第54話 ファロールの手前
久々の更新となります。
生存確認…。
花畑を抜けるまでなんて言いつつ、白兎から知人のゴブリンキングにまつわる面白エピソードや武勇伝をひたすら聞く羽目に。
できればファロールについて色々聞いておきたかったのだが、あまりに楽しそうに話すものだから取り止めた。実際に目で見た方が手っ取り早いのは確かだが。白兎は意外とお喋りなようだ。良ければ、こちらの思いを察しておくれ。
「そろそろでしょうか。次第に街が見えてくるはずです」
白兎の言う通り、地図上でも現在地を示す水色のポインターとファロールの地に置いた赤ピンの距離が近い。ざっと、300メートル程。
浮遊石等の便利アイテムを作るなり出来れば、こんなにも歩き疲れることは無かったとふと感じてしまう。常時気軽に錬金出来るよう素材はちゃんとストックしておくべき、なんてのは初歩中の初歩である。……今の俺に一番刺さる錬金道。
肩をぐったりさせて歩いていると、そのふらつく肩がぐっと掴まれる。地味に痛い。振り返るとノーグリードがやや神妙な空気を漂わせていた。
「なんだ? 」
「止まれ。嫌な予感がする」
予感なんて俺には全く感じ取れず、なおかつLv12の危機察知スキルも反応していない。どういうことだ?念の為危機察知スキルがLv10のデュラハンにも尋ねる。
「お前はどうだ」
「我か? 我にも分からぬ」
野生の勘というのだろうか、ノーグリードはそれがめっぽう鋭い。賊や魔物の類が姿を隠していることを考えれば、奴らの隠蔽やその系統のスキルがLv12以上となるわけだ。そこそこ厄介かもしれない。ノーグリードは背負ったバルガノムを鞘から引き抜き両手で強く握りしめ、デュラハンは跨った黒馬の手綱を片手で操りもう片方の手で鉾を構える。白兎は黒馬の横に待機し、そして俺はアイテムウィンドウや錬金リストを目の前で開くと共により一層警戒を強める。
「お主ら、儂の『目』を知らんか」
左から老いを匂わせた声がする。そちらに耳目を向けるが、何もいない。
「お主ら、儂の『目』を知らんか」
だが、いる。目は知らないかと繰り返し聞かれているが、あいにく俺達は何も知らない。プレイヤーか?プレイヤーにしては奇妙だが。
「あんたの目なんか知らねー」
「……儂の目を知らんか」
「だから知らねーって」
「そんな言い方はないでしょう、ノーグリードさん」
ノーグリードの荒い受け答えに白兎が咎める。その老人はというと、半ば諦めかけたように重々しいため息をついた。そしてのそりのそりと茂みの中から歩み寄ってきた。
……とうとうあらわになったのは、頭部以外は鋼装備を施し、また頭部に至っては右半分は人間、左半分がサイボーグ化した者。御老人にしては人間部分だけ、歴戦の勇士の様にごつごつしている。だが奴が目を探しているというのは本当らしい。左目だけすっぽりと穴が空いている。ステータスはというと、
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〘ファシール=ローランド 89歳 女性〙 【種族】:人間(NPC) 【職業】:改造人間
Lv :89
HP :12500/12500
MP :1250/1250
筋力 :3230
耐久 :3600
魔力 :220
敏捷 :430
幸運 :35
【状態異常】
一部欠損
【スキル】
「剣術Lv85」「一帯守護Lv52」「一閃Lv70」「身体強化Lv6」「隠蔽Lv26」「鬼神LvMAX」「白魔法Lv5」
スキルポイント:0
【特殊】
「精霊王の加護」(戦闘時、HP・MP・魔力・敏捷値上昇)
【称号】
「ファロール王」「精霊騎士」「悟りし者」
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「これはこれは面白い。さてはお主、儂のを見たな? 」




