表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女騎士の大任 ~乙女の恋が帝国を滅亡の危機から救う~  作者: へるきち


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/32

24. 王女ガチャ

「影武者王子担当の近衛騎士隊は失業したのかな?」


 お姉さんは探偵の仕事を片付けると言って帰りました。

 勅命乙女トリオだけでお風呂に浸かりながらガールズトークです。

 ガーリー要素皆無、狩ーりー、ですね。


「近衛騎士は、王室ガチャに外れると悲惨だからなぁ」

「ワタクシ達の隊は、王女ガチャ大当たりでしたわね」

「アタリかなあ? もうクビになってるから関係ないけど」

「まさか、主君を討ち取られたら切腹とか?」

「主君が本物の場合ならそうでしょうね」

「女騎士は希少だからな。影武者をやられても罰は無いよ」


 主君の方が替えが効く。

 そして王女ガチャなる単語。


 異世界転生してから19年経ちますが。

 いや、もっとだっけ?


 この世界というか、帝国の常識が分かりません。


「王家の秘宝の剣とか、代々伝わる銘刀とか無いのか?」

「うーん、うちは歴史の浅い王家だからねえ」

「この刀は生きてるだろ? うるさいんだよあ」

「剣は生きているものです」

「それは気持ちの問題だろ? これはホントに生きてるんだぞ」


 スズメの方はヴァンパイアですからね。

 深夜になると、血を吸わせろーっとうるさいのです。

 王宮の宝物庫で、他の刀を探してみましょうか?


「本ばっかりですわね」

「これはこれで嬉しいけどな?」

「武器防具は無いねえ」

 

 魔国王宮の宝物庫に来てみましたが、武器防具の類がありません。

 魔王である弟は物理攻撃に依存しないし。

 王妃である妹は戦場に出ないし。

 太后である母は、ワケ分からんしなあ。


「伝説の剣とか探しに行っちゃう?」

「そんなのあるのか?」

「お婿さんを探すのが任務だったのでは?」


 将を射んと欲すれば、いきなり将を斬る、そんな女騎士には分からないのでしょうけど。

 そういうイベントの中でこそ、ラブコメは展開するものなのです。

 肝心の相手すら見つかってませんけどね。

 伝説の剣を探す旅、ありだと思います。


「それも母に聞こう。子育ての事も聞きたい」

「どんなやつなんだ? こっちのお前の母親」

「魔女には違いないね」


 宝物庫は諦めて、母の部屋へ行きましょう。


「母さん、本を保管するなら書斎にしてよ。畳が抜けちゃう」

「あらー、ミーナちゃん。何年ぶりかしらあ」

「一昨日も会ったでしょ?」


 会ってなかったっけ?

 何年も離れてないと思うよ。

 魔国のご飯はオイシイから頻繁に来てるもの。


 母さんの部屋は、子ども部屋おばさんのソレだ。

 子供も居るのになあ。

 完全にヲタクの部屋です。

 薄い本やフィギュアが山積み。

 分厚い設定資料集にしか見えない聖書や、ラノベにしか見えない神話も沢山あります。


 こっちの母の方が、私の血族って感じがします。

 血は繋がってないけどね。


「母さんって、どうやって子供作ったの?」

「えーっと? お見合いね?」

「お見合いだけじゃ、子供は出来ないでしょ」

「夫も魔法使いだったからー」

「夫はちゃんと居たんだ」

「魔法使い同士一緒に寝ると、ワシが掴んで持って来るのよ」

「赤ちゃんを?」

「そう聞いたわよ」


 コウノトリじゃないんだ。

 ワシ?

 フェニックスとかじゃなくて?


「にゃーん」

「ありゃ、アマテラス?」


 うちのドラゴンやフェニックスは帝国の母さんと王女に預けて来たのですが。

 いつの間に!?


「最初からずっと居たぞ、そいつ」

「うそん」


 魔女の私の前で完全に気配を断つなんて。


「あらあ、この子ー」

「え? 何? この子が何なの母さん」

「可愛い猫ねー」

「そうだね」


 母さんはいつもこんな感じだ。

 魔女なのは確かだと思うんだけど、得体が知れない。


「伝説の剣とか知らない?」

「そうねー」


 母さんは、アンの着付けを直してやっている。

 子育てをしたのは確かなんだよなあ。

 私は、3歳の頃から魔国では母さんに育てられた。

 当時はまだ魔国じゃなかったけどね。


「あらあら、こんな娘も私産んだ気がするわー」


 とか言って、私を娘にしてしまった。

 そんな事ある?


「あ、姉ちゃん来てたんだ。たまには王室にも顔出してよ」

「私には役職ないでしょ」

「いつでも宰相くらい任命してあげるけど」

「王室はあんたに任せるわよ、ディー」


 妹のディストーションだ。

 ディーと呼んでいる。

 母さんは、チューブスクリーマーだ。

 ミドルネームのバニーで呼ばれている。

 

 何その名前? キラキラネーム?

 と思う事なかれ。

 魔国ではこれがスタンダードなのだ。

 私はボッスンだしね。


「ねえ、そっちの子達は? 母さんまた産んじゃったかしらぁ?」

「そんなワケないでしょ。姉ちゃんの彼女だよ」

「どういう認識なんよ? 同僚だよ」

「俺は、ミーナの家臣だ」

「ワタクシもですわ。名前は、名前は? どうしましょうか?」

「無理に付けなくても、元のままでいいよ」


 スズメとアンは、そのままの名前でいいね。


「スズメ・ヤキトリだ」

「アン・オモッチですわ」


 帝国の名前は家名の方にキラキラが潜んでいる。キラキラ?

 これがスタンダードだからね。


「伝説の剣は?」

「んー、何かあった気がするー」

「あれじゃないの? 父さんを三毛猫にしちゃった剣」

「そんなものがあったわねえ」

「なにそれ? 剣よりも三毛猫になった父さんが気になる」


 父さん?

 私が養子になった時は既に、この母娘は母子家庭だった。

 三毛猫も知らない。


「父さんは、魔獣国の魔王だよ」

「あんたら父親と戦ってんの!?」

「うちのヤツにとっては面識すら無い義父だしね」

「母さんも、もう忘れちゃったから」

「アタシもよく覚えてないしね」


 生物学的には父親は不要だと言う。

 猫なんかもそうでしょ? 母猫だけで子育てしてるもん。

 ペンギンくらいじゃないの? 夫婦で子育てするの。知らんけど。


「じゃあ幻の父はどうでもいいか。その魔剣もなあ」

「敵を三毛猫にしてどうすんだ?」

「オスの三毛猫は希少ですけどね?」


 母と会った収穫は、着付けをしてもらって、髪を結ってもらっただけ。

 いや、十分かな。


「腹減ったぞ。メシ食いに行こうぜ」


 スズメは大人しそうな妹キャラになったのに、乱暴な口調はそのままなんだね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ