27. 猫耳少女の尻尾は何処に仕舞っているか?
「いってー、お湯が沁みるー」
「思えばワタクシ達、痛みに慣れてませんでしたわね」
「こんなにヤラれた事ないもんなあ」
温泉は異世界ゲートの中にありました。
「このゲートは何処に出るの?」
「聖国の監獄にゃ」
「ここも元は魔獣国の監獄だったにゃ」
「え?」
聖国の監獄に不思議なゲートが突如出現。
脱獄できるぜ! と思って通ったのに。
ゲートの向こうも監獄だった。
監獄と監獄が繋がるとどうなるか?
聖国と魔獣国で、囚人同士の大規模戦闘が発生。
聖国でフェニックスが参戦し、監獄はどちらも崩壊。
聖国の首都は丸焦げ。
囚人で生き残ったのは、猫耳魔法少女隊だけ。
そういう事だそうです。
聖国テロにそんな背景が。
私も犯人のひとりって事になるんでしょうか?
ゲートを作ったのも身内に違いありません。
監獄と監獄を繋ぐゲート。
中間に温泉。
「これ作ったの母さんなんだろうなあ」
「お前の母親オカシイにゃ。何を基準に行動してたんだ?」
「さあねえ。娘の私にもさっぱりだよ」
母さんが作ったものなら破壊するのもなあ?
いや、破壊は不可能な気がする。
魔獣国と聖国を繋ぐ異世界ゲートも母が作ったものでした。
帝国に居る方の母さん。
魔国にも母さんが居るので紛らわしいですね。
そういえば、テラワロスって名前を勝手に付けたんでしたっけ。
テラ母さんとバニー母さんですね。
「このゲート、せめて封印するべきかな?」
「私が鍵かけておいたにゃ」
「どういう鍵?」
「猫魔獣しか通れないにゃ」
ちょっとザルな気もしますけど。
まあ、いいですかね。
猫魔獣は希少種なので。
多分もう、この3頭しか残っていないし。
「猫耳なら魔国にも居ませんでしたか?」
「オタマジャクシが何か言ってるみたいにゃ。こわい」
ニャアが恐怖を感じるのも無理は無い。
異世界で散々不思議体験をした私もびっくりですよ。
スズメとアンは、短い手足の生えたオタマジャクシみたいな感じに。
温泉に浸かったからといって、すぐ治るワケではありません。
乙女ラブコメがまた遠のきましたね。
遥か彼方です。
スズメとアンの生命力は脅威ですね。
それとも、これがドラゴンとフェニックスの加護なんでしょうか。
昨夜、ドラゴン肉とフェニックス卵を食べましたけど。
それだけで、不老不死と不死身の加護が付くものでしょうか?
こんな状態になっても、まだ生きてますよ。
でも、このペースだと全快までどれだけかかることか。
「あ、そうだ。一旦、聖国側に出て戻って来たらどうなるかな?」
オタマジャクシを一旦聖国側に出してから引き戻してやると。
「体が新品になりましたわ」
「すげえ魔法だなあ」
「魔法かあ? コレやべえにゃあ」
魔法じゃないもっとヤバい何か?
代償が大きそうです。
「ものすごくお腹が空きましたわ」
「そうだな、手足が生えた分が足りないのかな」
その程度の代償で済めばいいですけどね。
「そういえば、猫頭達はここを通って変わってたにゃあ」
それであんな不気味な感じに?
理想の自分に変化するわけでも無いのかな?
「ニャア達は変わってないね?」
「猫魔獣であることに誇りがあるのにゃ」
「魔国の猫耳と何が違いますの?」
「さあにゃあ?」
魔国に居る猫耳は猫魔族です。
でも、アンの言う通りで、何が違うのか?
さっきのお団子屋のタヌキ魔獣もタヌキ魔族と見分けがつきません。
魔法の使い方とか、毛の生え具合の違いという説がありますけど。
「ニャア達は魔国に居た事もあるのか?」
「昔、私と一緒に魔国で遊んでたよ」
「魔獣国で同じ事したら収監されたにゃ」
「魔国では、あれはママゴトの範疇なんだけどね」
魔獣国と魔国では犯罪の基準が違うようですね。
「魔国の方が自由でいいにゃ」
「隊長が魔国に行くなら、ついて行くにゃ」
「早く行くにゃ隊長」
ニャアは随分と慕われていますね。
魔獣の服従よりも深い感情がそこにはあるような?
「もう魔法少女隊は解散なんでしょ? それでもニャアが隊長なの?」
「隊長は私達の乙女を奪ったにゃ」
「抱き枕にしただけにゃ」
「子供が出来たら責任取って下さいにゃ」
「抱き枕にしても子供は出来ないにゃ」
「隊長に、もて遊ばれたにゃー」
「開いたホッケは元に戻らないのにゃー」
なんだこれ。
明らかなのは、この子達も子供の作り方は知らないって事ですね。
「ミーナの実家で世話になってもいいかにゃ?」
「いいよ」
魔国の母さんと魔法通信しましょう。
こっちの世界で魔法通信が出来るのは、母さんだけなのです。
だから母さんも魔女だと思うんですけどね。
「子供を産んだ気がするとか言い出したから大丈夫だよ」
「なんだそれ? こっちの母もいかれてんにゃあ?」
そうだね。
私もそう思うよ。
私の血が遺伝的に逆流しているのかしら?
さすがに異世界でもソレは無いな。
「お土産を持って行くにゃ」
「だったら魔獣国のお皿がいいよ」
「パンのオマケがあるにゃ」
「じゃあ、早速行くにゃー」
「道分かるの?」
「猫魔獣の脳は高性能だからにゃー」
「じゃあにゃー」
「またにゃー」
「アスタラビスタベイビー」
ニャーニャーうるさかったなあ。
猫魔獣のスカートの下はノーパンかあ。
どうやって猫尻尾を仕舞っているのかと思ったら丸出しでしたよ。
「猫耳が魔国に入ってしまうと、 魔獣国は負けるのではなくって?」
「いや、ニャア達は戦うのはもう飽きたんだって」
「戦いって飽きるものなのか?」
「ワタクシには理解出来ませんわ」
「私にはちょっと分かるかなあ」
強くなり過ぎてしまうと、戦いがつまらないんですよね。
しかも、どれだけ強くなったとしても、暴力には天井が無いのです。
いつかは負けます。
「ゲートも封印済みだったし、お皿も届けてもらえるし」
「任務は終わったな」
「違いますわよ?」
そうでした。
私達には、恋に落ちるという大任がありました。
「魔獣国にもニンゲンの殿方は居るのでしょう?」
「魔獣と暮らしてるんだ、強いかもな」
「腕がなりますわね」
戦しか求めてない。恋に落ちるのが任務ですよ?




