表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トラップマスターのゲーム記録〜バグ処理のために転生します〜  作者: 鳶崎斗磨
第一章 旅立つ最強のプレイヤー
8/56

第8話 理由ありのデュラハン

 とりあえず、ステータスの確認を……。



 ______________________________

 ______________________________



〘デュラハン ♀〙 【種族】:魔物・不死族(アンデッド)


Lv :52


HP :5320/5320


MP :980/980


筋力 :720

 

耐久 :480


魔力 :82


敏捷 :6720


幸運 :35


【状態異常】


普通


【スキル】


「疾走Lv82」「馬術Lv86」「矛術Lv24」「危機感知Lv10」「回復魔法Lv70」「黒魔法Lv6」


【特殊】


なし


【称号】


「不死族の長」「回避王」


 ______________________________

 ______________________________



 敏捷6720、俺をはるかに上回ってんじゃねぇか。俺がいくら罠を仕掛けても、直接攻撃を挑んでも、なんなく避けてきた魔物、デュラハン。でも、俺の知ってるデュラハンは雄だけで、まして敏捷が6000越えのやつなんて見たことすらない。それに、人語を話すやつも。


「なにゆえ戸惑っておるのか存ぜぬが……まあよかろう。我が名はデュラハン、不死族を束ねし暗黒の騎士なり。人間よ、我の前で存分に畏怖するがいい」


 そんなたいそうに言われても。見るからに扱いにくいやつである。こんなやつを従魔にしなきゃいけないのか?


「……なあ、フィーさん。俺はこいつを従魔にしたくないのだが」


【構いませんよ。となれば、召喚されたそこのデュラハンは元の場所へ送還され、恐らくヒビキ様と再び会う機会は今後一切無いに等しいでしょう】


「なぬっ!? わ、我はまた一人ぼっちに!? 我を置いていくとは何事か、人間よ! 」


「そんな態度だからだ。自覚してないのか? 」


「我はいつもこうだからな。……まさか、貴様の言う我の態度が、我を不死族(仲間たち)から遠ざけておった、と……? 」


「知るかよ」


 さっきまで威勢のよかったデュラハンは、突如として迷える子羊に。あと、こいつはずっと一人ぼっちだったんだな。


 俺が慈しみの目でデュラハンを見ていると、今しがた従魔にした白兎が「キュキュ! 」と鳴いて注目を集める。


「どうした? 」


「キュキュ。キュキュキュ。キュキュ、キュキュ! 」

「……すまん、何を言ってるのか全く分からん。フィーさん、翻訳を頼む」

【頼まれました】


 やっぱり二体目の従魔よりも翻訳能力が欲しい。後でフィーさんに泣き寝入りしてみよう。


【「この草原には魔物の猛者が沢山います。彼女がいればこの上なく心強いです。主様、どうか良いご決断を! 」】

「猛者、か」



 どの程度の魔物を猛者と呼ぶのだろう。それでも俺に劣るやつらだと思うが、いちいち相手にしてるほど俺は優しくない。


「何をぶつぶつと言っておる」


 どうやら女神の声は俺にしか聞こえないらしい。他人に聞かれることがなく、そこそこに安心できる。


 結局、この件──デュラハンを従魔にするか否か。まあ、デュラハンに雑魚処理を頼むのも悪くない。


「よし、決めた」

「我を従魔にしてくれるのか!? そうかそうか、貴様は利口でよろしい──」


「『ステージボス(草原の主)』を狩ってこい。そしたら俺の従魔にしてやる」


 俺の記憶が正しければ、この草原は『ローステル草原』という一つのステージだ。草原ステージはこれしかないからすぐに見当がつく。


 ここのステージボスを討伐できるほどの力があると分かって初めて、俺は心強いと思える。前に俺も討伐したことがあるが、あいつは本当に厄介な魔物だった。


 ハードルが高すぎな感じもする。


「貴様……我を愚弄するのか? 」


 デュラハンは顔を沈ませ、身体全体を小刻みに震わせ始める。


 流石に酷な条件だ……怒り狂ってもおかしくはない。やつも中々に強敵で、分が悪いのはどちらかというと、俺の方である。


「言い過ぎた。別の条件を──」

「草原の主なぞ、我の絶大な力にひれ伏すがいいわ!」


 そう言い残し、デュラハンはどこか遠くへと駆け出していった。

 一体やつの身に何が起きたのだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ