俺もしかしてハコッた?
「くっ」
迫る鉄の顔に目を閉じていた俺は、すぐに来るであろう致死量の衝撃と浮遊感がないことに気づき、瞳をうっすらと空けた。そこには、、、草原が広がっていた。
「は?え?何?」
おいおい。ちょっと待ってくれ。記憶を遡る時間をくれ。たしか飯を買いに外に出て、うん。子供が遊んでて、うん。一人が道路に飛び出して、うん。俺が助けに入ることで子供は救われ、俺が轢かれたと、うん。うん!?
俺轢かれたよな?
轢かれたってことは轢かれたよな。うん。
なんで草原にいるの?そんなに吹っ飛ばされたの?よく漫画とかである建物砕きながら吹っ飛ぶやつで草原まで来ちゃった?
そういえば、と体を見渡しても怪我一つない。おかしい。
トラックに轢かれて無傷なわけがない。
困惑していた俺だったが、一つの回答に辿り着く。
「ここが天国かぁ」
そう。俺は死んだのだ。死んであの世の黄泉の天の国に来たのだ。
しっかし天国って草原なのか。何もねえな?なんかもっと羽が生えた美少女とか、ラッパを吹いている美少女とか、白い妖艶な服を着た西洋顔の美女とかが居て死んだ人を管理してるとかそんなイメージがあったが、だーーれもいない。あれか。迎えには行かないから自分で来い的な?それか死役所的なところまで行って手続きしないといけないとか?不親切なところだなぁ。
まぁでもここで愚痴を言っていても仕方がないので、とりあえず移動することにするか。どっちに歩けばいいんだろう?歩くの面倒くさいなぁ。チャリとかないかな?てかそもそも迎えのタクシーくらい用意しろや神。こちとら人生全うしたんだぞ。
そんなくだらないことを考えながら一歩目を踏み出そうとした瞬間に遠くから、乾いた「パカラッ」という音が連続して聞こえてきた。この音はお馬さん?
なーんだ。やっぱり迎えの馬車とか何やらあるんじゃないの?俺のこと探しちゃってるんじゃないの?ここにいますよーーー。
迎えさせるために音の下へ歩いていくが、なんか遠ざかってる気がする、、、
え?逃げられてる?え?早いねお馬さん!?
このままだと気付かれず置いていかれると思ったので「おーい」と声を出しながら必死に音の鳴る方へ走る。走る。はし、、、ぜぇぜぇ、はぁはぁ。
大学生になってから一切運動してねえんだよこちとら。お馬さんは毎日走ってるからいいよなぁ!?俺も自分のお馬さんは毎日走らせてるんだけど、歩かずに完結するので天と地の差。月とスッポン。いや、そこは亀とウサギだろ。と職業:大学生にありがちなくっそおもんないボケをしたところで体力が限界を迎え、地面へ倒れ込む。
まじで酷くね?こんな扱いある?我、子供助けて代わりに死んだんだけど?善行だよね?ポイントで言うとかなり貯まったよね?なんで?前世で人殺したんか、俺。
はぁぁぁぁぁぁ。ウダウダ言ったところで仕方ないよなぁ。もうお馬さんの音完全に聞こえなくなったし。追いつくのは無理にしても、方向だけでも忘れないうちに歩くかぁと息を整え、再び前進する。
そしてしばらく歩くと、そこには整備された地面の道が伸びていた。そこには先ほど通ったと思われる車輪の跡があった。
へぇ、さっきのはもしかして馬車か。天国って車ないのか?そもそもアスファルトじゃなくて土の道路だし。おいおい文明レベル低いとかやめてくれ。まさか、スマホ。スマホはあるのか。スマホが無かったら詰む。俺の生きがいの○マ娘が。ウ○娘で俺のお馬さんをウマウマさせてくれええええ。
歩きながら絶望に打ちひしがれる地面と見つめ合いながら街道を歩く俺。側から見たら仕事終わりのサラリーマンか。いや、待てよ。スマホは。スマホだけは絶対用意させる。神よ、俺を舐めるなよ。そう決意し、顔を上げた俺は驚きの光景を目にする。遠くに街があったのだ。その周りを円状に囲むように建つ壁。これは城塞都市というやつではないか。なんともファンタジー。天国ってこういうコンセプトなの?でも、天国だよね?なんで壁で守ってんの?
なんか想像とチガウ。もっとこう幻想的でワンダラスでマジカルでファンタスティックなものを想像していたのに。
調子狂うなぁ、と思いながらも人に会って色々聞くことにしようと思い、向かうことにした。
そこで待ち受けるのは、、、