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2話 ドールを作ってみた

 あれ?

 これは夢の中か?

 特に行く当てもなかった俺は、その辺に落ちていた布をかき集めて毛布のように包まって寝ていた。

 集める際、兵士の人に何度も職質されたが身寄りがない、仕事ないからくれって泣き叫んでいたらいつの間にか声を掛けられなくなっていた。

 おかげで、今こうして公園で寝ることができている、人としてなんか大事なものをなくした気がするけど。


「 お待たせしました、クロト様 」


 後ろからデフォルメされた羊の被り物をした男に声を掛けられた。

 ちなみに首から下はスーツでさらに違和感が増していた。


「 待たされたのかはわからないけどその恰好について聞いても? 」


「 おっと、これは失礼

  私のことは見た目通り ヒツジ とお呼びください」


 そう聞くと羊頭は微笑しながら答えた。


「 わかった、じゃあヒツジさんが俺をこの世界に転移させてくれたんですか?」


「 それは一部は当たって一部は違いますね」


 ヒツジはそう答えると指を鳴らしプロジェクターのようなものを出した。


「 今から映像と共にご説明しましょう、なぜあなた様が転移したのか?

  可能な限りお答えしましょう」


 あれから俺はヒツジに説明されて聞いていたが、途中から頭が追い付かなかった。

 何故なら、俺が転移する事になったのは完全にこいつの暇つぶしで、転移する者は誰でも良かったとのこと、そして現在の俺の能力では作ることはできても材料がない為、ハッキリ言って凡人と一緒のようだ。

 

「 これで説明は以上でございます、なにかご不明な点はございますか? 」


「 取り合えず今からお前を解体してドールの材料にするわ」


 そう考えると、両手に鋸が現れた。

 道具をイメージすると本当に出てくるんだな、これはこれで便利だな。


「 おやおや、私を材料にしてもそこから生まれるのはただの魂無き人形、それにこの体は仮の器なのでバラされた程度では何の影響もございません」


 ヒツジはまた微笑しながらそう答えた。

 こいつ、自分が今からバラされるかもしれないというのに何で笑っているんだ?

 まぁ本当にするつもりはないけど。


「 流石に私としましても、このままでは可哀そうですので記念すべき1体目の材料は私でご用意しましょう、ささやかながらのサービスでございます 」


 ヒツジはそういうと、また指を鳴らした。

 すると、作業スペースが目の前に現れた。


「 今この場でクロト様が作られると思い、準備させていただきました。

  完成しましたら夢の世界よりお返ししますのでご安心を、時間もこの空間以外は止まっていますのでそちらもご安心を」


 なるほど、確かに空腹は感じられないし寒さも感じない。

 ここで作っている間に本体が空腹で餓死といった事はないようだな。

 よし、元の世界で所持していた子をイメージして作ってみるか。

 それからどれだけの時間が経っただろうか

 材料は魔力を帯びた土に、ドールアイはヒツジに言ってカーネリアンっぽい石を用意してもらい、それを加工した、髪の色はアンティークブロンズで服装は取り合えず黒を基調としたゴスロリドレスにした。


「 こんな感じでいいか、あとはどうすればいいんだ?」


「 性格や名前をお決めになればよろしいかと 」


 そうヒツジに聞いたら、きょとんとした顔で答えた。

 なるほど、そういえば前の世界で所持していたドールには名前は決めていなかったな...

 恥ずかしさからか、好きなはずなのに名前を決めていなかったとは。

 せめてこの子には名前を付けてあげよう。

 しかしなんて付けようか...


「 お決めになられましたかな? 」


 途中からヒツジは紅茶を飲み始めていたが、それを飲み終えたのだろう。

 俺にまだかと催促してきた。


「 ああ、かなり待たせたな

  この子の名前は カネリア だ、性格は一途な感じで」


 そういうとヒツジは目を閉じて手を自身の胸にあてお辞儀をした。


「 ではそのように、これより舞台の幕開けにございます」


 こうして俺は1人目のドールを作り終え、ようやく異世界に戻れそうだ。

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