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女騎士の大任 ~乙女の恋が帝国を滅亡の危機から救う~  作者: へるきち


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14. 異世界留学

 王立魔導士は魔法を使えない。


 最近知った驚愕の事実。

 ポンコツ奴隷王女に聞きました。


 僕が目立っちゃうはずですよ。

 魔法が使えるだけで、魔女認定されちゃうはずですよ。

 異端児どころじゃない、完全に異物。


 貴族の家に産まれた男の子は、王立魔導士学校に無条件で入学出来ます。

 そこで、腐ったミカンを培養しているのです。

 腐ったミカンは能力一切関係なく、王立魔導士に就職します。


 なんだそれ。


 そんなポンコツの骨頂が、女騎士とツガイになっちゃ駄目でしょ。

 

 これは壮大な陰謀なのでは?

 

 1万年以上前に仕組まれた、帝国を弱体化させる敵国の工作なのでは?


 やっぱり、帝国の滅亡は確定です。


 なんとかしなければ。


 でも、どうすれば?


「なあ、男になれる魔法は無いのか?」

「そんなものはない。ないけどー」


 男になれるかも知れない方法なら知っています。

 

 まずは実家に帰りましょうか。

 ユニコーンは母さんが乗って行ってしまったので、ペガサスとジャガーに乗って。


「ペガサスなら飛べる。速いぞ。俺の後ろに乗れよ」


 今のスズメは、ちょっとカッコ良かったですね。

 トゥンクしました。

 振り落とされ死ぬかもな、っていう生命の危機を感じるトゥンクです。

 

「でも、ジャガーを置いて行けないよ」

「猫なんだから、勝手に帰って来るだろ」

「いや、実家の場所教えてないし」


 それでも、ジャガーなら?

 いやいや、神獣を迷子にしちゃったら、それこそ国家の危機。

 何が起こるかも分かりません。

 聖宮で預かってもらいましょうか。


「うわー! こえー! これ落ちたら死ぬでしょ」

「騒ぐな、魔女だろ。あっ、ばか。そんなとこ掴むな」


 ラッキースケベです。

 ペガサスにタンデムしたら、やっておかないとね。

 ラブコメの定番ですから。

 何処を掴んじゃったのか分からないくらいに、本気でコワイんですけど。

 トゥンクには違いないけどね。ドキドキですよ。恐怖で。


「股間がヒュンヒュンするー!」

「ヒュンヒュンするもの付いてないだろ」


 ヒュンヒュンするものとは?

 それを求めて旅をする私達です。


「おい、ちゃんと目的地に着いたぞ? どういうことだ?」

「僕だって魔導士のはしくれだよ?」


 道案内なんて、魔法も使えない王立魔導士達でも出来るのです。

 僕にだって出来ます。

 地図で確認した方向に一直線に、空を飛んだだけですけどね。

 フェニックスの知能が高くて良かった。


「ただいまー!」

「と言っても、お前の母は居ないな?」


 また、何処かに行っちゃったな?

 大金持ってるし、襲われそうだ。

 

 魔女だから、平気かな。


 それよりも、あれを探さないと。


「何を探しているんだ?」

「異世界留学のパンフレット」

「何だソレ?」


 僕は、異世界留学で魔法を学びました。

 そのパンフレットを探しています。


「あったぞ」

「それで異世界へ行けるのか?」

「いや、これは魔導書でもないし、魔道具でもない」


 これに載ってる地図を見て、異世界へのゲートへ行くのです。


 地図を見ても迷うので、時間はかかったけど。


「なあ、ここには何度も来てるんだろ? なんで迷うんだ?」

「うるさいな。お前だって、似たようなもんだろ」


 お互い様なのに、罵り合う。

 ラブコメの王道展開だよね?

 だから、剣を抜かないで。


「こーんにーちわー!」

「うるせえ。ミーナか? 何年ぶりだ?」


 ここは、駅前の探偵事務所です。

 どういうわけか、ここに異世界へ通じるゲートがあります。

 信じているのは僕だけなので、他には誰も使いません。

 ここの所長も使いません。


「異世界留学ってやつか? お前だけだぞ、トンチキゲートを未だに信じてる奴」

「相変わらず、客は無し?」

「いや、副業の探偵が繁盛してる。お貴族様達は、不倫が大好きだからな」


 僕達は恋愛も出来ずに、こんなに苦労しているというのに。

 貴族はそんな事を!


 ここの所長は、母さんの知り合い。

 母さんが発見した異世界ゲートを使って旅行代理店をやろうとして失敗しました。

 今は、異世界ゲートを保守するかたわら、ここで探偵事務所をやっています。


「はい、これ。繁盛してるなら、もう不要かな?」


 僕は、いつも通り、事務所のおっちゃんにお金を渡します。

 節約すれば、ひと月暮らせるくらいの金額だよ。


「それはそれだ。ちゃんと保守料金を契約通り寄越せ」


 ここを土地ごと買うお金もあるんだけどね。

 異世界ゲートが無くなると困っちゃうからね。

 このおっちゃんは、僕の初恋の相手かも知れないので、ここで飼っておくよ。

 幼い頃の僕に、魔女っ子ステッキを買ってくれただけなんだけど。

 あの頃の僕は、チョロかったな。


「さあ、行くぞ」

「おう!」


 僕と女騎士ちゃんは、異世界ゲートを潜りました。

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