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女騎士の大任 ~乙女の恋が帝国を滅亡の危機から救う~  作者: へるきち


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26. グロの子

「おまんじゅうもおいしいですけど、たい焼きが絶品ですわね」

「ああ、これなら奪い合って戦争するのも当然だ」

「いや、それで戦争してるわけじゃないよ」


 ここは峠のお団子屋さん。

 店主はタヌキ魔獣だし、おまんじゅうもたい焼きもおいしい。

 でも、ここは魔獣国ではありません。

 

 国境はもう少し先です。


「魔獣国で修行したからな」


 店主のタヌキはかつて魔獣国に居たそうです。

 なので、ここは魔国なのに魔獣国と同じおまんじゅうを味わえるわけです。

 このおっちゃんは亡命者なのか、それともスパイなのか、ただのまんじゅう魔獣なのか。


「おっちゃんは魔獣国に帰らないの?」

「ああ、あそこのニンゲンはこえぇからなぁ」


 遠くを見る眼差しでボソリと言うタヌキ。

 魔獣の国のニンゲンはそんなに修羅なんですかね?


 しかし、戦時下なのに、こんなにのんびりしてていいんですかね?


 もっとも、国境付近のこのお店ですら、戦時下とは思えないのどかさです。

 魔国は経済力が高いですからね。

 国民が節約を強制されたり、物資を徴収されたりもしていません。

 そんな事したら、クーデターが起きるでしょうし。


「そろそろ行こうか。魔獣国のどこに異世界ゲートがあるのかも分からないんだから」

「そうですわね」

「猫頭達が戻って来ないかな? そこを叩けば帝国の戦争も楽になる」

「何よりも手強い相手と戦えますわ」


 魔獣国には参戦のために行くのではありません。

 猫頭達が作ったらしい異世界ゲートの破壊が目的です。


「あら? 猫が空を飛んでますわ?」

「噂をすればってやつだね。猫頭達が戻って来たんだね」

「あれが魔法少女隊か、ホウキに跨って飛ぶなんて、まるで御伽噺だ」


 相手が空を飛んでいるなら、空中戦を繰り広げたいところですが。

 私が魔女っ子ステッキに跨っても、空は飛べません。

 空を飛ぶには、F14型ゴーレムが無いとね。

 魔法で飛ぶ飛行型ゴーレムですよ。

 アダマンタイトやオリハルコンを使って戦闘機風のルックスに仕立てました。

 私の自信作です。

 残念ながら変形はしません。


「アマテラスには乗れないのか?」

「猫だし? どうなの?」

「うにゃ?」


 さっきからずっと昼寝していたアマテラスが起きました。

 ぐいーっと伸びをしています。


「え? 乗んの? まあいいけど、振り落とされても文句言うなよー、だって」

「ホントにそんな事言いましたあ?」

「うにゃ、しか言ってねえ」


 アマテラスが団子屋から離れて、ポテポテ歩いて行き、少し上り坂になった道の頂上で立ち止まり、空を見上げています。


 今日はいい天気だから、飛んでみるのも悪くないかなー、って感じですね?


 そして。


 漆黒のドラゴンが出現しました。

 小さな猫が巨大なドラゴンに変化したのです。


 おおう、マジドラゴン。

 ドラゴン科ウナギ属とか穴子属なんかじゃない。

 神獣目ドラゴン科ドラゴン属漆黒ドラゴン。

 そんな分類があるかは、知らないけどね。


「うにゃー」

「乗っていいんですのよね?」

「そうだろうね」


 アマテラスが、2本のツノが生えた頭部を私達の前に差し出しています。

 スズメの方は、もう乗ってます。その後ろにアンが乗りました。

 にょろんっと長いウナギみたいな形状ですが、その表面は鱗とふわふわしたヒゲで覆われています。


「お、案外柔らかいね」

「いい乗り心地ですわ」

「この辺のヒゲ掴んでていいのかな?」

「うにゃあ」

「逆鱗以外なら平気だって」


 私は先頭に座って、2本のツノを操縦桿のように掴みます。


「よーし、行けー! あの猫頭達を撃墜だー!」

「猫を攻撃するなんて」

「これは一種の精神攻撃だな」

「まったくだね」


 しかし、至近距離で見ると、なんかこえーです。


 頭だけ猫で、首から下はニンゲン。

 眼球は妙に大きくて血走っているし。


「これは、猫じゃねえな?」

「もうちょっと寄れませんこと?」

「いや、剣の射程に入るよりも、魔法攻撃で落としちゃいまししょう」


 しかし、飛行速度が早いし、機動力も高いです。

 ホーミングミサイルを雪崩の如く大量に撃ったのに、ちっとも当たりません。

 さっき森の中で拾ったどんぐりをミサイルにして撃ちましたよ。

 どんぐりは魔力の含有力が高くて便利なのです。


「あんな避け方して目が回らないのかな?」

「回ってるみたいですわよ?」


 狙い通りではありませんが、期待通りの結果です。

 猫頭の魔法少女隊はフラフラーっとなって、20頭全部墜落しました。


「地上戦なら、女騎士のフィールドですわ!」


 スズメとアンは4メートルくらいの高さから地上に飛び降りました。

 スズメは、ストンっと華麗に着地しました。

 アンは、幼女体型でバランスが悪いのか、ゴロゴロと転がってますね。

 でも、ボウリングの如く、魔獣3体に突っ込んで行き、3頭まとめて斬り裂きました。

 

 私はこのまま上空を制圧したまま支援しましょうか。


 魔獣は魔法を使って遠距離攻撃を繰り出しつつ物理攻撃もしかけて来ます。

 魔力だけじゃなく、身体能力も高いのです。 


 魔獣達がスズメとアンのどっちに集中するべきか、逡巡している隙に2頭が斬られました。


 残りの15体とは混戦です。

 魔獣も女騎士と同じで連携は訓練していないようですね。

 こうなると数の少ない女騎士の方がむしろ有利でしょうか。


 女騎士にとっては、回り全員敵、なんなら味方を斬っても何とも思いません。

 一方、魔獣の方はフレンドリファイアを警戒して動きが鈍い。

 にもかかわらず、味方を次々と電撃や爆裂で吹き飛ばしちゃってます。

 女騎士も、体のあちこちが吹き飛んでますが。

 

 魔獣のうち3頭が、群れから離れました。


 女騎士が消耗しきったところを叩くつもりでしょうか。

 3頭の真ん中に居るのがボスのニャアですね。

 両脇に居るのが、アジとホッケ。

 この3頭だけは、猫頭ではなく猫耳です。

 猫魔獣部分は、猫耳と猫尻尾だけ。


「おーい、ニャア。もうやめたらー?」

「ああ、うん。そうしたいんだけどにゃー」

「こいつらはもう、湯切りの始まったカップ焼きそばにゃー」

「もう止まらないにゃー」


 私はアマテラスから降りて、3頭の元へ。

 私個人は、この3頭とは敵同士ではありません。

 魔国では一緒に暴れた仲です。


 猫耳達が言う通り、この戦闘はどちらかが、あるいはどちらもが死ぬまで終わりそうにありません。

 止めるのは無理でしょうね。


「ミーナこそ、あいつらに加勢しなくていいにゃ?」


 さすがの女騎士も無傷ではありません。

 猫魔獣は強敵でした。

 スズメは左腕がありません。

 アンは、尻尾が生えてますか? って感じで腸がブランブランしてます。


 強い敵と戦えて満足そうですね。


「うちの子達は不老不死だからねー」

「そうなのか。うちのはアジとホッケ以外は、死んだらそれっきり」

「魔法少女隊はもう解散だにゃー」

「聖国でも魔国でも監獄行きだからにゃー」

「何処行くかにゃー」


 聖国に帰ってまた何かやらかした様ですね?

 この感じなら帝国は安泰でしょう。

 私と女騎士は3日の期限を気にする必要は無さそうです。


「魔国に住めば?」

「そうだにゃー、ごはんもお酒もうまいからにゃー」


 その前に、スズメとアンの治療ですね。

 魔獣は17頭全て倒しましたけど。

 ふたりの女騎士も、まるでダルマみたいになってます。

 もしくはツチノコですかねー。

 あーあ、恋する乙女からは程遠いなあ。

 はみ出した腸が尻尾みたい。


「グロノコと名付けましょう! 」

「勝手に名前つけてんじゃねえ。すげえ痛いんだぞ」

「ぐふぅ、乙女の大任を果たすまで死ぬワケには参りませんが」

「この痛みでも死ねないってツライなあ」

「「クッコロ!」」


 そこは、いっそ殺せー、なのでは?


 フェニックスの加護があるので治癒能力は高いはずですが。

 じわじわとしか治らないんですねぇ。

 そのうち、お腹も空くでしょうし、地獄の苦しみだろうなあ。


「私の治癒魔法は猫魔獣しか治せないからにゃあ」

「温泉につれて行くにゃ」


 温泉?


「そうだにゃー。すぐ近くだにゃ」


 スズメとアンを担いで、温泉に向かいますよ。

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