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勇者の俺が勇者パーティーを追放されたんだが?

作者: 桜花オルガ

 俺の名はブレイン。


 勇者パーティー『ドラゴンブレス』のリーダーで、勇者と讃えられている。



 俺以外のメンバーは、盾役でもある重戦士のイザベラ。顔も悪くないが、何より俺好みの身体をしてやがる。


 もう一人が、遠距離攻撃が主体の凄腕弓使いルーシー。こいつは細身だが、最高の美人だ。


 最後は……支援魔法はまぁ役に立つが、雑用係のネルだ。男だがガキだと思ってパーティーにいる事を許してやっていたが、イザベラもルーシーも事あるごとにネルばかり褒めやがる。



 こんなガキの雑用、もう俺のパーティーには必要ないだろう。


 俺以外の男なんて最初からいらなかったんだ。




 追放してやる……




「なによブレイン、緊急会議って」


「すぐに分かる。おいイザベラ、ルーシーとネルの野郎はどうした?」


「あんたが急に呼び出したんだから、少しくらい待ちなさいよ」



 チッ……まぁいい。話はすぐに終わる訳だしな。



「遅くなってー、ゴメンねー。ルーシーちゃん登場ー!」


「遅れてすみません。次のクエストのための食糧調達をしていて……」


「……フン。揃ったな。急に呼び出したのは俺達『ドラゴンブレス』にとって、重要な話があるからだ」



 そう。勇者パーティーには役立たずも、俺以外の男もいらん。


 お前はもうこのパーティーから追放されるんだよネル!



「俺が思うに、このパーティーに相応しくないメンバーが一人いる。リーダーとして決定させてもらうが、そいつを追放--」


「ちょっといいかブレイン。実はその件でうちらもブレインに話があったんだよ」


「っ……なんだよイザベラ!この俺の話を遮りやがって!……いや、その件で話?」



 ん?そうか!イザベラもルーシーも俺と同じ考えだったんだ!ネルがこのパーティーに相応しくないと、お前らも思ってたんだな!



「……ここはリーダーとして、先にお前の話を聞くべきだな。話とはなんだ?」



 さぁ言え!ネルを追放するとお前らの口からも言ってやれぇ!!



「ルーシーとも話し合ったんだけどさ、ブレインあんた、私達のパーティーから抜けてもらいたいの」



「……は?」



「聞こえなかったのー?イザベラちゃんはー、ブレインをパーティーから追放するって言ってんのー」



「……はぁぁぁあ!?」




 なにを……何を言っているんだこの二人は……頭がおかしいのか?



「何を馬鹿げた事を言い出しているんだ!俺は勇者だぞ!俺がリーダーだ!なぜ俺が!追放されるべきはネルだろうが!!」


「はぁ?なんでネルが追放になるのよ?」


「お前だって分かるだろうがイザベラ!そいつは支援魔法と雑用くらいしか能の無い役立たずだぞ!勇者パーティーには相応しくないだろうが!」


「ブレインって本当に馬鹿なんだねー。ルーシーちゃんびっくりだよー。その支援魔法に散々助けてもらってるのは誰なのー?」



「……は?」



「私もルーシーも気が付いてないと思った訳?あんた戦闘中にいつも、ネルに私達に気が付かれないよう、強化魔法かけるように指示出しているでしょ。回復だってネルがいなかったらどうなると思うの?」


「それにー、クエストに必要な物資の調達資金もー、ネルちゃんに払ってないよねー?まーイザベラちゃんとー、このルーシーちゃんが出してあげてるけどー」



 なんなんだこの展開は……いや焦るな!俺は勇者だ!俺がいなきゃこのパーティーは成り立たないんだ!



「そんな細々とした事はどうでもいいだろう!俺達は勇者パーティー『ドラゴンブレス』だぞ!あの凶悪なブラックドラゴンのブレスを防ぎ、そして俺の一撃で討伐したからこそ最初のパーティー名を改名した!俺がいてこその『ドラゴンブレス』なんだぞ!」


「はぁ……あんたは全部自分の手柄にしなきゃ気が済まない訳?ブラックドラゴンのブレスを防いだのは、ネルが何重にも張った『バリア』の魔法のお陰。あんたの最後の一撃だって、ネルがあんたに強化魔法をかけまくった結果じゃない」


「それにー、あのブラックドラゴンちゃんはー、私たちの前に現れた時にはもう瀕死だったしー。その事は誰にも言うなってー、ブレインが口止めしたけどー」



 ……くそ!こいつらネルの肩ばかり持ちやがって……あ……くそったれが!そういう事か!



「おいお前ら……そいつと、ネルとデキてやがるんだな!俺が必死にパーティーの事を考えている間に、お前らはそのガキとイチャイチャしてたって訳だ?そんなガキが趣味とか気持ち悪ぃ奴らだな!!」


「あんたどこまで救いようのない馬鹿なの?気持ち悪いのはあんたでしょうが。私やルーシーが水浴びしてる時、いつも覗こうとしてるわよね?ネルが霧の魔法で隠してくれてるから何も言わなかったけど、気持ち悪いのはそっちでしょ!」


「それにー、いつも皆の食事に睡眠薬を入れてるよねー。ブレインは調合ミスだと思ってるみたいだけどー、ネルちゃんが事前にー、睡眠無効の魔法をかけてくれてるからー、効かないんだよねー」



「くっ……ネル貴様ぁぁああ!!」



 このクソガキが!だんまりを決め込みやがって……腹の中で俺を笑ってやがるのかクソ野郎が!!



「そんであんたさ、何を勘違いしてのか分からないけど、()()()()()()だよ」



「……は?」



「ネルちゃんはー、男の子じゃなくてー、女の子だって言ってるのー」



 馬鹿な!このクソガキが……女だと!?



「まぁもうどうでもいいわよ。私達は別に勇者パーティーなんて肩書、どうでもいいのよ。これからは私とルーシーとネルでやっていくから、あんたは今すぐどこかへ消えていいわよ」


「ブレインはー、追放だよー」



「……くっくっくっく……馬鹿どもが!この俺様を追放して後悔するなよ!俺は勇者なんだ!そうだ……お前ら如きどうでも良い!俺は聖女を仲間に入れて、今以上の名声を手に入れてやる!」



 そうだ……もうこんな奴らはどうでも良い!聖女は特別なチカラを持ち、容姿も相当良いと噂に聞く……聖女を俺の女に出来れば、誰もが羨む男に俺はなれるんだ!



「はぁぁ~、馬鹿なあんたに忠告しておいてあげる。『虹の聖女』と呼ばれる聖女様には、絶対に手を出そうなんて考えない事だよ」


「もし噂通りならー、『虹の聖女』に変なことするとー、ブレイン死んじゃうだろうねー」



「フン!テキトーな事を言って俺の邪魔をするな!そうだ!今この場から、俺とお前らはもうなんの関係もないんだからな!どこかで野垂れ死ねクソ共が!」




 まぁいい……『虹の聖女』か……そいつに俺が男を教え込んで、俺から一生離れられない奴隷にしてやる!


 この俺様……勇者ブレインの伝説はこれからだ!





 ブレインはまだ知らない。




『虹の聖女』の恐ろしさと、自分の辿る末路を……

この話の登場人物たちは、連載中の『たたかう聖女さま』にいつか登場……するかもしれません。

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