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トラップマスターのゲーム記録〜バグ処理のために転生します〜  作者: 鳶崎斗磨
第一章 旅立つ最強のプレイヤー
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第6話 初めての『契約』

【お勤めご苦労様です、ヒビキ様。私からの()()()プレゼントはいかがでしたでしょうか】


「もしやお前が…………フィー、何のつもりだ」


【ふふふ……呼び捨ては許しませんよ】


 こいつは絶対笑ってない。


 しかし……やっぱりフィーさん(こいつ)のせいだったのか。ステータスに「幸運」ってのを付け足したのも……多分このせいで俺は羞恥に晒されたわけなのだが。



「覚えてろよ」


【ありきたりな捨て台詞……そうですね、そうさせて頂きましょうか。後で後悔しますよ? 】


「しねぇな」


 いつも普通にゲームをプレイしていた時はログインして早々魔物に遭遇したことなんて一度たりともなかった。第一、ここは俺にとってのリアルそのものであり、せっかく転生したというのにいきなり死ねだなんて、物騒にも程がある。【死んだら二度と生き返れない】の言ったのはフィーさん、あんたじゃねぇか。


【でも、準備運動くらいにはなられたでしょう? 】

「ふざけんな! あん時、マジで死ぬかと思ったわ! 」


 白兎に顔面殴られるし、その連れに追われるし。最初っから不運でしかないぞ。


【まあまあ、冗談ですよ。たしかにヒビキ様なら余裕だと考えてラビット達と遭遇させたのは間違いないのですが、理由はそれだけではありません】


【今まさにヒビキ様が、その〘ナックル・ラビット〙を仲間……というより下僕にしたいと考えておられる件につきまして、私の思惑通りに進み、安心しました】


 思惑通り? あと下僕ってなんだ、下僕って。そこまで卑劣になった覚えはねぇよ。


【その〘ナックル・ラビット〙の詳細は、もう既に確認済みでしょうが、一応のこと説明させて頂きます。その者は、ラビット族の王の一人息子である「ラビット王子」で、ラビット族の中でも軍団率いる兵士長でもあります】


「そうか? ラビット族自体は最弱な種族じゃないはず……けど、兵士長がこんなだ。弱すぎるぞ」


【高貴でしたら兵士長に成り上がることくらい簡単なのですよ】


 なるほどな。いわゆるコネってやつだ。


【普通の方でしたら100匹はくだらないラビット軍団相手に戦ったとしても、退散もしくは命を落とすかの二択しかありませんが、ヒビキ様の場合、問題ありませんでしたね】


「褒めてるつもりだろうが、嬉しくねぇ」


 それに俺が異常であるような言い回しはやめてもらおう。


【さて、本題に移りましょうか。結論、ヒビキ様はその〘ナックル・ラビット〙を下僕だったり仲間にできますよ】


「……どうやればいい」


【まずはその〘ナックル・ラビット〙と心を開かなければ先に進めません】


 心を開く、と言っても俺は散々ラビット軍団を蹴散らしたからな。楽に出来そうもない。


「なあ白兎。お前、最初っから俺を殺そうとしてたよな。手を出してきたのもそっちのはず」


「キュ!? キュキュ……」


 白兎は一瞬顔を強ばらせたが、その後はシュンと大人しくなり首を縦に振る。


「俺は返り討ちにしただけ。お前が今の状況をろくに把握もせず俺に歯向かうというのなら、命は保証しない」


「キュキュ、キュキュキュ? 」


 白兎は意外によい判断力がある。そして俺の圧力に負けはしたが、こちらに何か条件を提案しているかのような仕草をとっている。こういう態度は嫌いじゃない。


【「もう悪さはしないし仲間にもなるから、私以外の心良いラビット族には手を出さないで欲しい」、と】


「フィーさん、翻訳できるんだな」


【もちろんですよ。なにせ、私は女神ですから】


 フィーさんがエッヘンと胸を張っている様子がなぜか目に映る。


 とはいえ、条件は悪いものじゃない。ラビット族をどうのこうのという話はまたおいおい白兎と話し合えばいい。


「それで構わないぞ、白兎」

「キュキュ」


【「ありがとうございます」、と】


「本当その翻訳機能便利だな。いっそ、俺にくれないか? 」


【ヒビキ様は転生前に望んでおられませんでしたし】


「ああ、さいですか」


 上手くいって逃げられた気もするが、何につけても事実しか言わねぇのかよ、フィーさんは。


「このあとは? 」


【強引な感じでいたたまれないのですが。まあ、あとは単純に対象に向かって『契約』と言うだけです。恐らく従魔として認定されますが】


 従魔だとか何とかはさておき、結構時間がかかるものかと思っていたが、まあすんなりと終えられるようでホッとした。


 ゲームの中に転生したとはいえ、早速面倒事に直面するってのは気が引けるからな。既に経験してはいるけれども。


「『契約』」


 その二文字を口に出すまで俺は半信半疑だったが、後々俺の目の前に一枚の紙がポワンと現れ、そして開いていたステータス一覧の端にあるチャット枠に『ナックル・ラビットを従魔にしました』、そして『スキル「従魔召喚Lv? 」を獲得しました』というメッセージが送られたことで確信を得られた。


【ヒビキ様の目の前にある紙は、『契約』が完了した証です。どうぞご確認下さい】


 俺はそれを手に取って、まじまじと見つめる。 



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〘ナックル・ラビット ♂ 従魔〙 【種族】:魔物・ラビット族


Lv :15


HP :320/320


MP :30/30


筋力 :126

 

耐久 :35


魔力 :8


敏捷 :153


幸運 :25


【状態異常】


普通


【スキル】


「体当たりLv5」「疾走Lv8」


【特殊】


なし


【称号】


「ラビット王子」



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