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トラップマスターのゲーム記録〜バグ処理のために転生します〜  作者: 鳶崎斗磨
第一章 旅立つ最強のプレイヤー
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第5話 ラビット王子

「キュキュ!? 」


 〘ブラスト・ラビット〙がたったの一撃で倒された事が想定外だったのか、奴の後を追っていた〘ホーリー・ラビット〙と〘ナックル・ラビット〙達、そして一番後ろで仲間を指揮していた「ラビット王子」の称号を持つ〘ナックル・ラビット〙の動きが固まる。


 数は多いが……レベルとか能力面の差からして、相手にできなくもない。でも、防護術を使いこなせるかどうかは分からない。


「キュッ、キュキュキュッ! 」


 凍りついた局面に、遠くから白兎(あいつ)の指揮がくだる。すると、俺の元に迫り来ていた〘ナックル・ラビット〙達は皆して回れ右をし、指揮官の元へ戻っていく。それから〘ホーリー・ラビット〙達は、その場で「キュキュキュキュ」と声を上げ始めた。


「え、何それ」


 〘ホーリー・ラビット〙各々の前に、白い玉が2個ずつ現れたのだ。なんのスキルだ?


「キュキュッ! 」


 再び指揮がくだる。


「うおおぉっ!? そりゃねぇだろっ! 」


 その玉全てが、俺の方に飛んできた。俺は大袈裟な反復横跳びで兎達の攻撃を避けまくる。


 生み出された白い玉だまは、草むらに着弾しては光の粒子となって消えていく。これが「白魔法Lv3」っつーやつか!?


 しかし、考えている暇はない。被弾しないようとにかく避け続ける。体力の差は見るからにこちらが上なのだが、なんせ痛そうな感じがしてならない。


「しまったっ」


 いつの間にか、白玉が後ろから一つだけ飛んできており、振り向いた瞬間、横腹に見事に炸裂。


 ポスッと、まるで赤ちゃん叩きのような感覚がした。痛みは、さらさらない。


「……ステータス確認」


 その一言で、俺の目の前にボゥンという音を立ててステータス覧が表示される。



 ______________________________

 ______________________________



〘ヒビキ 18歳 男性〙 【種族】:人間 【職業】:トラッパー


Lv :99


HP :9499/9500


MP :6200/6200


筋力 :1530

 

耐久 :1053


魔力 :3820


敏捷 :4900


幸運 :12


 ______________________________

 ______________________________




 なるほど、1発食らってもHPの減りはたった1だけか。けれど何故かは知らんがステータスを確認して2秒ほど経ったら、HPはすぐに全回復した。


 スキルにそんな便利なものまあないし、回復ポーションも使ってない。まさか「女神の加護」ってやつのおかげ?



 もしかして、白兎に殴られてもHPが減ってなかったのも勝手に回復したからか……? でもあの時、確かに痛みはあったんだが。



 あれこれ考えていては時間の無駄だ。今の時点では、魔法を使われてもHPは簡単に尽きないことと、それによる痛みもないことが分かっている。



 情報は、それだけで十分だ。



「覚悟しろよぉぉ? 」



 今まで逃げてばっかだったが、なんだぁ? 心配御無用だったってわけか。


 俺は怒りを覚え、魔法をためらわず使ってくる兎達を1匹1匹殴ったり蹴ったりして倒し始める。


 八つ当たり上等だ。


 数こそ多かったが、それぞれ1発で仕留めていくことで、下手にスタミナを浪費せずに済んだ。


 だが、まだである。


 俺はわざと白兎──「ラビット王子」だけを残した。


「おい」


 俺はおさまらぬ怒りを無理に鎮めたように装い、1匹の〘ナックル・ラビット〙に声を掛ける。


「キュキュ……キュキュキュ……」


 すると、そいつは両耳を垂れ下げながら(うつむ)いた。あたかも謝っているかのような仕草だ。


「ほう。それで許してくれるだろう、と」

「キュキュキュキュ! 」


 白兎は慌てて首を横に振る。そいつは言葉を理解しているようにも見え、それに中々な知性を持っている。今ここで頷いたり無反応を通していたら、迷いなく武力行使に出ていたところだ。ちょっとした試しをやってみたつもりだが……こいつ案外使える奴なのかもしれない。


 ステータスからして雑魚に変わりはないのだが、その知性は捨てておけない。


 どうにかこいつを仲間にできないもんかね。そんな無理、通るわけがないだろうが──


「あ、そうだ」


 俺は女神、フィーさんが転生前に説明してくれた『ヘルプボタン』を思い出した。


 白兎に逃げられると困るため、急いでステータス一覧を開き、チャット枠の端に設けられた『ヘルプボタン』を押す。


「おっ」


ステータス一覧を開く時に鳴るあのボゥンという音とともに、『フィロリエル』とかかれたウィンドウが開いた。

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