表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女騎士の大任 ~乙女の恋が帝国を滅亡の危機から救う~  作者: へるきち


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/32

18. あなた太刀が曲がってましてよ

「よくやったっす。魔導士達は始末しようと思ってたでやんす。ちゃんと火を消しれくれたら、もっと良かったすが」


 いつだったか話をした、王宮の離れの茶室みたいな部屋です。

 王女プリンは、全裸で正座しています。

 クセになっちゃったんですかね。


 ちなみに、火は王立消防団のみなさんが消してくれました。

 木造家屋ばかりなので、燃えたらさっさと周囲を破壊するのが正解だったのです。

 次からは、そうしよう。


「こいつの態度は王女らしくねえなあ。けつの紋様消してやったら?」

「うーん、可愛いし、こいつが私達に逆らうと面倒だから、奴隷のままでいいんじゃない?」

「まあ、それもそうか。俺もさすがに王殺しは抵抗あるからなあ」

「そりゃ、騎士なんすから。主君を殺しちゃダメでやんしょ」


 言われてみれば、全く持ってその通り。

 勝手に行動する騎士なんて、おかしすぎますよ。


「えー、もうクビにしたんだろ? 今の俺の主君はミーナだ」

「そういう認識だったんすか? カップル成立も近いでやんす??」


 そういう見方もありますね?

 でも、今日相談したいのは、そういう事じゃありません。


「分かります。あっしも、そこまでアホじゃあないんです。それにね」


 また、何か面倒な任務を増やしそうな予感。


「魔女の子も必要っす。ミーナの旦那も子供を産んで下さい」

「えー」

「王立魔導士を滅ぼした罪は、それでチャラでやんす」


 魔導士寄宿舎からの延焼を防ぐために破壊した建物。

 それは、魔導士学校でした。

 もうこの国の魔導士は完全に絶滅しました。


「お金がもったいないんで、学校の再建はしやせん。その分を路銀に持たせやんす」

「お金なら、ちっとも困ってないけどね」

「そうでやんしたね。おふたりで旅に出て、恋に落ちて来て下さい」


 難易度が上がったのか、下がったのか。


「なるほど。どっちが男をものにするのか、勝負だな?」

「勝負ではないと思うー」

「分かったら、さっさと行くっす。魔導士派閥の貴族も全員殺すでやんすか?」

「貴族を敵に回してしまったかー」

「だから、揉める前に早く行くっす」


 王都にいると、魔導士派閥の貴族達に闇討ちされるかもねって事です。


「どうですかね? 女騎士にスズメの討伐依頼なんて来てませんか?」


 近衛騎士隊の隊長アンに相談しに来ましたよ。

 どんな刺客だろうが、私とスズメなら一撃で返り討ちですが、女騎士だけは違います。

 先手を打っておきましょう。


「あなた達何をなさったの? 影武者王女の護衛についてる隊が探してますよ」

「ありゃ? 影武者王女はクーデターを図ってますね?」

「そういう事になるのかしら?」


 影武者王女はアホですね?

 絶滅危惧種の女騎士をふたつに割って争わせるなんて、帝国滅亡を早めるだけです。

 弱体下した国の覇権なんて無価値でしょ。


「女騎士には司法執行権があります。影武者王女を粛清しましょう」

「私達も終身名誉王女なので、その権利と責任があります。お付き合いしましょう」


 責任もそうですけど、降りかかる火の粉は振り払わないとね。

 ラブコメから遠くなっていきますねえ。


「いや、影武者王女は王子らしいぞ?」

「おや? 恋に落とすチャンスですかね?」


 ピンチはチャンス。

 影武者王子をトゥンクさせましょう。

 場合によっては、婿にしてやりましょうか。


 あれ? それじゃあ私がテロリスト?


 まあ、なんでもいいや。アン隊長と一緒に影武者退治です。


「護衛が多過ぎますわね」

「うじゃうじゃとまあ、ワシがターゲットじゃと言わんばかり」


 やはりアホですねー。

 護衛も連れず全裸でうろついてる本物もどうかと思いますけど。

 アレを王女だとは誰も思わないので、狙われる事もないですね?


「女騎士を殺すのはマズいなあ」

「ただでさえ減ってますものね。女同士で恋愛ごっこしているから」


 アレ? 女騎士減少の理由ってソレなの?


「あのー、女騎士ってどうやって増えるんですか?」

「今聞きますか? 敵が目の前なのに」

「あ、はい。そうですね。じゃあ後で詳しく」


 女騎士は輪廻転生するのだって誰に聞いたんだっけ?

 思えば私、この世界の教育機関にも通ってないし、友達も居ないから、この世界の事情に疎いですよ。

 

 まずは目の前の敵を倒すこと。

 話はそれからですね。


「ミーナさんは、魔女なんですのよね?」

「はい、よくご存知で」

「有名ですのよ? 知らないのは本人だけなのかしら」


 どんだけ世間知らずなんですかね、私は。


「魔女なら、あの護衛を出し抜ける魔法を使えませんこと?」

「う、うーん」


 相手は女騎士の群れですよ?

 ほら、もうこっちに気付いちゃった。


「アン隊長!」

「あ、やべえ。逃げますわよ」


 やべえ、って言った?

 公爵家子女のアン隊長が焦ってませんか?


「お姉様! お待ちになって!」

「今日こそ、わたしくと交わっていただきますわよ!」


 確かに、やべえ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ