした。万が一の保険だ。


この先なんの問題も起こらなければ、聖属性魔法か闇属性魔法を授かっていたとしても敢えて公言せずにアデス様のために事件解決すると言うのも面白いし、問題が発覚したら実は属性魔法を授かっていたとして事件解決するのも良いだろう。


それにリオンと魔法の練習を始めたお陰か、今なら聖属性魔法も闇属性魔法も別の使い方ができるような気がしている。


例えば聖属性魔法なら大地の浄化だけでなく結界やアンデッドの除霊とか、闇属性魔法なら重力魔法や空間魔法を使い異空間収納や転移なんて魔法を使えるようになれる希望はあると考えている。

何しろ古文書ラノベにはそういう魔法で溢れているのだから。


「じゃぁさっそく試してみるわね」


部屋の中で練習するだけではなかなか他の魔法を習得できずにいたので、休日を利用してリオンと二人で街の外れにある森林に出かけて来ていた。ここなら人目に付かずに練習し放題だ。


聖属性魔法発現イベントは孤児院の裏庭の草むしりをしていて元気のない野花を見つけ、元気を出してと祈ったことで大地が緑色の光を放ち雑草が踊るようにざわめき、主人公は驚き呆然とするが一緒にいた孤児達が騒いだことで発覚するという流れだ。


私はさっそく大地に手を置き元気を出してと祈ってみる。


……ザワザワザワザワ


大地から光は放たれなかったが辺りの草花が風もないのに一斉にざわめいた。


「あれぇ…?」


「失敗だったの?」


「ううん、成功したと思う。けど…。あっそうか。ここの大地は枯れてないから潤せないってことなのかも」


多分きっとそうだ。だとしたら私は聖属性魔法を使えるってことで良いんだよね?


「良かったね」


「うん、でも…。どうせだから闇属性魔法も使えないか試してみるね」


「えっ、だって」


「大丈夫大丈夫。試すだけならタダだし、一人に一つの能力だなんて決まってないでしょう」


「そうかもしれないけど…」


「あぁもう、ごちゃごちゃ言わないの。試すわよ!」


闇属性魔法発現イベントは新入りの孤児が不安がり夜泣きが酷くなるのをどうにか宥めようとしたときに、黒に近い紫の光が孤児を包み泣き止ませるのに成功し寝かしつけたという流れで、意地悪オババにどうやって寝かしつけたと詰め寄られて話したことで発覚するのだった。


私はリオンの頭を優しく撫でながら心を落ち着けてと祈る。すると驚いたことにリオンの体を紫の光が包みリオンをあっという間に寝かしつけていた。


「やったね!」


闇属性魔法を授かったのは確実だ。やっぱり諦めずに試してみるもんだね。二つの属性魔法を授かってたなんて願った通りだった。ホントに嬉しい。


これでいずれ起きるかもしれない事件の解決も目指せるし、詐欺師問題が起こっても対処ができる。


アデス様、必ずや私があなたのお役に立ってみせますからご安心を。


私は二属性共を授かっていたことに満足し、明るい未来を思い描き心から安堵していた。


「ちょっとリオン起きなさいよ!」


「う、う~ん…」


自分が寝かしつけてしまったリオンをたたき起こすと、ここへ来た次の目的であるライト以外の魔法の習得訓練を開始するのだった。



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